【完結・R18】異世界で入れ替わり人生?!すみませんが、そんな事知りませんでした。

カヨワイさつき

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6、オザーム王太子

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*オザーム王太子殿下目線*

母上主催のお茶会はいつも私たちの肩書きに
群がる御令嬢や御子息で溢れかえっていた。
学園に入れば一つ年上のオスカルたちがいて
同学年に秘蔵っ子扱いのマリー嬢と
キオナ令息がいる。9歳のルカの年代に
ベルウッド家の者がいないのは残念だ。
マリー嬢とキオナの双子は親も間違えるほど
似ているらしい。
双子などの多産に稀(まれ)に現れる小柄な身体、
男女の差はあるもののそっくりな顔立ちは、
ベルディアー王国の初代王妃である
ハナ・ベルブックで異世界出身で
ニホンという国から来たそうだ。
この世界に来てから、冒険者と恋に落ちた
ハナ・ベルブック王妃。
その昔今より魔物が多く生息していた為、
他の国からも見放されていた土地や
魔の森を一夜にして焼き払い、
花が咲き乱れる野原にしたとか、
おとぎ話が残されている。
ハナ・ベルブックの真の名前は
ハナ・スズモトという名前だと記されいるが
冒険者だったカッツーと婚姻を結び
家族を作り村を作るうちに、名前を変え
ベルディアー村から王国へと発展した。
建国227目のベルディアー王国。
黒髪に黒い瞳の初代ハナ・ベルブック王妃と
青い髪に紫の瞳カッツー国王、
そして、アルディー王子とディア王女の
双子の男女を産んだそうだ。
黒、青、紫は王族の色。
ベルウッドが、なぜ公爵邸ではなく、
侯爵なのかというのは、カッツー国王が
冒険者で平民だった頃、親しくしていた
侯爵家がありその侯爵家がベルウッド、
そして、ディア王女が侯爵家の御子息と
恋に落ち婚姻したのだった。
それからは、ベルウッド侯爵家にも
双子や黒、青、紫の色を持つ子どもが
生まれるようになったのだ。
何代か重ねるうち、王族の政敵や
粛正しなければならないが表沙汰には
裁けない貴族を密かに、ベルウッドが
裏の顔を使いながら処理してくれているのだ。
異世界人の血が入った、王家ベルブックと
侯爵家ベルウッド、この事を知るものは
ごく一部。
異世界人と冒険者が恋に落ち国を築いたことより
王女が侯爵家に嫁いだ事の方がしられている。
もちろんベルウッドの裏の顔の事は
知る者はほとんどいない。

ベルウッドに2組目の双子が生まれた。
オスカルたちとは約2年前に母上主催の
お茶会で知り合い、たびたび王宮で
友好を深めていた。
愛妻家で子煩悩のベルウッド侯爵は
2組目の双子と合わせようとはしなかった。
双子自体、侯爵家からあまり出ないらしく
身体が弱いからだとか、見られる
容姿ではないとかウワサがささやかれていた。
だが本日とうとう秘蔵っ子扱いの双子に
逢えると思い楽しみにしていたのだ。
早めに来てもらった侯爵家に、こっそり
お茶会前に逢いに行ったのだ。まさかこの私に
一目惚れなんて起きるとは思わなかった。
ドレス姿とスーツ姿の双子。
ありふれた淡い水色の服なのに、なぜか
その場にいた令嬢が、麗しい水の精霊か
女神が舞い降りたかのように
"彼女"が光り輝いている様に見えた。
それぞれの控え室やお茶会の会場には、
来客たちが魔法を使えないように
防御膜が張り巡らされていた。
もちろん魅惑や幻覚などの魔法も
使えないはずなのに、ベルウッド侯爵家の
次女であるマリー嬢から目が離せなくなってしまった。
かわいい、可愛すぎる。
儚(はかな)い容姿、小さな声……。
体調不良との事だが、身体が弱いという
ウワサは本当だったのか?!
思わず、口唇術を使いながらの会話で
マリー嬢に婚姻を申し込んでしまったが、
"体調不良"で口唇術どころではない様だった。
他の者の目に触れなくていいから、
今日は、このままこの場で語らいたかった。
時折、チラチラと上目遣いで皆を
見ていたが私だけを見てほしいと思った。

お茶会が始まると案の定、肩書きに惹かれて
やってくる者たちがいた。
笑顔を絶やさず、やっとの思いでさばききり
もう一度"彼女"がいる円卓に行った。
数日前に、双子の弟と一緒に崖(がけ)から
落ちたと聞いた時には、護衛は何してたんだ!!
とか、助かって良かった、本当に無事なのか?
事故ではないのだな?!と疑ってしまった。
再度王家からも探りを入れようと思った。
身体が弱いなら守ればいいと思い
"影"も彼女につけようと固く誓った。
もちろん女性か恋人や家族がいる"影"限定だ。
     ・・・
マリー嬢のもとへ足早だが、ギリギリ
優雅に見える歩き方をしながら近づいていった。
妹のルカもほぼ同時に、挨拶まわりを
さばいたのか目的地は一緒らしい。

