【完結・R 18】気づいたら異世界でした

カヨワイさつき

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1、騎士団長

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38歳のロナウドは侯爵家の長男であったが
侯爵家を継がず、弟に家督を譲り第三騎士団の
団長としてこの国を守っていた。
第一騎士団は主に貴族、第二騎士団は
主に獣人族、第三騎士団は実力主義で
身分、性別、種族は問わない騎士団だった。
普段の訓練も厳しく平民が多いが
騎士団の中で一番チカラがあり
平民からは一番人気の職種だった。
今回振り分けられた仕事は、捕縛と保護。
とある大規模な奴隷商人を追って、王都から
馬で3日の場所での大捕物をしていた。
「団長、報告申し上げます。奴隷商人8名と
逃げていた2人確保しました。なお、人族の
子ども8名、女性5名、獣人の、子ども2名
あと…人族だと思いますが国籍不明、および
意識不明の女性1名保護しました。」
「……ご苦労、いつも通り交代で休みをとれ、
動かせる者から保護しながら移動せよ。
(16名…予想より多いな。準備していた
幌付き馬車3台でギリギリか……傷病者を
寝かしながらの移動が難しいな。)」
ロナウドが派遣されるまで、地方のあちこちで、
子どもや女性の行方不明者やさらわれたとの
報告が相次いだ。
報告が上がっていただけでも10名足らずで
半数が貧しい農村地域、あとは商人の娘や
若い冒険者だった。
今回の事件に対し第三騎士団を三等分にし
3分の1を王都に残した。
残りの3分の2で奴隷商人の捕獲と
囚われた者の保護などをする事になったのだった。

医務官は全員参加と騎士団全体の約3分の1を
幌付き馬車の護衛しながらゆっくり進むとして
予定地である大きな町まで
約一刻(約2時間)の移動する事になっていた。
犯罪者は後回しにしたとして
時間はかかるが仕方がない。
「粗末な馬車でいいから、こいつらを乗せる
馬車を一台か二台回してくれ。王都に
連れて行く。」
ロナウドの部下は敬礼をしその場を去り
他の騎士団員に指示を飛ばしていた。

報告書を受けながらも、まわりに指示を
出していたロナウドは奴隷商人たちの
根拠をしらみ潰しに捜索し、さまざまな
場所から奪ったであろう高価な品や
使途不明品も含めて建物内の女性や
子どもたちの持ち物や服など回収した。
逃亡防止なのだろうか、囚われていた
子どもたちと女性たちは、粗末な布きれが
身体に巻き付けてあるだけで、衣服は
剥ぎ取られていたのだった。
首輪はもちろん、足枷と手枷には
鎖が取り付けられ、足の鎖の長さは
かろうじて歩ける程度の長さしかなかった。
「……胸くそ悪いヤツらだ。」
徹底的にさばいてやる!!
外が騒がしくなり、団員が来ると同時に
「やっほ~、手伝いに来たぞ。」
「……ボンボーノ?」
ボンボーノ、25歳、第二騎士団の団長 
男性で身体も大きく身長もかるく2mは超えている
くまの獣人族だ。
「ロナウド団長、申し訳ございません。
私第二騎士団の団員メルルと申します。
こちらは弟のエルルです。
うちのバカ…ボンボーノ団長がどうしても
いきたいとワガママをおっしゃり、
本当に申し訳ございません。」
双子のメルルとエルルは羊の獣人族で
確か年齢は20歳、第二騎士団の団員で
風貌から柔らかく人当たりの良い者たちだ。
団長をバカ…って言えるほどの実力者
見た目を裏切る強さは第二騎士団内では
No.3と4の強さ。
「他にも、親しみやすそうなヤツらを
10人ばかり連れてきたぜ。」
好意で来てくれたのだろうが
第二騎士団の副団長は大丈夫だろうか?
まあ、時短にもなるしありがたいので
素直にお礼を言うとなぜか驚かれた。
「あのロナウドが、俺に……。」
「イカつい団長が、こわおもての団長に……。」
「……。」
第二騎士団の団長、メルル、エルルの順で
話している。いや、エルルは話してはいないが
頷いているだけだ。
それにしてもどちらがいかつくて、
どちらがこわおもての団長なのか
詳しく聞きたいところだが、囚われていた
人数が、予想より少し多いのと
獣人の子どもが2人いるからとの理由で
第二騎士団(主に獣人族からなる騎士団)にも
応援を頼む要請をしようと思っていたので
本当に助かったのは確かだ。
獣人族は人族より子どもを大事にし
過保護気味に育てるのだが、攫われたにしろ
なぜこの子たちは囚われていたのか
気になっていた。
「こんなにも人数を割いて(ありがたいが)
大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。うちの優秀な副団長に
任せてきたからな。」
「半ば強制的ですが、副団長の額に
"また"青筋を確認しました。」
「……。」
団長、メルル、エルルの順でエルルは
頷いているだけ。
第二騎士団の副団長は"また"大変なのだな。
我が第三騎士団の副団長も労ってやらなければ、
第二騎士団の副団長は第三騎士団の副団長である
ピーチの兄タッカーだった。
ピーチは29歳、そのピーチの兄タッカーは30歳。
白ギツネの獣人族で魔力なども強く
2人とも実力があり、能力が高かった。
成人後兄のタッカーが入隊し、その一年後に
ピーチも入隊しようとしたが、兄とは違う
第三騎士団に入隊し実力で副団長になったのだ。
第ニと第三の騎士団の副団長が、王都に
いる事により、王都に何かあっても
なんとかなるだろうと安心感があった。
第一騎士団は、王都の貴族街の警護が
主な仕事で貴族の長子以外の子、つまり
2番目3番目以降の成人した者たちの
就職場だった。
中にはお飾りの仕事で、ひどい者となれば
使用人に騎士の仕事をさせる者も過去にはいた。
だが、成人を迎えた第二王子が騎士団に
入団した8年前から改正され、毎日の
訓練を当たり前にし、街への見回り警護
貴族を中心だが護衛を兼ねる仕事を
第二騎士団が持って来てくれた同様な
幌付き馬車に分乗し予定よりかなり
早く大きな町に移動する事が出来たのだった。
第三騎士団は実力主義とあって、体格が
いいものが多く顔つきもそれなりに……。
子どもや女性たちに怖がられる事が
多かったのだが、大規模な大捕物に
なる事と魔法を使用する者がいるとの
報告に魔法の無効化、隠密などの使い手が
多い第三騎士団が指名されたのだった。
第二騎士団と名乗りを挙げていたが
王都やその周辺の警護が手薄になるのを恐れ
第三だけに指名がかかったのだった。
                    ***
押収品の中には、睡眠薬や催淫誘発剤なども
多数あった。
「薬師も関わってるのか……。」
違法な奴隷売買の多くは、貴族などが
絡んでいる事も多く侯爵の息子という
ロナウドの身分が役立つ事が多々あった。
事後処理が面倒そうだと感じ取った
ロナウドは、折り返してきた馬車に
奴隷商人たちを押し込み、
大きな町に移動したのだった。
町に着いたした頃には、団員の若手を使い
囚われていた子どもや女性たちの
一部から事情を聞いていた。

