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第5章 地球と彼の地を結ぶ門
5-5 ちょっとだけ違う日常の始まり⑤
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兎神が今回の依頼について核心の部分を説明する。簡単に内容をまとめると、問題になっている赤い石は血が何らかの方法で結晶化したもので、この血の持ち主を特定したい、そう言うことだ。
また、このメンバーの中で泉の正確な位置を知っていて、護衛としても適した戦力を保有するのが宗司である。泉の不思議な性質上、経験者が同行することが望ましいということになった。
そして、同時に1つの問題が発生。
「私も行きたいです! 一緒に行きたいです! いーきーたーい!」
リリがごねた。
「リリ、遊びに行くんじゃないんだ。危ないかもしれないし、連れていけないよ。家で待っててくれないか? な? 頼むから……」
「いーやーでーすー! いーきーたーいー! いーきーたーいーでーすー!」
まるでおもちゃを買ってほしいと強請っている子供である。しかも、地面に寝っ転がってジタバタしているアクション付きだ。非常に芸が細かい。普段から聞き分けの良いリリが、ここまで意固地になって駄々をこねるのは珍しい。
この突然の行動には司も困ってしまった。他のメンバーはどうすればいいのかわからない顔をしているし、唯一何か言えそうな兎神は無表情でダンマリだ。手を貸すつもりはないらしい。
「いやです! 絶対、一緒にいきます! 行くんです!」
リリの目が爛々と輝いて、興奮してふんふんと鼻息も荒い……このままでは埒があかない。もはや理性的に説得するという手段はダメになったのに等しい状態だ。
「はぁ……しょうがない。リリ、ルーヴから許可が出たらついてきていい。だけど、仕事だということを忘れないように」
「本当ですか!? やったー!!」
リリははしゃいだ。それはもうハイテンションである。リリの中では、もう司の許可をもらったのも同然に解釈したためだ。ルーヴがダメと言ったら、連れて行ってもらえないのがわかっているのだろうか?
その後、司の予定と宗司の予定を突き合わせて、出発は1か月後に決定した。旅に必要な荷物は兎神が用意し、事前に内容を確認して不足分を補うスタイル。とは言っても、宗司は基本的に肉体1つでほぼほぼ完結しているので、足りなくても何とかなってしまうのだが。リリは屋敷に帰ってからヴォルフとルーヴに報告して、両親の許可が出れば同行、未成年だから当然の処置である。
リリは屋敷に戻ると、早速ヴォルフとルーヴに相談する。
「ふむ。それで、リリは司について行くというのか?」
話を聞いたヴォルフの顔は固い。きっと、リリがついて行くことに難色を示しているのだろう。大切な一人娘なのだから当然である。
「あら、いいんじゃないですか? リリ、司さんの言うことをよく聞いて、しっかりと務めを果たすんですよ?」
「やったぁ! お母さん、ありがとう!」
「ええええ!?」
その答えを聞いて、てっきりリリを説得して止めてくれると思っていた司は呆然。簡単に両親の許可が出てしまった。一度、リリと約束した手前、今更もう連れて行かないというわけにもいかない。八方ふさがりである。
「ルーヴ……私の意見は……」
母娘で会話が完結してしまった横で、父親のヴォルフは涙目である。
そして、あっという間に1か月が経ち、司の出発の日が訪れる。
兎神たちは遠征には参加できないため、当日にも入念なチェックを行い、決して不備が無いように厳選した荷物が集められた。宗司も何回かアドバイスをして、必要なものを入手してもらっていたから万全だろう。
「おはよう、司。準備はできているか?」
今日の宗司の恰好はいつもの道着ではなく、以前司が使っていたものと同じ、特殊隊員ばりの服を着ている。丈夫で、保温性が高く、汚れに強いという謎素材で作られた服である。司も同じ服装、ペアルックだ。荷物はリュックサックにすべて詰め込まれている。ただし、総重量20キロだが。ちなみに食料はかなり抑えられているので現地調達しなければならない。宗司が言うには、食べれるものは道中に割とあるらしい。
「準備完了です!」
宗司の問いかけに、リリが元気な声で返事をした。早くから準備万端で2人の足元をウロウロして待っていたリリ。もう出発したくてたまらないのだろう。しかし、これから行くのは散歩ではない。
「ええ、大丈夫です」
2人は最後にもう一度荷物の確認をしてから、彼の地へと赴くべく、門へと向かっていった。足元にはリリがちょこちょこと追いかける。
途中で大樹に出発の報告をし、ヴォルフたちに挨拶をして、
「リリ、気を付けるんだぞ? しっかりご飯は食べるんだぞ? 睡眠も忘れるな? あとは……」
「ヴォルフ……、司さんと一緒なのですから、大丈夫ですって。リリ、司さんの言うことをよく聞いて、しっかりとお勤めを果たすのですよ? また元気な姿で再会できることを祈っていますから」