「まあ、ベルウッド侯爵のマリー様
喉が乾いておられたのかしら?」
んっ?マリー嬢とアレはたしか
トレミエール公爵家の次女、エリカ嬢か。
姉は確か隣国に嫁ぎ、エリカ嬢は同格の
公爵家の息子か商才ある伯爵家との
婚約の選定中だったはず。
彼女自身の性格も良いとされ、私の一つ上で
婚約者候補に上がっていた名前だ。
彼女が、私以外の婚約の成立を祈ろう。

「……す、すみません。緊張してしまい
マナーとか飛んでしまいました。
お見苦しい所をお見せしてしまい、
申し訳ございません。」
「「「「「……。」」」」」
か、可愛すぎる!!
その場に居合わせた者たちは、息をのんだり
マリー嬢をジーッと見つめていた。
潤んだ目、しかも上目遣いはダメだ。
ワザとじゃなく身長差もあるせいか
自然と上目遣いになる"彼女"が年齢より
小さくて可愛い、いや可愛すぎるんだ。
しかも童顔なのか10歳だがどうみても
8歳…いや7歳位に見えてしまう。
私の妹としてじゃなく恋人、そして
ゆくゆくは伴侶としてそばにいて欲しい。

エリカ・トレミエール……公爵家の次女
*ペルス・ガルデニア……伯爵家の長男
*イリス・クロキュス………子爵家の長女
*ペルス・ネージュ…………子爵家の次男
*ジャン・シアーヌ………男爵家家の次男
*カメリア………エンタカ海産問屋の次女
*アドニス……………タカモモ商会の長男
マリー嬢と同じ席のメンバーを見たが
将来を約束しているもの、婚約者選択中など
ほぼ相手がいる者ばかりだ。
母上の采配に感謝した。
この円卓にマリー嬢に婚姻を申し出る
家はないだろう。あったとしても
私が簡単に潰せそうなものばかりだ。
マリー嬢に優しく微笑みながら声をかけた。
「オスカルたちから体調不良と
聞いていたが大丈夫か?」
「そうねぇ、確かに顔色が悪いわ。」
大丈夫だろうか?身体が弱いし本日は
かなり日差しがきつく少し暑いくらいだ。
ほとんどのお茶会の行程は終わったはずだから、
あとは各自雑談を楽しむだけなのだが、
マリー嬢の体調不良という事で、
室内のティールームに案内して
休ませようか迷っていた。
「……だ、だ…大丈夫です!えーと
お腹、そうお腹が空き過ぎたので
え~と元気がないだけなので、食べれば
大丈夫ですわ。」
お腹がすいた……、ユニークな返しで
場を和ませようとしているのか?
マリー嬢は、心配かけないよう気遣い出来る
心優しい女性なのだな。
ますます、私と一緒になってほしいと思った。
「ふっ、そうなのか?それではこちらをどうぞ。」
お腹がすいてるなら、ちゃんと食べさせて
あげたいと思った。
マナーにのっとりケーキスタンドの
下の段にある1口サイズのサンドイッチをとり
さらに小さく切った。
そしてそのままマリー嬢に差し出てみたのだ。
受け取ってくれるかな?
内心緊張とドキドキで、手が震えないように
するのに必死になってしまった。
この国、ベルディアー王国には独自の
プロポーズの仕方があった。
好意に思ってる相手に直接、言葉での
プロポーズするのが今の流行りで
わかりやすいプロポーズがあるのだが……。
流行ってはいないとわかってはいるが
好意を寄せた相手に古いやり方での
プロポーズをし、私は相手に自分の思いを
伝えたかったのだ。
足りない言葉は、受け止めてもらった時
伝えようと思った。
古いタイプのプロポーズのやり方は、
お茶会などで夫となる者が妻にしたい相手に
一生食べさせてあげる(養う)と言う意味で
食べ物を差し出すのだ。
その食べ物を相手が食べてくれたなら
婚約成立する。
差し出した手は震えていたかもしれない。
「美味しそう。」
可憐な笑顔を浮かべたかと思うと
差し出した指の間にある小さなサンドイッチを
パクっと食べてしまった。
「……!!」
小さな赤く色づいた口が、私の指に
触れながら小さなサンドイッチは
彼女の口の中に消えていった。
"婚約成立"
私の心は一気に喜び一色になった。
彼女をすぐさま抱き上げたいと思ったのを
ググッとかなり抑え込んだ。
早く書面での確実な婚約も交わしたいと思った。
周りはア然としていたが、牽制も込めながら
もう一度、サンドイッチを差し出した。
パクッ
「!!」
嬉しすぎて、泣きそうだ。
この場にいる者が証人だ。
「オザームお兄様ばかり、ずるいですわ。
マリー様、こちらスコーンも美味しいですわよ。」
ルカは『婚約成立おめでとうございます。』
と口唇術で会話したのだ。
お礼も口唇術でやり取りした。

「ありがとうございます。美味しそう。
いただきます!!」
「「!!」」
ルカが差し出した食べ物も食べる勢いだったが
イイ笑顔をした私にルカは気づいた。
さり気なさを装いながらも、わざわざお皿に
数種類サーブしたのだった。
マリー穣はまるで小鳥がついばむように、
スコーンやケーキを食べていた。
「……かわいい。」
思わず漏れた言葉に、私自身照れてしまった。
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