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今は遠い星に願いを
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「それで? やっぱり交流したい相手は、もう決まっているのかい?」
柔らかく微笑んで、さも当然のように尋ねた彼の予想は当たっていたらしい。
「気になっている人がいて……」
「どんなヤツなんだ?」
「その子は可愛い? それともカッコいい感じ?」
「リアムが選んだのですから、きっと良い方なのでしょうね」
知りたいを抑えられない俺達からの怒涛の質問を受け、あの子は軽く目を伏せた。考えごとをする時によくしているクセだ。
そうして、じっくりと自分自身に問いかけてから、あの子は思ったままを俺達に話してくれた。
「分からない……でも、話してみたいって思ったから」
「……いいね。一番大事なことだ」
……本当に。あの子が俺達以外に興味を持つだなんて、初めてのことなのだから。
「それで? リアムは、ソイツと仲良くなりたいんだよな?」
「出来れば……」
そう控えめに想いを口にしたものの、あの子の眼差しには強い光が宿っていた。だから、つい俺達はあれやこれやと勧めてしまったのだ。彼からアドバイスを求められるよりも先に。
「心の癒しの為に、ふわふわな生き物をってのは良い案だったと思うけど……いくら食事で摂る栄養が大切だからって、あの完全栄養食は……」
あの子は合理的だって、すっごく喜んでいたけど。あの子が作るんだから美味しいとは思うけど。
「見た目がねぇ……可愛くも、カッコよくもないんだよね……シンプルが一番っていう考えも悪くはないとは思うんだけど」
考えれば考えるほど心配になってしまう。ほんの些細なことすらも。
「……切っ掛けは、目が合ったから、か」
本人の認識としてはそうなのだろう。だが、有り得ない。事前に調べていた現星人の情報によると、彼らの視力はごく少数を除いて、そんなに良くはなかったのだ。だから、きっと。
「ひと目見て気になっちゃったから、自分を認識してもらえるように無意識に力を使っちゃったんだろうな……」
とはいえ、これに関しては問題はないだろう。現星人の子からしたら、何で見えてるんだろって不思議に思っちゃうくらいだし。ただ。
「また、突発的に……それも無意識に力を使っちゃったりしないかな? そもそもあっちの方の手がうっかり出ちゃわないかな?」
まぁ、仮にそうなってしまったとしても、あの子のことだ。俺達よりも遥かに繊細な現星人の子を髪の毛一本だって傷つけてしまうことはないだろう。
「うんっ、やっぱり大丈夫…………大丈夫、だよね?」
一人納得して安心しては、した側から不安が滲み出てきてしまう。うんうんと唸りながらもまた自身を納得させようとしていた時、足元にふわりとした温もりが擦り寄ってきた。その温もりは、ちいさな前足で俺の足にちょんちょんと触れてくる。
「みぁう、みゃっ、みぅっ」
「んー? もしかして、モクちゃんも心配してくれてるの? あの子とネモちゃんのことを」
「なぁぅ……」
「そっか……」
現星人の子への癒し要員として、それからあの子が寂しい思いをしないようにお供として立候補してくれたネモちゃん。モクちゃんとそっくりの白い毛並みを持つ小さなあの子が心配なのだろう。
「でも、大丈夫だよ。ネモちゃんは元気で明るい子だから、モクちゃんに似て」
「みぁっ、みっ」
「ふは、それを言うならリアムちゃんも大丈夫って? 確かにね。あの子は真っ直ぐで頑張り屋さんだからね」
「みぅっ!」
足元で飛び跳ねていたモクちゃんを抱き上げれば、その長い身体を伸ばして頬に擦り寄ってきてくれた。綿毛のような毛並みは肌触りが良くて心地いい。しつこく滲んでいた不安が解けていくような。
「リアムちゃん……」
