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番外編
ハニルのストレス
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ハニルを追いかけリビングまで走ってきた三つ子は、椅子に腰掛けたハニルを見つけ、また質問攻めを再開。
「そのランドルフ様ってヒトの番って、俺らと歳同じくらいだろ?」
「・・・まあそうだな。」
「しかも人間!」
「・・・何で知って、」
「俺たちその子に昔会ったことあるんだ。馬鹿末っ子が突進して鼻血騒ぎ。おかげで、すぐ"さようなら"だったけどな!」
「・・・・・・今、何つった?」
ハニルの頭上に「?」が浮かぶ。
三つ子は当時の記憶を思い返してさらに騒ぎ始め、叔父はそれを見て「いつも元気だなあ」と酒を飲む。
名指しで馬鹿呼ばわりされたのは、三つ子の末っ子フィード。
大きな体を小さくさせ、気持ちばかり申し訳なさそうな態度をとる。
「だっ、だって・・・あんな可愛い子初めて見たから・・・興奮しちゃったんだよ」
「仲良くなりたかったのにさあ。」
「本当いい匂いだったよなあ・・・!」
「・・・おい、その話詳しく聞かせろ。」
思い出話に花を咲かせる中、突然響く唸るような低い声と恐ろしい顔を見せたハニルに三つ子は震え上がった。
伊達に護衛をやっていない。
その辺の輩なんて、ハニルのこの顔だけで追い払える。
様子が変わったハニルに怯えながら、三つ子はその当時のことを話した。
時々叔父が入れる補足は、ハニルにとって頭を抱えたくなるようなものばかり。
「・・・お前らか。ナディル様の壁を高くしたのは。」
「「「・・・どういうこと?」」」
「・・・いいか。お前らのその馬鹿騒ぎのせいでナディル様は獣人恐怖症になったんだよ!この三馬鹿が!」
「「「・・・・・・っ?!」」」
あんぐりと三つ子の口が開く。
ひそひそと「そういえばあの子泣いてたな」「血まで甘い匂いしたな」「可愛かったな」と余計なことまで口にし始めたものだから、ドンッッッとハニルはテーブルを叩いて睨みつける。
さすがに叔父も申し訳なく思ったのか、酒を置き頭を抱え始めた。
「あの時の工房の子か・・・!確かにとても可愛らしい子だったな・・・申し訳ない・・・」
「反省しなきゃならんのはお前たちだからな?」
「「「(こくこくこく)」」」
ハニルに睨まれた三つ子は必死に頷いて、反省の意を表した・・・が、三つ子の長男ジョルテは少し違うらしい。
ハニルの手をとり、うるうるした目で見つめ始める。
大男から擦り寄られる趣味はない。
手を払い除けようとしたが、この三つ子も伊達に騎士見習いをやってない。
握力が強く、なかなか離れない。
「兄さん頼む!そのナディルって人に会わせてくれ!」
「・・・お前話聞いてたか?ランドルフ様の番だぞ。」
「初恋なんだ!」
「はあ?!ジョルテずりい!なら俺だってそうだし!見たい!嗅ぎたい!」
「なら・・・俺も俺も!ハニル兄さん頼むよ!可愛い甥っ子の頼みだろ?!」
「・・・・・・お前ら、その調子でナディル様に少しでも近付いみろ。殺されるぞ。」
「「「やだやだやだ」」」
三人からのおねだりはハニルが帰るまで、しつこく続いた。
叔父のジャックは平謝りだったが、こいつらが隣町に帰るまで近づかないでおこうと心に決め、久しぶりの実家を後にした。
諦めきれない三つ子の叫び声はしばらく続き見かねた三つ子の母親の怒りの雷が落ちたのは、言うまでもない。
「・・・ということがありまして、ナディル様。あと二日はこの屋敷から出ない方がよろしいかと。どこを彷徨いているか読めませんので。」
