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出会い
第28話 クレーム
しおりを挟む――アカを先頭にシキとスネズは食事処へと向かっていた。
スネズか震えているのに気づいたシキが小声で声をかけた。
「――おい。大丈夫か?アカ、怒ってるから怖いだろうけど大丈夫だ、安心しろ?」
「安心できるか!知らん奴らにいきなりキレられてんだぞ。」
「…それもそうだな。でも、大丈夫だ。話せばわかるさ。」
「話せばわかるって言われても、いまいちピンときてないんだよ。」
「銃だよ、銃。ハンプで店出してただろ?」
「……あぁ。その銃がどうしたんだ?」
「1回で壊れたから、怒ってんの。」
「――はぁ?1回で壊れたって…。いや、そうか。」
「なーに、こそこそ喋ってんのさ?」
「いやっ、暑いなって言ってたんだよ。」
「ふ~ん。さ、着いたわよ!」
3人はテーブルを囲んで座った。
震えているスネズが可哀想で、シキは隣へと座った。
「さぁ、聞かせてもらおうじゃない?ハンプで買った銃だけど、1回で壊れたの。どういうこと?」
「…あの銃は、主要部は俺が作ったけど、外装は親方が作ったんだ。」
「――それで?」
「その…外装の強度が足らなかったんだ。少しの色しか対応できなかったんだよ。お前、思い切り色を込めたんじゃないか?」
「――そうね、思い切り込めたわ。でも、そんな説明なかったけど?」
「いや、それは…その……。」
「そのじゃない!気に入って買ったのに、壊れちゃったの!」
「…すみませんでした。」
今にも泣きそうなスネズを見て、シキが助け舟を出した。
「まぁまぁ、アカ。謝ってるしさ、許してやれよ。」
「シキは黙ってて!」
「…はい。」
「あんた…スネズだっけ?職人なんでしょ?未完成で出して恥ずかしくないの?」
「…恥ずかしいさ!俺だって出したくなかった。けど、親方が売れるぞーって勝手に――」
「人のせいにしない!親方も悪いけど、あんたもしっかり止めないと!」
「…はい。すみません……」
「……はぁ。まぁ、いいわ。上に逆らえない気持ちもわかるし、とりあえずは許したげる。文句言えてスッキリしたし!」
「クレーマーじゃん…」
「なんか言った?シキ?」
「…いえ。」
「ねぇ、質問なんだけど。完成品の銃はないの?」
「まだ、試作品しか…」
「試作品!え、見てみたいんだけど!」
「――え、いや」
「いいよね?」
「……はい。」
アカの勢いにスネズはつい受け入れてしまった。肩を落としているスネズを見て、シキはポンと背中を押してやった。
そして、3人はスネズの工房へと向かった。
「……狭いし、汚いけど文句言わないでくれよ。」
「大丈夫!言わない、言わない!」
「……はぁ」
アカは先程とはうってかわって、とても上機嫌になっていた。
「――ここだ。」
スネズは集合住宅の前で立ち止まり、1階の端っこに2人を案内して、扉を開けた。
シキとアカが部屋に入ると、油の匂いや金属の匂いが立ち込めていた。2人の予想以上に部屋はごちゃごちゃとしていた。
「…すごいね。」
「…すげーな。」
2人は部屋中に置いてある、スネズの発明品を見て素直に感心した。
スネズは得意そうに2人に言った。
「ようこそ、スネズの工房へ!」
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