『完結・R18』公爵様は異世界転移したモブ顔の私を溺愛しているそうですが、私はそれになかなか気付きませんでした。

カヨワイさつき

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19、帰りたい場所

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この書を読んで頂いた皆様にお願いです。
生まれ持った"色".により良し悪しを決めるのはやめて下さい。
生まれた場所により、どう育てられかにより、どの様な中身が育つかはわかりまねますが、自分ではどうする事も出来ない色や形、大きさで偏見をもたないで下さい。

数枚の羊皮紙にマリは、自分の意見を書き込んだのだった。
ザワザワした何か。
ふかふかで暖かく、心音の音がしていた。
昔なつかしいようで、悲しい何か。
鏡に映る自分、素顔の自分は疲れ果てた様な顔で化粧気もなく肌はカサカサで、目の下にはいつもクマが出来ていた。
睡眠不足のマリは顔色も悪く、働いていた時には病的なほど痩せた彼女は今にも倒れそうだった。
仕事仲間や上司は、仕事に穴をあけらるのが嫌で"大丈夫か?"とか言う言葉すらかけなかった。
倒れられたら迷惑だから、自己管理をしっかりしろ!!と注意されるばかりだった。
掃除のバイトでは帽子を深く被り目立たない様にして、必要最低限にしか話さなかった。
もう一つの仕事は、話す暇もないくらい働き食事の時間すらあまりとれなかった。
小さな身体、痩せすぎの身体には潤いもなく肌はカサカサ。髪は自分で短く切りボサボサになっていた。
顔の形はたまご型で、目、鼻、口が平凡な位置に配置されておりとてつもなく地味顔。
そんな彼女がなぜかこの世界に来た。
神に愛された黒い色をまとった髪と目。
この世界に来て、飢えることも、サイズが合わなくなってる服を着たりするのも痛くなったり、足が痛くなることすらなくなった。
いつも暖かく笑顔を向けてくれる家令のマシューさん、メイド長のメアリーさん、美味しいご飯をいつも作ってくれるアワヤさん、護衛さん、庭師さん……。
ふとした瞬間優しげな目をする、すごくイケメンの
「 ………リアム様。」
不安に苛(さいな)まれた時、思い出すのはいつも公爵邸の皆の事ばかりだった。

見知らぬ場所で見知らぬ人が私たちに武器を向けていた。
お揃いの甲冑に、お揃いの武器。
長い棒の様な先端には、振り下ろせばスパンと何でも切り落とせそうな刃物が付いていた。
ヤリ?
そして、抜き身の洋刀?
中世ヨーロッパ系の映画に出てきそうな武器、それらを持った人たちが、グルリと私たちを囲んでいた。
大きなフェンリルと私を警戒している様だった。

"起きた様だね。身体は大丈夫か?"
「……わ」
"頭の中で思った事を伝えたいと強く念じたら、伝わるよ。"
~念じる、強く…え~とまずは、私たちはなぜ武器を持ったこの人たちに敵意を向けられてるの?~
色とりどりの目を持つ人たちが頭をキョロキョロさせながらも、武器を構える姿勢だけは崩さなかった。
"マリはスジがいいみたいだな。"
~んっ?よくわからないけど、武器を向けてると言うことは無抵抗な者でも簡単に殺す、殺し屋の集団?~
武器を持った人たちは先程より、明らかに動揺していたが、マリにはわからなかった。
"クッククク。"
~もう!フェンリル、笑ってないでこの殺し屋集団の人にどうしたらいいの?話通じる相手なのかな?~
"クッククク、よほどのバカでないなら神の御使(みつかい)と呼ばれる我と、主(ぬし)に刃物を向けてる段階で万死に値(あたい)するのだが、な!"
キンッ
耳鳴りがしたと思ったときには、刃物は地面に落ちたりグニャとありえない形に変形していた。

フェンリルはマリを守る様に自らの身体にさらにマリをを埋もれさせた。
そして、周りを取り囲む者たちに威嚇(いかく)と威圧を飛ばし、言葉も投げた。
囲んでいる者の中から、少し意匠が凝っている鎧とマントをまとった者が現れた。
「無礼をして申し訳ない。私はクロート国王立騎士団団長ハーウェイ・パッカーソンと申します。数々のご無礼申し訳ございません。」
"……。"
~騎士団?人殺し集団じゃないの?~
「申し訳ございません。魔物や敵対する者たちには討伐や切り倒しますが……。」
~人殺し……。~
"……怯(おび)えさせ、集団で囲みなぶり殺すのか?我は白くてそちらからしたら、"色なし"とか言うんだろう。我とこの怯えてる主を殺すのか?そして、人の上に立つ者に、狂言を申しまた、都合の良い歴史を捏造(ねつぞう)し愚かなものどとに伝えるんのだろ。"
「そ、そんな事はしません。このハーウェイ・パッカーソンは、偉大なる母女神様に誓い狂言や捏造、そして無駄な殺生(せっしょう)を致しません。」
~信じられない。~
"クッククク、相当嫌われた様だな。
心なしか片膝をついた大柄な人が小さく見えた。
怖いし、武器はないものの私たちを囲む騎士団たちは相変わらずだった。
柔らかなもふもふ、心地よい鼓動、温かく守ってくれるフェンリル……。
ダメダメと思うものの瞼(まぶた)は重くなりいつしか眠ってしまった。
私が眠っている間もフェンリルと騎士団の人たち
話をしていた。


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