王子の僕が女体化して英雄の嫁にならないと国が滅ぶ!?

蒼宮ここの

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第25話 抗えない

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口を開かない。僕も、ジャオも。

ジャオは手を繋ぐことすら遠慮して、ずっと僕の顔色を気にしているのが気配でわかる。それでも、すぐに言葉で自分の感情を表すのは難しかったから黙っていた。どうしてもまだ、整理がつかないのだ。

「あ‪……‬」

気付けばいつもの森にいた。ただ漠然と歩いていたら辿り着いてしまった。しかもジャオを連れて。目が合うと、ジャオは昏い瞳を伏せて頭を下げる。

「すまなかった。‪……‬やりすぎた」
「うん‪……‬わかってくれれば、いいんだ」
「ベル‪……‬」

何か言いたげなジャオを置き去りに僕は大木のふもとに腰掛ける。膝を抱えて顔を伏せ‪……‬シクシクと泣き出してしまった。
こんなの女々しいってわかっているけど‪……‬後から後から気持ちが溢れて、制御できない。

「ウウッ‪……‬ウウ‪……‬ウウーー‪……‬」
「ベル、悲しいのか‪……‬? どうした‪、ベル‪……‬」

ジャオが背中をさすってくれる。自分のせいで僕が憤っているとでも思っているのだろうか、えらく焦っている声色にまた悲しくなった。あいにく、僕の涙とジャオは無関係だ。

「ウッ‪……‬ウッ‪……‬ひぐ‪……‬」
「ベル‪……‬あの男のこと、好きだったのか‪……‬?」

なるほど、そう思うのか。昂る感情とは別に冷静な僕が妙に納得する。
…………そうだ。ジャオだって不安なんだ。

「‪……‬ちがう。そういうんじゃない」
「俺と付き合っているのは義務感か?」
「ちがうよ‪……‬」

顔を上げて微笑んでみせる。頬がベタベタなのに気付いて、余計に悲壮感を煽ってしまったかもとすぐさま後悔した。ジャオが抱きすくめてくる。相変わらず、体温、熱い。

「他の男のことで、泣くな‪……‬」
「なにそれ。ジャオのことなら泣いてもいいの?」
「泣かせない、つもりだ‪……‬だけど原因が俺にないなら、どうやって涙を止めてやればいいのかわからない」

ジャオの声は悲痛だ。僕が泣いているだけでどうしてこんなにも焦っているのか。
わからないけど‪……‬安心する。ジャオ、温かい。

「アルヤ先輩、憧れだったんだ、僕の‪……‬恋愛感情じゃないけど、人として大好きな人だった」
「知ってる。以前から仲良くしているのを見ていた」

ジャオはほんとうに儀式前から僕に惚れていたらしい。その執着っぷりが少し恐ろしい。しゃくりあげる声を抑えて、僕は途切れ途切れに続ける。

「けど、僕にやさしくしてくれたのって全部、下心からだったんだなって‪……‬ガッカリしちゃった。先輩のこと尊敬してるけど、いつかは対等になりたいと思っていたから」
「ベル‪、それは違う」

ジャオが抱擁を解く。真剣な瞳が僕を射抜く。

「下心があるから優しくしたんじゃない。愛しているから優しくしたんだ」
「あ‪……‬」
「愛する者には無償の愛を捧げたい‪。人として当然の奉仕の精神だ」

ジャオがそれを言うなんて。少なくともジャオは下心だけで優しくしてくれてるんじゃない、わかってたのに‪……‬先輩に告白された直後、裏切られたようでショックだった。アルヤ先輩が優しい人の皮を被った、恐ろしい化け物のように感じたんだ。
だけどちがう。ちがうって信じたい。……信じたいなら、信じようとしなきゃ。

「そう、だよね‪……‬僕、失礼だったな」
「ベルが女でも男でも関係ない。その気持ちは俺にも痛いほどわかる」
「うん‪……‬ありがとう」

そうだ。ネガティブになりすぎだ。男でも女でも僕は僕。他でもない僕自身がそれを放棄してはいけない。近頃ほんとうに涙もろくって困る。
顔のベタベタはジャオが綺麗に手で拭い去ってくれた。その延長で頬を包んで見つめてくる。

