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第5章 地球と彼の地を結ぶ門
5-4 ちょっとだけ違う日常の始まり④
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宗司が見つけたのは不思議な泉だった。
見た目は変わった場所にある水たまりと言っても過言ではない。しかし、不思議なのは湧き出ているわけでも、注いでいるわけでもない。何もない遥か天から僅かに滴ってくる雫が集まってできた泉だった。
そしてさらに不思議なことに泉の周りには何もない。普通、泉というと水場を求めた動物、水と光を主食とする植物、水中を生活する水棲生物がいてもおかしくはない。しかし、その泉には、水中はもちろん、周りに何もいないのだ。
「不思議なところだったよ。泉以外に何もないのだから。でも、同時に不安だった。場所が場所だけに、まるで火山の頂きにある硫酸の湖のように見えたんだ……初めはな」
生物が寄り付かないのには寄り付かないだけの理由がある。宗司が飲めない水なのかと思っても仕方のないことだろう。
「でも、どれだけ調べてみても水に違いなかった。無味無臭で無色透明だし、毒でもなかった。これが水以外なら何だろうって思ったよ」
「その水が、宗司兄の身体と何の関係があるんですか? 水を飲んだくらいで、あの状態が治ったら、この世の中に不治の病なんて無くなるような気がするんですけど」
舞のセリフは最もだ。ただ水を飲んで、半身不随が治ったら、この世に医者がいらなくなってしまう……実際はそんなことはないのだが、それほどの衝撃が走るということだ。
「ははは、確かにな。私が舞でも同じことを思うよ。だがな、実際に、その泉の水を身体になじませたことで、動かなかった身体が治って動くようになったわけだ。いや……治ったというのは語弊があるかもしれない。正しくは、造りかえられた、かな?」
へーそうだったのかー(棒読み)。
……冗談はさておき、宗司のあほみたいな身体にはそんな秘密があったのか。素手で大岩を割ったりとか、ほぼ無尽蔵の体力とか、刃物で切り付けられても傷つかない皮膚とか。確かに普通の人間が、筋肉だけで出来る範囲を超えているとは常々思っていたことだ。
「だけどな、副作用がないわけじゃない」
しかし、宗司のその発言で、その場が凍る。
「世の中に、何の代償もなく、神の奇跡なんか起こるわけがないさ。泉の水を身体になじませるのには物凄い苦痛を伴うし、何よりも叶える願いの大きさによって、相応の寿命を持っていかれるんだ。そう、泉と約束したからな」
「そ、そんな……」
宗司の告白に舞の顔が真っ青になった。既に知っていたのか、凛は無表情だった。ただ、僅かに空気が軋んだ気もしたが……リリが若干ビクッとしたのがとても気になる。
「舞、気にするな、と言っても難しいかもしれない。だけど、お前が気に病むことは欠片もない。これは、俺が望んで、俺が選んだことなのだから。むしろ、逆に感謝すらしているよ。俺は、動けない身体で永い時を過ごすならば、例え短くとも動く身体を選んだ。ただ、それだけのことだ」
宗司は、ショックを受ける舞を見て、珍しく悲しい顔をしていた。やっぱり言うんじゃなかった、そんな思いがあるのかもしれない。
「まぁ、安心しろ。今日明日すぐ死ぬというわけじゃないさ」
極めて明るく宗司が言うが、一度落ち込んだ空気はすぐには戻らない。
「私の話はこれくらいだな。それで、これが司の依頼と何が関係しているんだ?」
「ええ、これからそれを説明しますね。その前に宗司さん、辛いことを話させて、すいませんでした。恐らく、舞には一生教えるつもりがなかったのかもしれませんし」
「ははは、気にするな! いつかは打ち明けた、それが少し早くなっただけさ。もし、黙ったまま死んで、私以外の口からそれが舞に伝わったら、あの世で何をされるかわかったもんじゃないからな!」
「ここからは、私が説明を致します」
何の前触れもなく部屋に現れた兎神、リリもビックリである。
「私共から、お願いしたいことは、この石を、泉の水で培養すること。宗司様には司様の護衛兼道案内をお頼みしたい」
それだけならわざわざ宗司に頼む必要があったのか? と思ってしまう。まぁ、知り合いの中で破格の戦闘力を誇っているのは確かだが。
「……そして、石が変化したものを確認して、場合によっては滅して頂きたい。私たちの想定が最悪の時は、かなり危険を伴うと予想しています。それをどうにかできる可能性があるのは、現状、泉を理解している宗司様だけです」
