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茜とカッパと宇宙人の遭遇
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カッパと宇宙人が、棚の陰に隠れ息をひそめている。
「誰かいますかー?」という声と同時に扉をノックする音。少し間があった後、「すみませーん。ちょっと雨宿りさせてください。失礼しまーす」と声が聞こえ、ギギギと音が鳴り扉が少し開いた。
ゆっくりと部屋の中を伺いながら入ってきたのは茜だった。
「もう、誰も住んでないのかな」かび臭くホコリっぽい部屋を見て茜は言う。
「人来たじゃん!来ないんじゃんかったの?」宇宙人が小声で言う。
「おかしいな・・・。あ、仙人じゃない?」
「いやいやいや。声も見た目も老人ではないでしょ。良く見な」
2人は部屋を歩く茜に注目していた。茜は部屋を少しだけ見た後。窓際の椅子を見つけそこに向かって歩いた。その時、外の光が茜の顔を明るく照らした。
「かわいい・・・」2人同時に呟くと、互いに顔を見合わせた。
「お前、かわいいって、何言ってんの?さっきの俺の話聞いてた?」宇宙人が少し語気を強める。
「いや、だって僕ももうカッパとして1人ぼっちだし、お嫁さんが欲しいのは僕も同じなんだよ」カッパも負けない。
「いやいや、お前カッパだよ?緑だよ?女の子には絶対『気持ち悪ーい』って言われるんだよ?」
「そんなのわかんないじゃん!目に優しい色の人が好きな子かもしれないじゃん!」
「無いね!てか、こんな禿げた緑野郎がモテるわけないから!」
ヒートアップしている2人は、声のボリュームも知らないうちに少し上がっていた。雨音で何を言ってるかは聞こえないが、うっすら声が聞こえている茜は、その声がする方へゆっくりと近付いて行った。
薄暗いが、棚の横に人がいるのを発見した。
「あのー・・・」1メートル程の距離まで来た茜は声をかけた。
「え?」2人は茜の方を見る。
「雨宿りですか?」
「え、うーんと、そう。昆虫採集に来てて。な?」手前にいた宇宙人が棚の陰から出てきながらカッパに同意を求める。
「あ、そう。昆虫採集」カッパも出てきながら言った。
明らかに人間ではない生き物が言葉を喋りながら現れたのを見て茜は驚き、声を上げた。
「きゃあ!何この禿げた緑の生き物!?」
「ナイスリアクション!」宇宙人はガッツポーズ。
「うぉい!なんでこの短時間で2回も禿げた緑って言われなきゃいけないんだよ!」グイグイくるカッパ。
「気持ち悪い・・・!」そんなカッパを見て茜は少し恐怖を感じたが、頭の皿やクチバシなどを見て、目の前の生き物をなんとなく理解した。「もしかして、カッパ・・・ですか?」
「そうです。私がカッパです!」両手を広げてカッパはポーズを決めた。
「ねぇ、君さ、こんなカッパ放っておいて、俺とお話ししようよ」カッパと茜の間に入り宇宙人は良い声で言った。
「おい、待てよ宇宙人!」カッパは後ろから宇宙人の肩を掴んだ。
「え、宇宙人!?」茜はさらに驚く。
「まぁ、地球人では・・・ないです・・・」少し俯き加減で宇宙人は言った。
「本物じゃない・・・ですよね?」茜は2人を交互に見ながら聞いた。
「どういうこと?」と宇宙人。
「その、中身は人間ですよね?」
「人間・・・それは地球人てこと?」宇宙人は質問を返す。
茜は素早く2回頷いた。
「いや、地球人じゃないよ。彼は本物のカッパだし」
「でも、カッパって想像上の生き物なんじゃ・・・」
「もし、僕達が偽物で変装しているのなら、こんな誰も来ないような所じゃなくて、もっと目立つところに行くはずでしょ?」カッパは宇宙人の横に並んだ。
「それはそうですけど・・・」
「たまに人に見つかる事があって、その時は変装してますとか、撮影ですとか色々誤魔化してるけど、君には・・・なんか嘘つきたくないんだよね・・・」カッパは何もない空間を見つめながら言った。
