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第5章 地球と彼の地を結ぶ門
5-38 脳筋ゴリラゴーレム爆誕
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結果的に舞の攻撃は、宗司ゴーレムに効果的だった。
宗司を覆う表面は硬度が高い結晶体だが、戦棍を連続で叩き込むことでヒビや欠けが発生してきているのだ。ただ、ダメージを受けているような素振りは見られないので、何かしらの対策が必要なのは明らかだが。
「司さんの言う通り、動きは単調ですね。宗司兄とは思えません。硬さは中々ですが、思ったより硬くない。これなら時間さえあれば崩せそうです」
舞は分析しつつ、カウンターで相手の身体を削っていく。一撃一撃は軽いものの、舞の打撃は確実に結晶をそぎ落としていた。この調子なら膨大な時間はかかるが、全てを砕くこともできるだろう。もはや、自分の体力消費との勝負である。
「舞! 交代だ!」
舞は背中からかけられた声に即座に反応して攻撃を中止する。そして、相手が大振りな一撃を地面に叩き込んだタイミングでバックステップして距離をとる。それと入れ替わるように司が前に出た。司の手には見慣れない棒が握られている。形状的には警棒のように見えるが、何らかの武器だろう。棒の先端は重心のためか手元よりも太くなっている。
宗司ゴーレムは最も近い対象を攻撃する習性がある。それならばヒットアンドアウェイを繰り返して、体力が尽きる前に交代をしながら交互に削ればいい。
「司さん! どうしますか!?」
「舞は休んでいろ! 俺に考えがあるが、少し様子を見たい!」
司はそう言うと、警棒を構えて宗司ゴーレムに対峙する。振り下ろす腕を回避しながら、司が警棒の先端で叩くと、ガラスが砕けるような音が響いた。同時に欠片が辺りに飛び散る。
「それ、いったい何で出来ているんですか? 私はアレだけ苦労したのに……ずるいです」
舞の疑問は尤もである。これ、見た目は伸縮機構付きの警棒だが、兎神から渡された特注品。謎金属でできている逸品であり、先端部はやたらと硬く、見た目以上に重い。兎神からは、地球では絶対に無くさないように言われているが、こちらの世界では気兼ねなく使用できる武器である。正直、材質を訪ねるのが怖い。
司と舞が交代しながら、しばらく宗司ゴーレムの身体を削っていたのだが、腕が露出するかしないかくらいまで到達したタイミングでそれは起きた。
「えええ、それって少し卑怯じゃないですか?」
今まで単調に攻撃していた宗司ゴーレムは、行動パターンを変化させて、水たまりへ移動。すると削れていた部分がバキバキと音を立てて成長していった。どうやら、損傷率がある程度まで達すると自己修復を行うようだ。そして、身体の修復が終わると、また攻撃を再開する。律儀なものである。
司たちが交代で休みながら対峙するのに対して、宗司ゴーレムは無尽蔵ともいえる体力で攻撃を行い、損傷すると補給ポイントへ戻って再生して帰ってくる。もはや、イタチごっこだった。
状況的には互角とも思えるが、実は司たちのほうが分が悪い。お互いに回復できるため、実際はダメージを与えられていないようなものだが、このまま平行線で時間だけが推移していけば、生身である司たちには確実に限界が訪れる。しかし、宗司ゴーレムはどうすれば行動不能になるかが見えていないのは非常に由々しき事態なのである。
その後も何回か破壊と再生を繰り返したが、一向に終わりが見えてこない。少しずつ焦りだした司たちに更なる問題が訪れる。
「!? クーシュ! お前たちは空に逃げろ! リリ! 距離を詰めさせるな!」
今まで近い対象を攻撃していた宗司ゴーレムの挙動が変化した。手前にいる司と舞を素通りすると、遥か後方で見守っていたクーシュやリリたちに近づいて行く。虚をつかれて対応が遅れた司が焦り気味に指示を出すと、その声に反応してリリは即座に司のほうへ駆け抜ける。
一方、母鳥は悠然と宗司ゴーレムを見つめていた。対象が逃げないのを良いことに、母鳥に接敵した宗司ゴーレムは拳を振り上げて、突進の勢いをそのままに渾身の一撃を見舞った。操られていても中身は筋肉ゴリラである。さらに謎の結晶で覆われた身体は硬度も高い。力、速度、硬度、3身が揃った一撃は相当の威力を発揮する。
「……わらわを誰だと思っている」
反面、不意の接敵を許した母鳥だったが、その声には微塵にも焦りの色はなかった。宗司ゴーレムの拳が到達するよりも速く、赤い光を伴った風が吹き荒れて、宗司の身体を吹き飛ばした。突風に煽られてゴロゴロと跳ね返されて行く宗司。その余波は司たちのほうまで悠々と届いてきた。手加減したのに凄まじい威力である。
さらに、いつの間にか母鳥のお腹から顔を出していたクーシュが、シュシュッとまるでシャドーボクシングをするかのように宗司に向かって手ヒレを動かしていた。可愛い。
