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【新婚旅行編】九日目:宝探しゲーム
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ふと枝葉のごとく広がっていた話が急にぷつりと途切れた時だった。真っ赤な目を輝かせながらヨミ様が、何かを思い出したかのように俺に話しかけてきたのは。通りのいい声を弾ませたのは。
「アオイ殿っ」
「はい」
「アオイ殿がしてみたい海での遊びは何かあるだろうか?」
その表情は、とんでもない名案を思いついたと言わんばかりに眩しい。
自然と皆さんの視線が俺に集まっていく。現世に生きていた俺だけが本来の海を知っているからだろう。皆さん興味津々なご様子だった。
「遊び、ですか……」
すぐに思い浮かんできたものはまさに定番というか。普通に泳いだり、浜辺か浅瀬でボール遊びをしたりと、すでにさっき楽しんだものばかり。しかも、皆さんとの方が明らかに俺の想像のワンランク上なバージョンだ。
じゃあ、それ以外で、となると目隠ししてスイカ割りとか、花火とか。これまた定番ではあるし、まだやってはいない。でも海ならではの遊びなのか? と問われると違う気もする。別に海じゃなくても出来るしな。
何か、こう……もっと海が主役っていうか……泳いだり、潜ったりするような遊びで、楽しそうなものはなかったっけ?
手当たり次第に開いてみた記憶の引き出しのほんの隅っこ、そこからぽんっと出てきたのは海ではなくプールの授業での記憶だった。それでも唯一浮かんだものだからだろう、自然と口にしてしまっていた。
「宝探しゲーム、とか……」
「ほう」
興味を引かれたのか、片方の口端だけを持ち上げたヨミ様に続いてグリムさんが声を弾ませる。
「面白そうですねっ、どんな遊びなんですか?」
「ああ、いや……プールでしたことがある遊びですから、海では向いてないかもしれないんですけど」
「構わぬ。先ずは詳細を教えてはくれないか?」
確かに。俺が独自に判断するよりも、言ってみてから皆さんと考えてみた方がいいだろう。現世とは違ってこちらでは術があるんだし。
「は、はい……その、ルールは簡単っていうか……あらかじめ決めておいたお宝……例えば俺がした時はピンポン玉とかだったと思うんですけど……それを、いくつもプールにばら撒いておいてから、皆で潜って探すっていう遊びで……」
「ふむ、つまりは海の中でも見つけやすい宝物を用意しておく必要がある、ということであるな」
「はい」
「探しやすいように、数は少なめの方が良いかもしれんの」
サタン様の提案にグリムさんがうんうんと頷いている。
「なくしちゃったら大変ですもんね」
広さが決まっているプールならばまだしも、今回は海だ。波によって流されてしまう可能性もあるから、すぐに見つけられるくらいの個数にしておいた方がいいだろう。
「海の中でも目立つように、光るようにしておくってのはどうです?」
「でしたら、時間経過によってより強く輝くなど、何かしらの条件も加えた術を施しておいた方がより良いのでは?」
クロウさん、レタリーさんと、あれば嬉しい納得な提案が次から次へと出されていく。後は、そういう術をあらかじめかけておく宝物を、一体何にするのかってことだけれども。
「そうと決まれば、彼の出番であるな!」
「彼?」
思わず尋ね返してしまっていた俺を見て、ヨミ様が何やら得意気に黒い羽をはためかせて、口角を持ち上げる。キレイでありつつも悪役じみた笑顔を浮かべた彼が、太陽を掴まんばかりに手を掲げれば、その手のひらの上に突然緑の煌めきが現れた。
いや、これは、ただの光じゃあ……
「アオイ殿っ」
「はい」
「アオイ殿がしてみたい海での遊びは何かあるだろうか?」
その表情は、とんでもない名案を思いついたと言わんばかりに眩しい。
自然と皆さんの視線が俺に集まっていく。現世に生きていた俺だけが本来の海を知っているからだろう。皆さん興味津々なご様子だった。
「遊び、ですか……」
すぐに思い浮かんできたものはまさに定番というか。普通に泳いだり、浜辺か浅瀬でボール遊びをしたりと、すでにさっき楽しんだものばかり。しかも、皆さんとの方が明らかに俺の想像のワンランク上なバージョンだ。
じゃあ、それ以外で、となると目隠ししてスイカ割りとか、花火とか。これまた定番ではあるし、まだやってはいない。でも海ならではの遊びなのか? と問われると違う気もする。別に海じゃなくても出来るしな。
何か、こう……もっと海が主役っていうか……泳いだり、潜ったりするような遊びで、楽しそうなものはなかったっけ?
手当たり次第に開いてみた記憶の引き出しのほんの隅っこ、そこからぽんっと出てきたのは海ではなくプールの授業での記憶だった。それでも唯一浮かんだものだからだろう、自然と口にしてしまっていた。
「宝探しゲーム、とか……」
「ほう」
興味を引かれたのか、片方の口端だけを持ち上げたヨミ様に続いてグリムさんが声を弾ませる。
「面白そうですねっ、どんな遊びなんですか?」
「ああ、いや……プールでしたことがある遊びですから、海では向いてないかもしれないんですけど」
「構わぬ。先ずは詳細を教えてはくれないか?」
確かに。俺が独自に判断するよりも、言ってみてから皆さんと考えてみた方がいいだろう。現世とは違ってこちらでは術があるんだし。
「は、はい……その、ルールは簡単っていうか……あらかじめ決めておいたお宝……例えば俺がした時はピンポン玉とかだったと思うんですけど……それを、いくつもプールにばら撒いておいてから、皆で潜って探すっていう遊びで……」
「ふむ、つまりは海の中でも見つけやすい宝物を用意しておく必要がある、ということであるな」
「はい」
「探しやすいように、数は少なめの方が良いかもしれんの」
サタン様の提案にグリムさんがうんうんと頷いている。
「なくしちゃったら大変ですもんね」
広さが決まっているプールならばまだしも、今回は海だ。波によって流されてしまう可能性もあるから、すぐに見つけられるくらいの個数にしておいた方がいいだろう。
「海の中でも目立つように、光るようにしておくってのはどうです?」
「でしたら、時間経過によってより強く輝くなど、何かしらの条件も加えた術を施しておいた方がより良いのでは?」
クロウさん、レタリーさんと、あれば嬉しい納得な提案が次から次へと出されていく。後は、そういう術をあらかじめかけておく宝物を、一体何にするのかってことだけれども。
「そうと決まれば、彼の出番であるな!」
「彼?」
思わず尋ね返してしまっていた俺を見て、ヨミ様が何やら得意気に黒い羽をはためかせて、口角を持ち上げる。キレイでありつつも悪役じみた笑顔を浮かべた彼が、太陽を掴まんばかりに手を掲げれば、その手のひらの上に突然緑の煌めきが現れた。
いや、これは、ただの光じゃあ……
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