「誰かいますかー?」という声と同時に扉をノックする音。少し間があった後、「すみませーん。ちょっと雨宿りさせてください。失礼しまーす」と声が聞こえ、ギギギと音が鳴り扉が少し開いた。
ゆっくりと部屋の中を伺いながら入ってきたのは茜だった。
「もう、誰も住んでないのかな」かび臭くホコリっぽい部屋を見て茜は言う。
「人来たじゃん!来ないんじゃんかったの?」宇宙人が小声で言う。
「おかしいな・・・。あ、仙人じゃない?」
「いやいやいや。声も見た目も老人ではないでしょ。良く見な」
2人は部屋を歩く茜に注目していた。茜は部屋を少しだけ見た後。窓際の椅子を見つけそこに向かって歩いた。その時、外の光が茜の顔を明るく照らした。
「かわいい・・・」2人同時に呟くと、互いに顔を見合わせた。
「お前、かわいいって、何言ってんの?さっきの俺の話聞いてた?」宇宙人が少し語気を強める。
「いや、だって僕ももうカッパとして1人ぼっちだし、お嫁さんが欲しいのは僕も同じなんだよ」カッパも負けない。
「いやいや、お前カッパだよ?緑だよ?女の子には絶対『気持ち悪ーい』って言われるんだよ?」
「そんなのわかんないじゃん!目に優しい色の人が好きな子かもしれないじゃん!」
「無いね!てか、こんな禿げた緑野郎がモテるわけないから!」
ヒートアップしている2人は、声のボリュームも知らないうちに少し上がっていた。雨音で何を言ってるかは聞こえないが、うっすら声が聞こえている茜は、その声がする方へゆっくりと近付いて行った。
薄暗いが、棚の横に人がいるのを発見した。
「あのー・・・」1メートル程の距離まで来た茜は声をかけた。
「え?」2人は茜の方を見る。
「雨宿りですか?」
「え、うーんと、そう。昆虫採集に来てて。な?」手前にいた宇宙人が棚の陰から出てきながらカッパに同意を求める。
「あ、そう。昆虫採集」カッパも出てきながら言った。
明らかに人間ではない生き物が言葉を喋りながら現れたのを見て茜は驚き、声を上げた。
「きゃあ!何この禿げた緑の生き物!?」
「ナイスリアクション!」宇宙人はガッツポーズ。
「うぉい!なんでこの短時間で2回も禿げた緑って言われなきゃいけないんだよ!」グイグイくるカッパ。
「気持ち悪い・・・!」そんなカッパを見て茜は少し恐怖を感じたが、頭の皿やクチバシなどを見て、目の前の生き物をなんとなく理解した。「もしかして、カッパ・・・ですか?」
「そうです。私がカッパです!」両手を広げてカッパはポーズを決めた。
「ねぇ、君さ、こんなカッパ放っておいて、俺とお話ししようよ」カッパと茜の間に入り宇宙人は良い声で言った。
「おい、待てよ宇宙人!」カッパは後ろから宇宙人の肩を掴んだ。
「え、宇宙人!?」茜はさらに驚く。
「まぁ、地球人では・・・ないです・・・」少し俯き加減で宇宙人は言った。
「本物じゃない・・・ですよね?」茜は2人を交互に見ながら聞いた。
「どういうこと?」と宇宙人。
「その、中身は人間ですよね?」
「人間・・・それは地球人てこと?」宇宙人は質問を返す。
茜は素早く2回頷いた。
「いや、地球人じゃないよ。彼は本物のカッパだし」
「でも、カッパって想像上の生き物なんじゃ・・・」
「もし、僕達が偽物で変装しているのなら、こんな誰も来ないような所じゃなくて、もっと目立つところに行くはずでしょ?」カッパは宇宙人の横に並んだ。
「それはそうですけど・・・」
「たまに人に見つかる事があって、その時は変装してますとか、撮影ですとか色々誤魔化してるけど、君には・・・なんか嘘つきたくないんだよね・・・」カッパは何もない空間を見つめながら言った。
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