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第108話 運命の入城
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門番は僕らを一瞥すると、片耳を抑えながら小声で何かを呟く。もう一度僕らに視線を投げ、サッと門の前から退いた。見上げるほどの大きな扉がゆっくりと開き、門番は城の中へと腕を広げる。
入れということだろうか。僕らは一瞬戸惑うが、フロストの「行きましょう」の号令を受けて一斉に踏み出した。足元を出迎える赤い絨毯は両端に金糸で動物の刺繍が施されており、なんとも豪華だ。
門がすぐに閉まっていく。振り返って不安げに眺めていると、ツカツカと前方から人影が近づいて来た。
黒い燕尾服に身を包み、黒髪を一つに括った、細身の男だ。
眼鏡の縁も長いタイも尖った靴も何もかもが黒で、その引き締まった雰囲気を調和するかのような穏やかな笑顔が、僕らに振り撒かれる。
「ルアサンテ王国御一行様。お待ち申し上げておりました」
「はじめまして。女王のベルと申します」
「…………」
張り付いたような笑顔が微動だにせずに僕を見つめた。その間があまりにも長くて、僕らはまた怯えた。もしかしたらすでに交渉は決裂しているのではないか。たとえば、そうだな……門を閉めたところで僕らの捕獲は完了していて、あとはこの男によって処刑場へと案内されるだけ、とか。
「あの、」と縋るような色を含んで投げかけると存外明るい声で「ああ」と返ってきて、咳払いを一つ……そうしてようやく男は口を開いた。
「私は貴方様方のお世話係を勤めます、マナトと申します。以後お見知りおきを」
「王女のトルテです」
「付き人のカナタです」
「あ……ルシウスです」
マナト、と名乗るその声があまりに透き通っていて、黒尽くしの中で唯一煌めくエメラルドグリーンの綺麗な瞳とよく合うなあなんてぼんやりと考えてしまう。
だからフロストがあえてであろう「カナタ」と名乗ったことに、すぐ反応できなかった。
「あなたがカナタ様ですか。ご連絡をいただきありがとうございます。出身は我がヤマト国だとか」
「ええ。この度は貴方様方と『友好』を結びたく、遠き地より参りました次第です」
「ええ、伺っております。長旅お疲れ様でございました。まずはこちらへどうぞ」
僕の前後で、トルテとルシウスが緊張感を漂わせているのがわかる。僕とフロストは交渉役、後の二人は……何かが起こった際に僕らの身を守ってくれる戦闘要員だ。できるだけ荒っぽいことはしたくないけど、まずは無事に帰るのが第一なのだ。
僕は二人の緊迫した雰囲気が伝わらないよう、あえて親しげにマナトさんの横に並んで歩く。
「マナトさんはここで働いていらっしゃるのですか?」
「ええ。普段は王付きの執事でございます。ですがベル様の滞在中は、雑事等すべて私めが承ります。なんでもお申し付けください」
「とんでもない。一方的にお伺いしてしまったのに、ご迷惑をかけるわけには……」
今のところ、相手から敵意は感じない。笑顔のままピクリとも瞼が動かないのが少し怖いが、まあ職業柄こういう人はいるだろう。「異国の役人は恐ろしい」という先入観に囚われるのはよくない。フロストにこの善性は期待できないので、僕が全うするしかないのだろう。
僕は彼を信じよう。だってここまで好意的に出迎えてくれるんだもの……きっと、大丈夫だ。
「どうぞお席に」
木製に艶やかな加工が施されている、古めかしくも温かみのある長机がいくつも並んでいる。そこには向かい合わせで三脚ずつの椅子が用意されていた。
数十人は入れるであろう広い会議場に早くも頭がクラクラする。だって僕の城の会議室ときたら、僕と母上とフロスト、たまにジャオやリュカさん、それに兵士長が席に着くくらいなので、この中の一つのスペースさえあれば十分なのだ。
部屋の広さもまた然り。やはり国として規模が違いすぎる。いつもと同じ規模感で、僕らは一卓のみを占領して腰を落ち着けた。
「それでは改めましてベル様。貴方様のご用件をお聞きいたします」
ついに本題か。
生唾を飲み下して、キッと睨みつける勢いでマナトさんを見た。
マナトさんの瞳は揺らがない。眼鏡の奥の緑は不思議な輝きを持って僕を見返してくる。
