異世界に来ちゃったよ!?

いがむり

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第2章

(25)いざ、冒険者ギルドへ!

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エリックさんの御屋敷に居候して1年経ちました。今日は遂に、つ・い・に!

「ソフィアちゃん、冒険者ギルドに登録しに行きましょうか!」

「はい!」

そう、冒険者になるのです!

『昨日の夜はそれでそわそわしていたのか』

《ここで過ごしてもう1年じゃな》

〈あっという間だな〉

「これからまだまだあるよ!」

『んもぉ、冒険者登録しに行きましょ!』

『うずうずして来たわ!』

私より、エルブとアズルの方が興奮してる。

「じゃあ、行こう!」









「ソフィア様、ここが冒険者ギルドですよ」

国営ギルドだけあって、建物が白のレンガ造りで少し綺麗になってる。多くの冒険者が出入りしていて、看板には剣が描いてある!

「ソフィア様、本当に俺が一緒に行かなくてよろしいのですか?」

マイルさんってば、さっきからずっとこればっかり言ってる。

「私、今髪の色も瞳の色も全然違うんだよ?誰も、フェアリーデイだなんて思わないよ」

エリックさんがサインした偽物の身分証明書ももらったし、名前だってソフィアじゃなくて、“ハンネ・フラーデ”っていう名前だし、大丈夫だよ。

「もしものときは家族がいるから!」

マイルさん、渋々認めてくれて、やっと行かせてくれたよ…

「よし、行くよ!」

冒険者ギルドの扉を開けると、大人のがたいのいい人がいっぱいいたよ。みんなローブや簡単な装備をして弓とかロッドとか剣とかの武器を携えてワイワイ賑やか!

〈ソフィア、いやハンネ登録しに行かないと〉

「あ、うん!」

とことこ歩いてギルドの受付さんの所へ。でも、たくさん受付があってどこがいいのか分かんないな……

「おいチビ、そこを退け!」

「あ、す、すみません…」

立ち止まってたら後ろの人に注意されちゃった。

「えっと、えっと……」

「どうしたんだ?キョロキョロして」

私に男の人が話しかけて来た。

「えっと、登録しに来たんですが、どの受付さんに聞けばいいのか分からなくて……」

「ああ、なら……こっちだな」

男の人に抱っこされて右端の受付へ向かう。

「おーい、マシュー」

「その声は……やっぱり!」

出てきたのは13歳くらいの男の人。

「なんですかこの子……まさか隠し子──痛っ!」

鉄拳をくらったマシューさん。結構痛そう……

「んもぉ、冗談ですよ!それで?どうしたんですか」

「ああ、このチビがな」

「あ、はい。5歳になったので、冒険者登録しに来ました!」
 
「分かりました。では、身分証明書を頂けますか?」

「はい!」

私は鞄から手紙を取り出すと、マシューさんに渡した。

「お願いします!」

「はい、えっと名前はハンネ・フラーデ、従魔は…えっ、グレイウォルフとイーグル、2体もですか!」

《((わし、イーグルではないがのお……))》

グライが項垂れる。

〈((ソフィアのためだ。俺だってグレイウォルフだからな))〉

「((ごめんね、グライ、オーヴィ。だって本当の種族を言ったら足がつくでしょ?))」

「その歳で、すごいな!チビ」

「私はハンネです!」

「そうだったな!ハンネ」

「では登録完了です。このペンダントを首から下げておいて下さいね。これが冒険者の証であり現在のランクを示しています」

「ありがとうございます!」

「それから、ハンネちゃん今日は家族と一緒にここへ?」

「いいえ、今日は登録したら帰るつもりだったので1人で来ました」

「そうですか、では次回からはお母さんかお父さん、もしくはハンネちゃんの知り合いの人と一緒においで下さいね。7歳になるまでは、保護者の人と一緒でないと依頼が受けられませんからね」

