夏の夜空ナーシャ

カウ

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始まりの夏(2)

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     学校に着き、教室に入るといつにも増して賑やかだった。
    それもそのはず、明日から夏休みなのだから。
    来週の夏祭りの話をする者や隣町にある大型プールに行く話をする者、海でBBQをする話をする者、教室は夏休み何をするかの話題で持ち切りだ。 

    すると、僕達に気づいた女子達が話しかけてきた。
「琉くん、夏祭りの件どうなった?」 
「優と一緒に行くよ」
「やったー!」
    女子達は、おおはしゃぎして喜んでいる。
    だけど、僕は全く喜べない。 

    ものすごく嫌な予感しかしないからだ。
    だいたい女子は、裏で何を言っているのか分からないし、表情からは全く読み取れない心の中の感情があるし、僕にとってはこれほどまでに怖いものは無い。
    だから、僕は幼なじみの琉以外の人は信用していない。
    だけど、僕はそんな感情を顔に出さないように、女子達に軽くお辞儀をした。
「藤原くんも、よろしくね」
「よ、よろしく…」 

    女子達にぎこちない挨拶を済ませ、自分の席に着くと、琉が心配して話しかけてきた。
「本当に大丈夫か?」
「まぁ、大丈夫だよ」
    いや、大丈夫じゃない。本当は行きたくない。
    挨拶だけでもこんなにおどおどするのに、夏祭りなんて行ってたら心が持たない。
    はぁ、今年は今までで一番の地獄の夏休みになりそうだ。


    この時僕はまだ、本当の意味での地獄の夏休みが始まることを知る余地はないのだった。
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