「事前に手紙でお伝えした通り、我々はヤマト国との国交を強く望んでいます。辺境の地にある我々の国に発展をもたらすため、長旅をしてここまでやってまいりました」
「そうでしたね……」
僕が話し終わってもマナトさんは僕を見つめ続けている。居心地が悪くて目を逸らすと、また先程の笑顔を張り付かせて話し始めた。
「我々ヤマト国は他国に干渉せず、また依存もせず独自の文化を今日まで発展させてまいりました。科学力も生産力も、何もかもが他国に誇るべきものだと自負しております」
「それはここに来るまでに感じました。どんな小さな村も豊かで、平和で、民達は皆幸せそうでした。良い国だと知るにつれ、ますます国交を強く望むようになりました」
「光栄です。国の端の村にまで物資が届くよう工夫をこらしています。そうやって我が国は領地を増やしていったのです」
……ここで領地の話は穏やかじゃないな。身構えると同時に、マナトさんの声がスローになる。
なにか、くる。
そう思った時にはすでに、彼の言葉は放たれていて。
「貴方様の国。ルアサンテ王国は、我が国の領土になる気はございませんか?」
ピリッ――――
一瞬にして空気が止まった。動揺して椅子の脚を蹴り、物音を鳴らしてしまう。
何か言わないと。口を開こうとした瞬間、それを制するように――――フロストが机の下で僕の手を握ってきた。
「マナト様! ご冗談がお上手ですね! 私、驚いてしまいましたよ!」
出逢ったばかりの頃によく聞いた、フロストの甲高く演技じみた声。僕らも、そしてマナトさんも先程までとは雰囲気の違うフロストに驚いた顔をするが、それでもフロストは怯まない。
「あなた様ともあろうお方が、わざわざご自身で足をお運びになられた我が国の健気な女王に、そんな不躾で品の無い提案をするとは思えません。ベル様を試したのでしょう? マナト様も人が悪い……」
そう――――だったのだろうか。
マナトさんは薄く笑んだまま、フロストから僕に視線を移す。一瞬、彼の口角がひくついたのは見間違いだったか。
「ええ……ええ、大変失礼いたしました。ですが冗談でもそう言いたくなるほどに、ルアサンテ王国には私どもも興味がありまして」
「ほう。ここになくてルアサンテ王国にあるものといえば――――魔力、ですよね?」
フロストは僕の手の上に手を置いたままだ。こうされている間は口を挟んではいけないような気がして、目が泳がないようにだけ注意しながら、伏し目がちで話を聞くことにする。
「ええ。はじめてお手紙をいただいた際はお恥ずかしながら興奮しましたよ。まさか未だに魔法が実在している国があっただなんて」
力強く頷き合うフロストとマナトさん。ルアサンテのような遠い地には、領土拡大のために足を伸ばすことも考えなかったのだろう。
しかし魔法国の実在を喜んでくれてはいる。マナトさんの眼鏡の奥が輝きを増したことに、僕は安堵を覚える。
「未だに……ということは、マナト様は魔法の存在をご存知でいらっしゃった?」
「ええ。ほとんどの者にとってはもう忘れ去られた歴史ですが……王族に仕える身としては当然履修しております」
科学力で発達したこの国に、さらに魔力が加わったらどうなってしまうのだろう。発展しすぎるのも、もしかしたらいいことばかりではないのかもしれない。科学力はおろか唯一の取り柄である魔力までもが衰退したのどかな我が国を思い出して、人知れずため息を吐く。フロストが僕の手の上から手を退けた。
「この者達は我が国きっての魔道士です。魔法が現代に実在する生き証人といえましょう」
「……まだお若いようにお見受けしますが」
「魔法に年齢は関係ありません。赤ん坊の時点で優れた魔力を持つ者が優秀な魔道士に成長するのです」
「それはそれは……ますます興味深い」
マナトさんの視線がルシウスとトルテに移った。ルシウスは逃げるように顔を背けているが、トルテは堂々と不敵な笑顔をマナトさんに向けている。
「トルテ様はベル様のご息女で?」
「はい。今年で五歳になります」
「なんと聡明な……ベル様もまだお若いのに。幼い頃からご結婚の約束をされていらっしゃったのですか?」
「え」
唐突に声を自分に向けられて、ルシウスはあたふたする。奴が変なことを言わないうちに僕がすかさず「彼は付き人です」と差し込んだ。マナトさんはそれはそれは意外そうな顔をした。
「おや……そうでしたか。てっきり、お父様の魔力がトルテ様に遺伝したのかと」