「はい!」

「他に聞きたいことはありますか?」

「えっと、受付がいっぱいあるんですが、依頼を受けるときってどの受付に行けばいいですか?」

「基本はどこでも大丈夫ですよ。ただ登録やランクアップのときにはここの受付においで下さいね」

「分かりました!ありがとうございます!」

マシューさん説明がとっても丁寧で分かり安いから良かった~。依頼するときもここにしよう。

「なんか、このまま帰っちまうのも勿体ないな……あ、そーだ。ハンネ、俺が保護者の代わりになるから、一緒に依頼受けるか?」

「え~大丈夫ですか~?痛っ!」

また鉄拳が……マシューさんも懲りないね。

「別に問題ないだろ?マシューさんや」

「まあ、別に貴方なら良いですけど」

「よし!じゃあ行くぞ!」

抱っこされたまま別の場所へ。

「あ、あの…ここは?」

「ん?ここは自分の受けたい依頼が見られる所だ。自分のランクとやりたい内容を見ながら決まったら貼ってある紙を破って…」

と言いながら男の人は“薬草採取”と記された紙を破った。

「んで、これを受付に持って行くんだ」

「分かりました!」

「ハンネは登録したばっかだからな、薬草採取とか、スライム討伐とかをすればいいんじゃないか?ほら、紙にも書いてあるだろ?」

あっ、本当だ。“ブロンズランク”って書いてある。前にリーリエさんが教えてくれたけど、ランクアップするにつれてプレートも変わって希少性が上がるんだって。

「マシュー、これ頼むわ」

「はいはい、薬草採取ですね。じゃあこの“ヒル草”を10本採取してきて下さい」

マシューさんは本を取り出してヒル草の絵を見せてくれた。

「分かりました!」

「それじゃ、行くか!」

「はい!」









「あいつ本当、世話焼くの好きよね」

ソフィア達が出た後でリーリエが出てきた。

「サブマス!お疲れ様です」

「初めての依頼、ちゃんとこなせるかしら?」

マシューさんは首を傾げる。

「ハンネちゃんのことですか?」

「ええ」

「サブマスのお知り合いの娘さんですか?」

「ええまあ。そんなとこよ」









ここは、ソフィアが過ごしたあの森。

「((久しぶりに戻ってきた~!))」

〈((ソフィアにとっては1年ぶりか))〉

オーヴィは、森の様子を見ようと時々この森に戻っていた。

「ここらの魔物は比較的温厚でな、こっちから危害を与えたり、森の奥に入ったりしなければ襲ってこないんだ!」

「魔物さん優しい!」

「あ~これだ。この草がヒル草だぞ、ハンネ」

絵でも見たけど、なんかゼンマイっぽい草だね~。

「根まで綺麗に採った方が報酬額が上がるぞ!」

おおー!いい話を聞いたよ……あれ、なにか来る?

「魔物の気配がするな……」

男の人が剣を手に取ろうとするとオーヴィがオーンって吠えたよ?

「どうしたの?オーヴィ」

〈((グレイウォルフの親子が来てるんだ…多分、俺の気配とソフィアの匂いで分かったんだろう))〉

「どうしたんだ?そのグレイウォルフの従魔」

「仲間が来たからお話してたの。ここに来るんだって」

「ハンネ……グレイウォルフの言葉が分かるのか?」

「うん!分かるよ」

森の奥からウォンウォンと鳴き声が聞こえ、草陰から2匹のグレイウォルフの子どもが出てきた。

〈ぬしさま!〉

〈ソフィアもいる!〉

「こんにちは!」

私が話しかけるとぴょんぴょん飛びながら私のところに来たの!きゃー可愛い!

「ハンネ……怖くないのか?」

「なんでこんなに可愛い子を怖がるんですか?」

ね~ってグレイウォルフ達と顔を合わせる。

「今ね、この薬草を採ってるの」

オン!と吠えるとグレイウォルフ達はどこかに行っちゃった。

「ハンネは不思議な子どもだな…」








「よし10本採ったな。じゃあ戻るとするか」

「はーい!」

そう言えば、この人の名前聞いてなかったな……

「おじさんの名前、なんて言うんですか?」

「おじさんじゃないぞ、おにいさんだ。俺の名前はアーノルド・レイブン」

「レイブンさん、何ランクですか?」

「俺は、ミスリルランクだ」

ミスリルランク!上から2番目のランクだ!

「すごいです!私もそこまで行きたいな~」

レイブンさん、私の頭をわしゃわしゃ撫でる。

「たくさん依頼をこなして、経験を積むことだな」

「はい!頑張ります!」

ウォン!

……ウォン?ふと横を見ると、さっきのグレイウォルフが座ってた!

「どうしたの?」

〈((何かあげたい物があるようだな))〉

「何をくれるの?」

私が尋ねるとグレイウォルフが続々と出てきて、ある草を私の前に置いた……これって、

「ヒル草だ!しかもたくさんあるぞ!」

〈〈〈〈〈あげる!〉〉〉〉〉

「こんなに、良いの?」

ウォン!と尻尾をブンブン振りながらグレイウォルフ達は吠えた。

《((ソフィアは本当に森の奴らに好かれとるのお…))》

すると、一回り小さなグレイウォルフがちょっと違う草を持って来たよ?

「……これは?」

レイブンさんに見せると、目を真ん丸にして、

「ハンネ、これは幻の薬草、エリク草だ……!」

「幻の薬草!?」

〈その草なら森の中央によく咲いている。珍しくもなんともないがな…〉

「((人間達は森の中央まで入れないからじゃないかな?))」

奥まで入れないってレイブンさん言ってたもん。

「よし、あれ使うか」

「あれ?」

レイブンさんは小さな鞄を取り出した。

「小さい鞄?」

「これは“マジックバック”って言うんだ。この小さい中にたくさん入る便利な鞄なんだ」

というと、大量のヒル草と幻のエリク草をほいほい入れていった。

「全部入りました!」

「よし!ギルドに帰るぞ!」
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