キャンバスメモリアル

Daddy

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出会い

第26話 ズックの思い

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――祝勝会は盛り上がった。シキもアカもズックも大いに酒を飲み、話を楽しんだ。

「よかったよ~。みんなが無事で!」
「本当な!それにしても、ズックには驚いたな!キャンバスに細工して、助けを求めるなんてよ!」
「……」
「本当だよ~。やっぱり腕がいいんだね!」
「いや~、何もしてないとか思って怒ってたの恥ずかしいよな!」
「本当だよ~。私とか、人として良くないとか言っちゃって、ズックさん…ごめんなさ~い。」
「……」

ズックの口がゆっくりと動き出した。

「……俺には、それくらいしか出来なかった。お前たちに言われて、ハッとしたこともある。確かに逃げていたところもあった。だが、お前たちにも知って欲しい。人が皆お前たちのように強いわけじゃないんだ。人はそれぞれ、自分のできる範囲で頑張っている。」
「……」
「……」
「…お前たちは強い。これから出会う人々に、もどかしくなる時もあるだろう。だが、そんな時は寄り添い、その強さで手を差し伸べてやってほしい。」
「――わかったよ、ズック。」
「さすが!あたしも未熟だな~、頑張ります!」
「……さぁ、飲もう!」

3人の祝勝会は、明け方まで続いた――

――ドンドンッ
ドアを叩く音で3人は目覚めた。

「おはよう!さぁ、キャンバス作り習いにきたぞ!」
「……」
「……」
「……」
「何だよ、元気ねーなー。」
「リンネル…。頭が痛い……静かにしてくれ……」
「飲み過ぎなんだよ。いい大人がさー。」
「……」
「……」
「……」

3人は何も言わず、のそのそと起き上がりそれぞれに準備を始めた――

シキとアカが旅支度を済ませ、出発しようとしている。
ズックとリンネルは2人を見送った。

「ありがとう。2人とも!俺これから頑張るね!」
「よかったな、リンネル。立派なキャンバス職人になれよ!」
「頑張ってね~リンネル君。」
「……お前たちの探し物も見つかるといいな。」
「あぁ、ありがとう、ズック。」
「……また、この街に来ることがあったら歓迎するぞ。」
「その時はまた、飲み明かそうね~。」
「じゃあ、またな!」

2人は旅立って行った。
見送りながら、ズックはリンネルに語りかけた。

「……今まで、すまなかった。これからはしっかりと教えてやるからな。」
「もう、いいよ。…ズック、これからは一緒だ。あんまり酒ばっかり飲むなよな。」
「……あぁ、ありがとう。」

久しぶりの晴れやかで暖かい心に、ズックは気づいた。自然と出てくる涙を拭い、リンネルと家の中へと入って行った。
ズックとリンネルの名は世界中に轟くことになるのだが、それはまだまだ先の話――

旅立った2人はさっそく揉めていた。

「だから、金の無駄だったじゃねーか!」
「無駄じゃないよ!銃のおかげで助かったでしょ!」
「1回で壊れたんだろ!」
「それ、あたしのせいなわけ?」
「――それは、知らんけど…」
「なら、文句言わないで!あの店の人見つけたら、問い詰めてやる!」
「……」

シキはそのやりとりも楽しく思いながら、ドラフターへと歩みを進めて行った――
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