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第3章
(61)私も剣が欲しいです!
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「……誰だ」
「は…初めまして、ギルドの紹介で参りました。ハンネです……」
疑うような顔で私を睨んでいるのは鍛冶屋の主、ガンドルさん。私より少し大きくて、ドワーフさんなの。冒険者の武器を基本的に作ってるってダグラスさんが言ってたよ。
──それは今朝のことだった。
「おはよう、ソフィア」
「エリックさん!」
ソフィアの部屋にやってきたエリック。ソフィアはエリックの元に駆け寄って挨拶する。
「おはようございます!」
「よく眠れたか?」
「はい!ぐっすりです」
それを聞いてエリックはソフィアの頭を撫でる。そして部屋を見回して呟く。
「ソフィアがここを出るまで…2、3日か」
「あっという間ですね…」
「何度も言うが、いつでも戻って来ていいからな」
「ありがとうございます」
「それにしても、ソフィアには護身用の何か持っているのか?」
基本的に魔法があるから大丈夫かなって思ってたけど、やっぱり護身用とかいるかも。
「持ってないです」
「じゃあ準備しておいた方がいいな……」
すると、扉の前に気配が。
「ベラです、失礼します」
「ああ、どうした?」
「ソフィア様にお手紙が届いております」
「私に?」
「はい、こちらでございます」
ベラさんに貰った手紙には表に私の名前、裏には“国営ギルド”の文字があったよ。
「ギルドからか?」
「はい……何でしょう?」
エリックさんに渡して中を開けてもらう。
「……タイミングが良すぎて時々恐ろしく思えるな。リーリエ殿は」
「リーリエさんは恐ろしくないですよ?」
「それを言えるのは、ソフィアくらいだ……」
手紙にはギルドから武器を自由に貰えるみたい!ただ…鍛冶屋に行って自分に合うものを見て欲しいらしいんだけど、鍛冶屋の主がとても気難しい性格なんだって。ソフィアの姿だと嫌がるかもしれないからハンネの姿で行った方が良いかもって書いてあったけど……大丈夫かな?
「──大変そうだな?」
突然の声に2人は振り返る。そこには見慣れた人物がいた。
「「レイブン(さん)!?」」
「久しぶりだな、エリック。ソフィアは昨日ぶりだな」
「どうしたの?」
「サブマスに呼ばれたんだ。ソフィアがあの鍛冶屋に行くから保護者として行くようにってさ」
「そうなんだ……」
──ということで今に至る。
「こんな赤子に儂のを扱える訳が無い」
「そう言うと思ったからギルドの紹介で来たんだぞ?」
「ふんっ!」
ソフィアの傍にグライと昨日森から帰ったオーヴィが来る。他のみんなは森に戻って何かやることがあるみたい。
《これはどうしようもないドワーフじゃのう……》
〈どうしたものか……〉
「しょうがないよね。ガンドルさんがこう言っているから……他のお店でも良いよ?」
「そうか?でも金はかかるぞ?」
「良いよ、あの薬草採取の依頼で受け取ったお金ならまだあるからね。それにどんな剣でも付与魔法を重ねれば耐久性は上がるからね」
「……ちょっと待て」
すると、ガンドルさんが引きとめたよ?
