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第112話 そこまでしても不倫したい
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トイレから出た僕は、身も心もズタボロですぐさまベッドに倒れ込んだ。
終わった……何もかも。
お腹の中を洗浄するって言っても、やることは排便に等しい。
ルシウスの指先から出る水を、お尻からお腹の中に入れられて、それをルシウスの前でお尻から吐き出す行為……尊厳も何もかも失ったような気分だ。気分が悪いし、こうまでして不倫しようとしている自分が情けなくなってきた。
布団をかぶってメソメソと泣いていると、慰めるように抱き込まれる。
「ベール」
「もう……むり、できないぃ……」
「俺のために恥ずかしいの我慢してるベル、可愛かったよ」
「ううぅ……」
ほんとに? 僕のあんな姿見て、幻滅してないの?
好きな人の前ではいつだって穢れのない自分でいたいから……だからこそ、ジャオにだってあんな姿見せたことないのに……。
上目遣いで見返すと、唇を塞がれてそのまま押し倒された。裸で迫られているって視覚で認めてしまうと、すぐに身体が火照ってしまう……僕って単純だ。
「シよ。もう待てないよ……」
「あ、でも……」
「さっきのベルマジで可愛くて、俺もうこんなん」
「あ……」
握らされたルシウスの逸物、バッキバキに硬くなって反り返ってる……僕の痴態見てこんなに興奮してくれたの……? もう……喜んでいいのかわからないよぉ……。
「フェラしてほしい」
「え……うん……」
「ベルは俺の顔の上に跨って」
なんだかそれってすごく恥ずかしい体勢じゃないか? 思うけど、ルシウスに導かれて大人しく上に乗るしかなかった。
逞しくそそり立つルシウスのそれは……馬車の御者席でしゃぶって以来だ。清潔だが強く主張してくる雄特有の匂いに、早くも涎が止まらないでいる。さりげなく嗅いで、それだけで下半身がキュンと疼く。
味を知っているけれど、まだセックスはしていない肉棒……これまでにないくらい緊張しながらそっと舌を這わせる。ルシウスの腰が少しだけ跳ねて、かわいいなって、思った。
「はあ、ベル……嬉しいよ~……」
「うん……ン……ンッ……」
僕の口の中でさらに育っていく。もっと愛してあげたくて、心を込めて口の中でペロペロと舌を絡めた。
ルシウスの味、美味しい……僕は誰のブツにでもこういうことを思うのだろうか……それとも、やっぱりルシウスのこと、好きだからなのかな……?
「ベルのまんこぱっくり、わ~、スゲ~……」
「ンッ、う」
「ああ、ごめんごめん、今日は後ろだったよな」
指でなぞられて思わず腰を浮かしてしまった。触られたら前でシたくなっちゃうから……それだけは、ダメだから。
ルシウスは僕の腰を引き寄せて、後ろの穴にペロリと舌を這わせる。思わず逃げたくなるけどもう遅い、ガッチリと手で腰を固定されてしまっている。ペロペロとじゃれるように舐められて、恥ずかしさを紛らわすように僕も深くまで咥え込む。
「べろ、挿れるからね……」
ツプッ。ルシウスの柔らかな舌が、挿入ってくる。僕は下半身を脱力して、興奮で喉までルシウスを飲み込んでしまうけど、奴は微動だにもせず、僕の身体を受け止めてくれた。
「んま……ンッンッ……」
「ンン、ンン……!」
「そんな根元まで濡らして……期待、してんだね……じゃあこっちも奥まで慣らさないと」
そんなエッチなこと言わないで。興奮しちゃうよぉ。もっとがっついてルシウスをしゃぶってしまう。美味しい。早く抱かれたい。早く、この肉棒に。
「ン~~」
「きゃうっ……!」
ルシウスがあんまり深くを抉ってくるものだから、思わず竿を離して仰け反ってしまった。
それでも腰は抑えつけられたまま、ズボズボって舌が出入りして、これは……気持ちいい、のか……? よくわからないけど、ルシウスにそうされるのは嬉しい……期待が、高まっていく……。
「ベル、多分後ろも才能あるね……締め付けスゲーよ」
「アッアッ、ルシウスぅ、もう~~~~」
「もうシちゃう? いいね、積極的で」
そう言いながら、べろとは別のものを挿入してくる。これ、指かな……しかも二本……三本? 苦しいけど……我慢できないほどじゃない……それより、ルシウスの指がそんなところに挿入ってるという事実が恥ずかしくて、腰が震える……!
「ベル、そんなに早く俺とシたいんだ……もっとナカにおいでってお尻まんこが言ってるよ」
「いやぁ、あ~~……こあい、よお」
「こわくないよ……やさしくするからね……やさしく……やさしく……ッ」
その呟きは僕に向けてというより、自分自身に言い聞かせているかのようだ。指で突いてくるその動きが、精一杯に僕を気遣って、それでも急いているのがわかる。
甘やかされたい。優しくされたい。でも、早く……ルシウスと繋がってしまいたい……!