「トルテは精霊の加護を受けているので特別なのです。すでにルシウスより高度な魔法を操り、大人の魔道士を凌ぐ知識を有しています」
「それはそれは……」
トルテは正真正銘どこに出しても恥ずかしくない娘だ。こういう場でも物怖じなどしておらず、我が子ながら感心する。
それに比べてルシウスは……マナトさんの興味が自分から逸れたと知り、こっそりと胸を撫で下ろしている。情けない奴め。
「ルシウスは戦闘から日々の生活に役立つものまで、幅広く魔法の研究をしております。だよね、ルシウス?」
仮にも僕の付き人なら少しくらい格好をつけてもらわなくては困る。ふたたび話を振られたルシウスは目を見開くが、僕の期待を受けていると感じたのか、急に軽薄な顔つきになる。
「ああ、俺は誰も使えない独自の魔法も組める」
「左様で。それでは、魔法で国の発展を図ることはお考えにならなかったのですか?」
「魔力を有する者は年々減ってきています。やはり人工の力が我々の生活には永続的に必要と考えました。そこで是非、お力をお借りしたいのです」
「なるほどなるほど……ようく分かりましたよ」
マナトさんが机の上で両手を組んで僕に笑いかける。わかってもらえたのだろうか。緊張でじとりと背中が汗ばむ。マナトさんはぐるりと僕らを見回すと、やがてゆっくりと口を開いた。
「カナタさんがルアサンテ王国を見つけた奇跡も、こうして女王様をはじめ国の重要人物を率いて訪ねてきてくださった誠意も十分に伝わりました。これもきっと何かのご縁でしょう」
「では……!」
「国交については前向きに考えるよう、私から王に進言いたします。上ももとよりこの話には乗り気ですので、スムーズに事が運ぶと思いますよ」
「ありがとうございます!」
僕に倣って、他の三人も深く首を垂れる。
なんだ、好意的に受け取ってもらえていたのか。それならばよかった。
「ああでも、フロスト、あの話をしなきゃ……」
「……別にいいのでは。これは『国が関与しないことを選んだ』私の個人的な問題ですので」
ずいぶんと棘のある言い方をする。この調子でミヤビさんの話をしてもいいのだろうか。躊躇うが、マナトさんはすでに聞く体勢でいる。諦めて、僕は深々と頭を下げた。
「我が国は、貴国に対して大変な犯罪を犯してしまいました……」
「……と、言いますと?」
「召喚術で若い娘を攫い、我が国の然るべき血筋と強制的に婚姻させておりました。何代にも渡り、子孫繁栄のためだけに……」
口に出すと改めてなんて極悪非道な所業だろう。実行犯はとうの昔に亡くなってはいるが、この悪しき風習を受け継いできたのは他でもない僕らの先祖。我が国は責任を取る必要がある。そして今、ルアサンテ王国の責任者は他の誰でもない、この僕だ。
「彼女らは帰りたいと泣き叫んでも解放されず……一生を出産と育児に捧げ、我が国で生涯を閉じました……私がそのことに気付いたのはほんの六年前です」
「トルテ様をご出産される直前……」
「はい。お恥ずかしながら、私の父もその忌々しい伝統を愛する差別者だったため、国政を奪い取るために内部紛争にまで発展しました」
「それはそれは……」
「結果、私どもが勝利し、政権を奪うことができました。差別のない国を作ることを国民に約束して、今ここに辿り着いたというわけです」
「そんな事情がおありだったのですね。確かに「若い女性が突然消えた」という不可解な事件が、およそ三十年を区切りに続いていたのを確認しています」
マナトさんの口から出た言葉に、フロストが下唇を噛んで俯く。頼む。堪えてくれ。胸中で祈りながら、今度は僕が膝下でフロストの手を握った。
「許されることでないのは重々承知しております。ですがそのような儀式は廃止し、今後は他の国の真っ当な常識を取り入れて、良い国にしていきたいのです。こんな私どもとの国交を受け入れていただけるなら……どんな制裁でも、受ける覚悟でおります」
「その必要はないのでは?」
マナトさんが意外な言葉を口にする。彼はすでに僕ではなくフロストに視点を合わせていた。
「先程のお言葉から察するに、直近で誘拐された方はあなたのお身内なのですよね?」
「ええ……私の姉です」
恨みつらみを押し殺して、フロストはやっとそれだけ吐き捨てた。マナトさんは気にも留めず、僕に向かって朗らかに両手を広げて見せた。
