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第4章 旅にアクシデントはお約束?
4-9 噂のアイツは忘れた頃にやってくる……
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宗司プレゼンツ、地獄のパンプアップトレーニングから一夜明けた干支神家。
「ぐおおおおお、なんだ、これはぁぁぁぁ」
朝、目覚めた司はベッドの上でのたうち回っていた。否、生まれたての小鹿のようにプルプルと震えていた。司と小鹿の違うところはプルプルとしかできないことである。小鹿は生まれてすぐに立ち上がるというのに。司は今、プルプルとしかできない。
限界まで体力と筋肉を酷使して、次の日は休む。所謂、超回復である。誰しも1回くらいは経験があるのではないでしょうか。運動した次の日の、想像を絶する程の筋肉痛を。
昨日、司がやったことは、倒れるまで宗司を担いで走り、気を失うまで筋力トレーニング、ただこれだけである。しかしこれが、武神門下一同が全力で倦厭する宗司の得意技、クラッシュ&ビルド・パンプアップ法である。至極単純故に恐怖の対象でもある。
「司よ。お前は、例え私と同じことをしても美しい筋肉は付かないだろう。身体に肉が付きにくい体質をしているのは、前にも言ったからわかっているな? だからと言って筋トレをサボっていいわけでもないが……ほかのことを重視してやっていこう。もちろん筋肉痛がでるまで筋トレと走り込みは絶対だ!」
「とりあえず1週間の宿題を出しておく。こっちは司用で、こっちの紙は家の人に渡しておけ。いいか? まずは食え。ひたすら食え。吐いても食え。死ぬまで食え。死んでも食え。国技の相撲と同じだ。食わんと身体が大きくならんし、筋肉も付かん。目安の比率は肉類を80%、他を20%だ」
そして宗司は輝くような笑顔でこう言った。
「1日の必要栄養素を20%分で取ったら、残りはその4倍の肉を食う。簡単なことだろう?」
つまり、宗司が言いたいのは……いつもの5倍はご飯を食べろということだ。肉マシマシで。門下も一斉に目をそらすはずである。民間人で、こんなことをナチュラルに実行する人間が、宗司以外にいるわけがない。
「これこそが、私が父さんに教わった武神流秘伝の方法だ!」
……否、武神流・剛の継承者以外にいるわけがない。
司の声に反応して、リリが部屋にやってきた。
「司さん、大きな声を出してどうしたんですか?」
基本的にリリの朝は早い。いつも朝6時には目が覚める。今日も司よりも早く起きて屋敷の中を散歩でもしていたのだろう。
「リリ、すまないが橙花か蒼花を呼んできてくれないか? 身体が筋肉痛で動けないんだ……」
「きんにくつう? というのはよくわかりませんが、どちらかを呼びに行ってきますね」
リリがトコトコと部屋を出て行って2分後。リリが蒼花を連れて現れた。
「司様、リリちゃんから筋肉痛と伺いましたが、身体はいかがですか?」
「過去最悪レベルでひどいな……。ちょっとでも動くと痛い」
「そうですか。少し失礼します」
蒼花が司をうつ伏せの状態にしてマッサージを始めた。15分程経ち、暇を持て余していたリリが司のベッドでウトウトしかけたところで施術が終わったようだ。
「ありがとう、蒼花。まだ痛いけど、かなりマシになったよ」
「どういたしまして。では、朝食にいらしてください。リリちゃんが限界そうです」
「わかった。着替えたらすぐ向かうよ。リリは先に行ってていいぞ」
「はーい。蒼花さんと先に行ってまーす」
司の本日の朝食は、いつものトーストとサラダとコーヒーとヨーグルトである。宗司のように朝からバクバクと焼肉が食べれるわけもない。実は、今日から昼食と夕食はかなりのボリュームになっているのだが……。宗司のメモに何が書いてあったかはお察しください。
リリの朝食は相変わらずの豪華さだ。特製のドッグフードと茹でた温野菜と鶏肉、デザートのリンゴ。今日も嬉々として全部平らげている。出会った頃は痩せていた身体も、ずいぶんとふっくらしてきた。別に脂肪がついたというわけではない。全体的にしっかりした、という印象だ。
日本で過ごすようになった今は、ウルの森に住んでいた時と食生活が変わり、バランスよく、十分な量の栄養が取れるようになったからだろう。ヴォルフたちも同様だ。
「本日のご予定ですが、来客、決済ともに特にありませんので、ご自由に過ごされてください。まだ身体も本調子ではないようですから、たまにはゆっくりされると良いでしょう。何か急を要する事案があればお呼びいたします」
1人と1匹の朝食が終わると、兎神が司に今日の予定を告げる。
「司さん、今日はお休みなんですか?」
兎神と司の会話を隣で聞いていたリリが、キラキラした目で司を見上げる。最近の司はいつも忙しそうで言うのを遠慮していたのだが、もしかしたら今日は一緒に遊んでもらえるのでは? というオーラが全身から滲みだしている。主に尻尾の動きが。