「はい……?」
「お前……付与魔法を重ねられるのか?」
「えっと……はい」
すると、カウンターから出てきたガンドルさんは入口から外に出ちゃった。少しして戻って来たら看板を手に持ってたの。
「(あれ?店閉めちゃった)」
どうしようかとそわそわしていると、
「……こっちに来い」
私とレイブンさんはお互い目を合わせてからガンドルさんの後に続いて奥に行ったよ。
お店の奥は武器を作る作業場になっており、釜戸に火を入れた熱気で汗が吹き出るほどだった。ガンドルは作業場のまた奥にある鉄の扉を開ける。薄暗いものの、武器庫であろうその中に入ると、棚ごとに剣や弓矢などの武器が雑然としまわれていた。しかし、それに目を向けること無くガンドルは倉庫の奥の壁に飾られた2本の剣を手に取った。そのうちの1本をソフィアに手渡す。
「これに幾つ付与魔法がかけられるか、分かるか?」
ソフィアはじっと剣を見つめる。他のみんなはソフィアの様子を窺う。
付与魔法は特定の魔法がかけられるのが一般的ではなく、武器に応じてかけることが出来る個数や魔法の属性種類が限られることの方が多い。と言うのも、武器を作る職人の技術によって個人差が現われるのだ。作り上げる技術と精神の間にある魔力の調節で作られているとされているが、未だ解明されていないところがほとんど。そして若手の職人であれば、せいぜい1、2個で優秀な方だがベテランの域に達すると5個以上になる。
そしてガンドルの父ゲザロムも鍛冶屋を生業にしていたが、国が認めた魔法使いが鑑定し10個の付与魔法がかけることが出来る剣を製作することに成功したことで国内最高峰の職人となった。ゲザロムが製作した数々の剣のうち、優れた武器度々は王族に献上していた。しかし、その当時様子を見ていたガンドルはへつらってばかりいた父を嫌い、貴族をも疎ましい存在だと偏向していた。しかし、父の腕は認めていたガンドルは父の跡を継ぎ鍛冶屋となったが、開店したことを聞きつけた貴族達が続々とやって来ては無茶な注文を付けてきた。注文通りに作って渡してもお礼どころか悪口ばかり言う貴族達に我慢ならなくなったガンドルは開店して僅か1年で休業した。
そこから再び開店できたのにはダグラスの力によるものだった。ダグラスとガンドルは古くからの旧友だったため、ガンドルとの性格はよく知っていた。再開させるためにはどうしたらいいかとあれこれ思案した結果、冒険者をニーズにした鍛冶屋の形でガンドルも納得し、現在の状態になった。
ガンドルは目の前で真剣にゲザロムの遺作を視ている幼子に目を疑った。
「(こんなチビが付与魔法を使える……それに重ねてかけられるとは大の魔法使いでさえ難しいとされる……あのチビは一体、何者なんだ)」
「……この剣、光魔法に特化しているみたいです。付与魔法は……えっと、個数、魔法属性共に制限無くかけることができるみたいです」
……どちらも制限無しだと!?
「本当か?」
「私の確認出来る限り、間違いないです」
やはり……そうか。
「……この剣は格が違いますね。作った職人さんの精神以上に色んなものが込められている感じがします」
「……」
ガンドルはソフィアに背を向けた。
「や、やっぱり私の間違い……でしょうか?」
「これは……親父の遺作だ」
この剣は親父が王族に献上しなかったもの。理由までは聞かなかったが、これを見ていたときに一度だけ言われたことがある。
【これは、お前が見極めた奴にだけ渡してやれ。金は取るな】
そんなことを言われた当初は正気か?と疑ったが、今このチビを前にして分かった。
「──やる」
「「えっ!?」」
「こっちもな」
ガンドルはもう1本の剣をソフィアに手渡す。この剣はガンドルがゲザロムの指導の元に作った1本。父親の域には届かなかったものの、生前に唯一認められた傑作である。
「おい、ガンドルさんよ?この剣かなり貴重なんじゃねえのか?」
「そうですよ!私にはとても手に余ると思いますが…?」
「こいつらは扱える奴が限られる。それに……」
ガンドルは髭を撫でながら、
「お前になら親父も文句は言わねぇ……儂もな」
このチビには武器を見る目がある。それに終始一貫して闇が見えなかった。ギルドからの紹介ってことは冒険者か。
「……おいチビ、名前はハンネと言ったか」
「はい」
「必要な武器は何だ?」
「……へっ?」
「ギルドの紹介で来たんだろ。何がいるんだ」
「じゃあこの剣は……一体?」
「それはついでだ」
「つ、ついで…ですか」
「太っ腹だな…」
元々このチビ……ハンネを試すだけだった剣を手渡しただけだ。別に大差ない。
「えっと、じゃあ……護身用の剣とかありますか?」
「なら……」
それからはガンドルと打ち解けたソフィア達は自分にあった短剣を貰うことが出来た。ソフィアは短剣分はせめて払おうとしたが強く拒まれてしまった。
「本当に……良かったんですか?」
「いいったらいいんだっ!」
全く……何度言ったらいいんだか…そういえばこいつ、防具はあるんだろうか?