紅い。
瞳の中の炎に魅入られたように、僕はまたジャオに惹かれていく‪……‬
それなのに。

「ベル。ほんとうにあの男のことはなんとも思っていないんだよな? 本心を聞かせてくれ」

なんて見当違いなことを言うものだから、僕はちょっとイタズラしてやりたくなった。違うと言っているのに、一度で信じないジャオが悪いんだぞ。

「まあ驚いたけど‪……‬何も絶対にジャオと結ばれなきゃいけないワケじゃないってことには気付けたかな? 先輩には好意を持ってるし、順番が違ってたらわからなかったかもね?」

フン、せいぜい焦れ。そして己の言動を省みろ。
せめてわかりやすいようにと悪巧み丸出しの顔で言ってやったのだが、ジャオはいつの間にか深く俯いてしまっていて、僕のほうを見てもいない。
「ジャオ?」と呼んで肩を揺する。すると、まるで何者かから奪い取るように乱暴に、抱きすくめられた。

「へ、」
「ベルに迷いがあるなら‪……‬真剣に考えたほうが、いいっ‪……‬」
「え?」
「俺のことはいいから、ちゃんと自分の気持ちを優先してくれ‪……‬!」

絞り出すような声。泣いているのかもしれない。あまりに効果が絶大すぎて言葉を失う。そういえばコイツに冗談なんて通じるわけがなかった。

「ジャオ、あのね」

ギュウウウウウッ。骨が砕けそうだ。もう抱擁ではない。攻撃といったほうが正しい。

「いたいよ‪……‬」
「俺は待ってるから‪! ベルに自分の人生を、悔いてほしくはない‪……‬!」

そんなことを言いつつ、ジャオが離してくれる気配はない。理性では僕を送り出すのが正しいと判断したけれど‪……‬どうしても行かせたくないから身体が言う事をきかない、といったところだろうか。なんていじらしいんだろう。
ジャオはきっと本気で葛藤してくれているのに‪……‬僕、こんなふうに好きな人を試すような真似をして優越感に浸って‪……‬浅ましい。

ともかく落ち着かせなければ。
引き剥がそうと腕を掴むと、ぐらりと世界が反転した。

え?

ドサッ

背中に湿った地面の感触がある。目の前には、苦しそうに歯を食いしばるジャオ‪……‬‪。
今にも心が引き裂かれそうに悲痛さに、胸が、痛む。

「ダメだ‪……‬! やっぱり行かせたくない! ベル、俺のものになってくれ‪……‬!」
「ちょっ、ンッ」

僕の言葉を遮るようにキスで口を塞がれた。息継ぎなく力任せに貪られる。
限界まで空気を奪われて、酸素不足で、頭が……クラクラしてきた。ジャオの唇、熱い‪……‬怒っているのかな‪……‬?
ジャオの裾を掴んだ手から力が抜ける。地面に落ちると、ジャオはようやく息継ぎさせてくれて、しかしすぐにぬるりと舌を入れてくる。ねっとりと、僕の胸の内を窺うように……‬歯茎まで全部僕を、浚って、己の存在を刻み付けてくる。

「ふぁ‪……‬ン」

薄目を開くと、今度は息継ぎを挟んで唾液を流し込んできた。こんな支配するようなキス‪……‬拒まなきゃいけない、のに‪……‬僕はいつの間にかジャオの胸元に縋り付いていた。ジャオの味を塗り付けられた口内、喉の奥まで穢された悦びに‪……‬お腹の奥がギュンギュンと渦巻き始める。

「逃げないのか‪……‬?」
「ジャオ、あ、」
「もう発情してる‪のか‪……‬俺から逃げたくても逃げられないか? かわいそうなベル‪……‬」

チュッチュッと額にキスを落とされる。僕はジャオに手懐けられているだけなのだろうか。それでもいい。ずっとこうやって盲目的に、愛して欲しい‪……‬。
逃げない意思表明をするようにじっと見つめる。アルヤ先輩のところに行きたい気持ちなんてかけらもない。先輩には悪いけど‪……‬ジャオに対する好きと先輩に対する好きは、やっぱり全然違う‪……‬ジャオといると女人になるのも悪くないかなって、思えてしまう‪……。
‬こんなにも愛されて、守ってもらえて‪……‬男でも女でも関係ないって、ハッキリ言ってくれる‪……‬少しやり方が乱暴な時もあるけど、僕のことは壊さないように一生懸命優しくしてくれるのも、好きだ。

