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ロゼ視点です
――――――――――――
物心つく前から両親と共に過ごした記憶が無かった。
父の隣にいるのは母でも俺でもなく別の人。
母は俺を産んだ後外に愛人を作り家には殆ど帰って来なかった。
らしい。はっきり言って自分は二人のことを実の両親だと認識したのは十を過ぎた頃だった。
乳母達から二人が親だと言われ続けていたが、例え顔を合わせても睨まれ蔑まれ。
どう二人を親と認識していいのか分からなかった。
現にその時自分を育ててくれて愛してくれたのは乳母だったから。自分の親は乳母だけだと思い込んでいた。
が、自分はもう十を過ぎ乳母とも別れなければいけなくなってしまった。
乳母がいなくなってから少しして屋敷に子供や女性が増えている事に気づいた。
今までは部屋にこもり勉強をしたりして殆ど部屋から出ていなかった。
が、一人になった部屋は静かで良く外から声が聞こえて来ていた。
笑う声が、名前を呼ぶ声が。
窓から静かに気配を悟られないように外を見ると女性と子供が庭園を散策していた。
手を繋ぎ笑い合いながらゆっくり子供のペースに合わせて歩いて、
初めて親子と言うものを見て酷くそれを切望してしまった。
太陽に照らされるその親子が眩しくて美しくて愛おしくて仕方が無かった。
自分も親に愛されたい、名前を呼ばれたい。
一度でてしまった欲望は簡単に抑えることは出来なかった。
部屋を飛び出してみればそこら中に赤子を抱いた親子がいて、それらを見る度に欲は掻き立てられた。
足早に向かった先は父がいるであろう執務室。
ノックをする事も忘れ扉を開けてみれば以前見た時よりも少し丸くなっていた、けれども俺を見る目は変わらない父がいた。
父の元へ歩き出そうとした時父が椅子から立ち上がりこちらへ近付いてきた。
その時はとても嬉しかった。
いつもあんなに遠くにいた父が自分の足で近づいてきてくれるだなんて、
そんな馬鹿な事を考えていた気がする。
つい嬉しくて「父上」と声に出してしまった時だった。
声を出したのと同時に父の腕が上がり勢いよく振り落とされた。
「何故ここにいる。今すぐ出ていけ」
今まで聞いた事が無いぐらいに低い声で言われた。
まさか父と呼んだだけで、否、会いに来ただけでまさか怒られるだなんて思ってもいなかった。
叩かれたショックと拒絶されたショックが相まって頭が空っぽになってしまった。
どうやって部屋に戻ったかは分からない。
確か父の傍にいた従者に連れ出された気がするが記憶が曖昧すぎて定かではない。
部屋に戻って何もせずただただ呆けていた。
それから何時間たった頃だろう。もう日は暮れて月が光出した時だった。
突然部屋に母が入ってきた。
父よりも久しぶりに見る母は目を釣り上げて顔を真っ赤にしていた。
そして喚きながら近づいてくる。
「なんで、あんな事したの!? 私が怒られるでしょう!!」
「二度とあの男には近付かないで!!」
「なんで言うことが聞けないの!! 私言ったよね? 部屋から出るなって!!」
俺の肩を爪が抉るほど強く握りしめて顔の前で怒鳴り散らした。
俺の痛い、離してと言う声は一切届かずに自分の言いたいことだけを言って満足したのか部屋から出ていってしまった。
自分の親に対する期待と理想が現実とはかけ離れ過ぎていて直ぐに正気に戻れた。
自分でも何故一瞬でもあの親に愛情を分けてもらおうだなんて思ったのか分からない。
子供だった故の無知と無限の想像力のせいだったとしているが、あれ以来自分はあの二人の様にはならないと決意し二人とは真逆の道に進む事を決めた。
宰相ではなく騎士に、酒は飲まずに、愛人は作らずに、賭け事はせずに。
十五の時、二度と家に戻らない覚悟で家を出て王宮にある隊舎に住み込んだ。
が、流石は噂好きの貴族連中。
父の愛人の話や母の夜遊びの話が嫌という程流れてくる。
あまりにも酷いと一度家に帰り父に苦言を呈したが聞く耳を持たず、「別に犯罪を犯している訳でもない」と言い続けた。
もう家を出た身であるのだし話すのが嫌になり直ぐに帰ったが、屋敷を歩くと家を出る前よりもさらに多くなった子を孕んだ愛人と大きくなった子供の姿が目に写った。
何故こんなにも孕ませるのか、意味が分からなかった。
それに全員似たような背格好で多くの女性が赤色の髪か赤色の目をしていた。
自分が居ない数年で実家は変わり果ててしまっていた。
何とも言えない不気味さを感じながら帰路に着いたが頭にかかったままの靄が消えなかった。
それから時々家の様子を見に行ったが寄生虫にでも取り憑かれたのでは無いのかと思ってしまうほど話の通じない父と、気味悪さだけがます屋敷。
これ以上実家に関わることが嫌になり何故ああなったかも調べずに放置してしまった。
それが行けなかった。
母の駆け落ちを機に父はついに未成年の、俺よりも歳の低い少女に手を出してしまった。
何故あんなにも愛人が居たくせに、愛してはいなかった様だけれど正妻が死んで一ヶ月もしない内に何故、、、
ロレーナから聞いた話に身体中が怒りで震えた。
殺意が溢れて止まらない。
もしよろしければ評価や感想よろしくお願い致します┏○┓
