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18、約束

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ベルの兄たちの涙ぐましい攻防も虚しく、
とうとうボーベル・レン・エロイーズと
ベルがあう日になったのだった。
なぜか、トルジョリー家総出のランチ。
ベルを心配するあまり父母はもちろん
使用人のほとんどが食堂に集まっている
状態なので、人口密度は凄いことに
なっていた。
俺(ベル)は普段あまり出てこない
影が薄い(影だよ影。頭はフサフサだよ。)
ベルの父が俺をというか、ベルをお姫様
抱っこをして、ボーベル様を出迎えたのだった。
しかも珍しく威圧感たっぷりだった。

念話に関しては、前回、ベルとボーベル様だけ
話せたのを涙ながらに、チクチク、クドクド
ねちっこく、わかりやすく泣かれたため
数日間の猛特訓により、オレ(ベル)は
習得済みだった。
複数同時の念話は、まだまだ魔力が
足りないのか、まだ難しく、集中し過ぎると
眠気が襲い、数時間眠ってしまうのだった。

兄たちは、それを知ってるからか
ボーベル様到着前まで、俺にあれこれと
複数同時の念話を勧めてきたのだった。
これにたいして、寝たふりを決め込んだ
俺(ベル)は悪くないと思う。

父の威圧をサラりとかわした
ボーベル様は爽やかな笑顔を
浮かべていた。
"ボーベル・レン・デュラン様、ようこそ
トルジョリー家へ。来て下さり…いいえ
また、お会いできて嬉しいです。"
「ご招待ありがとうございます。
私もベル嬢にお会いできてうれしいです。」
そして、スッと出されたのが
バラの花束だった。
「108本あります。回りくどいことは
苦手なんです。ベル嬢この
ボーベル・レン・デュランと
結婚して下さい。一生大切にします。」
「………。」
う、うそ、マジで!!
"う、うそ。本当に?!"
「ベル嬢のお兄様からかわいい妹様が
いると、のろけのような言葉を
長年聞かされどんな妹様だろうと
ずっと気になっていました。」
「いつもしゃべらないのに、
信じられない!!」
5男のアイザックお兄様が驚いていた。

兄たちよ、どんだけシスコンなんだよ。
"まぁ!お兄様たちったら!"
"かなり過保護すぎて、私もかなり
困っちゃうくらいですから……。
本当にうちのお兄様たちが
申し訳ないです。"
「いえいえ。兄弟仲がよろしくて
うらやましいかぎりです。」
「………。」
ボーベル様は兄弟仲?どうだったかな?

「さあ、食事に…ボーベルくんも
い、一緒にな。」
お父様が割り込んできましたが
お父様の印象に残りにくい顔の
ひたいには青スジと怒りマークが
浮き出ていました。
「お招きありがとうございます。
トルジョリー侯爵。」
「あはは……。」

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