何やら随分と、話がきな臭くなってきた。
見た目は変わった場所にある水たまりと言っても過言ではない。しかし、不思議なのは湧き出ているわけでも、注いでいるわけでもない。何もない遥か天から僅かに滴ってくる雫が集まってできた泉だった。
そしてさらに不思議なことに泉の周りには何もない。普通、泉というと水場を求めた動物、水と光を主食とする植物、水中を生活する水棲生物がいてもおかしくはない。しかし、その泉には、水中はもちろん、周りに何もいないのだ。
「不思議なところだったよ。泉以外に何もないのだから。でも、同時に不安だった。場所が場所だけに、まるで火山の頂きにある硫酸の湖のように見えたんだ……初めはな」
生物が寄り付かないのには寄り付かないだけの理由がある。宗司が飲めない水なのかと思っても仕方のないことだろう。
「でも、どれだけ調べてみても水に違いなかった。無味無臭で無色透明だし、毒でもなかった。これが水以外なら何だろうって思ったよ」
「その水が、宗司兄の身体と何の関係があるんですか? 水を飲んだくらいで、あの状態が治ったら、この世の中に不治の病なんて無くなるような気がするんですけど」
舞のセリフは最もだ。ただ水を飲んで、半身不随が治ったら、この世に医者がいらなくなってしまう……実際はそんなことはないのだが、それほどの衝撃が走るということだ。
「ははは、確かにな。私が舞でも同じことを思うよ。だがな、実際に、その泉の水を身体になじませたことで、動かなかった身体が治って動くようになったわけだ。いや……治ったというのは語弊があるかもしれない。正しくは、造りかえられた、かな?」
へーそうだったのかー(棒読み)。
……冗談はさておき、宗司のあほみたいな身体にはそんな秘密があったのか。素手で大岩を割ったりとか、ほぼ無尽蔵の体力とか、刃物で切り付けられても傷つかない皮膚とか。確かに普通の人間が、筋肉だけで出来る範囲を超えているとは常々思っていたことだ。
「だけどな、副作用がないわけじゃない」
しかし、宗司のその発言で、その場が凍る。
「世の中に、何の代償もなく、神の奇跡なんか起こるわけがないさ。泉の水を身体になじませるのには物凄い苦痛を伴うし、何よりも叶える願いの大きさによって、相応の寿命を持っていかれるんだ。そう、泉と約束したからな」
「そ、そんな……」
宗司の告白に舞の顔が真っ青になった。既に知っていたのか、凛は無表情だった。ただ、僅かに空気が軋んだ気もしたが……リリが若干ビクッとしたのがとても気になる。
「舞、気にするな、と言っても難しいかもしれない。だけど、お前が気に病むことは欠片もない。これは、俺が望んで、俺が選んだことなのだから。むしろ、逆に感謝すらしているよ。俺は、動けない身体で永い時を過ごすならば、例え短くとも動く身体を選んだ。ただ、それだけのことだ」
宗司は、ショックを受ける舞を見て、珍しく悲しい顔をしていた。やっぱり言うんじゃなかった、そんな思いがあるのかもしれない。
「まぁ、安心しろ。今日明日すぐ死ぬというわけじゃないさ」
極めて明るく宗司が言うが、一度落ち込んだ空気はすぐには戻らない。
「私の話はこれくらいだな。それで、これが司の依頼と何が関係しているんだ?」
「ええ、これからそれを説明しますね。その前に宗司さん、辛いことを話させて、すいませんでした。恐らく、舞には一生教えるつもりがなかったのかもしれませんし」
「ははは、気にするな! いつかは打ち明けた、それが少し早くなっただけさ。もし、黙ったまま死んで、私以外の口からそれが舞に伝わったら、あの世で何をされるかわかったもんじゃないからな!」
「ここからは、私が説明を致します」
何の前触れもなく部屋に現れた兎神、リリもビックリである。
「私共から、お願いしたいことは、この石を、泉の水で培養すること。宗司様には司様の護衛兼道案内をお頼みしたい」
それだけならわざわざ宗司に頼む必要があったのか? と思ってしまう。まぁ、知り合いの中で破格の戦闘力を誇っているのは確かだが。
「……そして、石が変化したものを確認して、場合によっては滅して頂きたい。私たちの想定が最悪の時は、かなり危険を伴うと予想しています。それをどうにかできる可能性があるのは、現状、泉を理解している宗司様だけです」
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