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第二章 婚姻に向けて
50、神様のかみ?!芝居
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皆が忙しく働いていた。
俺は髪の毛と顔を晒し、いかにも貴族
というような立派な服を着ていた。
ナオクルさんと似たデザインだ。
忘れがちだが俺はソリトル伯爵の
義理の息子でナオクルさんの婚約者。
しかもアベリアちゃんという、可愛い
赤ちゃん付き。
紙芝居をする前に、教会の人に
協力してもらいながら、子どもたちを中心に
集まってもらった。
集まった人々たちには、にっこり笑った顔を
あしらったクッキー(マコト様が焼いた物)や
人気のリストン王国のシンボル、
龍を象ったクッキー(お城の料理人が焼いた物)
それらが配られた。
薄暗くなって来た夜の始まりの時。
魔法で作り出された灯りが、
空中にいくつも浮かんでいた。
大きな紙芝居は、後ろの方まで見えるように
これも何の魔法かわからないけど、
少し高い位置に、ぷかぷか浮いていた。
我ながら可愛く書いたつもりの絵だ。
「皆様こんばんは、はじめまして。
私はカズミと申します。これから
はじめる物語の結末は貴方方一人一人
違ってきます。前振りはこんなものかな?」
真剣な声色と、少し明るくした声色を
使い分け子どもたちに話しかけていった。
久々のお遊戯みたいな雰囲気だ。
なんだか嬉しくなってきた。
「周りのお友達に当たらないように、
私の真似をできる子は、真似をして
楽しんで下さいね。」
「はーい。」
「…はい。」
数人が興味津々で、前のめり気味に
返事をしてくれたのが嬉しかった。
「♪はじまるよったら、はじまるよ
はじまるよったら、はじまるよ
いちといちで、忍者さん、どろん
はじまるよったら、はじまるよ
はじまるよったら、はじまるよ
にぃとにぃで、カニさんよ、チョキン
はじまるよったら、はじまるよ
はじまるよったら、はじまるよ
さんとさんで、ねこのひげ、にゃー
はじまるよったら、はじまるよ
はじまるよったら、はじまるよ
よんとよんで、タコのあし、ひゅー
はじまるよったら、はじまるよ
はじまるよったら、はじまるよ
ごぉとごぉで、手はおひざ、ポン。」
後半には左右で手を叩くマネを
ほとんどの子どもがしてくれていた。
前の王を知らない俺は、バベス帝国の
帝王たちをもとに、太った気持ち悪い
王を紙芝居に書いていた。
なかなか上手く書きすぎてしまったからか
見ていたら、本当に気持ち悪い王だ。
「あっ、オークだ。」
「ちがうよ、あれは何か頭に付いてるから
たぶん、キングオークだよ~。」
俺は心で泣いた。
悪者を書いたつもりで、思い浮かんだのに、
コレ魔物じゃないよ。
帝王たちはオークというモノに
似てるんだなぁと思ったと同時に、
一応人間を書いたつもりだったのになぁと
悲しくなってきた。
チャベツの神様が作った世界を
愚王がダメにした為、神罰が下り
愚王は病気になって亡くなったしまった。
この国と神様の為に若いイケメン王子が
新しい王様になり神子様たちと活躍して
平和にしていくけれど、平和になればなるほど
神様の信仰が薄れてきた。
イケメン王子を書いた場面では
「可愛い。」
「子どもでも王様になれるんだ。」
ゴフッ。
そういった内容の大変貴重なご意見、
ご感想をいただきました。
子どもは正直と言うから、王子様を
幼く書きすぎたのかもしれない……。
どこからどう見ても、俺が書いた
王子様はイケメンだったハズ。
おかしいなぁ?
カボチャパンツは履かず、今の国王が
よく着ているスーツっぽい服に、胸元と
手首あたりにひらひらがついたシャツ姿の
王様を書いたのに、おかしいかなぁ?
