夏の夜空ナーシャ

カウ

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プロローグ

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>プロローグ<
    高校卒業してから3年間勤めていた会社を辞めた。
    僕にしたら長続きした方だ。
    辞めた理由は人間関係と言っておこう。 
    会社の人達は、良い人ばかりだったが逆にその優しさが僕にとっては苦痛でしかなかった。
    かと言って、悪い人が良かったかと言われるとそういう事じゃない。
    人と関わることが僕にとっては苦痛なんだ。 

"人間アレルギー" 

    この言葉を聞くのは初めての人が多いだろう。
    そして、この言葉を聞いてあまり良い印象を持たない人が多いと思う。 

    実際良いものではない。 

    不特定多数の人との会話や一緒の作業はもちろん、同じ空間にいるだけでアレルギー反応が出る。 

    この話を周りの人に話してもまともには聞き入れて貰えないことが多い。 

    人が精一杯説明しても、「そんなの気持ちの持ちようでしょ」とか「最近の若いのは甘ったるい奴が多い」と言われたり、「こういうのは慣れだから」と言われ、人混みの中に無理矢理連れて行かれ、全身に蕁麻疹が出たり、酷い時は嘔吐してしまうことがあった。 

    そして、このことを理解してくれる人達もいた。 
    でも、その人達とは高校卒業後連絡を取らなくなった。
    いや、とれなくなったと言うべきか。

    高校卒業後、アレルギー反応を少しでも減らそうと、友達の電話番号をメモすること無く、勢いで携帯を解約してしまった。 

    今考えると、なんて馬鹿な事をしたんだと自分でも思う。 

「でも、これで良かったのかもしれない」

    この満天の星空の下で1人、今までの自分の人生を振り返りながら、残り数分で終わる人生を待ちわびる。

「僕らしい最後だな」

    正直最後くらいは好きな人に見送って欲しかった。
    あの子は今何をしているだろう。

「 いや、今もうそんなことを考えても意味ないか」

    柵に手をかけ、改めて下を見る。
    この崖の高さなら、過っても生き残るなんてことは無いだろう。

「よし、いくか…」

      その覚悟と同時に、誰が僕の名を呼んだ。
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