「は、はあ・・・」
「親族がとんだ迷惑・・・で済まされる話でもありませんが、本当に申し訳ございません。お詫びとしては軽過ぎますが、こちらナディル様のお好きな果物です。お納めください。」
「っ!?そ、そんな気になさらないでください!」
「いいえ。本当に申し訳ございませんでした。」
「ハ、ハニルさん頭あげてください・・・っ!ほら、ランドルフも、黙ってないで何とか言って!」
昨日の一件を本人たちに話すかどうか、ハニルはかなり悩んだ。
悩んで悩んで、包み隠さず話すことにした。
ナディルとランドルフが結ばれるまで時間がかかったことに、多少なりとも関係があること。
もう大丈夫と言われても、一言詫びを入れなければハニルの気が済まない。
慌てふためくナディルを他所にランドルフは黙ったまま。
漏れ出す威圧感にナディルは気付いていないのだろう。
ハニルの背中には嫌な汗が伝う。
「あの、でも俺気にしてません。ランドルフとこうして、つ、番になれたし・・・とても幸せですから。」
「・・・ナディル様・・・」
ぽぽぽ、と頬を赤らめるナディルは何とも可愛らしい。
ランドルフの威圧感も一瞬にして消え、ナディルのことを最早定番になってきた抱っこスタイルで、ぎゅーーっと強く抱きしめている。
ナディルも真っ赤な顔だが、拒まない。
ハニルは朝からまた惚気を見せられた。
ハグタイムが終わると、申し訳なさそうにナディルはハニルに声をかける。
「あ、あのハニルさん。俺今日一度、工房に戻るんです。必要な道具置いてきちゃって・・・」
「何だと?!ナディル、今日は断れない面会があって、」
「私が一緒に参ります。よろしいですか?ナディル様。」
「あ、ありがとうございます。ランドルフはちゃんと仕事して。俺は大丈夫だから。」
「・・・終わり次第追いかける。・・・ハニル、わかってるな?」
ハニルの方を向く黄金の瞳に、鋭い威圧が見え隠れする。
背を伸ばし、深々と頭を下げたハニルは「畏まりました」とだけ返事をして、すぐに馬車の手配に向かった。
「そのランドルフ様ってヒトの番って、俺らと歳同じくらいだろ?」
「・・・まあそうだな。」
「しかも人間!」
「・・・何で知って、」
「俺たちその子に昔会ったことあるんだ。馬鹿末っ子が突進して鼻血騒ぎ。おかげで、すぐ"さようなら"だったけどな!」
「・・・・・・今、何つった?」
ハニルの頭上に「?」が浮かぶ。
三つ子は当時の記憶を思い返してさらに騒ぎ始め、叔父はそれを見て「いつも元気だなあ」と酒を飲む。
名指しで馬鹿呼ばわりされたのは、三つ子の末っ子フィード。
大きな体を小さくさせ、気持ちばかり申し訳なさそうな態度をとる。
「だっ、だって・・・あんな可愛い子初めて見たから・・・興奮しちゃったんだよ」
「仲良くなりたかったのにさあ。」
「本当いい匂いだったよなあ・・・!」
「・・・おい、その話詳しく聞かせろ。」
思い出話に花を咲かせる中、突然響く唸るような低い声と恐ろしい顔を見せたハニルに三つ子は震え上がった。
伊達に護衛をやっていない。
その辺の輩なんて、ハニルのこの顔だけで追い払える。
様子が変わったハニルに怯えながら、三つ子はその当時のことを話した。
時々叔父が入れる補足は、ハニルにとって頭を抱えたくなるようなものばかり。
「・・・お前らか。ナディル様の壁を高くしたのは。」
「「「・・・どういうこと?」」」
「・・・いいか。お前らのその馬鹿騒ぎのせいでナディル様は獣人恐怖症になったんだよ!この三馬鹿が!」
「「「・・・・・・っ?!」」」
あんぐりと三つ子の口が開く。
ひそひそと「そういえばあの子泣いてたな」「血まで甘い匂いしたな」「可愛かったな」と余計なことまで口にし始めたものだから、ドンッッッとハニルはテーブルを叩いて睨みつける。
