鈍色(にびいろ)

カヨワイさつき

文字の大きさ
8 / 14

雨催い(あまもよい)

しおりを挟む
雨催い(あまもよい)
部長の手は、私の肩を撫でるようように
行ったり来たりしている。
部屋から見えた外の景色は、
晴れているのに、私だけ?今にも
雨が降ってきそうだった。

「部長、こちらの書類訂正終わりました。
ノーチェックだった事はお詫びします。
こちらも責任持って、早急に手直しします。
では、失礼します。」
「待て!ここでゆっくりなおしたらいいよ。
時間はたっぷりあるんだ。部長の
私に呼ばれてるという口実で
のんびりしたらしいい。実は前から
君の事、専属秘書にしたいくらい
優秀だし気に入ってるんだよ。
君さえよければプライベートでも
付き合いしようじゃないか?」
「申し訳ございません。お、お断りします。」
「はぁ?今まで面倒みてやってるのに、
主任降ろされたいのか?」
助けて!!
肩から背中を撫でてくる部長。
セクハラ……。
どうしたらいいの?
気持ち悪いよ……。
この際、アイツでもいいから……。
コンコン。

「なんだね?」
「部長、失礼します。緊急の
社内メールご覧になりましたか?
一斉メールでお知らせされたのですが、
部長と主任が会議に来ていないとの事で
主任以上の役職は第1会議室に
集まるようにとの事です。」
「すまないなぁ。話をしていたから
気づかなかった。すぐ行くよ。」
……た、助かった?
訂正した書類は、部長に再提出した。
やりかけの書類を持ち、そのまま
会議室に向かった。

結果……。
吊るし上げでは無いけど、上層部には
わかっているからか、ともに向ける
視線は冷たいものや、あざけ笑いのような
視線ばかりだった。
自主退職、実質クビになった部長に伴う、
人事異動。
「この際、全社員に希望人事を出そうか!」
と笑いながら言う、他の部署のお偉いさんの
意見まであった。

1週間以内に"希望があれば"出すように
とのことだった。
希望がなければ……出さなくて
いいらしい。
希望もない、会社……。
私はこのままでいいの?
お金を貯めるなら、このまま
地道に正社員でいれば…いいの…?
精神的には、病んでいきそう。
仕事が無いよりはマッシの
雇われている身。
何も感じないまま、働けばいいの?
転職時?
私は、まだここにいるの?

私はここに……。
今日、帰ったら…ゆっくり考えよう。
定時に帰ろう。
仕事は、私の分は終わらせてあるんだから。

会議が終わり、デスクに戻ると
問題の後輩は腹痛で早退すると
メモ書きが置いてあった。
非常識な早退だった。

ありえない事の連続だった。
一般社員である後輩が四つの
チェックを飛ばして書類を部長に
持っていくこと自体、ありえなかった。
同期とアイツは外回りだったから
この書類は早めと言っても明日に
チェックしても、問題ない書類だったはず。

一般社員←後輩
主任←私(とも)
係長←同期
課長←同期(アイツ)
次長
部長
本部長(事業部長)
常務取締役
専務取締役
代表取締役社長

就業30分前、接待が急な入った。
嫌がらせのように、部長自ら
私を指名し、次長と部長と私の3人で
新規の会社からのオファーだった。

どんよりした気持ちのまま
ともは、携帯カバーに潤さんの
名刺をしまったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...