「はい! 頑張ってきます! お父さん、お母さん、行ってきます!」
司たちの目に、門の前にいる4人が見えた。
また、このメンバーの中で泉の正確な位置を知っていて、護衛としても適した戦力を保有するのが宗司である。泉の不思議な性質上、経験者が同行することが望ましいということになった。
そして、同時に1つの問題が発生。
「私も行きたいです! 一緒に行きたいです! いーきーたーい!」
リリがごねた。
「リリ、遊びに行くんじゃないんだ。危ないかもしれないし、連れていけないよ。家で待っててくれないか? な? 頼むから……」
「いーやーでーすー! いーきーたーいー! いーきーたーいーでーすー!」
まるでおもちゃを買ってほしいと強請っている子供である。しかも、地面に寝っ転がってジタバタしているアクション付きだ。非常に芸が細かい。普段から聞き分けの良いリリが、ここまで意固地になって駄々をこねるのは珍しい。
この突然の行動には司も困ってしまった。他のメンバーはどうすればいいのかわからない顔をしているし、唯一何か言えそうな兎神は無表情でダンマリだ。手を貸すつもりはないらしい。
「いやです! 絶対、一緒にいきます! 行くんです!」
リリの目が爛々と輝いて、興奮してふんふんと鼻息も荒い……このままでは埒があかない。もはや理性的に説得するという手段はダメになったのに等しい状態だ。
「はぁ……しょうがない。リリ、ルーヴから許可が出たらついてきていい。だけど、仕事だということを忘れないように」
「本当ですか!? やったー!!」
リリははしゃいだ。それはもうハイテンションである。リリの中では、もう司の許可をもらったのも同然に解釈したためだ。ルーヴがダメと言ったら、連れて行ってもらえないのがわかっているのだろうか?
その後、司の予定と宗司の予定を突き合わせて、出発は1か月後に決定した。旅に必要な荷物は兎神が用意し、事前に内容を確認して不足分を補うスタイル。とは言っても、宗司は基本的に肉体1つでほぼほぼ完結しているので、足りなくても何とかなってしまうのだが。リリは屋敷に帰ってからヴォルフとルーヴに報告して、両親の許可が出れば同行、未成年だから当然の処置である。
リリは屋敷に戻ると、早速ヴォルフとルーヴに相談する。
「ふむ。それで、リリは司について行くというのか?」
話を聞いたヴォルフの顔は固い。きっと、リリがついて行くことに難色を示しているのだろう。大切な一人娘なのだから当然である。
「あら、いいんじゃないですか? リリ、司さんの言うことをよく聞いて、しっかりと務めを果たすんですよ?」
「やったぁ! お母さん、ありがとう!」
「ええええ!?」
その答えを聞いて、てっきりリリを説得して止めてくれると思っていた司は呆然。簡単に両親の許可が出てしまった。一度、リリと約束した手前、今更もう連れて行かないというわけにもいかない。八方ふさがりである。
「ルーヴ……私の意見は……」
母娘で会話が完結してしまった横で、父親のヴォルフは涙目である。
そして、あっという間に1か月が経ち、司の出発の日が訪れる。
兎神たちは遠征には参加できないため、当日にも入念なチェックを行い、決して不備が無いように厳選した荷物が集められた。宗司も何回かアドバイスをして、必要なものを入手してもらっていたから万全だろう。
「おはよう、司。準備はできているか?」
今日の宗司の恰好はいつもの道着ではなく、以前司が使っていたものと同じ、特殊隊員ばりの服を着ている。丈夫で、保温性が高く、汚れに強いという謎素材で作られた服である。司も同じ服装、ペアルックだ。荷物はリュックサックにすべて詰め込まれている。ただし、総重量20キロだが。ちなみに食料はかなり抑えられているので現地調達しなければならない。宗司が言うには、食べれるものは道中に割とあるらしい。
「準備完了です!」
宗司の問いかけに、リリが元気な声で返事をした。早くから準備万端で2人の足元をウロウロして待っていたリリ。もう出発したくてたまらないのだろう。しかし、これから行くのは散歩ではない。
「ええ、大丈夫です」
2人は最後にもう一度荷物の確認をしてから、彼の地へと赴くべく、門へと向かっていった。足元にはリリがちょこちょこと追いかける。
途中で大樹に出発の報告をし、ヴォルフたちに挨拶をして、
「リリ、気を付けるんだぞ? しっかりご飯は食べるんだぞ? 睡眠も忘れるな? あとは……」
「ヴォルフ……、司さんと一緒なのですから、大丈夫ですって。リリ、司さんの言うことをよく聞いて、しっかりとお勤めを果たすのですよ? また元気な姿で再会できることを祈っていますから」
「はい! 頑張ってきます! お父さん、お母さん、行ってきます!」
司たちの目に、門の前にいる4人が見えた。
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