気を取り直して、ちょっと声色を変えて、
神様たちが嘆くシーン。
可愛い3人の女神様。
水着を付けた様なキチマリーチェ女神さま、
キャベツそのものに似たチャベツ神様、
一番苦戦したともべちゅ神様。
白い羽をつけて、天使風にしたのだ。
「わあ~。」
よしよし、神様の絵に集中してくれてる。
「可愛い、精霊様かな?」
「小さな妖精かも。」
「……。」
みんな~ここに書いたのは皆神様だよー。
しばらくすると、絵がぼやけてきた。
あれ?俺疲れたのか?
そのうち光出した絵は、ヒト型をつくり
3人の女神様が出てきた。
あ"あ"ぁ"………。
女神様たち子どもたちに、姿見せちゃったよ。
女神様たちは、広場に集まった人たちの
間をスイスイ飛んだりしながら、
『カズミは、私たちの言葉を伝えてくれる
大切な者。この子を傷つける者は、
神罰を与えちゃうからね。』
ちょっと何いうてるんだよー。
怖がらしたらダメじゃん。
しかも、山場にしようとした場面で
"小さな神様を、大きくするには
どうしたらいいかな?"
って皆で考えてみよう!!
って問いかける所だったのに……。
どう収拾しようかな?
そう思いながらついつい助けを
求めるかのように、ナオクルさんをみてしまった。
俺を見つめ、短くため息をついた後、
俺の頭をなぜなぜしてくれた。
それだけで安心してのだ。
「神は色々たくさんいる。たくさんの神を
信じれるなら、そのうちなるようになる。
私が愛するカズミを信じるのと同様、
神を信じ感謝しろ。」
「……。」
あたりは、シーンとした。
ぱちぱちぱちとまばらだった拍手は、
やがて大きなまとまった拍手になっていた。
俺の心には、なんで皆いるとこで
さらっとノロケたんだよー!!
恥ずかしいだろ!!
って心で叫んでいた。
絶対顔赤くなってるだろうなぁ。
俺は髪の毛と顔を晒し、いかにも貴族
というような立派な服を着ていた。
ナオクルさんと似たデザインだ。
忘れがちだが俺はソリトル伯爵の
義理の息子でナオクルさんの婚約者。
しかもアベリアちゃんという、可愛い
赤ちゃん付き。
紙芝居をする前に、教会の人に
協力してもらいながら、子どもたちを中心に
集まってもらった。
集まった人々たちには、にっこり笑った顔を
あしらったクッキー(マコト様が焼いた物)や
人気のリストン王国のシンボル、
龍を象ったクッキー(お城の料理人が焼いた物)
それらが配られた。
薄暗くなって来た夜の始まりの時。
魔法で作り出された灯りが、
空中にいくつも浮かんでいた。
大きな紙芝居は、後ろの方まで見えるように
これも何の魔法かわからないけど、
少し高い位置に、ぷかぷか浮いていた。
我ながら可愛く書いたつもりの絵だ。
「皆様こんばんは、はじめまして。
私はカズミと申します。これから
はじめる物語の結末は貴方方一人一人
違ってきます。前振りはこんなものかな?」
真剣な声色と、少し明るくした声色を
使い分け子どもたちに話しかけていった。
久々のお遊戯みたいな雰囲気だ。
なんだか嬉しくなってきた。
「周りのお友達に当たらないように、
私の真似をできる子は、真似をして
楽しんで下さいね。」
「はーい。」
「…はい。」
数人が興味津々で、前のめり気味に
返事をしてくれたのが嬉しかった。
「♪はじまるよったら、はじまるよ
はじまるよったら、はじまるよ
いちといちで、忍者さん、どろん
はじまるよったら、はじまるよ
はじまるよったら、はじまるよ
にぃとにぃで、カニさんよ、チョキン
はじまるよったら、はじまるよ
はじまるよったら、はじまるよ
さんとさんで、ねこのひげ、にゃー
はじまるよったら、はじまるよ