「誰にも渡さない‪……‬ベル」
「ひっ‪‬」

首筋をべろりと舐め上げられて思わず声が漏れる。両手で口を塞いで恥じらうが、ジャオは気にも留めない。何度も往復して、だんだん歯を立てたり吸い付いたりしてくる。
身体の芯からゾクゾクと震える。僕の中の女人が呼び覚まされていくように‪……‬服従する快感が押し寄せてきて……どんどん身体が熱くなる。

「気持ちいいか‪……‬?」

ジュウッ。耳元で響く水音にビクンと跳ねた後、唐突に我に返る。弱々しくジャオの肩を掴んで訴えた。

「痕、ダメだ……‬つけないで‪……‬」
「つけたい」
「ダメ‪……‬」
「ベルは俺のものだって皆に知らしめたい」

僕を守るためとか言って‪、‬結局は独占欲を満たしたいだけじゃないか。言葉は思い浮かぶのに口にできない。ジャオが僕にこんなにも執着してくれるのが、嬉しい‪……‬。

「ジャオとのこういうのは、ひ、秘密にしたいんだ‪……‬」
「知られたくないか?」
「ふたりだけの秘密にしたい‪……‬ジャオのこんな姿、誰にも想像して欲しくない‪……‬」

学校では常に僕の手を握って側を離れないコイツの姿を見れば、コイツが僕にぞっこんなのは周知の事実だろう。いろいろと想像もされていると思う。
だけどたとえ下心がない者にだって‪……‬ジャオが興奮して僕を暴く姿は、知られたくない‪……‬僕だって、独占欲くらいある。恥ずかしいのもあるけど、それ以上に‪……‬誰にも二人のこの時間を、知られたくない‪……‬。

「ああ、ベル‪……‬俺もだ‪……‬お前のこんないやらしい顔‪、‬知ってるのは俺だけでいい」
「ンッ」

歯茎も顎の裏も全部なぞる粘着質なキスの、ジャオの想いがそのまま表れている。僕は何度も腰を跳ねながらそれを受け止めた。また脱力させられて、首筋をチュウチュウと控えめに吸われる。痕をつけないようにしているのか‪……‬結局、僕がいやだということはしないようにしてくれているんだよな。
僕はゆっくりと起き上がる。胸の鼓動に急かされるように、自らシャツのボタンを外して前をはだけた。

「見えないところなら、いいよ‪……‬痕、つけても‪……‬」
「ほんと、か」
「うん‪……‬好きなだけ、つけていいから‪……‬」

ああ、また甘やかしてしまった。
ジャオはさっそく鎖骨の下に吸い付いてくる。痛みすら感じるその強さに思わず声を漏らすと、今度はいたわるようにペロペロと舐めてくれた。子犬みたい。

「ついたぞ‪……‬見えるか? ベル」
「ん‪……‬ほんとだ‪……‬」
「こっちも」

反対側にもつけ始める。位置を少しずつずらして何度も何度も‪……‬人の身体に花弁のアートでも残しているのかと思うくらい、ジャオは真剣にその一つ一つを見つめて愛おしそうに指で撫でた。

「もっとつけたい」
「こら‪……‬」

腕を持ち上げられる。頭上で手を組んで、ジャオが脇の下に滑り込んでくるのを受け入れた。恥ずかしい‪……‬匂いとか、大丈夫かな‪……‬アッ、吸い付いてきた‪……‬。
二の腕の痛みにジッと目を閉じる。ジャオに与えられるものはすべて感じたい。覚えておきたい。吸い付かれて、何度も、撫でられて‪……‬反対側も‪……‬。
刺激に慣れて少し眠くなってきた頃に、突然身体が勝手に跳ねる。何が起こったかわからず首だけ起こすと、なんとジャオが僕の胸を揉んで……乳首を爪の先で引っ掻いているではないか‪……‬!?