「なあ、防具は揃えたのか?」
「それは、長旅になるので揃えようと思っていたところなんです」
「そうか。なら丁度いいな」
そう言ってガンドルは倉庫の中をあさりだした。
「(確かここら辺に……ああ、あった)」
「ハンネ、こっちに来い」
とことこ小走りでガンドルの元に向かう。
「これ着てみろ」
ガンドルが手渡したのはロが胴回りが鎧みたいな防具。ソフィアが持ってみると、それほど重くなかった。
「……着たか?」
「はい」
「どうだ」
……防具の割には身動きが取れて体に合うように作ってみたものだ。その分、防御力はあまりないのが難点な1品だ。
「軽くて、動きやすいです」
ガンドルは頷く。
「防具としてはいまいちだが、軽くしてある。くれてやると言いたいところだが、お前が食い下がりそうにないからな」
「はい!」
「金貨5枚だ」
「はい」
「また来ます!」
「長旅なんだろ。暇なときに来るといい」
「はい!」
ガンドルは商品を片付け始める。
「(ハンネは幼子にしては頭が回る。しかし頑固なところもある……全く、面白い子どもだった)」
「ガンドルさん」
ガンドルは顔を上げる。そこには、店を出たはずのハンネがいた。
「まだいたのか」
「1つ言い忘れたことがあって」
「何だ?」
ガンドルは、ハンネの顔を目を逸らすことが出来なかった。
「ありがとうございました!」
そこで気が付いた。ハンネの髪と瞳の色がソフィアにそっくりだということに。あの誕生祭のとき、実はガンドルも珍しく教会に行っていたのである。
「ハンネ、お前は──」
「それじゃあ、さよなら!」
ガンドルの言葉を聞かずに店を後にした。
「……」
1人残されたガンドルはぽつりと呟いた。
「……悪くないな」
「良かったのか?バラして」
「ガンドルさんには嘘つけないもん」
《((ソフィアは優しいのう))》
〈((そうだな……だからこそ皆に愛されているんだろうな))〉
「((なんだか照れちゃうよ~))」
「エリックには残念だが、これで大体準備が整ったな!」
「あっ、そうだね……(エリックさんに謝っておこう)」
グライ、オーヴィを含め全員に、残念そうなエリックの顔が浮かんだ。
ぶるぶるっ。
「何やら悪寒がしたような……気のせいか」
◇◆◇◆◇
お久しぶりです!
いつも見てくださっている方もちらっと見てくださった方もありがとうございます(*´ω`*)
投稿が中々出来なくてすみませんm(_ _)m
プラトーですかね……地道に頑張ります。
それから登録者数190越え!?嬉しいです!!
(((o(*゚▽゚*)o)))わぁーいわぁーい
これからもよろしくお願いします!
「は…初めまして、ギルドの紹介で参りました。ハンネです……」
疑うような顔で私を睨んでいるのは鍛冶屋の主、ガンドルさん。私より少し大きくて、ドワーフさんなの。冒険者の武器を基本的に作ってるってダグラスさんが言ってたよ。
──それは今朝のことだった。
「おはよう、ソフィア」
「エリックさん!」
ソフィアの部屋にやってきたエリック。ソフィアはエリックの元に駆け寄って挨拶する。
「おはようございます!」
「よく眠れたか?」
「はい!ぐっすりです」
それを聞いてエリックはソフィアの頭を撫でる。そして部屋を見回して呟く。
「ソフィアがここを出るまで…2、3日か」
「あっという間ですね…」
「何度も言うが、いつでも戻って来ていいからな」
「ありがとうございます」
「それにしても、ソフィアには護身用の何か持っているのか?」
基本的に魔法があるから大丈夫かなって思ってたけど、やっぱり護身用とかいるかも。
「持ってないです」
「じゃあ準備しておいた方がいいな……」
すると、扉の前に気配が。
「ベラです、失礼します」
「ああ、どうした?」
「ソフィア様にお手紙が届いております」
「私に?」
「はい、こちらでございます」
ベラさんに貰った手紙には表に私の名前、裏には“国営ギルド”の文字があったよ。
「ギルドからか?」
「はい……何でしょう?」
エリックさんに渡して中を開けてもらう。
「……タイミングが良すぎて時々恐ろしく思えるな。リーリエ殿は」
「リーリエさんは恐ろしくないですよ?」
「それを言えるのは、ソフィアくらいだ……」
手紙にはギルドから武器を自由に貰えるみたい!ただ…鍛冶屋に行って自分に合うものを見て欲しいらしいんだけど、鍛冶屋の主がとても気難しい性格なんだって。ソフィアの姿だと嫌がるかもしれないからハンネの姿で行った方が良いかもって書いてあったけど……大丈夫かな?
