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第5章 地球と彼の地を結ぶ門
5-49 舞がいない日常②
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本日の授業が終わって下校の時間。
尤も、私にとって高校の授業なんてあってないようなもの。こう見えても、成績は中学からずっと学年1位。えっへん。胸の大きさなんかに現を抜かしている連中には、絶対に負けない。
「優~、お待たせ。帰りの準備できたよ~」
「そう言えば、優ちゃんは教科書持って帰るのを見たことありませんよね~。宿題とか大丈夫なんですか~? まぁ、未提出なのは見たことないので、ちゃんとやっているんでしょうけど~」
「一々、持ち運ぶのは非効率。学校で使うものは、学校に置いておくべき。あと、宿題は全て授業中にやってしまえばいい」
家でやらなければならない宿題以外は授業中に終わらせるのが基本。出来る限り、その場でやるのが望ましい。自由時間は自分にとって利益になることをするべき。1日は24時間しかないのだから。
「そうだったんですか~。だから優ちゃんはいつも授業そっちのけで書き物してるんですね~。衝撃事実です~。でも、それだと担当の先生が可愛そうですよ~」
そうなの? でも、授業はちゃんと受けてるし。指されたら、完璧に回答してる。だから、他の事をしていても、何も問題はないはず。注意されたこともないし。
今日は帰りに舞の家に寄っていく予定。
3人で歩いて舞の家に向かってる。澪はいつも送迎付きなんだけど、今日は寄り道をするから後で来るらしい。流石、資産家のお嬢。
「そう言えば、剛志さんが新作ができたぞーって言ってたよ。優に伝えといてって」
「へー、それじゃ~、舞ちゃんが戻ってきたら4人で行きます? あ、司さんとリリちゃんも呼んじゃいますか~。近況報告も根掘り葉掘り聞きたいですし~」
新作のスイーツ……ごくり。
あ、大俵剛志というのは喫茶店の店長。軍隊上がりなので身体は筋肉の塊なのに、とても繊細で甘美で芸術的なお菓子を作る神職人。究極のスイーツ職人を目指すあまり、体毛の混入を防ぐために全身をつるっつるに永久脱毛したほどの猛者。頭部がスキンヘッドなのは頭突きをし過ぎてハゲたらしいけど。
「それは良い情報。舞の身柄を確保したら、すぐ連行。ついでに司の財布を充てにする」
「……優ちゃん、それはいくらなんでも、無しじゃないです? 司さんは舞ちゃんの彼氏なんですよ? 私たちとは、ただのお知り合いレベルですよ?」
「大丈夫、司は良いやつ。きっと私たちのお願いも聞いてくれる」
司は良いやつだから、私たちが可愛くおねだりすれば、きっとおごってくれるはず。澪とエイミーが、こいつマジ? って顔をしているけど、とっても心外。女の武器は使えるときに使うべき。
特に何事も無く武神家に到着。
目の前の家を見上げる、何度見ても大きい。正面の門は車が2台通れるくらい大きいし、塀の内側には植え樹とか蔵とか道場とかが上の部分だけ見える。しかも、総瓦張り。初めて見た時は、江戸時代の武家屋敷かと思った。
勝手知った何とやらで、門を潜る。日中は門下生が出入りをするので、正門には閂やカギはかかっていない。今時、防犯的にちょっと不用心に思えるかもしれないけど、この家に強盗が入ることはまずない。理由は簡単、ここに住んでいる連中は全員が化け物だから。一般人がちょっと武装したくらいじゃ蹂躙されるのがオチ。ここに攻め入るなら軍隊が必要。
「お、詠美ちゃん、澪ちゃん、優ちゃん、いらっしゃい」
「そ、宗司さん!?」
玄関前には道着を来た宗司が竹箒を振るって掃除してた。私たちが入ってきたのにすぐ気づいて笑顔であいさつしてる。それで、突然の遭遇でエイミーが硬直して、笑顔を作ろうとして失敗、逆に顔が引き攣ってる。酷い顔……こういう時にしっかり女をアピールしないで、いつするの? でも、それがエイミーの純粋さなのかも? 異性にモテるかは別として。
いつ帰ってきたんだろう。でも、ここに宗司がいるってことは、舞も帰ってきている可能性が高い。今日武神家を訪れたのはタイミングよかったのかも。
「宗司さん、こんにちは。舞ちゃんって帰ってきてます~?」
「ああ、今は道場にいるんじゃないかな? 行ってみると良い」
固まったエイミーに代わって澪が核心を訪ねと、予想通りの回答が返ってきた。
「わかりました~行ってみます~。あ、エイミーが突然動かなくなったので、よろしくお願いしますね~。優ちゃん、行きますよ~」
行動停止したエイミーをさくっとその場に放置して、道場に向かうと道着を身に着けた舞が稽古の真っ最中だった。母親の凛に投げられて何度も床をゴロンゴロンと転がっているけど。
「……どうやらお友達がいらっしゃったようですので、今日はここまで。休憩しなさい」
私たちに気づいた凛が、床に寝そべって疲労困憊の舞に声をかけて下がっていく。これが噂に聞く、地獄のシゴキというやつ?
