『完結・R18』公爵様は異世界転移したモブ顔の私を溺愛しているそうですが、私はそれになかなか気付きませんでした。

カヨワイさつき

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なくなった日

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「えっ?ない?!」
なんで?!

        ***

私はいつも1人だった。
1人に慣れてしまった。
1人が好きなわけじゃないのに。
1人で向かった中学卒業式、そして私の誕生日の日に私の生活は一変した。
いつ崩れてもおかしくない築十数年の安アパート。
次の台風はもつだろうかと心配になるくらいの私と私の母の家だった場所。
家具やわずかな調理道具、その他の生活する為の物はもちろん、金目になりそうなものは何もなかった。
私の友達にもらった古い型のゲーム機すらなかったのだ。
しばらく何も考えれなかった。
あの時の自分が着ていたのは母の使い古しのコートと中学の制服。
穴が開きかけの服が数枚入ったビニール袋が部屋の片隅にポツンと置かれていた。
まるでゴミを捨て忘れたかのように。
数日後、電気や水が止まった。
お腹は空きすぎていたけれど、現実を受け止めれずにいた私は、水でお腹をふくらましていた。
だけど水も止まってしまったからどうしようもない。
安アパートの家賃も数ヶ月払えてないらしく、督促状(とくそくじょう)だけではなく、明らかに集金だと思われる人が玄関のドアをノックしていた。
息を潜(ひそ)めやり過ごし、仕事しなきゃと思い仕事を探した。
内定していた公立の高校に通えるはずもなく、歩き回りやっと見つけたバイト。
個人がしているコンビニっぽいお店。
「君ねぇ、いくらなんでも"小学生"は雇えないんだよねー。」
「わ、私、中学卒業しました。」
中学生だった頃の学生証を取り出しみせた。
しぶしぶわかってくれたっぽい男性は、私を上から下まで見た。
「品出しとか、わりと重い荷物もあるんだが出来ないだろ?」
「大丈夫です。出来ます!!」
負けず嫌いの私は、思わず答え店長と名乗るその男性から仕事をもらったのだった。
これでなんとかなるとホッとしたのも束の間、個人的な事情を言うと日払いや週払いなら半分しか給料出せないと言われてしまった。
"後の半分は後でもらえるだろう。"
目先のお金に目がくらみ、ちゃんと確認しないままの私は後悔する事になった。
早朝から夕方までの仕事。
人手がない時、休みだった日も店長に言われるがまま入った。
日払いから週払いになった時、ひと月たち、またひと月たっても半分のままの給料しかもらえなかった。
抗議すると、3年契約で平均時給の半分の値段での契約書を店長に突き出された。
後悔したけど、辞めるなら契約違反で違約金払ってくれと言われた。
無理……。
家賃はなんとか分割で払うように大家さんと話はついたけど、違約金なんて払う余裕はなかった。
コンビニのような個人店の他に、清掃のバイトをした。
少し年齢を誤魔化したが、"童顔は遺伝です!!"と言い切り深夜の清掃に週に5日する事にした。

寝る間も惜しみながらのバイトかけもちにも慣れた3度目の3月。
中学卒業式の日であり私の誕生日、母だった人に捨てられた日、節約に節約を重ねた今日。
仕事終わったら、スーパーの値引きしたケーキを買おうと思いながら深夜バイトを終えた。
あと、少しで半額しかもらえないけど個人店でのバイトが始まる。
あと数日で3年契約は終わる。
契約更新なんかしない。
毎回、辞める事をつたえている。
今度こそ大丈夫。
今度こそまともな仕事場探そうと思った。
安アパートに帰る時間も惜しいくらい眠い。
近くの小さな公園のベンチに座るといつのまにか寝てしまっていた。
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