「退屈か? 気付いてやれずすまない」
「ち、がう‪……‬アッ、ダメ‪……‬」
「だいぶ大きくなったな」

ジャオの言う通り、乳房はそこそこ膨らんだ。少なくとももう男性の標準体型ではない。腰もくびれてお腹も柔らかくなって‪……‬それを一つ一つ確かめるようにジャオの指先がなぞっていく。

「くすぐったいって‪……‬」
「こっちが好きか?」
「あ‪……‬!」

はむ、と乳首を食まれておおいに焦った。だって指で触られはしても口ははじめてだ。ずっとこうされるかもって思ってたけど…………そうだ、僕、これを、してほしいって、思ってた‪…………。
‬妄想が一気に現実になって耐えきれず、両手で顔を隠す。ジャオは唇で乳首を挟んで、顔全体を胸に押し付けるように小さく顔を振る。こんな些細な刺激で息ができなくなる。「ウゥ、ウゥ」と獣のように唸って声を我慢する。

「ああ~っ‪……‬!」

それなのに。息を吹きかけられて大声をあげてしまった。それを合図のようにしてジャオの舌が突起に絡み付く。ヤバい。助けて。お腹が、フワフワして、ドキドキする‪よぉ……‬!

「ベル‪‪……‬鼓動が激しいな」
「ウウッ、うぅんッ」
「興奮するか‪……‬?」

ふるふると首を揺らすが、意地を張っているのはバレバレだろう。じきにジャオの舌がベロベロと乳首をいじめてきて、僕はいよいよ、鳴き叫ぶ。

「アァ~ッ‪……‬あう、アア~‪……‬!」

指で弾かれて、舌で吸われて、わかる‪……‬もう僕の乳首、ビンビンに勃起してる‪……‬恥ずかしいよお、乳首、気持ち良くなんかないのに、僕の身体、勝手にジャオに媚びてる‪……‬!

「ハア、かわいいぞベル‪……‬こっちも‪……‬」
「ああっ、やらあ‪……‬やらあ」

脇の下までベロベロと舐められてしまった。まだ発毛していないのだけが救いだ‪……‬いや男子としては恥ずかしいことこの上ないが、ジャオに汚らしい部分を見られたらそれはそれで恥ずかしいし‪……‬これ以上毛深くならないであろう己の身体に少しだけ安心してしまっている自分に驚く。
ジャオはそのまま脇腹に降りてまた吸い付いている。お腹にも痕って残るのだろうか‪。‬残ってしまうかもしれない。最近なんかポニョポニョしているし‪……‬。

「ああっ‪……‬!」

浅く等間隔に息を吐いていたのに、また乳首を摘まれて呼吸を乱されてしまった。親指と人差し指でクニクニと捏ねられて、なんだか、感じる‪……‬僕、乳首で‪……‬感じている‪……‬?

「ああっ、あう、あうあ~~~~」
「ここ好きなのか‪……‬いやらしいな」
「ごめんなしゃいぃ、あうう~~~~」

きた。無性に謝りたくなるこの衝動。
ジャオは牙を見せて勝ち誇ったように笑っている。僕に見せつけるように乳首を舌で抉って、指で潰して、唾液を大量に塗り付ける。

「ゆるひて、もう、うぅう~!」
「よしよし、大丈夫だ‪……‬」

頭を抱き抱えて撫でながらキスしてくれた。クチュクチュと口の中まで撫でられて、甘えるように擦り寄ってしまう。

「下半身にも痕を付けたい‪……‬いいか?」
「うん‪……‬」

下半身にもキスマークって付けられるのか。意外に思いながらおとなしく脱がされる。下着だけ残した状態で、ジャオはさっそく内腿を舐め始める。そんなところ舐められたことないから、また声が出てしまう‪……‬。

「あんっ、ああ……‬」

ぶじゅる、と唾液をたっぷり含んだ水音がして、吸いつかれる。こんな部分をベチャベチャにされて、何度も吸い付かれて、僕‪……‬どうしよ、腰の震えが止まらない‪……‬なんか変なのが、キてる‪……‬自分だけで抑えつけられない‪……‬!

