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17、なぜ

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今ベルの目の前には、麗しいお兄様方と
なぜかボーベル・レン・エロイーズ様が
いらっしゃいます。
セシル・ガウノ・シェリル様?
あいさつをしてくださったので
俺(ベル)は丁寧に女言葉で(声はでないけどね)
"初めまして"的な挨拶をしたら
泣かれました。
あ、あれ?感動したのかな?
ベル、主人公である俺は外見は
すごくかわいい女の子だから
首をぺこりとしたんだけど……。
一応貴族として、一通りの礼儀作法
挨拶の仕方は出来るんだけど……。
顔面偏差値が高いお兄様方に
お姫様抱っこされているからか
首を動かしたり、口パク、指差し
あとは…上目遣い?
あっ、表情筋を動かして引きつりそうな
笑顔を、普通の笑顔に見えるよう
努力することくらいしか出来ないのだ。
お兄様方の隙間から見えるボーベル様に
微笑むと僅かに表情を和らげてくれた気がした。
よかった。

前回、闇のじゃなくて腹黒王子
名前、なんだっけ?
腹黒王子はスゴイオ・トーコ・スーキ様
棒も丸い点も抜くとスゴイオトコスキ……。
とにかくすごい男好きな、スゴイオ様に
好かれて食べられたそうなので
何があったかはわからないけど、
ホットした俺(ベル)がいた。

声が出れば嬉しいんだけど、何か
伝える方法はないかな?って
考えてたら、やはり筆談しか無さそう
だったけど、俺、この国の文字は
書けないし本も読めなかった。
よくあるパターンだと、チートかなんかで
読めたらいいのに、残念だ。
"ボーベル様と話したい。"
"お兄様とは違う、たくましいうでに……。"
「「……!!」」
ボーベル様は切長の目を見開き
こちらを見つめてきた。
「……君なのか?」
「……?」
"……うわぁぁぁ、な、な、なんて
はしたない事を考えたのかしら……。"
"ごめんなさい、ボーベル様が
"いくらカッコいいからって、
う、腕に触りたいだなんて…きゃ~!!"
ぎゃあぁぁぁぁ~!!
俺とうとうおかしくなたのか?
俺が、あんな言葉づかいになってるぅぅぅ~。
「……。」
ボーベル・レン・エロイーズ様は
こちらをチラチラ見ながら、耳が赤く
照れているようだった。
俺の方が、ぜったい恥ずかしいから。
うわぁ~、身体は女性だから言葉も
それにつられたのか?
やはり、元にはもどれないのか?

俺(ベル)は恥ずかしさのあまり
いつのまにか両手で顔を覆っていたようだ。
「麗しのベル様。ボーベル・レン・
エロイーズ、また貴方様に逢いにきても
よろしいでしょうか?」
「……!!」
"…うそぉ~、ワタクシみたいな
何の取り柄もない所なんか来ない…。"
「嘘ではありません。心から
あなた様をお慕いもうしてます。
幾分初めてなことで、戸惑ってますが、
心は正直にありたいと思ってますので、
次、また、逢いたいです。お許しを。」
"……信じられない。"
「信じて下さい。お許しと有れば
あなた様のもとに、駆けつけます。」
"…う、うれしい。"
「このボーベル・レン・エロイーズも
うれしいです。また、ご連絡します。では。」
……。

「ボーベル、貴様、私たちの大事な妹に
勝手に話しかけて、勝手に会う約束するな!!」
「勝手では、ありませんよ。」
「嘘だ!!」
「嘘ではありません。以前、訓練で念話
をした事がありますが、ベル様が
私に話しかけて下さいましたので、
お会いするお約束が出来ました。」
「……!!」
「嘘だ!そんな、そんな事ベルが
出来るのなら真っ先に、私たちに
するはずなのに…嘘だ、ウソだと
言ってくれ、嘘だよな、ベル?」
「……!!」
マジか!!
俺は、首を横に振っていた。

俺の中に女性のベル、そのものの
意思がハッキリと存在したのだった。
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