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5、*助かったのか?

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『オイ!!ダイジョウブカ?ッテ、ダイジョウブジャナサソウダナ!』
ザシュ、バフォ
黒い大きな影が、何か言っていた。
言葉はわからない。
眠い、すごく眠い。
このままゆっくり寝さして欲しい。
ボーっとする頭と、重いまぶた。
ビリビリっと音がした瞬間、俺は目が覚めた。
「さぶっ!!」
俺の布団!!って叫びたかったけど、水色のぷにぷにはなくなっていた。
視界はボヤけていた。
『ヤッカイナ、レアナマモノナノニ……。クソッ、アキビンがナイ。』
黒い大きな誰かは、何かを言いながら薬品臭い何かを俺の身体にドボドボとかけていた。
消毒液?俺は汚いのか?
水じゃなさそうだけど、全身が、さらにずぶ濡れになってしまった。
『ケガ…ケガナイ。』
ゴクッという音が、黒くて大きな何かから聞こえたかと思うとゴソゴソっと何かを拾っていた。
「寒い。」
温かった布団はなくなり、青汁臭い何かをふりかけられた俺はあまりの寒さに自分を抱きしめようとしたが指先すら動かせなかった。
『コノママダトアブナイナ。』
暖かな何かに抱き上げられた時には気を失っていた。

         ***

私の名前はゼース・クーマ。
黒と茶色のパンクマというレアな獣人だ。
運命の番(つがい)を求めてといえば、まだ格好はつきそうだが……。ただ単に無目的に冒険者をし長くても数週間町や村に滞在し、護衛や討伐をしながらあちこち旅を続けているだけ。
自分の年齢や過去はあまり覚えてない。
記憶喪失ってわけじゃないが、なんとなく冒険者をしているだけ。
魔物や薬草など見たらわかるので、手っ取り早く稼げるのが冒険者だったわけで、年齢はテキトーに29歳にしといた。
話し方とかで30歳以上に見えるらしいが、自分であるもわからないし、少しくらいサバをよんでもいいだろう。婚活も若ければなんとかお得な気がするし。
んっ?婚活?アレ?どこかで聞いた様な?
獣人だから運命の番(つがい)に出逢いたいもんだと思っていた。
運命の番なら性別関係なく生命を生み出せるらしい。
多くの世界ではメスが生み出すのが多いと聞くが、運命の番どうしなら話し合い次第でどちらかが産めると聞いた。
はて?誰に聞いたんだっけ?
のんびり冒険者稼業にせいを出していたら、遠くの方で悲鳴が2箇所から聞こえてきた。
緊急性がありそうな方…もう一方に誰かが駆けつける気配がしたので私は、オス1匹の方の悲鳴に駆けつけた。
そこで見たモノは。
息が止まるかと思った。
早く助けなければいけないのについ見惚れてしまった。
見た事がない衣服、水色で透けている何か。
森の奥の湖にしか生息している、レアな魔物。
ミズノコスライム。
エサとなる生物に張り付き、エサが好む温度になりながら媚薬を含ませながらじわじわ身体を溶かしていく恐ろしいスライムだ。
レア過ぎてまゆつばモノの魔物。
一部のマニアに高額で取引きされてる幻のレア中のレアだ。
こんな時に限って、空き瓶があまりない。
布や皮袋などはこのレアな魔物のエサになるので使えなかった。
「さぶっ!!」
可愛い顔をした私の運命の番(つがい)
ミズノコスライムを剥離魔法を使いながら剥がした。
魔力量が少ない私は、回復薬を飲みながらビリビリと優しく丁寧に剥がした。
『ヤッカイナ、レアナマモノナノニ……。クソッ、アキビンがナイ。』
どれくらいで売れるかなぁとチラッと考えた。
とにかく薬品が詰まった瓶を空にしていった。
マヒ・毒消し・回復系なども数本使い、運命の番にふりかけていた。
レアな魔物を空き瓶やコップや鍋、その他の食器にも詰めれるだけ詰めた。
作業が終わり再び運命の番を見た。
『ケガ…ケガナイ。』
ゴクッ
白い肌に、ツンと尖った2つの頂き。
黒くて艶のある髪の毛。
黒いのに短く生え揃った下生えとそこにあるモノ。
慎ましい大きさのうっすらピンクがかった可愛いモノ。
「寒い。」
運命の番が話した言葉はわからなかったが、鳥の毛がなくなった後の様にプツプツしていたので、寒いのかもしれないと思った。
『コノママダトアブナイナ。』
私は急いで1番近い村、ロー村まで番(つがい)を抱えて走ったのだった。
村一番の宿に泊まり、毛布で包みながら破れ溶けた衣服を脱がした。
洗浄魔法でもよかったのだが、ただなんとなくこの肌に触れておきたかったので、温かなお湯に浸けた柔らかな布で全身を清めたのだった。
お尻も小さくてぷるんとしていた。
あの魔物め!!
私より先に触れるなんて許せない!!
とっとと売っぱらってヤル!!
そう思ったがこの小さな村では、ギルドがなかった。
現金でいくらから持ち歩いてるので、1人2人増えても充分いけるもちあわせはある。
お金のほとんどはギルドカードに入れっぱなしだった。
とりあえず、破け溶けた衣服をなんとかしないといけないので、宿の者に声をかけた。
「(私の運命の番(つがい)の服が欲しいんだが)魔物にやられ服が台無しになってるんだが手にいれれるか?」
「う~ん、ダンナさんはおっきいからサイズがなぁ、難しいなあ。新たに作るから時間と金がかかるよ?」
「私の服は要らない。私の…う、運命の番(つがい)の服だ。」
「運命?そりゃめでたい!おめでとさん!!」
宿の者に頼み、残念ながらサイズが無かったので比較的きれいな色の古着を数枚縫い縮めて貰った。
超特急で仕上げてくれたので料金を上乗せすると、もらい過ぎだからと言って、お揃いの色使いのハンカチ(水色と白のしましま)をくれたのだった。
宿の者と話しをしていると冒険者にこの村の者、そして商人までこの宿に押し寄せてきた。
な、何事だ?
話しを聞いてみると、ここの宿の窓から毛がない裸の可愛い子がいたから、その子とデートや食事、そして交わりたいと直接的な事まで言ってきた。
「あの子は私の運命の番だ。手を出した者は殺す!」
殺気がちょっと多く出てしまったようで、数人アワをふいて倒れていた。
まあ、じきに目を覚ますだろう。
宿の者と押しかけて来た者たちを追い出し終わったあと、すぐさま部屋に戻った。

急いで部屋に戻ると裸に毛布を巻き付けていたはずの運命の番(つがい)が目を覚ましていた。
『カワイスギルダロ!ッ!!』
「えっ?」
驚いた顔も可愛い。
やはり言葉が通じないようだ。
言葉を一時的に通じる様にするには、お互いの体液を交換し言葉が通じる様に魔力を乗せるという、まじない程度の魔法しか思いつかなかった。
体液、つまり上で交わるか下で交わるか、はたまた両方かというところだが……。
『コトバガツウジナイノハ、オタガイフベンダカラ、スマナイ。』
「んんッ!!」

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