「そうだな。今日はリリと一緒にゆっくりしようかな」
苦笑しながらも、たまの休みにリリの面倒を見ようというのだから、司も保護者が板についてきたものである。
「ぐおおおおお、なんだ、これはぁぁぁぁ」
朝、目覚めた司はベッドの上でのたうち回っていた。否、生まれたての小鹿のようにプルプルと震えていた。司と小鹿の違うところはプルプルとしかできないことである。小鹿は生まれてすぐに立ち上がるというのに。司は今、プルプルとしかできない。
限界まで体力と筋肉を酷使して、次の日は休む。所謂、超回復である。誰しも1回くらいは経験があるのではないでしょうか。運動した次の日の、想像を絶する程の筋肉痛を。
昨日、司がやったことは、倒れるまで宗司を担いで走り、気を失うまで筋力トレーニング、ただこれだけである。しかしこれが、武神門下一同が全力で倦厭する宗司の得意技、クラッシュ&ビルド・パンプアップ法である。至極単純故に恐怖の対象でもある。
「司よ。お前は、例え私と同じことをしても美しい筋肉は付かないだろう。身体に肉が付きにくい体質をしているのは、前にも言ったからわかっているな? だからと言って筋トレをサボっていいわけでもないが……ほかのことを重視してやっていこう。もちろん筋肉痛がでるまで筋トレと走り込みは絶対だ!」
「とりあえず1週間の宿題を出しておく。こっちは司用で、こっちの紙は家の人に渡しておけ。いいか? まずは食え。ひたすら食え。吐いても食え。死ぬまで食え。死んでも食え。国技の相撲と同じだ。食わんと身体が大きくならんし、筋肉も付かん。目安の比率は肉類を80%、他を20%だ」
そして宗司は輝くような笑顔でこう言った。
「1日の必要栄養素を20%分で取ったら、残りはその4倍の肉を食う。簡単なことだろう?」
つまり、宗司が言いたいのは……いつもの5倍はご飯を食べろということだ。肉マシマシで。門下も一斉に目をそらすはずである。民間人で、こんなことをナチュラルに実行する人間が、宗司以外にいるわけがない。
「これこそが、私が父さんに教わった武神流秘伝の方法だ!」
……否、武神流・剛の継承者以外にいるわけがない。
司の声に反応して、リリが部屋にやってきた。
「司さん、大きな声を出してどうしたんですか?」
基本的にリリの朝は早い。いつも朝6時には目が覚める。今日も司よりも早く起きて屋敷の中を散歩でもしていたのだろう。
「リリ、すまないが橙花か蒼花を呼んできてくれないか? 身体が筋肉痛で動けないんだ……」
「きんにくつう? というのはよくわかりませんが、どちらかを呼びに行ってきますね」
リリがトコトコと部屋を出て行って2分後。リリが蒼花を連れて現れた。
「司様、リリちゃんから筋肉痛と伺いましたが、身体はいかがですか?」
「過去最悪レベルでひどいな……。ちょっとでも動くと痛い」
「そうですか。少し失礼します」
蒼花が司をうつ伏せの状態にしてマッサージを始めた。15分程経ち、暇を持て余していたリリが司のベッドでウトウトしかけたところで施術が終わったようだ。
「ありがとう、蒼花。まだ痛いけど、かなりマシになったよ」
「どういたしまして。では、朝食にいらしてください。リリちゃんが限界そうです」
「わかった。着替えたらすぐ向かうよ。リリは先に行ってていいぞ」
「はーい。蒼花さんと先に行ってまーす」
司の本日の朝食は、いつものトーストとサラダとコーヒーとヨーグルトである。宗司のように朝からバクバクと焼肉が食べれるわけもない。実は、今日から昼食と夕食はかなりのボリュームになっているのだが……。宗司のメモに何が書いてあったかはお察しください。
リリの朝食は相変わらずの豪華さだ。特製のドッグフードと茹でた温野菜と鶏肉、デザートのリンゴ。今日も嬉々として全部平らげている。出会った頃は痩せていた身体も、ずいぶんとふっくらしてきた。別に脂肪がついたというわけではない。全体的にしっかりした、という印象だ。
日本で過ごすようになった今は、ウルの森に住んでいた時と食生活が変わり、バランスよく、十分な量の栄養が取れるようになったからだろう。ヴォルフたちも同様だ。
「本日のご予定ですが、来客、決済ともに特にありませんので、ご自由に過ごされてください。まだ身体も本調子ではないようですから、たまにはゆっくりされると良いでしょう。何か急を要する事案があればお呼びいたします」
1人と1匹の朝食が終わると、兎神が司に今日の予定を告げる。
「司さん、今日はお休みなんですか?」
兎神と司の会話を隣で聞いていたリリが、キラキラした目で司を見上げる。最近の司はいつも忙しそうで言うのを遠慮していたのだが、もしかしたら今日は一緒に遊んでもらえるのでは? というオーラが全身から滲みだしている。主に尻尾の動きが。
「そうだな。今日はリリと一緒にゆっくりしようかな」
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