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出会い
第15話 次の街へ
しおりを挟む「はぁ――はぁ――」
シキとアカは息を切らしていた。
「――ふぅ。ここまでくれば大丈夫でしょ!」
「――はぁ、はぁ。アカ、よかったのか飛び出して…」
「いいの、いいの!シキに負けてやり直さなきゃって思ったし。」
「別について来なくてもできるだろ。」
「――ううん。それじゃ意味ないから。思い切って環境を変えたら頑張れるしさ。ところで、これからどーすんの?」
「……お前、ゼンタさんの前と話し方変わるよな。」
「あ~…気づいた?ほら、おじいちゃんの前では可愛い孫でいてあげたいじゃん?あっちの方がいい?」
「いや、今の方が気楽だしアカらしいと思うよ。」
(最初に会った時は今の話し方だったし……)
「――そ、そう?なら、これでいくね!」
アカは少し照れ臭そうな表情を見せていた。
2人は話しながら歩いた。
「…これからだけど。」
「うん!どーすんの?」
「決めてない。」
「――え?」
「だって、手掛かりもねーし。とりあえず色んな場所に行って聞き込みかな…と。」
「シキってこう…行き当たりばったりというか…。」
「悪いかよ!」
「別に~。じゃあさ、キャンバスの街って言われてる所に行こうよ!」
「何だそれ?」
「ん~ほら、思い出を残すキャンバスがあるじゃん?知らない?」
シキはゴルドーのキャンバスを思い出した。
「――あ!」
「知ってるみたいだね。思い出を色に乗せてキャンバスに映すやつだよ!あれの名産地。」
「…そうか。イロの色を奪ったキャンバスのヒントになるかも知れない。」
「まぁ、市販のキャンバスは色を奪ったりできないけど、何かのヒントは得られるかもしれないじゃん。」
「そうだな。そこに行こう。」
この世界には思い出を残すキャンバスがある。
とても高価だが、そのキャンバスに色を流し込むと
その人の思い出が映像のように残される。
シキとアカはそのキャンバスの名産地――ハンプという街に向かうことにした。
「そーいえば、アカの色って何なんだ?試験の時に使ったって言ってただろ?」
「ふふん。知りたいかね?」
「……いや、別にそこまで」
「いいだろう。教えてしんぜよう!」
「いや、別にいいって…」
アカは手をシキに向けて伸ばした。
パンッと弾ける音と共に、手の甲で小さな爆発が起こった。
「これが、あたしの色。ほら、セキ流護身術って投げが基本になるでしょ?だから、それの補助としてイメージしていったらこうなったのさ!」
「……なるほど。それで勢いをつけて、投げる力を増やしてるのか。」
「そーなの!これにたどり着いた時、自分で天才かと思ったね。」
「――なぁ、色を使うってどんな感覚なんだ?」
「ん~そうだねぇ…。体の中を流れる力を外に押し出すと自分のイメージと重なって、発現するって感じかな~。――ほら、火の玉投げた強盗いたじゃん?あれとかボール投げからイメージしてたりするんじゃないかな?」
「イメージがあればできるのか?」
「いや、もちろん努力は必要だよ?何度も試して、慣れていくって感じかな。」
「……なるほどな。俺も色があればなぁ。」
「――?シキも色自体はあるよ?」
「え?」
「あ、いや、色っていうか体の中を流れる色――気とか魔力とか言ったりもするけど、それ自体はみんな持ってるからね。」
「……じゃあ、俺も何か発現できるのか?」
「んー……それは難しいんだ。ほら、色見式ででた色が適性色になるから、私なら赤だったから火――爆発を起こせるわけで…。色を持ってないと気はそのまま出ちゃうから、風が吹くみたいな感じになるんだよね。」
「…そうなのか。アカはよく知ってるな。」
「まぁ、伊達にセキ護身術の家に生まれてないからね。…でも、ほら今後色が出たらシキもできるようになるかも!」
シキは希望が見えた。今後、色を獲得できれば、さらにイロを守れるようになるかもしれないと――
そんな話をしながら歩いているうちに、日が暮れてきた。
「ハンプまではまだ距離があるねー。明日には着くと思うけど……」
「今日はここら辺で野宿するか。」
「う~ん。仕方ないね。」
2人は適当な木の下に荷物を置き、アカが少しだけ持ってきていた食料を分けて夕食をとった。
夕食を終え、しばらくしてアカがつぶやいた。
「……じゃあ、シキ。そろそろしよっか?」
「――は?」
アカは立ち上がってシキに近づいて来る。
シキは戸惑った。何の話かわからなかった。
「――ほら」
アカがシキに手を差し伸べる。
シキは戸惑ったまま、その手をとった。
「えいっ!」
シキはアカの足元で綺麗な星空を見ていた。
「油断してるから、投げられるんだよ!さ、組み手始めるよ!」
「――あ、あぁ、組み手か。そうだよな。」
「何か、別のこと考えてたでしょ?」
アカが笑って言った。
「……始めよう。」
シキとアカはしばらく組み手を行った。そして、疲れ果てて眠りについた――
翌日の昼頃に2人はハンプに到着した。
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