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一章 出会いと約束
準備
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五階は、家具家電のコーナーだった。僕と瑞稀は家電店のコーナーをめざした。
テレビにはCMが映っていた。見た事のある人気タレントが美味そうにビールを飲んでいる。それを見て少し僕は安心した。映像の中ではあるが、自分と瑞稀以外の存在を、ようやく確認できたからだ。だが、チャンネルを変えた途端、その安堵感も一瞬にして、消え去った。
生番組のようで、画面にはスタジオが映っていた。いつもそこには話術の巧みな人気有名司会者が立っているはずだった。しかしそこに誰の姿もない。脇を固めるレギュラータレントも映っておらず、そこには誰も座っていない椅子が、並んでいるだけだった。
僕は次々とチャンネルを替える。通常どうりの番組が流れている局もあれば、全く何も写らない局もあった。いずれにせよ、テレビから情報を手に入れる方法は無さそうだ。
一体どういうことなんだ...
そう考え込んでいると、くいくいと瑞稀が僕の袖を引く。
「ネット...ネット使えば...いいと思う...」
彼女の言葉に、僕ははっとする。
とても簡単な話じゃないか。
僕はポケットからスマホを取り出す。スマホは奇跡的に無事だった。ポケットの中で締めあげられていたから、変に落ちることがなかったのだろう。
スマホの画面をつけ、まずは回線を確認する。画面の隅を確認すると、「U-Mobile 4G」としっかり表示されていた。そしてロックを解除し、Twitterやそのほかニュースサイトを確認してみるが、14:00を超えたところから、一切の更新がなかった。
「ダメだ。でも、もしかしたら...」
僕はそう一言言ってから、文字盤をタップし始める。
「このツイートをご覧になっている方で東京におられる方はいませんか」
と。
打ち込みが終わった僕は「瑞稀...」と横を振り返る。が、そこには瑞稀がいなかった
「瑞稀!?どこいったんだ!」
思わずそう叫ぶ。と、どこからかタタタタ...と足音が聞こえてくる。
「ごめんね!ちょっと電池式のスマホ用の充電器とか、電池持ってきた!」
「はぁ...心配した...」
僕はそっと胸を撫で下ろす。まぁ、こういう状況だ。仲間が消えたら本当に怖い。
「誠哉くん...ごめん...」
「いや、大丈夫。ちょっとびっくりしただけ。」
そう言って少し、彼女に微笑みかかる。
「とりあえずだ。邪魔にならない程度のリュックサックと、寝袋のようなものも準備する必要があるから、上の階のものとかで揃えよう。」
「うん。そのまえに...ちょっとトイレ行っていい?」
「ああ。途中までついて行くよ。」
「さすがに途中までなのね」
彼女が少し吹き出す。そして、落ち着いた後、歩き出す...
彼女がトイレから出てくるのにはあまり時間はかからなかった。
「ごめんね。色々。」
「色々って...そんな事ないんだけどなあ...」
そのままエスカレーターに乗った僕らは、一個下の階のスポーツ、レジャー用品のコーナーに向かった。
「まずはリュックサックだが...入る量もしっかり見ないとな...」
そう呟きながら僕は壁一面(と言っても僕の背丈くらい)のリュックサックを眺めて、思案する。
「あーでもないこーでもない」と考え込んでいる僕を見てか、
「これでいいんじゃない?これならいっぱい入るし。」
と、瑞稀がひとつのリュックを進めてきた。パッと見は余り入らなさそうだったが、中を開けてみるとかなりの量のものが入りそうだ。
「これで...いいのかな...?」
ここで持ち前の優柔不断さが発揮されてしまう。ダメだダメだと自分に言い聞かせて、
「これにしようか。で、瑞稀はどうするんだ?」
そう答え、瑞稀に質問する。
「ん~...私もこれにする。なんか、お揃いの方が仲間感あるからさ。ね?」
「じゃあ、これを2個と...あと...寝袋みたいなのと非常食かな...」
僕がそう言うと、
「寝袋とかランタンはあっちの方にあったよ!」
と、彼女はある一点を指さす。
「おっ、じゃあ、行くか。」
そして一頻り選んだ後、地下街で食料を揃え、行動の準備は出来た。
「どうする?今日は色々あったから、疲れてるだろうし、もう寝に行くか?」
僕らが外に出た時には、もう入口の時計は5時の手前になっていた。
「うん。でも、どこで寝るの?」
彼女がそう問うて来たので、
「うむ。おそらくはホテルかネットカフェだな」
そう返す。
「う~ん...ホテルはちょっと気が引けるかな...」
彼女は「あはは...」と苦笑しながら、返してくれた。
「じゃあ、ネカフェだな。」
大体の場所は君がトイレに行ってる間に調べてあるからと付け足して、
「もう行く?」
「行く。」
「OK。じゃあ、行くか。」
僕は彼女の手を引き、歩き出した。
10数分ほど歩き、近場にあったネットカフェに到着した。