「被害者の弟さんが今こうして貴方がたを許して、行動を共にしている。それが何よりの答えなのでは?」
「あ……でもっ……」
「その女性は、まだそちらの国でご健在なのですか?」
「ええっ、それはもう、元気に、国のために、精力的に働いてくれて……憎むべき王族である私にも、良くしてくださいました」
「今回はなぜお帰りにならなかったんです?」
「ルアサンテで、やることがあると……子ども達もまだ小さく、日々が忙しいから、国交が安定したらでいいと――――」
「彼女も、貴方がたを赦したんですね」
そう、なのだろうか……でも確かに出会った頃からミヤビさんは、活き活きとしていて……ジャオを使って僕を暗殺しようとまで思い詰めていた時期もあったようだけれど、僕と知り合ってからはそんな恨みなど微塵も見せず、優しくしてくれた。彼女はいつだって、僕に暗い顔は見せなかった。
「姉は人格者です……でもそれ以上に、ベル様が誠意を持って接していたから、そのお気持ちが通じたのでしょう。今は家族に囲まれて幸せに暮らしています」
「何よりです。それではベル様、私どもは貴方様をお咎めすることなどございません。過去の事例もすでにご家族が亡くなっていますし、その一切を不問にする他はないかと」
「そんな……よろしいのでしょうか、私たちは……自分の国のためだけに、何人もの人生を台無しにしたかもしれないのに……」
「カナタ様のご家族はまだご健在……ですよね」
遠慮気味な声音でマナトさんが言う。フロストはそれを受けて大きく頷いた。
「大病などしていなければ、まだ私の帰りを待ってくれていることでしょう」
「どうでしょう。そちらに直接、謝罪に行かれては?」
「えっ……」
ミヤビさんのご両親に、謝罪。そうか。それが筋というものだよな。でも……。
顔が緊張で強張っていたのか、フロストが背中をさすって「ご無理なさらず」と宥めてくれる。フロストは優しい。彼はもうすっかりルアサンテ王国の所業を水に流してくれたように思う。
だがご両親は違うだろう。まだ少女だったミヤビさんを失い、フロストまでも手放すことになってしまった。今もまだ何の事情も知らずに……夫婦で寂しく、暮らしているのだ。
「僕……行きたい」
「ベル様……」
「ミヤビさんのご両親に直接会って謝罪をするよ。日取りを決めておいて」
「……よろしいのですか? 私が事情を話しに行けば済むと思いますが……」
「行かなきゃ。そのためにここまで来たんだ」
「……わかりました」
僕らの神妙なやり取りに対して、マナトさんが拍手のような、手打ちのような格好で両手を鳴らした。
「では、ヤマト国のことも同盟国として存分に知っていただきたいですし、しばらくはこちらにご滞在ください。特上のお部屋をご用意しておりますので」
「同盟国……!? あの、何から何まで……ありがとうございます!」
「いえいえ。それではご案内しますね」
部屋を出るマナトさんに続いて、僕らは長い廊下を歩んでいく。
今日からこの立派な建物が僕らの仮住まいになるのか……。
まずは第一関門を突破したことへの安堵で、なんだか頭がフワフワした。目を閉じると頭だけが数倍重たくなったようにバランスを崩す。
「おっと」
倒れかけると、後ろからルシウスが両肩を掴んで支えてくれた。
危なかった。手の平から伝わる体温に、じわんと心が溶かされる。
「大丈夫か?」
「ありがと……平気だよ」
ルシウスと離れて前を向くと、マナトさんがこちらを振り向いて待ってくれている。「すみません」と声を飛ばすが、フロストがさりげなく僕らとマナトさんの間を遮るように位置どりしてくれた。そして僕の代わりにマナトさんの横に並んで、話し始めてくれる。
おかげで僕はルシウスと隣同士で、つかの間の心休まるひと時を手に入れた。
「ん……?」
廊下の端に老婆が一人。上等な黒いローブを纏ってはいるが、白髪は乱れ、目の底が落ち窪んでいて不気味な様相だ。僕らを見つめながら震える手でトルテを指さし、次にルシウスを指さす。そのはっきりとした動作がやけに際立って見えた。
最後にフロストを向いて、さも嬉しそうに目を細める。フロストもそれに気付いたようでじっと見つめ返している。
「知り合い?」
「いえ……でも」
何かを言いかけて飲み込むフロスト。老婆の眼差しは愛情に満ち溢れている。肉親なのか……いやしかしフロストは両親と姉弟の四人暮らしで、祖父母はすでに他界していると言っていた。年齢的にも、祖父母よりご年配に見える。
