この世界の神様に薄桃の花弁を送ろう。

叶芽

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第3勝

僕が見た、彼女の秘密。

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部活後、
「七和~?帰る・・・ぞ?」
目を疑った。
七和を今咲いてないはずの薄桃色の花が舞っていた。それを操るように七和が手を動かす。それはこちらに向かってくる。
周りが薄桃色に染まる。
その世界がはらはらと崩れ、その間から彼女の顔が見えてくる。
「見られちゃったね。」
「・・・何?これ。」
「わたしの分身。綺麗でしょ?」
「意味わかんないんだけど。」
そう言うと七和の顔から少しだけ、感情が抜けたように感じた。
「これから、すごく変な話するけど、いい?」
「・・・いいよ。」

七和が地球儀を出してくる。
赤道部分をつ、となぞりながら告げる。
「世界はこの線で区切られてて、」
そこから指を北の方へ動かし、地球儀を回す。
七和の指が北半球を一周する。
「私はこの、北半分の神様。」
「・・・?」
「それで、君は、」
七和の指が今度は南半球を一周する。
「この、南半分の神様。」
「・・・えーとぉ・・・」
分からない。神様?どういうことだ。確かに変、いや、ものすごく変な話だった。
「んふふ、分からないんでしょ?」
「うん、ごめん。」
「じゃあこれなら分かって、信じてくれる?」
七和がスマホを取り出す。
動画が再生される。
あの日、僕が飛び降りた日、彼女が手を動かすと、薄桃色の花が集まり、大きなマットのようなものになった。
その中に僕はポフン!と落ちてそっと地面に降ろされた。(アニメみたいだと思った。)
七和のおかげで、僕は助かったのだ。

確かに、朦朧とした意識の中、誰かが顔を覗いていたような気がした。
白いワンピースのようなものを着た、1人の少女。
あの時、彼女は小さく微笑むと、消えてしまった。

その動画を観せられ、僕の記憶に七和が現れ、彼女の言っていることを信じざるを得なくなった。それを見越したように七和は言う。
「私の言うこと、信じてくれた?」
僕には、首を横に振ることはできなかった。
「・・・良かったぁ」
彼女はホッと胸を撫で下ろす。
「よし!明日から部活もしばらくない訳ですから!」
「・・・何、急に。」
彼女はいたずらっぽく笑い、
「2人の力を試すべく!世界一周旅行しちゃお~!」
「・・・ええ?さっきより変な事言ってない?急すぎるし。」
「いやいや、さっきの方が変でしょ。」
「・・・たしかに。」
「・・・なんか八屋くんいつもと違うよ。落ち着きない。」
「混乱してんの。」
「あはは・・・だよねぇ・・・」
「てか、世界一周って?」
「私と、君、2人の神さまが揃えば・・・なんでも出来ちゃうのです!」
「・・・なんでも?」
「うん!例えばね、学校をボッカーンって爆破したり~世界を滅ぼしたり~」
「待って怖い。」
「じゃあ、いいこと、」
「何?」
「どこにでも、ワープ出来ちゃったり・・・」
青いネコ型ロボットのドアが浮かんだが、それを使わなくても良いことに思わず
「・・・マジか。」
という言葉が出てしまう。
彼女はにこにこしながら
「うん。」
と言う。
そして咄嗟に僕が言う。
「明日朝8時、学校の校門前な。」
「結局八屋くんが決めてんじゃんか・・・」
ほっぺを膨らませて彼女が言った。
「ちょっとワクワクして、」
「良かった~!」
2人で物理室を出て、靴を履き替え、校門を出て、いつも通り、神様2人だと思えないくらいに普通で、たわいも無い話をしながら、家路を歩いた。
明日から、何が起こるかも知らずに。
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みんなの感想(1件)

スパークノークス

お気に入りに登録しました~

2021.08.18 叶芽

ありがとうございます(*´∀`*)
初めての連載でお気に入り登録して頂けて、光栄です!

解除

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