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扉
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俺の目の前に、扉がある。
数分前には、着いていた二階の奥にある
とある部屋の前。
壁には魔力暴発を起こしたような、
大小さまざまな跡が残っている。
何の変哲もないはずの茶色い木の扉。
最近変えたのばかりなのか、
木独特の香までしていた。
先程までは、シンディーと話しながら
ここまでやって来たが、急に黙り込んで
しまった俺。そして、じーっとしながら
扉の前に立つ俺を不審におもったのか、
シンディーは、話しかけてきた。
「えーっと、私のヴィル様?もしもーし?
私の王子様?」
「お前の王子じゃない。何か変…違和感が?」
「んっ?変?違和感?あっ。」
いちいち大げさ動きをするシンディーは、
少し考えたポーズをしたあと、
こんこんっ。
扉をノックし、大袈裟な仕草で
「さあ我が主人、我がヴィル王子、僭越ながら
私めが扉を開けさせて頂きましたので
どうぞ、中におすすみ下さいませ。」
「…あっあぁ、すまん。」
「いいえ、気づくのが遅くてすみません。」
「…?ん?」
「さすが、我が主人。この子の父
スール公爵が来るとあの子が
消耗するから、人が寄り付かないように
魔法をかけていたのです。」
「……。」
違和感があったが、魔法の種類に
気づかなかった。
「危ないのか?」
俺は何を聞いているんだ俺は…。
「この子は、浅い眠りを繰り返していて、
起きている時間にタイミングを見ながら
食事を取るようにしてるんですが……。」
「……。」
俺はなんてバカなんだろうか。
ドアにかけられた魔法が、
自分に対して危険はないかって
事を聞いてしまったのに……。
「私の魔力不足で、少しの時間しか
起きられないんです。」
「お願いします。この子たちを
助けてあげてください。」
目の前には、惹き込まれそうなくらい
キレイな艶めいた髪の毛に、同じく
惹きつけられる漆黒の瞳の少女がいた。
明かりがほとんどない薄暗い部屋。
本来なら、魔道具の明かりでも
あればいいのに、何故か部屋には
数本のロウソクが灯されているだけだった。
「はじめまして。お姫様。」
「きゃーーっ。ヴィル王子、私にも
そのセリフ仰って下さいよ。ずるいですぅ。
反則ですぅ。その微笑み素敵すぎますぅ。」
「シンディー。」
「はい。王子様。」
「うるさいから、黙っていてくれ。」
「ヴィル様のいけずぅ。」
「はぁ~。」
ダメだ、ダメだ、ダメだ。
落ち着け、俺。シンディーは、パッと見は
男だが、シンディーは女だろうから、
優しくせねばならない。
俺は何度か深呼吸をして、自分を
落ち着かせていた。
俺の手に、冷たい小さな手が触れた瞬間
俺は驚いた。
「……。」
彼女の手が触れた所から、俺の
渦巻くような大量の魔力が
俺から彼女に流れ込んでしまった。
「おい、大丈夫か?」
数分前には、着いていた二階の奥にある
とある部屋の前。
壁には魔力暴発を起こしたような、
大小さまざまな跡が残っている。
何の変哲もないはずの茶色い木の扉。
最近変えたのばかりなのか、
木独特の香までしていた。
先程までは、シンディーと話しながら
ここまでやって来たが、急に黙り込んで
しまった俺。そして、じーっとしながら
扉の前に立つ俺を不審におもったのか、
シンディーは、話しかけてきた。
「えーっと、私のヴィル様?もしもーし?
私の王子様?」
「お前の王子じゃない。何か変…違和感が?」
「んっ?変?違和感?あっ。」
いちいち大げさ動きをするシンディーは、
少し考えたポーズをしたあと、
こんこんっ。
扉をノックし、大袈裟な仕草で
「さあ我が主人、我がヴィル王子、僭越ながら
私めが扉を開けさせて頂きましたので
どうぞ、中におすすみ下さいませ。」
「…あっあぁ、すまん。」
「いいえ、気づくのが遅くてすみません。」
「…?ん?」
「さすが、我が主人。この子の父
スール公爵が来るとあの子が
消耗するから、人が寄り付かないように
魔法をかけていたのです。」
「……。」
違和感があったが、魔法の種類に
気づかなかった。
「危ないのか?」
俺は何を聞いているんだ俺は…。
「この子は、浅い眠りを繰り返していて、
起きている時間にタイミングを見ながら
食事を取るようにしてるんですが……。」
「……。」
俺はなんてバカなんだろうか。
ドアにかけられた魔法が、
自分に対して危険はないかって
事を聞いてしまったのに……。
「私の魔力不足で、少しの時間しか
起きられないんです。」
「お願いします。この子たちを
助けてあげてください。」
目の前には、惹き込まれそうなくらい
キレイな艶めいた髪の毛に、同じく
惹きつけられる漆黒の瞳の少女がいた。
明かりがほとんどない薄暗い部屋。
本来なら、魔道具の明かりでも
あればいいのに、何故か部屋には
数本のロウソクが灯されているだけだった。
「はじめまして。お姫様。」
「きゃーーっ。ヴィル王子、私にも
そのセリフ仰って下さいよ。ずるいですぅ。
反則ですぅ。その微笑み素敵すぎますぅ。」
「シンディー。」
「はい。王子様。」
「うるさいから、黙っていてくれ。」
「ヴィル様のいけずぅ。」
「はぁ~。」
ダメだ、ダメだ、ダメだ。
落ち着け、俺。シンディーは、パッと見は
男だが、シンディーは女だろうから、
優しくせねばならない。
俺は何度か深呼吸をして、自分を
落ち着かせていた。
俺の手に、冷たい小さな手が触れた瞬間
俺は驚いた。
「……。」
彼女の手が触れた所から、俺の
渦巻くような大量の魔力が
俺から彼女に流れ込んでしまった。
「おい、大丈夫か?」
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