【完結】お父様(悪人顔・強面)似のウブな辺境伯令嬢は白い?結婚を望みます。

カヨワイさつき

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2、お支度と無表情な使用人

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知らぬ間に(婚約期間3ヶ月)
婚約の儀式を済ませていた私たちは
婚儀を行った。新郎である麗しの第3王子の
重たすぎる誓いの言葉に、ゾクゾク
させながらやっと終わった。
重すぎた結婚の儀式と婚姻の為のドレス。
何度かお色直しをするたび、気を失いそうに
なってしまったがやっと重すぎる
王子様の言葉…ゴホッ…じゃなくて、
重すぎる髪飾りやドレスから
解放されると思いホッとした。
履き慣れない凶器の様なピンヒールだが
ふかふかの絨毯をグサグサと足早に踏んでいた。
運動神経だけはいい私は、ピンヒールでも
かけっこ出来そうなくらいだった。
もうすぐベッドでひと休み出来る。
人見知りではないものの、大勢の人たちに
囲まれて動きにくい衣装に、煌びやかで
眩しい王子様に、気疲れしてしまったのだ。

新しい侍従に侍女さんたちも必死なのか
ゾロゾロと足早に付いてきた。
一糸乱れない動きをする使用人。
さすが王家の使用人。
アイザックお父様の精鋭揃いの部下たちの
動きに通じるものがあると思ってしまった。
私の部屋らしき扉の前に着くと
いつのまにか私の前に回り込んだのか
軽いノック音の後、両開きの豪華な扉は
音もなく開け放たれた。
頭を下げて並んでいる使用人たち。
広い部屋に白を基調とした上品な
家具に、座ったらもう二度と
立ち上がれないぞ!って言われそうな
立派なソファ、ソファベッド?
(私ならここで充分寝れます。)があった。

「ソフィア様、お疲れ様でした。
本日からソフィア様付きになりました……」
侍従さんに侍女さん、えっ?!
なんでこんないるの?
明らかに10人以上いるので、名前を
覚える事を早々に諦めた。
心の中でごめんなさいと謝った。
王城の使用人さんは、良くも悪くもない程
皆、同じ髪型に役職により同じ制服だった。
襟部分や袖部分に、線が何本とか
飾りボタンの違いで、誰の使用人で
階級は何かを示しているらしい。
本来なら、婚約期間中王城に通い
そういった王子妃教育があるのだが
アイザックお父様がダダをこね
婚約期間中一度も王城に通わなかったのだ。
知らなかった…とはいえ申し訳なさを感じてしまった。
書状のやり取りのみでの婚約を交わし
結婚の儀、前日に初顔合わせした。

ライアン・レオリオ・グリューエンは
王子の中の王子様って感じだった。
プラチナゴールドのさらさらした髪の毛に
澄み切った青空のような瞳。
あまりにも整いすぎた顔立ちに
なぜか無性に腹が立ってしまった。
そのさらさら髪も、ぐちゃぐちゃにしたい。
それに対して、私は婚姻の為取り繕ったように
お手入れしたお肌と髪の毛。
アイザックお父様譲りの赤い髪の毛は
ゆるやかなカールに落ち着いていた。
お母様譲りの緑の目の下は、寝不足により
出来てしまったくまを隠すように
念入りにマッサージとお化粧され
肌呼吸が出来ず苦しく思っていた。
普段から化粧気はなく、寝る前に
化粧水を付ける程度だった。
日焼けも気にせず焼きっぱなしで
剣術の稽古や魔物狩りが趣味の
変わり者の辺境伯令嬢。
5番目の辺境伯令嬢は性別を間違えて
生まれてきたに違いないと、たまーに
アイザックお父様の精鋭部隊に
言われる時もあったくらい、女性らしい
体付きではなく、筋肉質で胸は悲しいくらい
まろみがない。
髪の毛も平均的なご令嬢よりかなり
短くなってしまった。
身長と体格に差があるだけで
後ろ姿までアイザックお父様に似ていた。
1年前のスタンピート時に、魔物の
攻撃がかすり髪の毛の一部が
切れてしまったのだった。
それを誤魔化そうと自分で切ったが
更に不恰好になり、バレてしまった。
アイザックお父様は私を見るたび
目を潤ませていた。
だからって、なぜかアイザックお父様までもが
髪の毛を短く切ったのには驚いた。
なんでもアイザックお父様の髪の毛で
私にカツラというか付け毛を
作ってくれようとしたらしい。
いくらなんでも、父の髪の毛で
付け毛なんて……はっきりいって
いらないし絶対欲しくない。
私としては短く整った髪の毛に
満足しているし、正直な話
以前の長い髪の毛はかなり重かった。
こんな事なら、もっと早くに
うねる髪の毛をバッサリ切れば
よかったと思ってしまった。