「──大変そうだな?」
突然の声に2人は振り返る。そこには見慣れた人物がいた。
「「レイブン(さん)!?」」
「久しぶりだな、エリック。ソフィアは昨日ぶりだな」
「どうしたの?」
「サブマスに呼ばれたんだ。ソフィアがあの鍛冶屋に行くから保護者として行くようにってさ」
「そうなんだ……」
──ということで今に至る。
「こんな赤子に儂のを扱える訳が無い」
「そう言うと思ったからギルドの紹介で来たんだぞ?」
「ふんっ!」
ソフィアの傍にグライと昨日森から帰ったオーヴィが来る。他のみんなは森に戻って何かやることがあるみたい。
《これはどうしようもないドワーフじゃのう……》
〈どうしたものか……〉
「しょうがないよね。ガンドルさんがこう言っているから……他のお店でも良いよ?」
「そうか?でも金はかかるぞ?」
「良いよ、あの薬草採取の依頼で受け取ったお金ならまだあるからね。それにどんな剣でも付与魔法を重ねれば耐久性は上がるからね」
「……ちょっと待て」
すると、ガンドルさんが引きとめたよ?
「はい……?」
「お前……付与魔法を重ねられるのか?」
「えっと……はい」
すると、カウンターから出てきたガンドルさんは入口から外に出ちゃった。少しして戻って来たら看板を手に持ってたの。
「(あれ?店閉めちゃった)」
どうしようかとそわそわしていると、
「……こっちに来い」
私とレイブンさんはお互い目を合わせてからガンドルさんの後に続いて奥に行ったよ。
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「これに幾つ付与魔法がかけられるか、分かるか?」
ソフィアはじっと剣を見つめる。他のみんなはソフィアの様子を窺う。
付与魔法は特定の魔法がかけられるのが一般的ではなく、武器に応じてかけることが出来る個数や魔法の属性種類が限られることの方が多い。と言うのも、武器を作る職人の技術によって個人差が現われるのだ。作り上げる技術と精神の間にある魔力の調節で作られているとされているが、未だ解明されていないところがほとんど。そして若手の職人であれば、せいぜい1、2個で優秀な方だがベテランの域に達すると5個以上になる。
そしてガンドルの父ゲザロムも鍛冶屋を生業にしていたが、国が認めた魔法使いが鑑定し10個の付与魔法がかけることが出来る剣を製作することに成功したことで国内最高峰の職人となった。ゲザロムが製作した数々の剣のうち、優れた武器度々は王族に献上していた。しかし、その当時様子を見ていたガンドルはへつらってばかりいた父を嫌い、貴族をも疎ましい存在だと偏向していた。しかし、父の腕は認めていたガンドルは父の跡を継ぎ鍛冶屋となったが、開店したことを聞きつけた貴族達が続々とやって来ては無茶な注文を付けてきた。注文通りに作って渡してもお礼どころか悪口ばかり言う貴族達に我慢ならなくなったガンドルは開店して僅か1年で休業した。
そこから再び開店できたのにはダグラスの力によるものだった。ダグラスとガンドルは古くからの旧友だったため、ガンドルとの性格はよく知っていた。再開させるためにはどうしたらいいかとあれこれ思案した結果、冒険者をニーズにした鍛冶屋の形でガンドルも納得し、現在の状態になった。
ガンドルは目の前で真剣にゲザロムの遺作を視ている幼子に目を疑った。
「(こんなチビが付与魔法を使える……それに重ねてかけられるとは大の魔法使いでさえ難しいとされる……あのチビは一体、何者なんだ)」
「……この剣、光魔法に特化しているみたいです。付与魔法は……えっと、個数、魔法属性共に制限無くかけることができるみたいです」
……どちらも制限無しだと!?