「ジャオお、ビクビク、止まらないよお、やらあ」
「ふッ‪……‬ジュルルッ、ジュルルルルルッ」
「つよいよぉ‪……‬あっ、ウッ、からだ、抑えてぇ」
「うん‪……‬」

カエル足で太腿を上から押されて地面に押し付けられた。こんな無様な格好で吸い付かれて、まだビクビク収まらない、むしろひどくなってる‪……‬どうしてだよぉ‪……‬?

「ヒッ、ヒッ、ジャオお、ジャオお」
「苦しいか? 今楽にしてやるからな‪……‬」
「ヒッ!」

ついに下着まで剥がされてしまった。男物のボクサーパンツの中にあるのは‪‬やけにつるんとした股。竿の名残はあるが、もはや贅肉のように小さく膨らんでいるだけ。

「穴、少しだけできてきてるな‪……‬ふふ」
「あ!? ジャオおっ!? まってえ‪……‬!」

自分でもこわくて近頃触っていない「そこ」は、確かに少し凹んで女性器のような形に変わってきている。ジャオは嬉しそうに覗き込みながら指先を埋める。電流が走るような衝撃。もうずっと身体が震えている‪……‬!

「まだ浅いが‪……‬ここが子宮と繋がるのだろうな‪……‬?」
「ああん、うう~っ‪……‬いや、ジャオ‪……‬」
「痛いか? すまない」

やめてくれる。安堵したのも束の間、なんとジャオ、今度は僕の股ぐらに顔を埋めてきた。唾液を垂らして舌で舐め回してくる。じっくりと湿らせて、指がどんどん深くに差し込まれる。

「あう、やら、こわい、こわいぃ」
「じきに気持ち良くなる‪……‬ベルは覚えがいいからな」
「いやらあ、いやらあ~~」

今のは絶対褒めてない。恨み言を投げつけてやりたいが、今は刺激に耐えるのに必死だ。ジャオの指が、舌が、巧みに動いて中を探る。今まで達しきれなかった場所に手が届く感覚がある。竿を擦るよりも奥深く、手探りの快感‪……‬腰が勝手に滑らかに動く。自分からジャオの指を求めて振れてしまう。

「はあ、はあ、あひぃ、あひい」
「イけ、ベル‪」
「はひ!」

ジャオが舌を突っ込んできた驚きと刺激で、僕は一気に果てた。大量の水が弧を描いて勢いよく噴射される。何。これは。何を出したの、僕。
ああ、視界が真っ白になって……何も、考えられない………………‪……‬。

「はううう‪……‬はううう~‪……‬‪……‬」
「ちゃんとイけたな‪……‬いい子だ」
「はあ‪……‬」

まだチカチカと星が散って視界が確保できない。目を閉じて、息を整えて、五感が戻ってくるのを待った。心臓はまだ高鳴っている。けど、ようやく身体が動かせそうだ‪……‬。
目を開けるとジャオが心配そうに覗き込んでくる。ポタポタと髪から雫が垂れて冷たい‪……‬雫‪……‬?

「‪……‬っ」
「‪……‬?」
「ごめんなさい、ごめんなさい‪……‬おしっこ、かけちゃって‪……‬!」
「おしっこ? ちがうぞ」
「へ‪……‬?」
「お前は潮を吹きやすい体質らしいな‪。気持ち良かったんだろう。大丈夫だ」
「あ、う‪……‬」

なにシオって。よくわからないけど、おしっこじゃないなら‪……‬いいのか‪……‬?
起き上がろうとするけど、ダメだ。全身がガクガク笑っている。どんだけ全身に力入れてたんだろ僕。

「まだ所有印をつけ足りない。そのまま休んでてもいいぞ」
「ふぇ‪……‬? アッ」

足を持ち上げられ、ふたたび内腿に口付け。歯を立ててたっぷりと吸い付かれる。一回イけたみたいだから快感は遠かったけど‪……‬ずっとお腹の奥が甘く疼いていた。
裸で恥ずかしかったけどなんだかもう、今さらすぎて‪……‬。
こんなふしだらな姿を晒したら僕‪、‬心配しなくたって、ジャオのところにしか、お嫁にいけないよ‪……‬‪……‬。
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