キャンバスメモリアル

Daddy

文字の大きさ
30 / 32
出会い

第30話 セッコウ洞窟

しおりを挟む

――シキが宿で休んでいると、部屋の扉を叩く音がした。
シキか扉を開けると、真剣な表情でアカが立っていた。

「どうした?アカ。」
「シキ、少し相談というか、聞いて欲しいことがあるの。入れてくれる?」
「あぁ、いいけど。どうしたんだよ、そんな真剣な顔して。」

2人はいつに腰かけ向かい合った。

「…シキ、あのスネズって男の子。少し、変わってるの。」
「どういうことだよ?」
「あたしの知ってる機械っていうのは、色を使うと言っても簡単なものしかないの。というか、ほとんどは電気で動くものなわけ。」
「ほ~…」
「まぁ、フナバ島では機械自体が少ないから、いまいち掴めないと思うけど…。彼の考え方とか、作ってるものは大分普通とは違ってる。」
「ほ~…」
「キャンバスのこと、聞いてみたら?」
「それは、そうだな!色の事も詳しそうだったしな!」
「…まぁ、そういうことよ。スネズが作るものは、シキにとってもプラスになるかもしれないし!」
「まぁ、頭においとくよ。――そういや、どうする?今日もするか?」
「――いいよ!」

シキとアカは部屋を出て、組み手をするために近くの広場に向かった。
2人で旅立ってから、続けていた組み手だがアカはシキの成長を感じていた。
技術面、力に関してはシキの方が熟練してきていた。
色がある分アカが勝ち越してはいたが、最近は互角の状況だった。
組み手を終えると、それぞれ部屋へと戻り眠りについた――

翌日、迎えに来たスネズと共に2人は洞窟へ向かった。
道中、シキはスネズに尋ねた。

「なぁ、人の色を奪うことってできるか?」
「何だよ、急に。…そうだな、できないことは無いと思う。」
「本当かっ!?」
「あぁ、理論上はな。でも、無理だろうな。」
「どういうことだよ?」
「色をひっぺがして奪いさればいいだろ?だからできないことはない。けど、そんな技術はまだないし、本人の意思なく色を動かすことはできないから結局は無理。」
「キャンバスを使ってできないか?」
「……いや、本人の意思なくはできないだろうな。それこそ、本人が色の全てをキャンバスに移すことはできても、他人が強制できるもんじゃねーよ。しかも、仮に移してしまったら、生きていけないんじゃないか?」
「そうか…」
「どうしたんだよ?何かあったのか?」

シキはスネズにイロのこと、旅の理由を話した。
スネズは顔をくしゃくしゃにして泣いていた。

「そうか、そうか…。イロちゃんのために……キャンバスを。偉い、偉いなぁシキは~」
「あ、あぁ…ありがとな。」

そんな話をしているうちに、大きな洞窟の前についていた。
入り口にはセッコウ洞窟の看板が立っている。

「…ぐすっ。あ、着いたな…。2人ともここがセッコウ洞窟。鉱石人形オルアマンがいるところだ。ぐすっ…」
「いつまで泣いてんだよ…。スネズ、説明してくれ。」
「…ぐすっ。もう、大丈夫だ。説明するぞ?ここはセッコウ洞窟、世界最大の洞窟だ。進むにつれて高度も下がり、危険な虫や動物も多い。中でも中腹より下に行くと鉱石人形オルアマンっていう、化け物が出てくる。その名前の通り、体は硬い鉱石で覆われていて、大人が5人掛でやっと倒せるくらいだ。」
「その、鉱石人形オルアマンの倒し方は?」
「それはだな…」

スネズは荷物をガサゴソとして、自慢げに何かを取り出した。

「これだ!」
「何だよそれ…」
「知らないのか?これはピッケルという!」
「…それで?」
「これを鉱石人形オルアマンの中心に刺す!そして色を流し込めば倒せるのだ!」
「……はぁ。」
「何だよ。その反応は!これ作るの大変だったんだぞ!」
「いや、それがあるならお前1人でも大丈夫だろ。」
「……それは無理だ!」
「何で?」
「近づけないから。」
「……」

3人はセッコウ洞窟に足を踏み入れた――
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

処理中です...