【完結・R18】28歳の俺は異世界で保育士の仕事引き受けましたが、何やらおかしな事になりそうです。

カヨワイさつき

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第一章 2人の約束

10、指輪の記憶

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ナオクルさんが、指輪にそっと触れ、
俺の手から、身体全体がポカポカしだし
温かい何かに包まれたようになった。
すると、指輪が光だし映画に出てくるような
立体映像が現れたのだ。
立体映像に驚いていたのだが、
更に驚く事になったのだ。

立体映像には俺が乗り合い馬車で
うなされながら眠っている場面で
かなり恥ずかしい場面から、始まったのだ。
アベリアちゃんの泣き声で起きた場面。
"カナップ"を目指していたリナリアさんに、
保育士として、子守りを頼まれた場面。
"~お願い、この子を守って。~"
次々と、鮮明に……。
淡々と再生されていったのだ。
俺は先程の出来事が再生されたのと、
生きていたリナリアさんを見て、
静かに泣いていた。
この時、俺を心配しながらナオクルさんが
指輪の記憶を再生してる事に、
気づかなかった。

崖から転がり落ちる場面では、
思わず目を閉じてしまった。
しかも身体の震えが止まらなかった。
28歳にもなって、社会人なのに……。
俺はいつから、こんなにも弱くなったんだろうか。

誰かが、そっと?あれ?
だんだんと力強く?ちょっと痛い……。
ぎゅーと抱きしめてくれた。
こんなにもしっかり抱きしめてもらう事は
まずない。小さな頃も……ほぼない。
力強い抱擁に不思議と安心感や落ち着きを
取り戻すかのように俺は、温もりに縋りつき
ナオクルさんにくっつき声を殺して
また泣いてしまったのだ。
その場にいた全員なぜか、驚いたようだった。
一瞬静寂が訪れ、思わずハッとしたが
バッチリ、皆に見られたのだ。
恥ずかしい……。
だが、更に恥ずかしい場面に俺も含め
皆、固まってしまった。
なんだこれ?誰、これ?
ナオクルさんの指をうっとりした表情で
舐めている俺。ナルクルさんの
表情も優しい表情だった。
不意に立体映像が途切れた。
「指輪の記憶の再生をした。これでいいか?」
「あ、あぁ。」
ナオクルさんは、王様を睨みつけるように言うと
「"カズミ"を休ませる。」
「えっ?」
「身体は大丈夫か?産んだばかりだ、
無理するな。」
「「「「「「……。」」」」」」
な、ナオクルさん?違うよ。色々違う…。
いや、俺、赤ちゃん産んでないし、
アベリアちゃんをパーカーのお腹部分から
出しただけだよ。
その前に、俺、男だし……産めないよ。
指輪の記憶をみてならわかるだろうけど、
アベリアちゃんは、リナリアさんと
"一番愛するお方"の子だよ。
だけど、俺は急な脱力感に襲われ
何も言えなかったのだ。
ふわぁとした浮遊感のあと羞恥した。
お姫様抱っこされているのに気付いたからだ。
アベリアちゃんごと抱き上げられ
ポカンとした皆を尻目に、豪華絢爛の
部屋をあとにしたのだ。
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