2 / 2
第3勝
僕が見た、彼女の秘密。
しおりを挟む
部活後、
「七和~?帰る・・・ぞ?」
目を疑った。
七和を今咲いてないはずの薄桃色の花が舞っていた。それを操るように七和が手を動かす。それはこちらに向かってくる。
周りが薄桃色に染まる。
その世界がはらはらと崩れ、その間から彼女の顔が見えてくる。
「見られちゃったね。」
「・・・何?これ。」
「わたしの分身。綺麗でしょ?」
「意味わかんないんだけど。」
そう言うと七和の顔から少しだけ、感情が抜けたように感じた。
「これから、すごく変な話するけど、いい?」
「・・・いいよ。」
七和が地球儀を出してくる。
赤道部分をつ、となぞりながら告げる。
「世界はこの線で区切られてて、」
そこから指を北の方へ動かし、地球儀を回す。
七和の指が北半球を一周する。
「私はこの、北半分の神様。」
「・・・?」
「それで、君は、」
七和の指が今度は南半球を一周する。
「この、南半分の神様。」
「・・・えーとぉ・・・」
分からない。神様?どういうことだ。確かに変、いや、ものすごく変な話だった。
「んふふ、分からないんでしょ?」
「うん、ごめん。」
「じゃあこれなら分かって、信じてくれる?」
七和がスマホを取り出す。
動画が再生される。
あの日、僕が飛び降りた日、彼女が手を動かすと、薄桃色の花が集まり、大きなマットのようなものになった。
その中に僕はポフン!と落ちてそっと地面に降ろされた。(アニメみたいだと思った。)
七和のおかげで、僕は助かったのだ。
確かに、朦朧とした意識の中、誰かが顔を覗いていたような気がした。
白いワンピースのようなものを着た、1人の少女。
あの時、彼女は小さく微笑むと、消えてしまった。
その動画を観せられ、僕の記憶に七和が現れ、彼女の言っていることを信じざるを得なくなった。それを見越したように七和は言う。
「私の言うこと、信じてくれた?」
僕には、首を横に振ることはできなかった。
「・・・良かったぁ」
彼女はホッと胸を撫で下ろす。
「よし!明日から部活もしばらくない訳ですから!」
「・・・何、急に。」
彼女はいたずらっぽく笑い、
「2人の力を試すべく!世界一周旅行しちゃお~!」
「・・・ええ?さっきより変な事言ってない?急すぎるし。」
「いやいや、さっきの方が変でしょ。」
「・・・たしかに。」
「・・・なんか八屋くんいつもと違うよ。落ち着きない。」
「混乱してんの。」
「あはは・・・だよねぇ・・・」
「てか、世界一周って?」
「私と、君、2人の神さまが揃えば・・・なんでも出来ちゃうのです!」
「・・・なんでも?」
「うん!例えばね、学校をボッカーンって爆破したり~世界を滅ぼしたり~」
「待って怖い。」
「じゃあ、いいこと、」
「何?」
「どこにでも、ワープ出来ちゃったり・・・」
青いネコ型ロボットのドアが浮かんだが、それを使わなくても良いことに思わず
「・・・マジか。」
という言葉が出てしまう。
彼女はにこにこしながら
「うん。」
と言う。
そして咄嗟に僕が言う。
「明日朝8時、学校の校門前な。」
「結局八屋くんが決めてんじゃんか・・・」
ほっぺを膨らませて彼女が言った。
「ちょっとワクワクして、」
「良かった~!」
2人で物理室を出て、靴を履き替え、校門を出て、いつも通り、神様2人だと思えないくらいに普通で、たわいも無い話をしながら、家路を歩いた。
明日から、何が起こるかも知らずに。
「七和~?帰る・・・ぞ?」
目を疑った。
七和を今咲いてないはずの薄桃色の花が舞っていた。それを操るように七和が手を動かす。それはこちらに向かってくる。
周りが薄桃色に染まる。
その世界がはらはらと崩れ、その間から彼女の顔が見えてくる。
「見られちゃったね。」
「・・・何?これ。」
「わたしの分身。綺麗でしょ?」
「意味わかんないんだけど。」
そう言うと七和の顔から少しだけ、感情が抜けたように感じた。
「これから、すごく変な話するけど、いい?」
「・・・いいよ。」
七和が地球儀を出してくる。
赤道部分をつ、となぞりながら告げる。
「世界はこの線で区切られてて、」
そこから指を北の方へ動かし、地球儀を回す。
七和の指が北半球を一周する。
「私はこの、北半分の神様。」
「・・・?」
「それで、君は、」
七和の指が今度は南半球を一周する。
「この、南半分の神様。」
「・・・えーとぉ・・・」
分からない。神様?どういうことだ。確かに変、いや、ものすごく変な話だった。
「んふふ、分からないんでしょ?」
「うん、ごめん。」
「じゃあこれなら分かって、信じてくれる?」
七和がスマホを取り出す。
動画が再生される。
あの日、僕が飛び降りた日、彼女が手を動かすと、薄桃色の花が集まり、大きなマットのようなものになった。
その中に僕はポフン!と落ちてそっと地面に降ろされた。(アニメみたいだと思った。)
七和のおかげで、僕は助かったのだ。
確かに、朦朧とした意識の中、誰かが顔を覗いていたような気がした。
白いワンピースのようなものを着た、1人の少女。
あの時、彼女は小さく微笑むと、消えてしまった。
その動画を観せられ、僕の記憶に七和が現れ、彼女の言っていることを信じざるを得なくなった。それを見越したように七和は言う。
「私の言うこと、信じてくれた?」
僕には、首を横に振ることはできなかった。
「・・・良かったぁ」
彼女はホッと胸を撫で下ろす。
「よし!明日から部活もしばらくない訳ですから!」
「・・・何、急に。」
彼女はいたずらっぽく笑い、
「2人の力を試すべく!世界一周旅行しちゃお~!」
「・・・ええ?さっきより変な事言ってない?急すぎるし。」
「いやいや、さっきの方が変でしょ。」
「・・・たしかに。」
「・・・なんか八屋くんいつもと違うよ。落ち着きない。」
「混乱してんの。」
「あはは・・・だよねぇ・・・」
「てか、世界一周って?」
「私と、君、2人の神さまが揃えば・・・なんでも出来ちゃうのです!」
「・・・なんでも?」
「うん!例えばね、学校をボッカーンって爆破したり~世界を滅ぼしたり~」
「待って怖い。」
「じゃあ、いいこと、」
「何?」
「どこにでも、ワープ出来ちゃったり・・・」
青いネコ型ロボットのドアが浮かんだが、それを使わなくても良いことに思わず
「・・・マジか。」
という言葉が出てしまう。
彼女はにこにこしながら
「うん。」
と言う。
そして咄嗟に僕が言う。
「明日朝8時、学校の校門前な。」
「結局八屋くんが決めてんじゃんか・・・」
ほっぺを膨らませて彼女が言った。
「ちょっとワクワクして、」
「良かった~!」
2人で物理室を出て、靴を履き替え、校門を出て、いつも通り、神様2人だと思えないくらいに普通で、たわいも無い話をしながら、家路を歩いた。
明日から、何が起こるかも知らずに。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
お気に入りに登録しました~
ありがとうございます(*´∀`*)
初めての連載でお気に入り登録して頂けて、光栄です!