鈍色(にびいろ)

カヨワイさつき

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雲外(うんがい)

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雲外(うんがい)
雲の外、雲の上。空のきわめて遠い所。

「名刺に個人的な携帯とアドレスあるから
よければ、いつでも連絡してほしい。
こんな時に言うのもなんだけど、
ごめん、一目惚れなんだ。」
ごめん、一目惚れ?
ごめんの、ごめんはどういう意味?
誰が誰に一目惚れ?
貴方が私に、夢中になる魔法が
あれば……。
期待しない。期待しちゃダメ。
また、ダメになる。
煮え切らない関係。
ダラダラ続く関係。
ぬるま湯の関係。
手放さなきゃいけない関係。
あんなイケメンが、私なんかを
好きになるはずがない。
きっと、ドッキリカメラとか
イタズラとかのテレビよ。
ほらよくあるじゃない。
1日が終わると夢から覚める
あの番組……。
私なんかに優しくしないで……。

車に優しく乗せられた私。
えっ?運転手?
黒い車に、運転手?
えっ?エッ?どういうこと?
放心状態?私、現実に戻れてない?
彼の腕は暖かくて、このたくましい腕の
温もりが離れていくことに
なぜか寂しくなった。
後部座席に私を助けてくれた彼は
シートベルトを締めてくれた。
「このまま連れ去りたいよ。」
「……。」
連れ去っちゃって下さい。
ともは心の中で返事をした。
「坊っちゃん、それは犯罪です。」
「そうだけど、朝早くだと電車
空いてるかと思ったけど、だんだん
混んできたし、あんなチカンヤロウも
いたし、最悪だな。」
「……。」
「いくらお坊ちゃんが、電車オタ…ゴホッ
電車好きでも、やはり警備上
いつもの様にお車にして下さい。」
「ともちゃん、彼女が一緒なら
車でいいよ。」
「えっ?」


ゆ、夢よね?
今は朝、この夢のような時間は
いつまで?
あのテレビ番組のように、ネタバレは
夕方よね?
それならば、私は今日…あの2人に
あっても、きっと頑張れる。
いつもより仮面をかぶってれる。
「駅についてしまったけど、まだ
一緒にいたいんだけど……ダメかな?」
「だ、ダメじゃないです。わ、私も、
あと少しなら…余裕が……。」
時間に余裕があっても、貴方様の
顔面偏差値が高くて、心と私の鼻の
粘膜に余裕はありません。
鼻血出そうなくらい、顔が茹で上がってます。
「そう、なら駅前だけど朝食でもどうかな?」
「は、はい。喜んで!!」
あっ、また、某チェーン店の居酒屋の
ような返事をしてしまった。
しかも握り拳付き。
「ともちゃん、可愛い。」
「……。」
ぼんっ。
ダメだ。今日は、なんの日よ!
やばすぎる日だわ。
ともと、潤を乗せた黒塗りの車は
ホテルの地下駐車場に吸い込まれていった。

駐車場を降りたともは、アレ?
スタバ、マクド、えーっとミスド?
牛丼チェーン店とかないよね、ここ?
当たり前のように、お姫様抱っこで
降ろされたともは、しばらくの間
自分がどういう状況か
わからないまま、ホテルのレストランへと
足を踏み入れたのだった。
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