もちろん、受付などないので、素通りしていく。
受付を超えたあたりで、
「一人一部屋にするか?どうする?」
と聞いてみる。
すると、
「いや、寂しいし、怖いから一緒がいい...」
内心で「おいおいまじか」と思いながらも、
「じゃ、大きい部屋探すか...」
と、地図を見る。この階の隅の方にいい感じの個室があったから、使われていたかを確認しに行く。
中に入って確認したが、この異変より前に、誰も使っておらず、しっかり清掃もされていたし、シャワーも近かったので、結局この部屋にすることにした。
部屋に入るや否や、
「シャワー浴びてきていい?」
と瑞稀が聞いてくるので、
「ああ。ゆっくりしてきな。多分水とかはまだ出るだろうから。」
「ありがと。」
そう一言言って、彼女はタオルを持ってシャワー室へと向かった。
~A few moments later~
「あ~スッキリした~」
そう言いながら彼女は部屋に入ってきた。ノースリーブにショートパンツと涼しそうな格好で帰ってきたのだが、正直目のやり場に困る。
「誠哉くんは大丈夫?」
PCのディスプレイにかじりつく僕を横目に、彼女は聞いてくる。
「ああ、一段落したら行くよ。」
「わかった。もう疲れたからさ、寝るね。でも、絶対変なことしないでね!」
「ん?そんなことするわけないじゃん。というか、そんなことする人だと思う?」
彼女が冗談混じりに聞いてくるので、少し悪っぽい笑みを浮かべて聞き返してみる。
「ま、そんなことする人間じゃないよね。」
そう言って彼女は毛布を被る。程なくして、すうすうと寝息を立てて、眠った。
「はあ...かわいいんだよな...さ、シャワー浴びて僕も寝るか...」
作業が一段落した僕はそう呟いて、部屋を出た。
さすがに誰も居ないとはいえ、無防備な女の子をひとり置いておくのはちょっとダメだったかもしれないかな...と、そんな事考えながら、一日の汗を流した。
シャワーを終えた急ぎ足で部屋に戻る。仮に彼女に何かあったら駄目だから。
個室のドア(?)を開けて、中を見ると、彼女は変わらず、すやすやと心地よさそうに寝ていた。
「寂しいから...か...」
そう呟き、少し悪い気もしたが、彼女の少し離れた横ではなく、真横で寝ることにした。
「今日一日、おつかれ。」
そう小声で呟いて、瑞稀の頭を撫でる。
明日から、人探しの旅だな...
そのことを頭の片隅に置き、僕は眠りに落ちた。
テレビにはCMが映っていた。見た事のある人気タレントが美味そうにビールを飲んでいる。それを見て少し僕は安心した。映像の中ではあるが、自分と瑞稀以外の存在を、ようやく確認できたからだ。だが、チャンネルを変えた途端、その安堵感も一瞬にして、消え去った。
生番組のようで、画面にはスタジオが映っていた。いつもそこには話術の巧みな人気有名司会者が立っているはずだった。しかしそこに誰の姿もない。脇を固めるレギュラータレントも映っておらず、そこには誰も座っていない椅子が、並んでいるだけだった。
僕は次々とチャンネルを替える。通常どうりの番組が流れている局もあれば、全く何も写らない局もあった。いずれにせよ、テレビから情報を手に入れる方法は無さそうだ。
一体どういうことなんだ...
そう考え込んでいると、くいくいと瑞稀が僕の袖を引く。
「ネット...ネット使えば...いいと思う...」
彼女の言葉に、僕ははっとする。
とても簡単な話じゃないか。
僕はポケットからスマホを取り出す。スマホは奇跡的に無事だった。ポケットの中で締めあげられていたから、変に落ちることがなかったのだろう。
スマホの画面をつけ、まずは回線を確認する。画面の隅を確認すると、「U-Mobile 4G」としっかり表示されていた。そしてロックを解除し、Twitterやそのほかニュースサイトを確認してみるが、14:00を超えたところから、一切の更新がなかった。
「ダメだ。でも、もしかしたら...」
僕はそう一言言ってから、文字盤をタップし始める。
「このツイートをご覧になっている方で東京におられる方はいませんか」
と。
打ち込みが終わった僕は「瑞稀...」と横を振り返る。が、そこには瑞稀がいなかった
「瑞稀!?どこいったんだ!」
思わずそう叫ぶ。と、どこからかタタタタ...と足音が聞こえてくる。
「ごめんね!ちょっと電池式のスマホ用の充電器とか、電池持ってきた!」
「はぁ...心配した...」
僕はそっと胸を撫で下ろす。まぁ、こういう状況だ。仲間が消えたら本当に怖い。
「誠哉くん...ごめん...」
「いや、大丈夫。ちょっとびっくりしただけ。」
そう言って少し、彼女に微笑みかかる。
「とりあえずだ。邪魔にならない程度のリュックサックと、寝袋のようなものも準備する必要があるから、上の階のものとかで揃えよう。」
「うん。そのまえに...ちょっとトイレ行っていい?」
「ああ。途中までついて行くよ。」
「さすがに途中までなのね」
彼女が少し吹き出す。そして、落ち着いた後、歩き出す...