さすがに叔父も申し訳なく思ったのか、酒を置き頭を抱え始めた。
「あの時の工房の子か・・・!確かにとても可愛らしい子だったな・・・申し訳ない・・・」
「反省しなきゃならんのはお前たちだからな?」
「「「(こくこくこく)」」」
ハニルに睨まれた三つ子は必死に頷いて、反省の意を表した・・・が、三つ子の長男ジョルテは少し違うらしい。
ハニルの手をとり、うるうるした目で見つめ始める。
大男から擦り寄られる趣味はない。
手を払い除けようとしたが、この三つ子も伊達に騎士見習いをやってない。
握力が強く、なかなか離れない。
「兄さん頼む!そのナディルって人に会わせてくれ!」
「・・・お前話聞いてたか?ランドルフ様の番だぞ。」
「初恋なんだ!」
「はあ?!ジョルテずりい!なら俺だってそうだし!見たい!嗅ぎたい!」
「なら・・・俺も俺も!ハニル兄さん頼むよ!可愛い甥っ子の頼みだろ?!」
「・・・・・・お前ら、その調子でナディル様に少しでも近付いみろ。殺されるぞ。」
「「「やだやだやだ」」」
三人からのおねだりはハニルが帰るまで、しつこく続いた。
叔父のジャックは平謝りだったが、こいつらが隣町に帰るまで近づかないでおこうと心に決め、久しぶりの実家を後にした。
諦めきれない三つ子の叫び声はしばらく続き見かねた三つ子の母親の怒りの雷が落ちたのは、言うまでもない。
「・・・ということがありまして、ナディル様。あと二日はこの屋敷から出ない方がよろしいかと。どこを彷徨いているか読めませんので。」
「は、はあ・・・」
「親族がとんだ迷惑・・・で済まされる話でもありませんが、本当に申し訳ございません。お詫びとしては軽過ぎますが、こちらナディル様のお好きな果物です。お納めください。」
「っ!?そ、そんな気になさらないでください!」
「いいえ。本当に申し訳ございませんでした。」
「ハ、ハニルさん頭あげてください・・・っ!ほら、ランドルフも、黙ってないで何とか言って!」
昨日の一件を本人たちに話すかどうか、ハニルはかなり悩んだ。
悩んで悩んで、包み隠さず話すことにした。
ナディルとランドルフが結ばれるまで時間がかかったことに、多少なりとも関係があること。
もう大丈夫と言われても、一言詫びを入れなければハニルの気が済まない。
慌てふためくナディルを他所にランドルフは黙ったまま。
漏れ出す威圧感にナディルは気付いていないのだろう。
ハニルの背中には嫌な汗が伝う。
「あの、でも俺気にしてません。ランドルフとこうして、つ、番になれたし・・・とても幸せですから。」
「・・・ナディル様・・・」
ぽぽぽ、と頬を赤らめるナディルは何とも可愛らしい。
ランドルフの威圧感も一瞬にして消え、ナディルのことを最早定番になってきた抱っこスタイルで、ぎゅーーっと強く抱きしめている。
ナディルも真っ赤な顔だが、拒まない。
ハニルは朝からまた惚気を見せられた。
ハグタイムが終わると、申し訳なさそうにナディルはハニルに声をかける。
「あ、あのハニルさん。俺今日一度、工房に戻るんです。必要な道具置いてきちゃって・・・」
「何だと?!ナディル、今日は断れない面会があって、」
「私が一緒に参ります。よろしいですか?ナディル様。」
「あ、ありがとうございます。ランドルフはちゃんと仕事して。俺は大丈夫だから。」
「・・・終わり次第追いかける。・・・ハニル、わかってるな?」
ハニルの方を向く黄金の瞳に、鋭い威圧が見え隠れする。
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