「クーシュ、あなたという人は……」
その姿を見て、リリが呆れてぽつりと溢す。自分は何もしていないのに、敵を煽るのは一丁前なクーシュであった。でも可愛い。
宗司を覆う表面は硬度が高い結晶体だが、戦棍を連続で叩き込むことでヒビや欠けが発生してきているのだ。ただ、ダメージを受けているような素振りは見られないので、何かしらの対策が必要なのは明らかだが。
「司さんの言う通り、動きは単調ですね。宗司兄とは思えません。硬さは中々ですが、思ったより硬くない。これなら時間さえあれば崩せそうです」
舞は分析しつつ、カウンターで相手の身体を削っていく。一撃一撃は軽いものの、舞の打撃は確実に結晶をそぎ落としていた。この調子なら膨大な時間はかかるが、全てを砕くこともできるだろう。もはや、自分の体力消費との勝負である。
「舞! 交代だ!」
舞は背中からかけられた声に即座に反応して攻撃を中止する。そして、相手が大振りな一撃を地面に叩き込んだタイミングでバックステップして距離をとる。それと入れ替わるように司が前に出た。司の手には見慣れない棒が握られている。形状的には警棒のように見えるが、何らかの武器だろう。棒の先端は重心のためか手元よりも太くなっている。
宗司ゴーレムは最も近い対象を攻撃する習性がある。それならばヒットアンドアウェイを繰り返して、体力が尽きる前に交代をしながら交互に削ればいい。
「司さん! どうしますか!?」
「舞は休んでいろ! 俺に考えがあるが、少し様子を見たい!」
司はそう言うと、警棒を構えて宗司ゴーレムに対峙する。振り下ろす腕を回避しながら、司が警棒の先端で叩くと、ガラスが砕けるような音が響いた。同時に欠片が辺りに飛び散る。
「それ、いったい何で出来ているんですか? 私はアレだけ苦労したのに……ずるいです」
舞の疑問は尤もである。これ、見た目は伸縮機構付きの警棒だが、兎神から渡された特注品。謎金属でできている逸品であり、先端部はやたらと硬く、見た目以上に重い。兎神からは、地球では絶対に無くさないように言われているが、こちらの世界では気兼ねなく使用できる武器である。正直、材質を訪ねるのが怖い。
司と舞が交代しながら、しばらく宗司ゴーレムの身体を削っていたのだが、腕が露出するかしないかくらいまで到達したタイミングでそれは起きた。
「えええ、それって少し卑怯じゃないですか?」
今まで単調に攻撃していた宗司ゴーレムは、行動パターンを変化させて、水たまりへ移動。すると削れていた部分がバキバキと音を立てて成長していった。どうやら、損傷率がある程度まで達すると自己修復を行うようだ。そして、身体の修復が終わると、また攻撃を再開する。律儀なものである。
司たちが交代で休みながら対峙するのに対して、宗司ゴーレムは無尽蔵ともいえる体力で攻撃を行い、損傷すると補給ポイントへ戻って再生して帰ってくる。もはや、イタチごっこだった。
状況的には互角とも思えるが、実は司たちのほうが分が悪い。お互いに回復できるため、実際はダメージを与えられていないようなものだが、このまま平行線で時間だけが推移していけば、生身である司たちには確実に限界が訪れる。しかし、宗司ゴーレムはどうすれば行動不能になるかが見えていないのは非常に由々しき事態なのである。
その後も何回か破壊と再生を繰り返したが、一向に終わりが見えてこない。少しずつ焦りだした司たちに更なる問題が訪れる。
「!? クーシュ! お前たちは空に逃げろ! リリ! 距離を詰めさせるな!」
今まで近い対象を攻撃していた宗司ゴーレムの挙動が変化した。手前にいる司と舞を素通りすると、遥か後方で見守っていたクーシュやリリたちに近づいて行く。虚をつかれて対応が遅れた司が焦り気味に指示を出すと、その声に反応してリリは即座に司のほうへ駆け抜ける。
一方、母鳥は悠然と宗司ゴーレムを見つめていた。対象が逃げないのを良いことに、母鳥に接敵した宗司ゴーレムは拳を振り上げて、突進の勢いをそのままに渾身の一撃を見舞った。操られていても中身は筋肉ゴリラである。さらに謎の結晶で覆われた身体は硬度も高い。力、速度、硬度、3身が揃った一撃は相当の威力を発揮する。
「……わらわを誰だと思っている」
反面、不意の接敵を許した母鳥だったが、その声には微塵にも焦りの色はなかった。宗司ゴーレムの拳が到達するよりも速く、赤い光を伴った風が吹き荒れて、宗司の身体を吹き飛ばした。突風に煽られてゴロゴロと跳ね返されて行く宗司。その余波は司たちのほうまで悠々と届いてきた。手加減したのに凄まじい威力である。
さらに、いつの間にか母鳥のお腹から顔を出していたクーシュが、シュシュッとまるでシャドーボクシングをするかのように宗司に向かって手ヒレを動かしていた。可愛い。
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