「本当か?」
「私の確認出来る限り、間違いないです」
やはり……そうか。
「……この剣は格が違いますね。作った職人さんの精神以上に色んなものが込められている感じがします」
「……」
ガンドルはソフィアに背を向けた。
「や、やっぱり私の間違い……でしょうか?」
「これは……親父の遺作だ」
この剣は親父が王族に献上しなかったもの。理由までは聞かなかったが、これを見ていたときに一度だけ言われたことがある。
【これは、お前が見極めた奴にだけ渡してやれ。金は取るな】
そんなことを言われた当初は正気か?と疑ったが、今このチビを前にして分かった。
「──やる」
「「えっ!?」」
「こっちもな」
ガンドルはもう1本の剣をソフィアに手渡す。この剣はガンドルがゲザロムの指導の元に作った1本。父親の域には届かなかったものの、生前に唯一認められた傑作である。
「おい、ガンドルさんよ?この剣かなり貴重なんじゃねえのか?」
「そうですよ!私にはとても手に余ると思いますが…?」
「こいつらは扱える奴が限られる。それに……」
ガンドルは髭を撫でながら、
「お前になら親父も文句は言わねぇ……儂もな」
このチビには武器を見る目がある。それに終始一貫して闇が見えなかった。ギルドからの紹介ってことは冒険者か。
「……おいチビ、名前はハンネと言ったか」
「はい」
「必要な武器は何だ?」
「……へっ?」
「ギルドの紹介で来たんだろ。何がいるんだ」
「じゃあこの剣は……一体?」
「それはついでだ」
「つ、ついで…ですか」
「太っ腹だな…」
元々このチビ……ハンネを試すだけだった剣を手渡しただけだ。別に大差ない。
「えっと、じゃあ……護身用の剣とかありますか?」
「なら……」
それからはガンドルと打ち解けたソフィア達は自分にあった短剣を貰うことが出来た。ソフィアは短剣分はせめて払おうとしたが強く拒まれてしまった。
「本当に……良かったんですか?」
「いいったらいいんだっ!」
全く……何度言ったらいいんだか…そういえばこいつ、防具はあるんだろうか?
「なあ、防具は揃えたのか?」
「それは、長旅になるので揃えようと思っていたところなんです」
「そうか。なら丁度いいな」
そう言ってガンドルは倉庫の中をあさりだした。
「(確かここら辺に……ああ、あった)」
「ハンネ、こっちに来い」
とことこ小走りでガンドルの元に向かう。
「これ着てみろ」
ガンドルが手渡したのはロが胴回りが鎧みたいな防具。ソフィアが持ってみると、それほど重くなかった。
「……着たか?」
「はい」
「どうだ」
……防具の割には身動きが取れて体に合うように作ってみたものだ。その分、防御力はあまりないのが難点な1品だ。
「軽くて、動きやすいです」
ガンドルは頷く。
「防具としてはいまいちだが、軽くしてある。くれてやると言いたいところだが、お前が食い下がりそうにないからな」
「はい!」
「金貨5枚だ」
「はい」
「また来ます!」
「長旅なんだろ。暇なときに来るといい」
「はい!」
ガンドルは商品を片付け始める。
「(ハンネは幼子にしては頭が回る。しかし頑固なところもある……全く、面白い子どもだった)」
「ガンドルさん」
ガンドルは顔を上げる。そこには、店を出たはずのハンネがいた。
「まだいたのか」
「1つ言い忘れたことがあって」
「何だ?」
ガンドルは、ハンネの顔を目を逸らすことが出来なかった。
「ありがとうございました!」
そこで気が付いた。ハンネの髪と瞳の色がソフィアにそっくりだということに。あの誕生祭のとき、実はガンドルも珍しく教会に行っていたのである。
「ハンネ、お前は──」
「それじゃあ、さよなら!」
ガンドルの言葉を聞かずに店を後にした。
「……」
1人残されたガンドルはぽつりと呟いた。
「……悪くないな」
「良かったのか?バラして」
「ガンドルさんには嘘つけないもん」
《((ソフィアは優しいのう))》
〈((そうだな……だからこそ皆に愛されているんだろうな))〉
「((なんだか照れちゃうよ~))」
「エリックには残念だが、これで大体準備が整ったな!」
「あっ、そうだね……(エリックさんに謝っておこう)」
グライ、オーヴィを含め全員に、残念そうなエリックの顔が浮かんだ。
ぶるぶるっ。
「何やら悪寒がしたような……気のせいか」
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いつも見てくださっている方もちらっと見てくださった方もありがとうございます(*´ω`*)
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