【完結】バングル売りのナディル 〜俺のつがいは獅子獣人の次期領主様〜

N2O

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お屋敷へ

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あれからさらに二ヶ月程経った。
サーシャもすっかり元気になり、また笑顔と愛想を振りまいてカリムの露店に出ている。


一方ナディルとランドルフ。
あの工房内での時間以来距離がグッと縮まった。
そして手紙ではなく、ランドルフは直接工房に顔を出すようになっていた。
人も獣人も多いカリムで会うよりもランドルフは色んな意味で安心できるし、ナディルも慣れている工房の方が自然体でいられる。

お互いに良い環境だ。





今日も果物を手土産に工房に現れたランドルフ。
ナディルはそれに気付くと微笑んで、軽く手を振った。





「わあっ、美味しそうな果物!買ってきてくれたの?ありがとう!」

「俺より果物に喜ん・・・・・・まあ・・・笑ってくれるならそれでいい。」






少し拗ねた顔をしているランドルフに気付いたナディルはわたわたと慌てたが、ランドルフはふわっと笑ってナディルの頭を撫でた。


大きくて温かな手にナディルは"今日こそは"と決意を新たに前を向く。


毎日毎日気づけばランドルフのことばかり考えるようになっていた。
ぼーっとして手を怪我したのなんて、片手じゃ数え切れないくらいだ。

自分の気持ちに気づいたのはいいのだが、恋愛経験がないナディルはタイミングをなかなか見つけられない。
サーシャにそれとなく相談すると「そんなもん勢いよ、勢い」と背中を押してもらって迎えた、今日。

すーーはーー、と大きく息を吸ってから、できるだけ大きな声で話し出す。





「ラ、ランドルフが来てくれたことが嬉しい。い、いつも、会いに来てくれて・・・ありがとう。」

「・・・本当か?」

「も、もちろん!そ、それでね・・・、俺・・・ランドルフのこと・・・えっと、その・・・」

「ゆっくりでいい。ナディルこっちにおいで。」

「っ、わ!」




顔を真っ赤にしたナディルをひょいと抱え、ランドルフは工房の椅子に座った。
ナディルはランドルフの大きな膝の上にちょこん、と座ってるこの状況に気がつくと耳まで真っ赤になった。


ナディルにはこのぐらいグイグイ近寄った方がいい、と早い段階で気づいたランドルフはかなり積極的にスキンシップをしてきた。

単に自分が触りたかった、というのも大きい(ナディルには内緒)。




ナディルの言葉を大人しく待っているランドルフはその小さくて形のいい頭を、よしよし、と優しく撫でた。


愛おしくてたまらない。

そんな風に言われているような気がした。




もう一度大きく息を吸ってランドルフを見る。
美しいミントグリーンの瞳が陽光を浴びてとても綺麗だった。






「俺、ランドルフのこと・・・・・・す、好き。大好き。いつも優しくしてくれて、ありがと、う。」

「・・・・・・っ、」

「待たせて、ごめん。俺ランドルフと、番になり、たい。」

「・・・・・・・・・」

「・・・ねえ、聞いてる?お、俺、一世一代の大告白してるんだけ、んん!んむ!」







ぴくりとも動かなくなったランドルフをゆさゆさ揺すっていると突然口付けをされた。
ちゅ、ちゅ、と繰り返し、唇以外にも額や頬、瞼、首筋と、服から出ているありとあらゆる場所に口付けが始まる。


ナディルは顔を真っ赤にしたまま、手にはじわりと汗がにじむ。
だが拒むことなく受け入れていたナディルが瞑っていた目を開くと、ランドルフとばっちり目が合った。





「ランドルフ泣かないで。俺も涙が出そうになっちゃうよ。」





ランドルフは静かに泣いていた。
大粒の涙が頬を伝っている。
ナディルは涙を指で拭うたび、今まで感じた事のない温かな気持ちが自分の中に広がっていくのを感じた。





「ナディル、心から愛している。一生離さない。」

「俺もだよ。待たせて・・・ごめんね。」

「ただいま~!」

「「\$#☆*○#」」






帰ってきたサーシャの声がして、二人とも飛び上がった。
自分たちの挙動がおかしくておかしくて、しばらく二人で笑い続けた。


工房をのぞきに来たサーシャは二人の顔を交互に見て、ニヤリ。
間髪入れずランドルフが「ナディルを連れて帰る」とサーシャに宣言したものだから、尚ニヤニヤが止まらない。

恥ずかしさのあまりランドルフの影に隠れていたナディルを見つけ出し「初めてなんだから優しくしてもらいなさい」と一言、大きな世話を焼いた。





ナディルは屋敷に連れて行かれる最中、まさかの抱っこスタイルに言葉が出ない。
これは"ナディルを誰にも見せたくない!"とランドルフたっての希望。


幸せに満ちたランドルフに言い返せずナディルは馬車の中で悶えるしかなかった。





屋敷に着くとランドルフはそのまま部屋に連れて行こうとした・・・・・・が、待ち構えていたターリヤに見事捕まった。

ターリヤは嬉しそうにナディルの顔を覗き込もうとする。
ランドルフが邪魔して、全く見えないのだが。





「ランドルフ、念願叶ったな。」

「・・・だから早く部屋に連れて行きたい。どいてくれ。」

「新しい家族の顔なんだ。少し見せてくれないか?」

「・・・あとにしてくれ。いい加減暴れそうだ。」

「む、んぐ、ぷはっ!あ、あの、俺、ナディルと言い、んん!?」

「ナディルは喋るな、じゃあまた、父上。」

「・・・ふふ。ナディル、またな。」

「んん!んんんんんーん!」







ナディルの口元にはランドルフの大きな手が覆いかぶさっていてまともに会話ができない。
自分の父親と話をさせるのも嫌らしい。
耳が警戒したように動いていて、独占欲全開だ。


ターリヤはニコニコ笑顔で手を振って見送る。
「あいつもあんな顔するんだな」と嬉しそうだった。







屋敷の奥にあった立派な扉をバーン、と乱暴に開けたランドルフはそのままベッドにナディルを寝かせた。
ナディルのベッドの三倍くらいは大きいふっかふかなベッドだった。






「ナディル、番になろう。これから抱く。」

「・・・・・・っ、はっ、初めてなので、お手柔らかに・・・お、お願い、し、」

「・・・初めてじゃなかったら、相手を殺しているところだ。」

「ひぇ・・・」





以前ザックが言っていたことは本当かもしれない。
迂闊に誰かのことを悪く言うのはやめておこう・・・とナディルはベッドの上で固まった。
そしてそのままひょいっと再びランドルフから抱えられ、部屋に備え付けられている小さな(ナディルにとっては十分大きい)シャワールームに連れて行かれた。




そしてランドルフ自らの手によって、入念な準備が行われたのである。




「わぁぁぁぁあ────!そ、そんなところ、見ないでぇ────!」

「はあ・・・可愛い・・・」




ナディルの抵抗虚しく綺麗さっぱり準備を終えた二人の長い夜はこれからが本番だった。
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