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シュエはごく稀に、街へ降りてきていたらしい。
食べ物を食べずとも生きられる身体なんだそうだが、甘いものが好きで買いに来ていたとか。
今後は必ず私が付き添おう。
変な虫がついては困る。
「リューナさんのおうち・・・大きいですね・・・!」
「・・・腐っても貴族だからな。シュエの部屋もある。」
「僕の・・・?」
「?当たり前だろう。結婚するのだから。」
「・・・・・・け、け、け、けっ、こん?!」
シュエは顔をまた真っ赤にして、ソファから立ち上がる。
膝の上に座らせたかったが、恥ずかしいと断られたから隣に座っていたが・・・
「愛する者と結婚するのは当たり前だろう?」
「ぼ、僕、人間、じゃないよ?!」
「人間だろうが、龍だろうが、シュエはたった一人の愛する者だ。・・・シュエは違うのか?」
「~~っ、僕も、リューナさん・・・だ、だい、好きだ、けど・・・うわぁっ!」
もじもじ恥ずかしがるシュエは最高に愛らしい。
思わず抱え上げ、私の膝に乗せ抱きしめた。
「うう・・・」と恥ずかしそうだが、嫌がらない。
「困ったな・・・」
「や、やっぱり、人間の方が」
「違う、そうじゃない。シュエの愛らしさに底が見えないから困ってるんだ。」
「・・・リューナさん、変わってるって言われるでしょ・・・」
「シュエ様は聡明であられるようだ。もう気が付かれたのですね。」
「アピは黙ってろ。」
「・・・ふふっ、あははは!」
突然笑い出したシュエ。
私も自然と笑顔になる。この愛らしい者を誰が恐ろしいなどと思うのか、理解できない。
「大切にする。結婚しよう、シュエ。」
「・・・うん!よろしくね、リューナさん!」
《白い森》が《新緑の森》と呼ばれ出したのは、しばらく経ってからのことだった。
おしまい
食べ物を食べずとも生きられる身体なんだそうだが、甘いものが好きで買いに来ていたとか。
今後は必ず私が付き添おう。
変な虫がついては困る。
「リューナさんのおうち・・・大きいですね・・・!」
「・・・腐っても貴族だからな。シュエの部屋もある。」
「僕の・・・?」
「?当たり前だろう。結婚するのだから。」
「・・・・・・け、け、け、けっ、こん?!」
シュエは顔をまた真っ赤にして、ソファから立ち上がる。
膝の上に座らせたかったが、恥ずかしいと断られたから隣に座っていたが・・・
「愛する者と結婚するのは当たり前だろう?」
「ぼ、僕、人間、じゃないよ?!」
「人間だろうが、龍だろうが、シュエはたった一人の愛する者だ。・・・シュエは違うのか?」
「~~っ、僕も、リューナさん・・・だ、だい、好きだ、けど・・・うわぁっ!」
もじもじ恥ずかしがるシュエは最高に愛らしい。
思わず抱え上げ、私の膝に乗せ抱きしめた。
「うう・・・」と恥ずかしそうだが、嫌がらない。
「困ったな・・・」
「や、やっぱり、人間の方が」
「違う、そうじゃない。シュエの愛らしさに底が見えないから困ってるんだ。」
「・・・リューナさん、変わってるって言われるでしょ・・・」
「シュエ様は聡明であられるようだ。もう気が付かれたのですね。」
「アピは黙ってろ。」
「・・・ふふっ、あははは!」
突然笑い出したシュエ。
私も自然と笑顔になる。この愛らしい者を誰が恐ろしいなどと思うのか、理解できない。
「大切にする。結婚しよう、シュエ。」
「・・・うん!よろしくね、リューナさん!」
《白い森》が《新緑の森》と呼ばれ出したのは、しばらく経ってからのことだった。
おしまい
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