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【新婚旅行編】七日目:何だかとても、擽ったいですね
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黒の執事服を纏う彼の姿は、サターン様とヨミーン様の時のように見覚えしか。明るい黄緑色の長い尾羽根を揺らしながら、タレ目の瞳を細めている。頬にかかった左右非対称な長さの髪を、長い髪の方だけを小さく三つ編みに編んでいた。
細くて長い彼のシルエットはリアルだが、その表情のデフォルメ具合はマスコットらしい。それから、やっぱり着ぐるみではあるのだが、着ぐるみとは思えない。彼が流れるような動作でお辞儀を披露する様は、この世界ならば、そのままの姿で存在していそうだと思えるほどに生き生きとしていた。
「親愛なる国民の皆様、今日は。初めまして、私、ヨミーン様の秘書を務めさせて頂いております、レタリーンと申します」
『やっぱり、レタリーさんだ! レタリーさんもいたんだ! ね、バアル!』
『ええ、これならば、誠にレダ殿やスヴェン殿をモチーフにした方もいらっしゃるやもしれませんね』
『うんっ』
レタリーさんの声をあらかじめ録音しているのだろうか。まるで、ご本人がこの場で着ぐるみに合わせて喋っているみたい。実際に口元も声に合わせて動いているし。瞬きだって。
「本日の謁見にて司会進行を、サターン様とヨミーン様のお手伝いをさせて頂きます。どうか宜しくお願い致します」
彼の出現と共に黄色い歓声を、あるいは拍手を送っていた皆さんが、再び手を打ち鳴らす。俺達も、めいいっぱいの拍手を送った。
「ありがとうございます……ありがとうございます……」
俺達、観客の方へとレタリーンさんが頭を下げる。左に向かって、右に向かって、最後は真ん中に。律儀で礼儀正しいところも、レタリーさんに似ている。
お辞儀を終えてから、レタリーンさんは咳払いを一つ。ついに始まるのかと思えば、小首を軽く傾げながら俺達の方を見た。
「おや、以前司会進行をなさっていらした、バアルーン様はどうかされたのか、でございますか?」
バアルーン様……!!
俺は全然知らなかった。けれども、お客さんの中には、リピーターさんも居たんだろう。どこからかコール&レスポンスをするかのように、どうしてー? と尋ねる声が重なって聞こえた。
次々と聞こえてくる応えにレタリーンさんは満足そうに微笑んでから続けた。
「ご存知の方も多いかと存じますが、おめでたいことにバアルーン様は新婚さんでございますので。現在は休暇中、奥方様であるアオニャン様と仲睦まじく過ごしていらっしゃるかと」
また黄色い歓声が上がる。大きな拍手も。でも、今回のはレタリーンさんに向けられているものではないんだろう。
……なんだか、なんだかとても……
「バアルーン様は、アオニャン様と出会うまで、ほとんど休みなく働き詰めでございました。サターン様とヨミーン様が休暇をご用意しても、隠れて別の仕事に精を出されてしまうほどに」
『…………』
「この際、数百年ほどのんびりと休まれても宜しいのではと、アオニャン様とゆるりと何でもない幸せな日々を過ごして頂きたいと、私めは勝手ながら思っております」
そうだ、そうだと言わんばかり。また大きな拍手が鳴り続けている。いやいや、ホントに。
『……擽ったい、ですね……俺達のことじゃあ、ないのに』
『……ええ、誠に……何と申し上げればよいのか……』
細くて長い彼のシルエットはリアルだが、その表情のデフォルメ具合はマスコットらしい。それから、やっぱり着ぐるみではあるのだが、着ぐるみとは思えない。彼が流れるような動作でお辞儀を披露する様は、この世界ならば、そのままの姿で存在していそうだと思えるほどに生き生きとしていた。
「親愛なる国民の皆様、今日は。初めまして、私、ヨミーン様の秘書を務めさせて頂いております、レタリーンと申します」
『やっぱり、レタリーさんだ! レタリーさんもいたんだ! ね、バアル!』
『ええ、これならば、誠にレダ殿やスヴェン殿をモチーフにした方もいらっしゃるやもしれませんね』
『うんっ』
レタリーさんの声をあらかじめ録音しているのだろうか。まるで、ご本人がこの場で着ぐるみに合わせて喋っているみたい。実際に口元も声に合わせて動いているし。瞬きだって。
「本日の謁見にて司会進行を、サターン様とヨミーン様のお手伝いをさせて頂きます。どうか宜しくお願い致します」
彼の出現と共に黄色い歓声を、あるいは拍手を送っていた皆さんが、再び手を打ち鳴らす。俺達も、めいいっぱいの拍手を送った。
「ありがとうございます……ありがとうございます……」
俺達、観客の方へとレタリーンさんが頭を下げる。左に向かって、右に向かって、最後は真ん中に。律儀で礼儀正しいところも、レタリーさんに似ている。
お辞儀を終えてから、レタリーンさんは咳払いを一つ。ついに始まるのかと思えば、小首を軽く傾げながら俺達の方を見た。
「おや、以前司会進行をなさっていらした、バアルーン様はどうかされたのか、でございますか?」
バアルーン様……!!
俺は全然知らなかった。けれども、お客さんの中には、リピーターさんも居たんだろう。どこからかコール&レスポンスをするかのように、どうしてー? と尋ねる声が重なって聞こえた。
次々と聞こえてくる応えにレタリーンさんは満足そうに微笑んでから続けた。
「ご存知の方も多いかと存じますが、おめでたいことにバアルーン様は新婚さんでございますので。現在は休暇中、奥方様であるアオニャン様と仲睦まじく過ごしていらっしゃるかと」
また黄色い歓声が上がる。大きな拍手も。でも、今回のはレタリーンさんに向けられているものではないんだろう。
……なんだか、なんだかとても……
「バアルーン様は、アオニャン様と出会うまで、ほとんど休みなく働き詰めでございました。サターン様とヨミーン様が休暇をご用意しても、隠れて別の仕事に精を出されてしまうほどに」
『…………』
「この際、数百年ほどのんびりと休まれても宜しいのではと、アオニャン様とゆるりと何でもない幸せな日々を過ごして頂きたいと、私めは勝手ながら思っております」
そうだ、そうだと言わんばかり。また大きな拍手が鳴り続けている。いやいや、ホントに。
『……擽ったい、ですね……俺達のことじゃあ、ないのに』
『……ええ、誠に……何と申し上げればよいのか……』
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