今は遠い星に居るあの子を思う。どうか、彼が笑顔でいられますようにと。まだ見ぬ誰かと仲良くなれていますようにと。
柔らかく微笑んで、さも当然のように尋ねた彼の予想は当たっていたらしい。
「気になっている人がいて……」
「どんなヤツなんだ?」
「その子は可愛い? それともカッコいい感じ?」
「リアムが選んだのですから、きっと良い方なのでしょうね」
知りたいを抑えられない俺達からの怒涛の質問を受け、あの子は軽く目を伏せた。考えごとをする時によくしているクセだ。
そうして、じっくりと自分自身に問いかけてから、あの子は思ったままを俺達に話してくれた。
「分からない……でも、話してみたいって思ったから」
「……いいね。一番大事なことだ」
……本当に。あの子が俺達以外に興味を持つだなんて、初めてのことなのだから。
「それで? リアムは、ソイツと仲良くなりたいんだよな?」
「出来れば……」
そう控えめに想いを口にしたものの、あの子の眼差しには強い光が宿っていた。だから、つい俺達はあれやこれやと勧めてしまったのだ。彼からアドバイスを求められるよりも先に。
「心の癒しの為に、ふわふわな生き物をってのは良い案だったと思うけど……いくら食事で摂る栄養が大切だからって、あの完全栄養食は……」
あの子は合理的だって、すっごく喜んでいたけど。あの子が作るんだから美味しいとは思うけど。
「見た目がねぇ……可愛くも、カッコよくもないんだよね……シンプルが一番っていう考えも悪くはないとは思うんだけど」
考えれば考えるほど心配になってしまう。ほんの些細なことすらも。
「……切っ掛けは、目が合ったから、か」
本人の認識としてはそうなのだろう。だが、有り得ない。事前に調べていた現星人の情報によると、彼らの視力はごく少数を除いて、そんなに良くはなかったのだ。だから、きっと。
「ひと目見て気になっちゃったから、自分を認識してもらえるように無意識に力を使っちゃったんだろうな……」
とはいえ、これに関しては問題はないだろう。現星人の子からしたら、何で見えてるんだろって不思議に思っちゃうくらいだし。ただ。
「また、突発的に……それも無意識に力を使っちゃったりしないかな? そもそもあっちの方の手がうっかり出ちゃわないかな?」
まぁ、仮にそうなってしまったとしても、あの子のことだ。俺達よりも遥かに繊細な現星人の子を髪の毛一本だって傷つけてしまうことはないだろう。
「うんっ、やっぱり大丈夫…………大丈夫、だよね?」
一人納得して安心しては、した側から不安が滲み出てきてしまう。うんうんと唸りながらもまた自身を納得させようとしていた時、足元にふわりとした温もりが擦り寄ってきた。その温もりは、ちいさな前足で俺の足にちょんちょんと触れてくる。
「みぁう、みゃっ、みぅっ」
「んー? もしかして、モクちゃんも心配してくれてるの? あの子とネモちゃんのことを」
「なぁぅ……」
「そっか……」
現星人の子への癒し要員として、それからあの子が寂しい思いをしないようにお供として立候補してくれたネモちゃん。モクちゃんとそっくりの白い毛並みを持つ小さなあの子が心配なのだろう。
「でも、大丈夫だよ。ネモちゃんは元気で明るい子だから、モクちゃんに似て」
「みぁっ、みっ」
「ふは、それを言うならリアムちゃんも大丈夫って? 確かにね。あの子は真っ直ぐで頑張り屋さんだからね」
「みぅっ!」
足元で飛び跳ねていたモクちゃんを抱き上げれば、その長い身体を伸ばして頬に擦り寄ってきてくれた。綿毛のような毛並みは肌触りが良くて心地いい。しつこく滲んでいた不安が解けていくような。
「リアムちゃん……」
今は遠い星に居るあの子を思う。どうか、彼が笑顔でいられますようにと。まだ見ぬ誰かと仲良くなれていますようにと。
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