彼女は結局僕にだけ目もくれず、笑顔でフロストの背中を見送っていた。
入れということだろうか。僕らは一瞬戸惑うが、フロストの「行きましょう」の号令を受けて一斉に踏み出した。足元を出迎える赤い絨毯は両端に金糸で動物の刺繍が施されており、なんとも豪華だ。
門がすぐに閉まっていく。振り返って不安げに眺めていると、ツカツカと前方から人影が近づいて来た。
黒い燕尾服に身を包み、黒髪を一つに括った、細身の男だ。
眼鏡の縁も長いタイも尖った靴も何もかもが黒で、その引き締まった雰囲気を調和するかのような穏やかな笑顔が、僕らに振り撒かれる。
「ルアサンテ王国御一行様。お待ち申し上げておりました」
「はじめまして。女王のベルと申します」
「…………」
張り付いたような笑顔が微動だにせずに僕を見つめた。その間があまりにも長くて、僕らはまた怯えた。もしかしたらすでに交渉は決裂しているのではないか。たとえば、そうだな……門を閉めたところで僕らの捕獲は完了していて、あとはこの男によって処刑場へと案内されるだけ、とか。
「あの、」と縋るような色を含んで投げかけると存外明るい声で「ああ」と返ってきて、咳払いを一つ……そうしてようやく男は口を開いた。
「私は貴方様方のお世話係を勤めます、マナトと申します。以後お見知りおきを」
「王女のトルテです」
「付き人のカナタです」
「あ……ルシウスです」
マナト、と名乗るその声があまりに透き通っていて、黒尽くしの中で唯一煌めくエメラルドグリーンの綺麗な瞳とよく合うなあなんてぼんやりと考えてしまう。
だからフロストがあえてであろう「カナタ」と名乗ったことに、すぐ反応できなかった。
「あなたがカナタ様ですか。ご連絡をいただきありがとうございます。出身は我がヤマト国だとか」
「ええ。この度は貴方様方と『友好』を結びたく、遠き地より参りました次第です」
「ええ、伺っております。長旅お疲れ様でございました。まずはこちらへどうぞ」
僕の前後で、トルテとルシウスが緊張感を漂わせているのがわかる。僕とフロストは交渉役、後の二人は……何かが起こった際に僕らの身を守ってくれる戦闘要員だ。できるだけ荒っぽいことはしたくないけど、まずは無事に帰るのが第一なのだ。
僕は二人の緊迫した雰囲気が伝わらないよう、あえて親しげにマナトさんの横に並んで歩く。
「マナトさんはここで働いていらっしゃるのですか?」
「ええ。普段は王付きの執事でございます。ですがベル様の滞在中は、雑事等すべて私めが承ります。なんでもお申し付けください」
「とんでもない。一方的にお伺いしてしまったのに、ご迷惑をかけるわけには……」
今のところ、相手から敵意は感じない。笑顔のままピクリとも瞼が動かないのが少し怖いが、まあ職業柄こういう人はいるだろう。「異国の役人は恐ろしい」という先入観に囚われるのはよくない。フロストにこの善性は期待できないので、僕が全うするしかないのだろう。
僕は彼を信じよう。だってここまで好意的に出迎えてくれるんだもの……きっと、大丈夫だ。
「どうぞお席に」
木製に艶やかな加工が施されている、古めかしくも温かみのある長机がいくつも並んでいる。そこには向かい合わせで三脚ずつの椅子が用意されていた。
数十人は入れるであろう広い会議場に早くも頭がクラクラする。だって僕の城の会議室ときたら、僕と母上とフロスト、たまにジャオやリュカさん、それに兵士長が席に着くくらいなので、この中の一つのスペースさえあれば十分なのだ。
部屋の広さもまた然り。やはり国として規模が違いすぎる。いつもと同じ規模感で、僕らは一卓のみを占領して腰を落ち着けた。
「それでは改めましてベル様。貴方様のご用件をお聞きいたします」
ついに本題か。
生唾を飲み下して、キッと睨みつける勢いでマナトさんを見た。
マナトさんの瞳は揺らがない。眼鏡の奥の緑は不思議な輝きを持って僕を見返してくる。
「事前に手紙でお伝えした通り、我々はヤマト国との国交を強く望んでいます。辺境の地にある我々の国に発展をもたらすため、長旅をしてここまでやってまいりました」
「そうでしたね……」
僕が話し終わってもマナトさんは僕を見つめ続けている。居心地が悪くて目を逸らすと、また先程の笑顔を張り付かせて話し始めた。