子ども8名、女性5名、獣人の、子ども2名
国籍不明。意識不明の女性1名

幸いな事に子どもたちには薬は
使われておらず、1日1食コップ一杯のお水と
固くて小さなパンを分けて食べていたそうだ。
女性たちも同じような状況で、毎日
薬入りの飲み物と固くて小さなパンを
2人で一つといった状況だったそうだ。
「団長、囚われていたほぼ全員は極度な
栄養失調で筋力も衰えてるからか
立ち上がる事が不可能です。
異国の女性は未だに意識不明ですが……。」
「…んっ?どうした?」
「鑑定をしたのですが…出身や種族
なんらかのスキルはあるものの、鑑定不可
となりました。念のため、冒険者ギルドに
お借りした登録と同様なタイプの水晶も
鑑定不可となりました。」
「……これを片付け次第行く。もし
途中で起きるようなら知らせてくれ。」
医務官が敬礼し、団長用のテントから
出ていった。ロナウドたちはこの
大きな町の門近くの広場に設置した
臨時の騎士団のテントを根拠に
犯罪者は王都に送り、囚われていた者たちは
回復次第故郷に帰す予定だった。
送る際には団員2人が1組となり
護衛する予定だ。

異国の女性が横たわるテントに囚われていた
女性と子どもたちがいた。
数回にわけて具のないスープを与え、今は
具をすり潰したスープを食べれるほと
回復していた。
なんとか起き上がれる者達は別のテントに
移し、柔らかく煮込んだ形があるスープ系の
食事を与えていた。
ギルドで借りた水晶で判明した事だが
子ども8名は3歳から10歳、
女性5名は成人していると思ったが
成人前の14歳と15歳だった。
獣人の子ども2名に関しては3歳と4歳の
子どもで親と移動中、親が目の前で
殺されさらわれたそうだ。
このぶんだと国籍不明。意識不明の女性1名も
未成年のかのうせいがある。
成人の者も攫われた他、報告があったはずだが
さらに調査が必要だ。
幸いな事に死者はいなかったものの
成人の者がいないのはおかしい。
別の場所…犯罪者たちから場所を
はかせなければ……。
薬を使わず犯罪者たちに聞いたが無言になり
"答えなかった"ので、自白剤を使った事情聴取を
使うと10人の奴隷商人のうち5人が突如
自分の胸をかきむしるかのように苦しみながら
生き絶えてしまった。
「……卑劣な魔法。」
相手に不都合な事を言おうとすると沈黙魔法が
かかるだけではなく一方的に命を奪う
契約魔法が使われていた。
おそらく残りの者たちも同様かかっているだろう。
子どもたちに、契約魔法が使われていないか
調べ鑑定魔法をつかいながら医務官たちと
協力しながら回復させる事に専念させた。

「団長、異国の女性が目を覚ましました。」
「わかった、すぐ行く。」
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