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出会い
第13話 手合わせ
しおりを挟む――シキはアカの自宅で食事をしていた。
アカが食事を持ってきた。
「お待たせ~。2人ともご飯だよ~」
「おお~。アカのご飯はいつも美味しそうじゃのう~」
シキが2人を前にして、口を開いた。
「改めまして、しばらくお世話になります。」
「ふん。気が動転して言ったとはいえ、男に二言はないからの。…とりあえず、タダではおかん。家のことも手伝うんじゃぞ。」
「もちろんです。ありがとうございます。」
その日からシキはゼンタの横の部屋で眠った。
翌日から、シキは精一杯努力をした。
朝は、隅々まで掃除をすませ、
昼は、ゼンタの仕事、生徒への指導に付き添い、
夕方は、アカの代わりに買い出しへ出かけた。
そして、日が落ちた後ゼンタに稽古をつけてもらった。
そんな日々がしばらく続いた。
ある日の夕方、ゼンタがアカを道場に呼び出した。
「アカ、お前は稽古を続けて何年になるかのぉ。」
「そうね。12.3年くらいかな~。」
「そうか…。今日、シキと手合わせしてくれんか?」
「いいよ~」
「じゃあ、よろしく頼んだぞ。」
日の落ちた後――
「よろしくお願いします。」
「うむ。今日はアカと手合わせしてくれ。」
「えっ、アカとですか?」
「そうじゃ。」
「……うす。」
「よろしくね~」
「よろしく…お願いします。」
手合わせが始まって、アカは驚いた。
予想以上にシキは強かった。
「…ん。なかなかやるね~」
シキは無言で手合わせを続けた。
何度もアカに投げられながらも、必死に取り組んだ。
アカは徐々に余裕がなくなり、2人とも声を発さなくなった――
アカの攻撃をいなしながら、シキがアカの腕を初めて掴んだ。
(いけるっ!)
シキがアカを投げようとした時、パンッと何かが弾ける音がした。気づけば、投げられたのはシキだった。
「そこまでっ!」
ゼンタが手合わせを止めた。
「ふぅ~…やるね。シキ君!」
「……ありがとうございました。」
「…それじゃあ、シキ。今日はここまでとする。アカは少し残っとれ。」
シキは黙って道場を後にした。
ゼンタはアカに尋ねた。
「シキはどうじゃった?」
「予想以上だよ。もういいんじゃない?」
「というと?」
「体内の色(魔力)操作による、力の込め具合とか上手だったし。私、色使っちゃったもんね。」
「そうじゃな…今日は助かったわい。」
「いいってこと!」
ゼンタは道場を後にした。
「よーしよし!助かったって。おじいちゃん認められる日も近いな。」
「もうすぐ、あたしがセキ~♪」
アカは1人になり、楽しそうに踊っていた――
――ゼンタはシキの部屋へと向かっていた。
「シキ、入るぞい。今日はどうじゃった?」
「……まだまだでした。」
「そうかのう。幼い頃から鍛錬を積んできたアカ相手によくやっておったよ。」
「でも、勝てませんでした。」
「……アカは色を使ったからのう。なぁ、シキ。お主の色は何じゃ?」
「……ありません。」
「何じゃ、色無しか?」
「……そうです。だから、技術を磨きたくてお願いしました。」
「……ふむ。そうか。――シキ。来週、試験を行う。そこでアカに勝てば、合格としよう。」
「わかりました。頑張ってみます。」
「では1週間、頑張るんじゃよ。」
ゼンタはシキの部屋を後にした――
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