「我々ヤマト国は他国に干渉せず、また依存もせず独自の文化を今日まで発展させてまいりました。科学力も生産力も、何もかもが他国に誇るべきものだと自負しております」
「それはここに来るまでに感じました。どんな小さな村も豊かで、平和で、民達は皆幸せそうでした。良い国だと知るにつれ、ますます国交を強く望むようになりました」
「光栄です。国の端の村にまで物資が届くよう工夫をこらしています。そうやって我が国は領地を増やしていったのです」
……ここで領地の話は穏やかじゃないな。身構えると同時に、マナトさんの声がスローになる。
なにか、くる。
そう思った時にはすでに、彼の言葉は放たれていて。
「貴方様の国。ルアサンテ王国は、我が国の領土になる気はございませんか?」
ピリッ――――
一瞬にして空気が止まった。動揺して椅子の脚を蹴り、物音を鳴らしてしまう。
何か言わないと。口を開こうとした瞬間、それを制するように――――フロストが机の下で僕の手を握ってきた。
「マナト様! ご冗談がお上手ですね! 私、驚いてしまいましたよ!」
出逢ったばかりの頃によく聞いた、フロストの甲高く演技じみた声。僕らも、そしてマナトさんも先程までとは雰囲気の違うフロストに驚いた顔をするが、それでもフロストは怯まない。
「あなた様ともあろうお方が、わざわざご自身で足をお運びになられた我が国の健気な女王に、そんな不躾で品の無い提案をするとは思えません。ベル様を試したのでしょう? マナト様も人が悪い……」
そう――――だったのだろうか。
マナトさんは薄く笑んだまま、フロストから僕に視線を移す。一瞬、彼の口角がひくついたのは見間違いだったか。
「ええ……ええ、大変失礼いたしました。ですが冗談でもそう言いたくなるほどに、ルアサンテ王国には私どもも興味がありまして」
「ほう。ここになくてルアサンテ王国にあるものといえば――――魔力、ですよね?」
フロストは僕の手の上に手を置いたままだ。こうされている間は口を挟んではいけないような気がして、目が泳がないようにだけ注意しながら、伏し目がちで話を聞くことにする。
「ええ。はじめてお手紙をいただいた際はお恥ずかしながら興奮しましたよ。まさか未だに魔法が実在している国があっただなんて」
力強く頷き合うフロストとマナトさん。ルアサンテのような遠い地には、領土拡大のために足を伸ばすことも考えなかったのだろう。
しかし魔法国の実在を喜んでくれてはいる。マナトさんの眼鏡の奥が輝きを増したことに、僕は安堵を覚える。
「未だに……ということは、マナト様は魔法の存在をご存知でいらっしゃった?」
「ええ。ほとんどの者にとってはもう忘れ去られた歴史ですが……王族に仕える身としては当然履修しております」
科学力で発達したこの国に、さらに魔力が加わったらどうなってしまうのだろう。発展しすぎるのも、もしかしたらいいことばかりではないのかもしれない。科学力はおろか唯一の取り柄である魔力までもが衰退したのどかな我が国を思い出して、人知れずため息を吐く。フロストが僕の手の上から手を退けた。
「この者達は我が国きっての魔道士です。魔法が現代に実在する生き証人といえましょう」
「……まだお若いようにお見受けしますが」
「魔法に年齢は関係ありません。赤ん坊の時点で優れた魔力を持つ者が優秀な魔道士に成長するのです」
「それはそれは……ますます興味深い」
マナトさんの視線がルシウスとトルテに移った。ルシウスは逃げるように顔を背けているが、トルテは堂々と不敵な笑顔をマナトさんに向けている。
「トルテ様はベル様のご息女で?」
「はい。今年で五歳になります」
「なんと聡明な……ベル様もまだお若いのに。幼い頃からご結婚の約束をされていらっしゃったのですか?」
「え」
唐突に声を自分に向けられて、ルシウスはあたふたする。奴が変なことを言わないうちに僕がすかさず「彼は付き人です」と差し込んだ。マナトさんはそれはそれは意外そうな顔をした。
「おや……そうでしたか。てっきり、お父様の魔力がトルテ様に遺伝したのかと」
「トルテは精霊の加護を受けているので特別なのです。すでにルシウスより高度な魔法を操り、大人の魔道士を凌ぐ知識を有しています」
「それはそれは……」
トルテは正真正銘どこに出しても恥ずかしくない娘だ。こういう場でも物怖じなどしておらず、我が子ながら感心する。
