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7、ベルウッドとベルブック

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*オザーム王太子殿下目線*

私はプロポーズが成功した喜びに浸っていた。
妹のルカも"おめでとうございます。"と
言ってくれたし、初めてのやりとりだけでも
充分だったはずが、成功したプロポーズの後も
ベルウッド侯爵家の次女であるマリー嬢に
さまざまなな食べ物やお茶を勧めたのだ。
そして締めくくりに私自らマリー嬢に
ミルクティーなど数種類を使用淹れた。
量的にはかなり少ないはずなのに
もう、お腹がふくれたのか彼女と視線が
合わなくなってしまった。
日差しもキツくなり、それぞれの
テーブルに備え付けられている
大きなパラソル(3代前の王妃が提案し
制作したパラソル)を立てられてはいたが
やはりリエーターの1月とはいえ(初夏)
少々暑いので、室内のティールームに移動した。

ベルディア王国の国王・黒い髪・紫の瞳
シャルドン国王と深緑の髪・青の瞳の
アネモーヌ王妃に素早く報告した。
ベルウッド侯爵家の次女マリー嬢が
母上主催のお茶会にて古式のプロポーズにて
オザーム・フゥーリー・ベルブックの
プロポーズを受け入れて貰えたと。
証人はルカ・ジュネ・ベルブックと
エリカ・トレミエール……公爵家の次女
ペルス・ガルデニア……伯爵家の長男
イリス・クロキュス………子爵家の長女
ペルス・ネージュ…………子爵家の次男
ジャン・シアーヌ………男爵家家の次男
カメリア………エンタカ海産問屋の次女
アドニス……………タカモモ商会の長男
同じお茶会の円卓に居合わせた者だ。
速やかに書類での婚約も結びたいという事も
父上と母上、つまり国王と王妃に
報告したのだった。
お茶会が終わると同時に報告に上がったのだが、
国王はベルウッド侯爵と歓談していた。
隠す必要もないし、侯爵本人がいるのだから
お茶会での出来事を話した。
「わ、私(わたくし)めの大切なマリーが…
ま、まことですか?まさか……」
「ベルウッド侯爵、その場に居合わせた
複数の証人もいますし、我が妹のローズも
証人のうちの1人です。一口サイズの
サンドイッチを2回、その他にも
(少量ずつですが、数種類の)
お茶菓子を食べてくださりました。
古式ながらのプロポーズですが、
精霊か女神のような可憐さと美しさ、そして
小鳥が啄むように私の手から、何度も
食べてくださいましたよ。」
「……。」
侯爵の顔色が悪くなったが、仕方がない。
秘蔵っ子、稀に生まれる能力も高いとされる
裏家業の一つに、双子としてそっくりに
生まれた事を利用し、政敵や悪巧みしている
貴族などの家に使用人として潜り込み
情報収集するのだが、双子なら効率よく
潜り込ませることが出来るのだ。
オスカルとローズの男女の双子も
似ているのだが、若干顔の作りや髪色が
違うので似ている兄姉だと思ってしまうのだ。
だが、マリー嬢とキオナの双子は、身長も
体格、顔の作りから瞳と髪の色まで
同じと言っていいほど似ていたのだ。
"キオナ"の方が身体の弱い姉である
マリー嬢を庇う仕草が多かったが、
親が間違えるほどの似た双子だと
誰もが思うだろう。
ドレスとスーツを取り替えっ子すれば、
話さなければ気づきにくいかもしれない。
これは、人の魔力の"色"をよむ訓練を
した方がいいかもしれない。
マリー嬢は有無を言わさずとも
誰もが認める可愛さと儚さがある。
あまり他人の目に触れさせたくない
ベルウッド侯爵の気持ちがわかる。
10歳なら、昨年あたりからのお茶会に
参加も出来たはずなのに、昨年は
体調不良との事で断られたのだ。
本当に秘蔵っ子だった。
出会ってしまった私としては、もう
マリー嬢は特別可愛いのだけではなく
婚約者なのだ。あとは正式に書類をかわし、
婚約披露の発表をするのみ。
マリー嬢が可愛いのは当たり前なのだが
同時に弟のキオナも姿かたちの事に関して
可愛いと思えてしまうのが困りものだった。

帰宅後、ベルウッド侯爵家は家族会議と
なったのはいうまでもない。
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