話はもどり、お支度を整えられてしまった私は
お風呂でゴシゴシされ、ヌルヌルとする
ほのかに香るオイルを塗りたくられた。
あと、布面積が極端に少ない頼りない
下着と風邪をひきそうなくらい
つける意味あるの?と問いたくなるような
レース編みの丈の短い寝衣を着せられてしまった。
その上から手触りのいい絹の羽織ものを
しているが、高級なんだろうけど
ウスウスでペラペラの生地に
まったくもって落ち着かなかった。
お昼ご飯もほぼ食べれなかったし
お腹がすいてしまった。あまりの空腹に
腹のむしが大合唱を始めてしまったので
無表情の侍女さんたちがテキパキと
お茶とお茶菓子を準備してくれたのだった。
ガッツリこってりとしたお肉が食べたいけど、
ここは我慢して、お茶菓子をマナーで
学んだ通り小鳥が食べる位のペース?で
食べきった。物足りないけど仕方がない。
「お手数をおかけしました。ありがとう。」
「……。」
微笑んでお礼を言うと何人かは息を飲んだような
音が聞こえたが、気にしたら負けだと思い
こっそりため息をついた。
使用人たちは音もたてずに無表情で
頭を下げたり、壁際に数人並んでいた。
私嫌われてる?それとも監視?
いくらなんでもこんな格好だし
逃げない…わよ?
私も結婚を夢見る事はあったけど
まさかこんなにも早く結婚するとは思わなかった。
私の理想の相手は、魔物狩りを私と一緒に
してくれるようなたくましい"婿"だった。
姉たちも他の領地の跡継ぎ以外の
御子息だったり、冒険者だったり、
精鋭部隊のうちのひとりだったりと
身分に関係なく辺境伯の領地に
住む事を条件に婿養子に来てくれた夫だった。
アイザックお父様が子離れ出来なかったのだ。
「……はぁ。」
甘い香りがする紅茶を味わいながらも
ついつい無意識にため息をついてしまった。
「我が麗しの王子妃は、ずいぶんと
色っぽいため息をついてどうしたのかな?」
「……っ。」
息をするのも忘れてしまった。
ほほに王子様らしい王子様の形のいい
くちびるが当たった?
えっ?
「やっと貴方に触れられる……。」
整った顔の中でも一番キラキラした
空の色は、窓の外のように澄み切っていた。
「やっと触れられるとおっしゃってますが
婚姻の儀式中も何度か触れ合いましたよ?」
私が言うとお高くとまってるとか、
にらみつけてるとか言われるんだろうなぁと
思いながら、王子様に嫌われて
3年間夫婦生活なし、白い?結婚だと
離縁出来るんだから、好かれるより
嫌われた方がいいと思った。
目だけは麗しい王子様から離れないまま
顔をツンと横に向けた。
「ププッ、可愛い。」
イケメンが笑うとかなり破壊力あるんだと
思った。ついドキっとしてしまった。
可愛い?!
家族にしか言われた事ない言葉が
麗しい王子様から聞こえた?
「まずはお互いを知る事からした方がいいかな?
それとも夫婦としての初めての共同作業、
いや…作業だとおもむきないな、夫婦最初の
愛の行いをしようか?」
「具体的な事は不勉強でわかりかねますが
お互いの事教え合いっこしながら
愛の行いについて教えていただけますか?」
「ふふっ、可愛い私だけのソフィア、
私は君だけを愛してるよ。」
ゾクっ。

*ソフィアは夫が"勉強"を教えてくれるので
頑張って覚えようとしてます。
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