それに比べてルシウスは……マナトさんの興味が自分から逸れたと知り、こっそりと胸を撫で下ろしている。情けない奴め。
「ルシウスは戦闘から日々の生活に役立つものまで、幅広く魔法の研究をしております。だよね、ルシウス?」
仮にも僕の付き人なら少しくらい格好をつけてもらわなくては困る。ふたたび話を振られたルシウスは目を見開くが、僕の期待を受けていると感じたのか、急に軽薄な顔つきになる。
「ああ、俺は誰も使えない独自の魔法も組める」
「左様で。それでは、魔法で国の発展を図ることはお考えにならなかったのですか?」
「魔力を有する者は年々減ってきています。やはり人工の力が我々の生活には永続的に必要と考えました。そこで是非、お力をお借りしたいのです」
「なるほどなるほど……ようく分かりましたよ」
マナトさんが机の上で両手を組んで僕に笑いかける。わかってもらえたのだろうか。緊張でじとりと背中が汗ばむ。マナトさんはぐるりと僕らを見回すと、やがてゆっくりと口を開いた。
「カナタさんがルアサンテ王国を見つけた奇跡も、こうして女王様をはじめ国の重要人物を率いて訪ねてきてくださった誠意も十分に伝わりました。これもきっと何かのご縁でしょう」
「では……!」
「国交については前向きに考えるよう、私から王に進言いたします。上ももとよりこの話には乗り気ですので、スムーズに事が運ぶと思いますよ」
「ありがとうございます!」
僕に倣って、他の三人も深く首を垂れる。
なんだ、好意的に受け取ってもらえていたのか。それならばよかった。
「ああでも、フロスト、あの話をしなきゃ……」
「……別にいいのでは。これは『国が関与しないことを選んだ』私の個人的な問題ですので」
ずいぶんと棘のある言い方をする。この調子でミヤビさんの話をしてもいいのだろうか。躊躇うが、マナトさんはすでに聞く体勢でいる。諦めて、僕は深々と頭を下げた。
「我が国は、貴国に対して大変な犯罪を犯してしまいました……」
「……と、言いますと?」
「召喚術で若い娘を攫い、我が国の然るべき血筋と強制的に婚姻させておりました。何代にも渡り、子孫繁栄のためだけに……」
口に出すと改めてなんて極悪非道な所業だろう。実行犯はとうの昔に亡くなってはいるが、この悪しき風習を受け継いできたのは他でもない僕らの先祖。我が国は責任を取る必要がある。そして今、ルアサンテ王国の責任者は他の誰でもない、この僕だ。
「彼女らは帰りたいと泣き叫んでも解放されず……一生を出産と育児に捧げ、我が国で生涯を閉じました……私がそのことに気付いたのはほんの六年前です」
「トルテ様をご出産される直前……」
「はい。お恥ずかしながら、私の父もその忌々しい伝統を愛する差別者だったため、国政を奪い取るために内部紛争にまで発展しました」
「それはそれは……」
「結果、私どもが勝利し、政権を奪うことができました。差別のない国を作ることを国民に約束して、今ここに辿り着いたというわけです」
「そんな事情がおありだったのですね。確かに「若い女性が突然消えた」という不可解な事件が、およそ三十年を区切りに続いていたのを確認しています」
マナトさんの口から出た言葉に、フロストが下唇を噛んで俯く。頼む。堪えてくれ。胸中で祈りながら、今度は僕が膝下でフロストの手を握った。
「許されることでないのは重々承知しております。ですがそのような儀式は廃止し、今後は他の国の真っ当な常識を取り入れて、良い国にしていきたいのです。こんな私どもとの国交を受け入れていただけるなら……どんな制裁でも、受ける覚悟でおります」
「その必要はないのでは?」
マナトさんが意外な言葉を口にする。彼はすでに僕ではなくフロストに視点を合わせていた。
「先程のお言葉から察するに、直近で誘拐された方はあなたのお身内なのですよね?」
「ええ……私の姉です」
恨みつらみを押し殺して、フロストはやっとそれだけ吐き捨てた。マナトさんは気にも留めず、僕に向かって朗らかに両手を広げて見せた。
「被害者の弟さんが今こうして貴方がたを許して、行動を共にしている。それが何よりの答えなのでは?」
「あ……でもっ……」
「その女性は、まだそちらの国でご健在なのですか?」
「ええっ、それはもう、元気に、国のために、精力的に働いてくれて……憎むべき王族である私にも、良くしてくださいました」
