キャンバスメモリアル

Daddy

文字の大きさ
8 / 32
出会い

第8話 常識

しおりを挟む

「どうして…」
「何でお前がここにいるんだ!シキ!」

ルフラの声を遮って、ブルが叫んだ。

「お前こそ、何でここにいるんだよ。」
「俺は、王国騎士団に入団するためにいるんだ!お前は何をしてるんだ?」
「いや、お前騎士団とか今まで口にしたこともねーじゃん。」
「別にいいだろーが、俺のことは!質問に答えろ!」
「別にいいだろーが、俺様のことも。」
「よくねーよ!色も無いのに、こんな沖まで…」
「…色がなくてもボートで来れんだよ。」

ルフラが口を開いた。

「シキ…君は元気そうだね。遭難してたんじゃないんですか?」
「そーなんだよ。大陸まで渡ろうとしてたら、ボートが壊れちまってさ。」
「……そうですか。」
「だから、助けたついでに大陸まで送ってくれないか?」
「まぁ、いいでしょう…ところで、君は本当に色を持ってないのですか?」
「……だから、なんだよ。色無しがそんなに珍しいか?」
「まぁ、確かに珍しくはありますが……」
「……っ色無しが、俺以外にいるのか?」

シキもブルも驚いた表情を見せていた。
フナバ島に色無しはシキしかいなかったからである。
2人の表情を見て、ルフラが言った。

「……君たちは、色についてどのように学びましたか?」
「3色あること…赤が火を、青が水を、黄が電気を操れることです。」

と、ブルが答えた。

「まぁ、あの島で生きていくにはそれで十分…次の港までは3日ほどかかります。ブル、ついでにシキ、色についての常識を教えましょう。」
「別にいいよ。俺は教わったって意味ねーし。色がなくてもどうにかなるだろ。」
「君が何をする気かは知らないが、知識は持ってた方が良いと思いますが?」
「色の話はいいんだよ。別に色が無かろーが、俺は島で1番強かったんだから。」
「…へぇ、君は強いのですね。色無しなのに…」
「…何だよ?嘘だと思うなら、ブルにでも聞けよ。」
「さぞ、島の者たちが弱かったのでしょう。色無しに負けるとは…」
「……」
「色無しの君が嫉妬して、3色持ちの少女に何かしたんじゃないのですか?」

ルフラが言い終えた途端、シキがルフラに殴りかかった――瞬間、シキはルフラの足元で空を見上げていた。

「強いですね。色無し。」

ルフラは静かに言った。
シキはすぐさま立ち上がり、ルフラの両肩を持って頭突きをしようとした時――
目の前が紫色に染まり、シキは意識を失った。

――

シキが意識を取り戻すと、寝具の上だった。
ブルが隣に座っていた。

「――くそっ。」
「起きたか。ルフラさんのところに行くぞ。――もう、暴れるのは無しだぞ。」
「……わかった。」

シキは落ち着いていた。全く相手にならなかったことを、悔しかったが素直に認めた。

「入ります!」

部屋の奥でルフラが座って待っていた。

「2人ともそこに座ってください。シキ、先程は失礼なことを言って、申し訳ありませんでした。けれど、現実を知ってほしかったのです。君はまだ若く、世の中は広い――」
「いや、俺の方こそ、すまなかった。――教えてくれ。色について。」

ルフラは2人に色について、説明を始めた。

「まず色とは、本人の適性を視覚化したものです。……3色、それぞれに水、火、電気と適性がついています。そこまでは君たちも知っている通りです。」
「…では、色(適性)はどのように決まっていくと思いますか?」
「……遺伝?」
「そうです。ブル、君の親も青だったのでしょう。基本的に色は遺伝します。ですが、それだけではありません。――環境です。2人のいたフナバ島ですが、青の人々が多かったでしょう?」

ルフラの説明はわかりやすかった。
――遺伝と環境によって、色が決まっていくこと。
――青と赤が多くの割合を占めること。対して黄は少ないこと。色無しも少なからずいること。
――色無しも環境によって、後天的に色を持つことが多いこと。

「ここからが、私たちがフナバ島に来たことと関係してきます。――君たちの島に2色持ちはいましたか?」
「いや……」
「そうでしょう。2色持ちは黄よりも珍しい。ましてや3色持ちは今まで現れていませんでした。」
「だから、来たんだろ?」
「その通りです。――ですが、もう少し理由があります。色は混ざるのです。」
「……はあ?」

ルフラは掌から紫色の煙を出してみせた。

「それ、さっきの…」
「そうです。私は赤と青の2色持ちです。色を混ぜ合わせ、発現させるとこのようになります。つまり、3色持ちの少女――イロは、今まででは考えられない色を出すことができると予想されます。使い方次第では、世界に危険が及ぶこともあるでしょう。故に、私たち王国騎士団が勧誘――保護しに来たのです。」

シキは、話の大きさに呆然と立ち尽くした――
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

【完結】花咲く手には、秘密がある 〜エルバの手と森の記憶〜

ソニエッタ
ファンタジー
森のはずれで花屋を営むオルガ。 草花を咲かせる不思議な力《エルバの手》を使い、今日ものんびり畑をたがやす。 そんな彼女のもとに、ある日突然やってきた帝国騎士団。 「皇子が呪いにかけられた。魔法が効かない」 は? それ、なんでウチに言いに来る? 天然で楽天的、敬語が使えない花屋の娘が、“咲かせる力”で事件を解決していく ―異世界・草花ファンタジー

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

処理中です...