Paradox world

紅 匠

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二章 To friends

Re-Start

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 ドスッと、地面に落ちた衝撃で僕は目を覚ました。

「イテテ...」

体を起こし、外を見ると、少し雲がかった晴れだった。 

「今日中には、あっちに行けそうだな...」

そうぼそっとひとり呟いた僕は、一通り出発の準備を始めた。


 ガサゴソと準備をしている時、瑞稀も目を覚ました。

「お、起きたか。悪いが、今日は早く出発するからな。」

僕はカバンを見たまま、そう伝えた。

「ええ...早く出るの...わかった...」

かなり嫌そうな返事を彼女は僕にした。仕方がないじゃないか。今日は絶好の晴れ。長距離移動にはもってこいだって言うのに。

「あ、起きたなら何か食べようか」

僕は一度振り向いて、彼女にそう聞いてみた。

「食べる!」

やっぱりテンションの高い瑞稀は可愛いんだと、思った。いつも可愛いが。



 一通り準備も済んだ僕は、彼女に

「で、何食べる?」

と聞いたが、口下に

「いや、今食べれるものってカップ麺くらいしか...」

そう返された。まあ、ごもっともである。

「じゃ、お湯入れてくるから、食べたいの頂戴」

僕がそう言うと、

「じゃ、これ。」

そう言って彼女はカップ麺をぽいとこちらにほおり投げて来た。

「じゃ、入れてくるよ。」

そういって、僕は小走りに階段を上っていった。



「はい、これ」

いつの間にやら着替えてテーブルが近くにある席に座っていた彼女の前に、僕はお湯を入れたカップ麺を置いた。

「多分もうできてると思うし、食べよう。」

僕は割り箸を割って、蓋を開ける。が、彼女は一向に食べようとしない。

「なんで食べないんだ?」

そう聞くと、

「あれ、やってよ。」

「あれ...?」と一瞬思ったが、会話の内容から大体分かった。

「はい。」

そういって、僕は手を合わせる。すると、彼女も手を合わせた。

「いただきます。」

「いただきます♪」

彼女がやって欲しかったのはこれだったらしい。
「かわいいかよ...」と、言いそうになったが、心の中に留めておくことにした。


~Just a moments~


「美味しかった~」

全部食べ終えてにっこり笑顔の瑞稀に向け、僕は

「じゃ、出発するか。」

そう言った。

「うん。じゃあ、行こう。」


少し時間をとって、僕らは荷物を背負い、ビルをあとにした。



さあ。これからが僕の「Re-Start」だ。





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