「今回はなぜお帰りにならなかったんです?」
「ルアサンテで、やることがあると……子ども達もまだ小さく、日々が忙しいから、国交が安定したらでいいと――――」
「彼女も、貴方がたを赦したんですね」
そう、なのだろうか……でも確かに出会った頃からミヤビさんは、活き活きとしていて……ジャオを使って僕を暗殺しようとまで思い詰めていた時期もあったようだけれど、僕と知り合ってからはそんな恨みなど微塵も見せず、優しくしてくれた。彼女はいつだって、僕に暗い顔は見せなかった。
「姉は人格者です……でもそれ以上に、ベル様が誠意を持って接していたから、そのお気持ちが通じたのでしょう。今は家族に囲まれて幸せに暮らしています」
「何よりです。それではベル様、私どもは貴方様をお咎めすることなどございません。過去の事例もすでにご家族が亡くなっていますし、その一切を不問にする他はないかと」
「そんな……よろしいのでしょうか、私たちは……自分の国のためだけに、何人もの人生を台無しにしたかもしれないのに……」
「カナタ様のご家族はまだご健在……ですよね」
遠慮気味な声音でマナトさんが言う。フロストはそれを受けて大きく頷いた。
「大病などしていなければ、まだ私の帰りを待ってくれていることでしょう」
「どうでしょう。そちらに直接、謝罪に行かれては?」
「えっ……」
ミヤビさんのご両親に、謝罪。そうか。それが筋というものだよな。でも……。
顔が緊張で強張っていたのか、フロストが背中をさすって「ご無理なさらず」と宥めてくれる。フロストは優しい。彼はもうすっかりルアサンテ王国の所業を水に流してくれたように思う。
だがご両親は違うだろう。まだ少女だったミヤビさんを失い、フロストまでも手放すことになってしまった。今もまだ何の事情も知らずに……夫婦で寂しく、暮らしているのだ。
「僕……行きたい」
「ベル様……」
「ミヤビさんのご両親に直接会って謝罪をするよ。日取りを決めておいて」
「……よろしいのですか? 私が事情を話しに行けば済むと思いますが……」
「行かなきゃ。そのためにここまで来たんだ」
「……わかりました」
僕らの神妙なやり取りに対して、マナトさんが拍手のような、手打ちのような格好で両手を鳴らした。
「では、ヤマト国のことも同盟国として存分に知っていただきたいですし、しばらくはこちらにご滞在ください。特上のお部屋をご用意しておりますので」
「同盟国……!? あの、何から何まで……ありがとうございます!」
「いえいえ。それではご案内しますね」
部屋を出るマナトさんに続いて、僕らは長い廊下を歩んでいく。
今日からこの立派な建物が僕らの仮住まいになるのか……。
まずは第一関門を突破したことへの安堵で、なんだか頭がフワフワした。目を閉じると頭だけが数倍重たくなったようにバランスを崩す。
「おっと」
倒れかけると、後ろからルシウスが両肩を掴んで支えてくれた。
危なかった。手の平から伝わる体温に、じわんと心が溶かされる。
「大丈夫か?」
「ありがと……平気だよ」
ルシウスと離れて前を向くと、マナトさんがこちらを振り向いて待ってくれている。「すみません」と声を飛ばすが、フロストがさりげなく僕らとマナトさんの間を遮るように位置どりしてくれた。そして僕の代わりにマナトさんの横に並んで、話し始めてくれる。
おかげで僕はルシウスと隣同士で、つかの間の心休まるひと時を手に入れた。
「ん……?」
廊下の端に老婆が一人。上等な黒いローブを纏ってはいるが、白髪は乱れ、目の底が落ち窪んでいて不気味な様相だ。僕らを見つめながら震える手でトルテを指さし、次にルシウスを指さす。そのはっきりとした動作がやけに際立って見えた。
最後にフロストを向いて、さも嬉しそうに目を細める。フロストもそれに気付いたようでじっと見つめ返している。
「知り合い?」
「いえ……でも」
何かを言いかけて飲み込むフロスト。老婆の眼差しは愛情に満ち溢れている。肉親なのか……いやしかしフロストは両親と姉弟の四人暮らしで、祖父母はすでに他界していると言っていた。年齢的にも、祖父母よりご年配に見える。
彼女は結局僕にだけ目もくれず、笑顔でフロストの背中を見送っていた。
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