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【新婚旅行編】十日目:思わず漏れ出た心の叫び
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「場合によっては勝手に広がってしまっていたり、縮んでしまっていることもございますが……」
……勝手に。
過ったのは、思い出されたのは、白い頬を真っ赤に染めたバアル。好きって気持ちをいっぱい伝えられたり、照れくさいお強請りが功を奏したり、そんな時には大抵、ぶわって広がっていたっけ。
まるで花が満開に咲く瞬間を早送りにして見ているような。みるみる内に透き通った四枚が彼の長身よりも広がっていく様は、彼ごと俺を包み込もうとしてくる様は、神秘的で美しい。ついつい、いつも見惚れてしまう。
その逆、縮んでしまうのは、落ち込んでしまった時とかに。こちらも花のように萎んでいってしまう。触角の方も、叱られてしょんぼりしているわんこの耳みたいにへにょんって下がっていたりして。
それはそれで可愛い。可愛いんだけれども、状況的には喜べない。早く明るい笑顔を見せて欲しいから。
「私め以外の身近な方ですと、レタリー殿も普段は翼をしまっていらっしゃいますね」
「ああ、そっか……」
言われてみれば、前に皆さんとお城の上空を空中散歩した時、レタリーさんもご自身の翼で飛んでいたっけ。バアルみたいに背中じゃなくて、腕からふわっと翼が生えてきたのにはびっくりしたな。尾羽根と一緒でキレイな黄緑の。
「ですが……私の場合、完全にしまうことは……縮めるにしても、広げるにしても限界がございます。見てみますか?」
「うんっ、見たい! 見せて?」
「ふふ、畏まりました。愛しい妻のお望みのままに」
丁度塗り終えた一枚から手を離せば、バアルは、始めますね? と念を押すように声をかけてくれた。
いいよ、と返すとみるみる内に羽が縮んでいく。尖った花びらのような形はそのままに、全体が縮小していっているようだ。
最終的には、四枚ともが俺の手のひらに収まるくらいにまで縮んでいた。物語に出てくる妖精さんみたいなサイズ感だ。
「可愛いね。これが小さいのの限界?」
「はい」
「触ってみてもいい?」
「ええ、どうぞ」
元々繊細そうだったけれども、小さくなれば余計にそう感じてしまう。透き通った四枚はガラス細工のよう。なかなかさっきのように撫で回す気にはなれない。一枚だけを、その先を、そうっと、そうっと、指先で撫でてみた。
その感触は、通常のサイズの時とあまり違いは。いや、何か、ちょっとだけ違うかも。ツルツル感というか、触り心地が。
「いかがでしょうか?」
「何か、いつもの時と感触が違うかも……ずっと触っていたいっていうか、触り心地がいいことには変わりはないんだけど……」
「んんっ……左様で、ございますか……」
惜しげもなく白い素肌を晒したままな幅の広い肩が、言葉を詰まらせたように息を呑んだ拍子に少しだけ揺れた。擽ったかったりしたんだろうか。
「バアルはどう? いつもと違ったりする?」
「そう、ですね……確かに、不思議な感じが致します……」
「やっぱり、擽ったかった?」
ごめんねと言う前に、指先を離そうとする前に、ツルリと硬い感触が触れてきた。
まるで、続きを強請ってきてくれているかのよう。触れさせてもらっていた羽が、擦り寄ってきてくれている。密かに甘えてきてくれているような。そんな仕草だけでも可愛らしいったらありゃしないのに。
「いえ、心地よいですよ……もっと触って頂きたいと望んでしまうほどに……」
「っ、かわ……」
胸の奥を摘まれたような気分になってしまった。心の叫びの一部が口から漏れ出てしまっていた。照れたような声で嬉しいことを言ってくれるもんだから、赤く染まっている耳を隠せていないもんだから。
……勝手に。
過ったのは、思い出されたのは、白い頬を真っ赤に染めたバアル。好きって気持ちをいっぱい伝えられたり、照れくさいお強請りが功を奏したり、そんな時には大抵、ぶわって広がっていたっけ。
まるで花が満開に咲く瞬間を早送りにして見ているような。みるみる内に透き通った四枚が彼の長身よりも広がっていく様は、彼ごと俺を包み込もうとしてくる様は、神秘的で美しい。ついつい、いつも見惚れてしまう。
その逆、縮んでしまうのは、落ち込んでしまった時とかに。こちらも花のように萎んでいってしまう。触角の方も、叱られてしょんぼりしているわんこの耳みたいにへにょんって下がっていたりして。
それはそれで可愛い。可愛いんだけれども、状況的には喜べない。早く明るい笑顔を見せて欲しいから。
「私め以外の身近な方ですと、レタリー殿も普段は翼をしまっていらっしゃいますね」
「ああ、そっか……」
言われてみれば、前に皆さんとお城の上空を空中散歩した時、レタリーさんもご自身の翼で飛んでいたっけ。バアルみたいに背中じゃなくて、腕からふわっと翼が生えてきたのにはびっくりしたな。尾羽根と一緒でキレイな黄緑の。
「ですが……私の場合、完全にしまうことは……縮めるにしても、広げるにしても限界がございます。見てみますか?」
「うんっ、見たい! 見せて?」
「ふふ、畏まりました。愛しい妻のお望みのままに」
丁度塗り終えた一枚から手を離せば、バアルは、始めますね? と念を押すように声をかけてくれた。
いいよ、と返すとみるみる内に羽が縮んでいく。尖った花びらのような形はそのままに、全体が縮小していっているようだ。
最終的には、四枚ともが俺の手のひらに収まるくらいにまで縮んでいた。物語に出てくる妖精さんみたいなサイズ感だ。
「可愛いね。これが小さいのの限界?」
「はい」
「触ってみてもいい?」
「ええ、どうぞ」
元々繊細そうだったけれども、小さくなれば余計にそう感じてしまう。透き通った四枚はガラス細工のよう。なかなかさっきのように撫で回す気にはなれない。一枚だけを、その先を、そうっと、そうっと、指先で撫でてみた。
その感触は、通常のサイズの時とあまり違いは。いや、何か、ちょっとだけ違うかも。ツルツル感というか、触り心地が。
「いかがでしょうか?」
「何か、いつもの時と感触が違うかも……ずっと触っていたいっていうか、触り心地がいいことには変わりはないんだけど……」
「んんっ……左様で、ございますか……」
惜しげもなく白い素肌を晒したままな幅の広い肩が、言葉を詰まらせたように息を呑んだ拍子に少しだけ揺れた。擽ったかったりしたんだろうか。
「バアルはどう? いつもと違ったりする?」
「そう、ですね……確かに、不思議な感じが致します……」
「やっぱり、擽ったかった?」
ごめんねと言う前に、指先を離そうとする前に、ツルリと硬い感触が触れてきた。
まるで、続きを強請ってきてくれているかのよう。触れさせてもらっていた羽が、擦り寄ってきてくれている。密かに甘えてきてくれているような。そんな仕草だけでも可愛らしいったらありゃしないのに。
「いえ、心地よいですよ……もっと触って頂きたいと望んでしまうほどに……」
「っ、かわ……」
胸の奥を摘まれたような気分になってしまった。心の叫びの一部が口から漏れ出てしまっていた。照れたような声で嬉しいことを言ってくれるもんだから、赤く染まっている耳を隠せていないもんだから。
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