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物心つく前から両親と共に過ごした記憶が無かった。
父の隣にいるのは母でも俺でもなく別の人。
母は俺を産んだ後外に愛人を作り家には殆ど帰って来なかった。
らしい。はっきり言って自分は二人のことを実の両親だと認識したのは十を過ぎた頃だった。
乳母達から二人が親だと言われ続けていたが、例え顔を合わせても睨まれ蔑まれ。
どう二人を親と認識していいのか分からなかった。
現にその時自分を育ててくれて愛してくれたのは乳母だったから。自分の親は乳母だけだと思い込んでいた。
が、自分はもう十を過ぎ乳母とも別れなければいけなくなってしまった。
乳母がいなくなってから少しして屋敷に子供や女性が増えている事に気づいた。
今までは部屋にこもり勉強をしたりして殆ど部屋から出ていなかった。
が、一人になった部屋は静かで良く外から声が聞こえて来ていた。
笑う声が、名前を呼ぶ声が。
窓から静かに気配を悟られないように外を見ると女性と子供が庭園を散策していた。
手を繋ぎ笑い合いながらゆっくり子供のペースに合わせて歩いて、
初めて親子と言うものを見て酷くそれを切望してしまった。
太陽に照らされるその親子が眩しくて美しくて愛おしくて仕方が無かった。
自分も親に愛されたい、名前を呼ばれたい。
一度でてしまった欲望は簡単に抑えることは出来なかった。
部屋を飛び出してみればそこら中に赤子を抱いた親子がいて、それらを見る度に欲は掻き立てられた。
足早に向かった先は父がいるであろう執務室。
ノックをする事も忘れ扉を開けてみれば以前見た時よりも少し丸くなっていた、けれども俺を見る目は変わらない父がいた。
父の元へ歩き出そうとした時父が椅子から立ち上がりこちらへ近付いてきた。
その時はとても嬉しかった。
いつもあんなに遠くにいた父が自分の足で近づいてきてくれるだなんて、
そんな馬鹿な事を考えていた気がする。
つい嬉しくて「父上」と声に出してしまった時だった。
声を出したのと同時に父の腕が上がり勢いよく振り落とされた。
「何故ここにいる。今すぐ出ていけ」
今まで聞いた事が無いぐらいに低い声で言われた。
まさか父と呼んだだけで、否、会いに来ただけでまさか怒られるだなんて思ってもいなかった。
叩かれたショックと拒絶されたショックが相まって頭が空っぽになってしまった。
どうやって部屋に戻ったかは分からない。
確か父の傍にいた従者に連れ出された気がするが記憶が曖昧すぎて定かではない。
部屋に戻って何もせずただただ呆けていた。
それから何時間たった頃だろう。もう日は暮れて月が光出した時だった。
突然部屋に母が入ってきた。
父よりも久しぶりに見る母は目を釣り上げて顔を真っ赤にしていた。
そして喚きながら近づいてくる。
「なんで、あんな事したの!? 私が怒られるでしょう!!」
「二度とあの男には近付かないで!!」
「なんで言うことが聞けないの!! 私言ったよね? 部屋から出るなって!!」
俺の肩を爪が抉るほど強く握りしめて顔の前で怒鳴り散らした。
俺の痛い、離してと言う声は一切届かずに自分の言いたいことだけを言って満足したのか部屋から出ていってしまった。
自分の親に対する期待と理想が現実とはかけ離れ過ぎていて直ぐに正気に戻れた。
自分でも何故一瞬でもあの親に愛情を分けてもらおうだなんて思ったのか分からない。
子供だった故の無知と無限の想像力のせいだったとしているが、あれ以来自分はあの二人の様にはならないと決意し二人とは真逆の道に進む事を決めた。
宰相ではなく騎士に、酒は飲まずに、愛人は作らずに、賭け事はせずに。
十五の時、二度と家に戻らない覚悟で家を出て王宮にある隊舎に住み込んだ。
が、流石は噂好きの貴族連中。
父の愛人の話や母の夜遊びの話が嫌という程流れてくる。
あまりにも酷いと一度家に帰り父に苦言を呈したが聞く耳を持たず、「別に犯罪を犯している訳でもない」と言い続けた。
もう家を出た身であるのだし話すのが嫌になり直ぐに帰ったが、屋敷を歩くと家を出る前よりもさらに多くなった子を孕んだ愛人と大きくなった子供の姿が目に写った。
何故こんなにも孕ませるのか、意味が分からなかった。
それに全員似たような背格好で多くの女性が赤色の髪か赤色の目をしていた。
自分が居ない数年で実家は変わり果ててしまっていた。
何とも言えない不気味さを感じながら帰路に着いたが頭にかかったままの靄が消えなかった。
それから時々家の様子を見に行ったが寄生虫にでも取り憑かれたのでは無いのかと思ってしまうほど話の通じない父と、気味悪さだけがます屋敷。
これ以上実家に関わることが嫌になり何故ああなったかも調べずに放置してしまった。
それが行けなかった。
母の駆け落ちを機に父はついに未成年の、俺よりも歳の低い少女に手を出してしまった。
何故あんなにも愛人が居たくせに、愛してはいなかった様だけれど正妻が死んで一ヶ月もしない内に何故、、、
ロレーナから聞いた話に身体中が怒りで震えた。
殺意が溢れて止まらない。
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