キャンバスメモリアル

Daddy

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出会い

第14話 試験

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――ゼンタと会話をした次の日から、シキは今まで以上に頑張ってた。

朝は、手早く掃除をすませ、ゼンタに指導を乞い
昼は、ゼンタの仕事、生徒への指導に付き添いながら、自らにも落とし込み
日が落ちたは、再び後ゼンタに稽古をつけてもらった。

そして1週間後、夕食を囲んでいる時――

「シキ君。凄い頑張ってるね!どうおじいちゃん?」
「うむ、よく努力しておるよ。元々、力はあったからのう。動きが格段によくなっておる。」
「…ありがとうございます。」
「そこでじゃ。明日、試験を行おうと思う。」
「凄いじゃん!シキ君。今までで1番早いんじゃないかな!」
「…アカ、明日の試験で相手になってやってくれんか?」
「いいよ~。任せて!」
「……よろしくお願いします。」

――夜が明けた。
道場に3人の姿があった。

「では、今から試験を行う。シキ、アカ準備はよいな?」
「……うす。」
「私もいいよ~!」
「では、始め!」

シキは合図と共にアカに向かっていった。
アカは驚きはしたが、それをいなしていく。

「凄い!凄いよ!シキ君。たった1.2週間で!」
「……」

シキの攻撃はいなされていくが、アカもシキの勢いに攻めきれずにいた。
そのうち、アカも真剣な表情を見せ始めた。
繰り返される攻防のなか、アカが大きく息を吸った。
その瞬間をシキは見逃さなかった。
アカの腕を掴み、投げようとした――
パンッという音と共にシキがアカに投げられた。

「そこまでっ!」

ゼンタが声を上げた。

「本当に凄いよ!シキ君。あたし負けちゃうかと思った!」
「試験はここまでとする。……シキ、合格じゃ。」
「よかったね!シキ君!」
「……アカ、お主は不合格じゃ。」
「――え?」

ゼンタの言葉にアカは戸惑った。

「……どういうこと?これはシキ君の試験でしょ?」
「アカ。お主は最近セキと名乗ってるそうじゃな。」
「……」
「本当にセキと認めるかどうかもみておったのじゃ。」
「……勝手に言ってたのは悪いけど、あたし勝ったよね?」
「確かに勝った。……じゃが、負けたのじゃ。」
「いやいや、意味がわからない。あたし十分強いし、いい加減セキを譲ってくれてもいいじゃん!」
「色を使ったじゃろう。」
「ダメって言われてないから!」
「シキは使っとらん。シキに投げられそうになって使ったということは、色抜きでは負けておる。」
「……そんなの、屁理屈じゃん。勝ったんだからいいでしょ!」
「アカ、色を使って勝つということは技術で負けてるということじゃ。ここは、守るための技術を教える場。ただ、相手に勝つためではない。お主は何を守るために、シキを投げたのじゃ。」
「……」
「お主にはセキの名はまだ早い。」

アカはその言葉を聞くと、道場を飛び出していった。
ゼンタがシキに声をかけた。

「助かったわい、シキ。よく1週間でやってくれた。」
「いえ、自分のためでもあったんで…。アカはいいんですか?」
「いいんじゃ。アカは確かに強い。だがな、最近は鍛錬もろくにせず、強いことにあぐらをかいとったからな。これで、初心を思い出してくれればいいんじゃが…」
「……そうすか。」
「ところで、シキ。お主は本当に合格じゃ。ここでの鍛錬を忘れずに、日々努力し続ければ大抵のことは大丈夫じゃろう。」
「うす。ありがとうございました。」
「……これから、どうするんじゃ?」

シキはイロの話を詳しくゼンタに伝えた。

「そうか。キャンバスを探しにのう。……すまんが、力にはなれそうにないのう。」
「いえ、もともと本当にあるのかもわからないので…」
「まぁ、今日まではゆっくりしていけ。そうじゃ、アカにもその話をしてやってくれんか。」
「ありがとうございます。…わかりました。」

シキとゼンタは道場を後にした。
シキが部屋に戻ると、アカが外をぼーっと見ていた。
シキはどう声をかけようかと迷いながら言った。

「――その、今日は残念だったな。」

アカはシキを睨みつけながら言った。

「シキじゃないよね?セキのことバラしたの…」
「違う違う。ゼンタさんは知ってたんだ。」
「……まぁ、本当に疑ってるわけじゃないけどさぁ。」
(街中で名乗ってれば、そらばれるだろ)
と、シキは思ったが口には出さなかった。

「いつからかな~。あたし成長してるって思えなくなってさ。負けることも少なくなって…あたし強いんだ~って思ってた。そしたら、まぁやる気も無くなって。…今日は負けたけどさ。」
「いや、アカは強いよ。今日だって勝ったとは思ってねぇ。」
「ううん。おじいちゃんに言われた時、ハッとした。シキの試験なのに、何で勝つことを優先したんだろうって。ただ負けたくなくて、あたしは強いって自分の小さな意地を守ってるんだと思った。ダサいな~…」
「いや、負けたくないって気持ちは当たり前だろ。」
「……ありがと。でも、同じ土俵で戦うべきだった。シキはまだ、色との組み合わせまでしてないんだから。」
「…俺に色はない。今日の試験で終了だ。」
「……え?」
「俺はこの体だけでやっていくしかないんだ。」

そこから、シキはイロの話を詳しくアカに話し、明日旅立つことを伝えた。

「……そっか。――よし、決めた!」

そう言ってアカは部屋を飛び出していった。

(――え?何を決めたんだよ?)
シキは訳が分からなかったが、とりあえず元気になったアカを見てホッとした。

――夕食

「シキ、お主はよく頑張った。これからも鍛錬を続けるのじゃよ。」
「うす。ありがとうございました。」
「シキ君!本当に頑張ったね!」
「おう。……ところで、アカは何を決めたんだよ。」
「ふふん。それは秘密だよ。」
「何の話じゃ?」
「いや、俺にもわかんなくて……」
「もーいいじゃん!今日はシキ君の送別会って事で楽しもうよ!」

その日の夕食はシキにとって楽しい時間になった。
ゼンタもアカも楽しそうにしていた。

――次の日、玄関にシキとゼンタがいた。

「本当にお世話になりました。あの、アカとのことですが…」
「わかっておる。お主とアカの間に何もないことくらい。」
「……ありがとうございました。」
「うむ、頑張るんじゃよ。――ところで、アカのやつはどこにいったんじゃ。」
「……さあ?俺も知らないっす。」
「まぁ、よい。気をつけての。」

シキはゼンタに深く頭を下げて、その場を立ち去った。
門まで来た時、後ろから大きな声がした。

「シキー!走って走って!」

アカが凄い勢いで走って来る。

「早く!早く!」

アカの後ろから、ゼンタも走ってきている。

「待たんか!アカー!」
「嫌だよ!おじいちゃん!あたし、シキと旅して来る!」
「許さん!おじいちゃんは許さんぞー!」

シキは勢いに押され、走り出した。

「じゃーね!おじいちゃん。あたし、シキと旅して守るってことについて、考えて来るからー!」
「それはいいが、男と2人旅など許さーん!」

シキとアカは恐怖を感じ、全力で走った。
次第にゼンタの声は遠くなっていった――

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