上 下
4 / 14

第4話 お散歩パート2

しおりを挟む
家に着くと、洗濯物を取り入れました。
しばらくすると太陽さんも、帰って来て
「よし、くろ散歩行くぞ。」
と言ったので、今日くろと散歩に行った事、
はなちゃんパパの事、
子猫の事など言いました。
「雪子、もう一度、一緒にくろの
散歩に行こう。」
ガサゴソ、ガサゴソ。
通販の空の小さなダンボールを持ち、
太陽さんと、私は、くろの散歩に、
また、行きました。

小雨が降っていました。
公園に着くと、うつむいた状態で、
チビ子ちゃんパパはいました。
木の下のベンチに座り、ボーっと
していました。その隣に、
チビ子ちゃんは、寄り添うように、
座っていました。

小雨から、本降りになり、コンビニで
傘や色々買ったらしく、残念ながら
奥さんに、子猫を買うのを反対された
そうでした。
ほっておけず、公園に来る人に、
声をかけまくっていた、みたいでした。

「また、逢いましたね。こんばんわ。
くろパパさんと、くろママさん。」
なんだか、泣きそうにしていました。
チビ子ちゃんパパは、60代くらいの、
少し渋い感じの男性です。

「こんばんわ。チビ子ちゃんパパ、
あの~。子猫の事、妻から話を
聞いたのですが。」
チビ子パパは、一瞬嬉しそうな顔を
しましたが、また、顔がくもりました。
どうしたんだろ?
「いますが、この子は、亡くなりました。
あとの子は、元気そうですよ。」
コンビニのタオルに包まれた、
生まれたばかりっぽい、
手のひら半分くらいの
小さな、小さな子猫。
猫を間近でみたのは、初めてでした。

もう一枚のタオルには、三匹の子猫と
テッシュで何重にも包んだカイロが、
入れられていました。

タオルや、カイロ、猫ミルク、猫缶
チビ子ちゃんのおやつも、買ったそうで、
二回、コンビニに行って色々、
買い足したそうです。
何時間、公園にいたんだろう?
「あなた、何時間チビ子の散歩、
行ってるのよ。」
振り返ると、回覧板で、
たまに顔合わせする奥様でした。
「「あっ。」」

チビ子ちゃんママと、
お互い挨拶しました。
チビ子ちゃんパパは、今日、
お休みの日だったようで、
昼過ぎからチビ子ちゃんと散歩に
出たきり戻らなかったらしいです。
夕方、子猫の事で、奥様に
電話をしたみたいでした。
心配した奥様が、公園に、探しに
来たようでした。
しばらく、小声で
チビ子ちゃんのパパ、ママは、
話をしていました。時折、
洩れ聞こえてくる、ママさんの
否定の言葉と、パパさんの、
弱った声。
子猫達を飼うことに、反対なのは
あきらかでした。
太陽さんは、私に、
「雪子、俺たち、あの子達の、親に
なってもいいか?」
「いいけど、お世話の仕方わからないわ。」
「俺もわからないから、ネットで、
調べよう。」
私たちは、チビ子ちゃんの、
パパママから、子猫を受け取り、
亡くなった子猫は、公園の片隅に
うめてあげました。
安らかにね。
しおりを挟む

処理中です...