彼女がトイレから出てくるのにはあまり時間はかからなかった。
「ごめんね。色々。」
「色々って...そんな事ないんだけどなあ...」
そのままエスカレーターに乗った僕らは、一個下の階のスポーツ、レジャー用品のコーナーに向かった。
「まずはリュックサックだが...入る量もしっかり見ないとな...」
そう呟きながら僕は壁一面(と言っても僕の背丈くらい)のリュックサックを眺めて、思案する。
「あーでもないこーでもない」と考え込んでいる僕を見てか、
「これでいいんじゃない?これならいっぱい入るし。」
と、瑞稀がひとつのリュックを進めてきた。パッと見は余り入らなさそうだったが、中を開けてみるとかなりの量のものが入りそうだ。
「これで...いいのかな...?」
ここで持ち前の優柔不断さが発揮されてしまう。ダメだダメだと自分に言い聞かせて、
「これにしようか。で、瑞稀はどうするんだ?」
そう答え、瑞稀に質問する。
「ん~...私もこれにする。なんか、お揃いの方が仲間感あるからさ。ね?」
「じゃあ、これを2個と...あと...寝袋みたいなのと非常食かな...」
僕がそう言うと、
「寝袋とかランタンはあっちの方にあったよ!」
と、彼女はある一点を指さす。
「おっ、じゃあ、行くか。」
そして一頻り選んだ後、地下街で食料を揃え、行動の準備は出来た。
「どうする?今日は色々あったから、疲れてるだろうし、もう寝に行くか?」
僕らが外に出た時には、もう入口の時計は5時の手前になっていた。
「うん。でも、どこで寝るの?」
彼女がそう問うて来たので、
「うむ。おそらくはホテルかネットカフェだな」
そう返す。
「う~ん...ホテルはちょっと気が引けるかな...」
彼女は「あはは...」と苦笑しながら、返してくれた。
「じゃあ、ネカフェだな。」
大体の場所は君がトイレに行ってる間に調べてあるからと付け足して、
「もう行く?」
「行く。」
「OK。じゃあ、行くか。」
僕は彼女の手を引き、歩き出した。
10数分ほど歩き、近場にあったネットカフェに到着した。
もちろん、受付などないので、素通りしていく。
受付を超えたあたりで、
「一人一部屋にするか?どうする?」
と聞いてみる。
すると、
「いや、寂しいし、怖いから一緒がいい...」
内心で「おいおいまじか」と思いながらも、
「じゃ、大きい部屋探すか...」
と、地図を見る。この階の隅の方にいい感じの個室があったから、使われていたかを確認しに行く。
中に入って確認したが、この異変より前に、誰も使っておらず、しっかり清掃もされていたし、シャワーも近かったので、結局この部屋にすることにした。
部屋に入るや否や、
「シャワー浴びてきていい?」
と瑞稀が聞いてくるので、
「ああ。ゆっくりしてきな。多分水とかはまだ出るだろうから。」
「ありがと。」
そう一言言って、彼女はタオルを持ってシャワー室へと向かった。
~A few moments later~
「あ~スッキリした~」
そう言いながら彼女は部屋に入ってきた。ノースリーブにショートパンツと涼しそうな格好で帰ってきたのだが、正直目のやり場に困る。
「誠哉くんは大丈夫?」
PCのディスプレイにかじりつく僕を横目に、彼女は聞いてくる。
「ああ、一段落したら行くよ。」
「わかった。もう疲れたからさ、寝るね。でも、絶対変なことしないでね!」
「ん?そんなことするわけないじゃん。というか、そんなことする人だと思う?」
彼女が冗談混じりに聞いてくるので、少し悪っぽい笑みを浮かべて聞き返してみる。
「ま、そんなことする人間じゃないよね。」
そう言って彼女は毛布を被る。程なくして、すうすうと寝息を立てて、眠った。
「はあ...かわいいんだよな...さ、シャワー浴びて僕も寝るか...」
作業が一段落した僕はそう呟いて、部屋を出た。
さすがに誰も居ないとはいえ、無防備な女の子をひとり置いておくのはちょっとダメだったかもしれないかな...と、そんな事考えながら、一日の汗を流した。
シャワーを終えた急ぎ足で部屋に戻る。仮に彼女に何かあったら駄目だから。
個室のドア(?)を開けて、中を見ると、彼女は変わらず、すやすやと心地よさそうに寝ていた。
「寂しいから...か...」
そう呟き、少し悪い気もしたが、彼女の少し離れた横ではなく、真横で寝ることにした。
「今日一日、おつかれ。」
そう小声で呟いて、瑞稀の頭を撫でる。
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