「澪、優……こんな格好ですいませんけど、少しだけ……待っててください」
床に寝たままの舞が、息も絶え絶えな状態で話しかけてきた。舞には申し訳ないけど、武神家に生まれなくてよかった。この光景を見るとつくづくそう思う。
尤も、私にとって高校の授業なんてあってないようなもの。こう見えても、成績は中学からずっと学年1位。えっへん。胸の大きさなんかに現を抜かしている連中には、絶対に負けない。
「優~、お待たせ。帰りの準備できたよ~」
「そう言えば、優ちゃんは教科書持って帰るのを見たことありませんよね~。宿題とか大丈夫なんですか~? まぁ、未提出なのは見たことないので、ちゃんとやっているんでしょうけど~」
「一々、持ち運ぶのは非効率。学校で使うものは、学校に置いておくべき。あと、宿題は全て授業中にやってしまえばいい」
家でやらなければならない宿題以外は授業中に終わらせるのが基本。出来る限り、その場でやるのが望ましい。自由時間は自分にとって利益になることをするべき。1日は24時間しかないのだから。
「そうだったんですか~。だから優ちゃんはいつも授業そっちのけで書き物してるんですね~。衝撃事実です~。でも、それだと担当の先生が可愛そうですよ~」
そうなの? でも、授業はちゃんと受けてるし。指されたら、完璧に回答してる。だから、他の事をしていても、何も問題はないはず。注意されたこともないし。
今日は帰りに舞の家に寄っていく予定。
3人で歩いて舞の家に向かってる。澪はいつも送迎付きなんだけど、今日は寄り道をするから後で来るらしい。流石、資産家のお嬢。
「そう言えば、剛志さんが新作ができたぞーって言ってたよ。優に伝えといてって」
「へー、それじゃ~、舞ちゃんが戻ってきたら4人で行きます? あ、司さんとリリちゃんも呼んじゃいますか~。近況報告も根掘り葉掘り聞きたいですし~」
新作のスイーツ……ごくり。
あ、大俵剛志というのは喫茶店の店長。軍隊上がりなので身体は筋肉の塊なのに、とても繊細で甘美で芸術的なお菓子を作る神職人。究極のスイーツ職人を目指すあまり、体毛の混入を防ぐために全身をつるっつるに永久脱毛したほどの猛者。頭部がスキンヘッドなのは頭突きをし過ぎてハゲたらしいけど。
「それは良い情報。舞の身柄を確保したら、すぐ連行。ついでに司の財布を充てにする」
「……優ちゃん、それはいくらなんでも、無しじゃないです? 司さんは舞ちゃんの彼氏なんですよ? 私たちとは、ただのお知り合いレベルですよ?」
「大丈夫、司は良いやつ。きっと私たちのお願いも聞いてくれる」
司は良いやつだから、私たちが可愛くおねだりすれば、きっとおごってくれるはず。澪とエイミーが、こいつマジ? って顔をしているけど、とっても心外。女の武器は使えるときに使うべき。
特に何事も無く武神家に到着。
目の前の家を見上げる、何度見ても大きい。正面の門は車が2台通れるくらい大きいし、塀の内側には植え樹とか蔵とか道場とかが上の部分だけ見える。しかも、総瓦張り。初めて見た時は、江戸時代の武家屋敷かと思った。
勝手知った何とやらで、門を潜る。日中は門下生が出入りをするので、正門には閂やカギはかかっていない。今時、防犯的にちょっと不用心に思えるかもしれないけど、この家に強盗が入ることはまずない。理由は簡単、ここに住んでいる連中は全員が化け物だから。一般人がちょっと武装したくらいじゃ蹂躙されるのがオチ。ここに攻め入るなら軍隊が必要。
「お、詠美ちゃん、澪ちゃん、優ちゃん、いらっしゃい」
「そ、宗司さん!?」
玄関前には道着を来た宗司が竹箒を振るって掃除してた。私たちが入ってきたのにすぐ気づいて笑顔であいさつしてる。それで、突然の遭遇でエイミーが硬直して、笑顔を作ろうとして失敗、逆に顔が引き攣ってる。酷い顔……こういう時にしっかり女をアピールしないで、いつするの? でも、それがエイミーの純粋さなのかも? 異性にモテるかは別として。
いつ帰ってきたんだろう。でも、ここに宗司がいるってことは、舞も帰ってきている可能性が高い。今日武神家を訪れたのはタイミングよかったのかも。
「宗司さん、こんにちは。舞ちゃんって帰ってきてます~?」
「ああ、今は道場にいるんじゃないかな? 行ってみると良い」
固まったエイミーに代わって澪が核心を訪ねと、予想通りの回答が返ってきた。
「わかりました~行ってみます~。あ、エイミーが突然動かなくなったので、よろしくお願いしますね~。優ちゃん、行きますよ~」
行動停止したエイミーをさくっとその場に放置して、道場に向かうと道着を身に着けた舞が稽古の真っ最中だった。母親の凛に投げられて何度も床をゴロンゴロンと転がっているけど。
「……どうやらお友達がいらっしゃったようですので、今日はここまで。休憩しなさい」
私たちに気づいた凛が、床に寝そべって疲労困憊の舞に声をかけて下がっていく。これが噂に聞く、地獄のシゴキというやつ?
「澪、優……こんな格好ですいませんけど、少しだけ……待っててください」
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