【完結・R18】28歳の俺は異世界で保育士の仕事引き受けましたが、何やらおかしな事になりそうです。

カヨワイさつき

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第一章 2人の約束

13、あれは誰だ?

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ナオクル・チロメドゥル総帥と
アカイケ カズミ、そして
赤ちゃんのアベリアが退室した後の
部屋は一瞬の静寂に包まれた。
その後、騒がしくなったのだった。
部屋には前もって遮音の魔法が
かけらており、外からは聞こえなくなっていた。

「……ナオクル…総帥だったか?」
マーチン・メルディ・リストン、
マーチン国王がポツリと呟いたのをきっかけに
マコト中心に好き勝手に話し始めたのだ。
「……。」
「ナオクルさんのあんな表情…初めて見たよ。」
「俺も……。あれは、本人だよね?」
マコトの言葉にハルトも同意しながらも
疑問を残し、ヒューゴがオロオロする感じだった。
「あそこまで似た人、この世界に存在するのか?」
「……いないよね。」
「……。」
おしゃべりがしばらく続いたあと、
黙りながら考え込んでいたマーチン国王が呟いた。
「"リナリア"……指輪…。」
アゴに手を当てながら考えるマーチン国王を
ジッと見つめるハルトに、同じく
真剣な表情を浮かべながら話し出したヒューゴ。
「鑑札持ちの幌馬車でしたし、あの指輪の紋は
ボイニー王国の紋に似てますね。」
「ああ。さすがだな、ヒューゴ。」
ハルトは「えっ?」と言いながら、
ヒューゴにこっそりと聞いたつもりだったが
マコトも同様に、細部まで見ていなかったのだ。

ハルトとマコトがヒューゴに
教えてもらった内容は、指輪の
紋様が国旗に似た紋で、その紋は
王族だけが持つ事が出来る物である事、
あとは、ナオクル・チロメドゥル総帥が
披露してくれた記憶の再生には
相当な魔力と能力が必要だそうで、
一般的にはほぼ出来ないらしい。
それを短時間で読み取り、しかも
皆にもわかりやすいように、
立体映像のように記憶の再生をする
ナオクル総帥は、かなりの能力者だという事
と説明してくれたのだ。
そして映像の中の場面の事、
指輪をカズミに手渡された場面から
ガケから転落するまでの場面。
一緒について行った騎士団の人が検分してる
様子や幌馬車に付けてる印と書類、
乗っていた人、チラリと見えた覆面と、 
太った人の行方など、ヒューゴも
細部をよく見ていたのだった。

「元ギルマスだから、そういうのは
覚えてるが、石の色は瞳の色か、
髪の色かどちらかだろう?」
「紫と深緑…ボイニーの国王や王弟も
たしか瞳が…紫だったはず……。」
「祝賀会にボイニー国は、本人が参加するのか?」
「いや、バカス帝国がボイニー王国に
ちょっかいかけてるので、不参加で
代理の者…使者を…。深緑…リナリア…王子。」
「王子?!」
国王は目配せし、音などが漏れないように
予め張られている魔法の上に
更に遮断の魔法を重ね掛けした。
秘密裏にボイニー王国とバカス帝国を
調べる事になったのだ。
ハルトとヒューゴは、主に資料室。
マコトは来賓対応と、バガス帝国の
者達の対応と調査。
マーチン国王は隠密の部隊を各国に
派遣したのだった。
ソリトル伯爵は国境沿いを警戒及び
内密な事を頼まれ、2つ返事で了承したのだった。

同時刻。
ナオクル・チロメドゥル総帥は
カズミとアベリアをヒザに乗せ
甲斐甲斐しくお世話をしていたのだ。
軽食の注文を受けたお城のキッチンは
メニュー決めに大混乱した。
お城に勤めて長年の料理長は、
総帥直々の注文に内心 焦っていた。
王族貴族担当のアヤワ料理長と
主に獣人族や城務めの為の料理長、
ジャー・コッテン料理長と
相談しながら料理を作ったのだった。

料理人や多くの使用人達は
総帥の存在は知っていたが
会う機会もないまま過ごし、
好みの物も知らなかった。
何を食べているのか、
どう過ごしているのか今まで
考えた事がなかったのである。
結局、"軽食"をすっ飛ばす勢いで
試行錯誤しながらも、たくさんの品数を
作り上げた料理長の2人だった。
ははは。
超豪華三段重ねの和洋折衷のお弁当を
国王や神子たちの分まで作り上げて
しまったのだった。
神子たちからは、"オセチ料理みたいだ。"と
謎の料理名が出たが、喜んでくれたと
キッチンメイドから報告があった。
総帥からもわざわざメッセージカードに、
謎の文字(日本語)と共通語で
「"オセチ"をありがとう。」
「喜んでいた。」
「夜はボリュームを抑えた肉料理を頼む。」
という内容の事がかかれ、総帥直筆の
メッセージカードで夜の食事のオーダーが
書かれていたのだ。
今度、神子様たちに"オセチ料理"が何なのか
尋ねようと2人の料理人は
心に誓ったのだった。
そして、夜に向け2人の料理長は
メニューの考案に尽力したのだった。
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