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1 消滅
しおりを挟む死にたい
幼き頃からフィリップ様の為に、努力を重ねてきた。ずっとお慕いしていたのに…。あの方は異母妹しか見ていないから
それでも好きで好きで苦しいの
あの方は貴族として私と結婚する他ない。本当は異母妹のことを想っているのに
わたくしがいなければ、あの方は異母妹と結ばれることができたかもしれないと考えるだけで、……消えて…消えていなくなりたくなる。
だからどうかお願いします。
わたくしに死を
「ふむ、愛しい人に愛されたいがそれは叶わないから消えたいと…。
しかし、そなたの婚約者を振り返らせることもわしなら可能だ。相手を振り替えせたいとは願わないのか?」
「それは彼の本心ではないですもの。
わたくしはもう朝 目覚めることがつらいのです。目が覚めるたびに絶望しかないの。二度と瞼が開かないようになればいいのにと何度も願いました。
私のこの『想い』ごとわたくしをなくしてください。」
王の代替わりのたびに一週間に渡って開かれる大祭。その大祭の中番に催される精霊武道会にて、武器術・素手術・魔術部門の以上の3部門で優勝した優勝者達は、精霊王様に望むものを与えられる。
そこで魔術部門で優勝したわたくしは願った「わたくしを消してください」と。
「…ぅ…なにを………何を言っているのだ!」
観客として参加していた婚約者が私に声を荒らげた。
久々にフィリップ様に声をかけられた。
それだけでわたくしには甘い痛みが走るのです。
傍らには不安げに佇む異母妹がフィリップ様の服の袖を掴んでいる。
やめてください!やめてぇ!!
わたくしの頬に生暖かいものが一筋流れる。
いつもわたくしが誘えば、良い返事をくださらないのに…
貴方様がこの大会の招集に応じてくださったのは、わたくしが何を聖霊王様に願うか監視するため…なのでしょう?
「安心してくださいませ。わたくしはわきまえております。手に入らないからと無理矢理心を変えさせようとは思っておりません。
おりませんが、わたくしを微塵も気に掛けて下さらない方と将来を共に過ごすことができようほど、わたくしの心は強くありません。」
「だが、…だからといってそのようなことを願ってどうするのだ。婚約者の義務を破棄するのか!私はお前のことを裏切ったことなどない!婚約者として接してきただろう。」
わたくしは心の中で首を左右に振る。
いいえ…貴方様は義務を果たしてはおりませんでしたと
結婚式の話が出れば逸らす。お茶会や夜会への参加の際は、話裏を合わせることを拒否し手紙の返信もせず、当日は迎えに来ず、会場でなぜか合流し挨拶回りに同伴させるだけ。その後はもちろん放置。
どのパーティーに主席されるか裏から手を回し毎回調べたうえで参加をするようにしていますが、百発百中とはいきません。わたくし一人だけで主席するならば良い方。お一人で参加された際には、格上のお相手に無礼を働きその後始末をしたこともありました。
あまつさえ、わたくしのお気に入りのガゼボで異母妹と契りを結んだことも存じております。
お母様を亡くしてから私のことを気にかけてくれる人は誰もいなかった。後妻が本殿で暮らし始めてからは、彼女や使用人に冷遇され始めた。義母からは教育の一貫だと鞭打ちも行われ、背中には消えない痕が残っている。
家を出られる。家族が出来ると思っていたのに、
出会った頃のフィリップ様は太陽のような無邪気な少年で、彼と2人で秘密の場所でお茶をしたあの頃がわたくしの心の支えでした。
涙を流したい時も作り笑顔で蓋をして耐えることが出来たのに
あの少年はもうわたくしの中におりません。
それでも、愛しておりました。
あいしているからこそ、もうこんな世界に居たくない。全てを無いものとして生活を続けることなどできるはずがございません。
神に精霊王様に願うことが許されるのならば、一刻も早く...。
そう思いながら、精霊王様に繋がっていると言われる宝珠に願う。
わたくしを消してください……と。
そのような経緯で不憫な少女がこの世から消えた。いや消えたのは少女の精神だけ。
そして空いた身体の中には今、私がいる。
私はこことは違う異世界の日本で女子大生だった。
主人公の精神が消えたことにより、前世の記憶である私が表に出てきた…らしい。
「~~ということでよろしいでしょうか?」
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