はじまるよったら、はじまるよ
よんとよんで、タコのあし、ひゅー
はじまるよったら、はじまるよ
はじまるよったら、はじまるよ
ごぉとごぉで、手はおひざ、ポン。」
後半には左右で手を叩くマネを
ほとんどの子どもがしてくれていた。
前の王を知らない俺は、バベス帝国の
帝王たちをもとに、太った気持ち悪い
王を紙芝居に書いていた。
なかなか上手く書きすぎてしまったからか
見ていたら、本当に気持ち悪い王だ。
「あっ、オークだ。」
「ちがうよ、あれは何か頭に付いてるから
たぶん、キングオークだよ~。」
俺は心で泣いた。
悪者を書いたつもりで、思い浮かんだのに、
コレ魔物じゃないよ。
帝王たちはオークというモノに
似てるんだなぁと思ったと同時に、
一応人間を書いたつもりだったのになぁと
悲しくなってきた。
チャベツの神様が作った世界を
愚王がダメにした為、神罰が下り
愚王は病気になって亡くなったしまった。
この国と神様の為に若いイケメン王子が
新しい王様になり神子様たちと活躍して
平和にしていくけれど、平和になればなるほど
神様の信仰が薄れてきた。
イケメン王子を書いた場面では
「可愛い。」
「子どもでも王様になれるんだ。」
ゴフッ。
そういった内容の大変貴重なご意見、
ご感想をいただきました。
子どもは正直と言うから、王子様を
幼く書きすぎたのかもしれない……。
どこからどう見ても、俺が書いた
王子様はイケメンだったハズ。
おかしいなぁ?
カボチャパンツは履かず、今の国王が
よく着ているスーツっぽい服に、胸元と
手首あたりにひらひらがついたシャツ姿の
王様を書いたのに、おかしいかなぁ?
気を取り直して、ちょっと声色を変えて、
神様たちが嘆くシーン。
可愛い3人の女神様。
水着を付けた様なキチマリーチェ女神さま、
キャベツそのものに似たチャベツ神様、
一番苦戦したともべちゅ神様。
白い羽をつけて、天使風にしたのだ。
「わあ~。」
よしよし、神様の絵に集中してくれてる。
「可愛い、精霊様かな?」
「小さな妖精かも。」
「……。」
みんな~ここに書いたのは皆神様だよー。
しばらくすると、絵がぼやけてきた。
あれ?俺疲れたのか?
そのうち光出した絵は、ヒト型をつくり
3人の女神様が出てきた。
あ"あ"ぁ"………。
女神様たち子どもたちに、姿見せちゃったよ。
女神様たちは、広場に集まった人たちの
間をスイスイ飛んだりしながら、
『カズミは、私たちの言葉を伝えてくれる
大切な者。この子を傷つける者は、
神罰を与えちゃうからね。』
ちょっと何いうてるんだよー。
怖がらしたらダメじゃん。
しかも、山場にしようとした場面で
"小さな神様を、大きくするには
どうしたらいいかな?"
って皆で考えてみよう!!
って問いかける所だったのに……。
どう収拾しようかな?
そう思いながらついつい助けを
求めるかのように、ナオクルさんをみてしまった。
俺を見つめ、短くため息をついた後、
俺の頭をなぜなぜしてくれた。
それだけで安心してのだ。
「神は色々たくさんいる。たくさんの神を
信じれるなら、そのうちなるようになる。
私が愛するカズミを信じるのと同様、
神を信じ感謝しろ。」
「……。」
あたりは、シーンとした。
ぱちぱちぱちとまばらだった拍手は、
やがて大きなまとまった拍手になっていた。
俺の心には、なんで皆いるとこで
さらっとノロケたんだよー!!
恥ずかしいだろ!!
って心で叫んでいた。
絶対顔赤くなってるだろうなぁ。
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