「ああん、ルシウス、ぼく、ぼく、」
「ん……いいぜ、寝っ転がって」
「あ……」
ころん、と転がってベッドに仰向けになる。下半身は浮かせてほとんど背中だけで身体を支えながら、大きく開脚させられた。前じゃなくて後ろだから、ルシウスに見えるように腰を持ち上げなきゃいけないんだな。うう、やっぱりかなり恥ずかしい……。
「この体勢で……するの?」
「うん、ベルの顔見ながらシたい。いい?」
「……うん……」
ついに僕、ルシウスと、シちゃうんだ。お尻でだけど……それでもセックスには変わりない。最初は「夢の中だから」って許しただけだったのに……僕もルシウスももう止まれないまま、ここまできちゃった。
だって愛し合ってるんだ。これからそれを、身体を重ねて、確認する。
「力抜いてな……?」
「うん……」
上から覗き込んだルシウスに両手を握られた。僕も握り返して指がきつく絡め合う。ルシウスがおでこにキスしてきて、これからすることとのギャップに思わず笑ってしまった。
後ろにあてがわれたルシウスの先端が僕の中に差し込まれる。「ふ、」と熱い吐息が唇と一緒に押しつけられて、麻酔みたいに肌を突き抜けて脳まで侵す。
「クッ……」
「っは……は…………」
「ベル、上手だなっ……もっと力抜いて、もっと奥、イキたい……!」
「はい……ああ……ああん~……」
ルシウスに服従する。きっともう、何を命令されたって逆らえない。身体を許した雄に従うのは、僕の本能だから……媚びるように甘い声をあげて、気持ちいいよ、嬉しいよって伝えるのだけが、行為中の僕の自我だ…………。
ルシウスのおっきい、苦しい……けど、もっと挿れてほしくて、必死で力を抜くよう努める。五度の出産で会得した呼吸法で、なんとか圧迫感を逃して下半身を脱力させた。
つらそうに目を閉じていたルシウスが、突然ギン! と眼を開いて、僕の頬を両手で抱えながら覗き込んでくるから、その迫力に……一瞬、息をするのも忘れてしまう。
「ベル……」
「ん……?」
「やっと、できたな……やっと……」
格好いい顔が不意に歪む。大粒の涙が僕の頬を打った瞬間、胸がキュウウウンと絞られて、ときめきに殺されるかと思った。
ルシウス、どれだけ長く待ち望んでくれていたのだろう。夢だけじゃ足りないって思っててくれたのかな。……嬉しい。
「痛くないか……?」
「へーき……」
「ゆっくりするから……ベル、エッチなキスしよ……?」
「ン……」
エッチなキスって、馬車の中でいっぱいしたような……? 繋がった状態でそんなことするなんて、僕……どうなっちゃうんだろ。
期待に胸が鳴る中で、僕は口内でルシウスの舌を受け止めた。クチュクチュとくすぐるように吸われて、ルシウスの優しさが全身に沁み渡る。緊張で締まっていたナカが解けて……もっと、ルシウスが、強引に押し込んでくる……。
「ぷぁ、あぁん」
「離れないで……ベル、ずっと俺にくっついてて……?」
言うことを聞いてすぐに抱きついた。僕の中でルシウスが脈打ってる。女の子の部分よりも脈動を感じるかもしれない。舌をかき混ぜながら、ポーッと接合部の切ない感触に酔いしれる。
そのうちに胸をだだくさに揉まれて……僕のハッハッと小刻みな呼吸すら、ルシウスが美味しそうに頬張ってしまう。
「俺、幸せだ~……ベル、好き……」
「ンッ、ハァハァ……ン~~」
言わなくても全部伝わってくるよ。
触れ合っているすべての部分で愛を伝えてくれるルシウスのことが、僕も心底好きになってしまう。腰に脚を絡めて誘うと、少しずつ、抽送が始まった。
「あ、ん、あ、んっ……」
「ベルの処女……お尻の処女、俺のモンだっ……」
声に喜びが滲み出ていて、聞いているこちらが恥ずかしい。それをわざわざ耳に唇つけて言うのも意地悪だけど、今の僕にはルシウスに文句言う気力なんてない。ただ、従順な雌でいたい。
ナカでルシウスが擦れる感触、身体的な快楽はうすぼんやりとしていたけれど、ルシウスと繋がれた悦びで、そこからジワジワと何かが萌えるような心地よさがあった。
「後ろで抱かれる良さ、俺が教えてやるからなっ……?」
「うん、教えて……ルシウスに、教えて欲しい……」
「アアッ……!」
僕の言葉に感じ入ったのか、ルシウスが突然奥まで勢いをつけて穿ってくる。その衝動的な動きに、僕も、感じて……全身でルシウスに擦り寄って、大好きを伝えようと夢中になる。
「ベル、だめ……可愛すぎるの、だめ」
「あんっ、あ……」
「出そうになるだろ……!」
腹いせのように途端に激しく出し入れされる。
セックスだ。僕、今、ルシウスと、セックスしてるんだ…………。
感激して声が我慢できなくなる。そうするとルシウスがよりいっそう燃えてガツガツと腰を打ち付けてくる。
ルシウス、やっぱり上手だ。全然痛くないし、少しずつ、気持ち良くなってきた……僕、お尻でもエッチできるようになっちゃった~……。
「あん、あん、あん、あぁんっ」
「ベル、ベル、ベル、好きっ? 俺のこと、好きっ?」
「大好きだよおっ、ルシウスっ」
「ヘヘッ……やっと俺のとこに堕ちてきてくれたね、ベルっ」
「ああっ、そこお、へんっ」
「ン~ここ? イイだろ? っとにベルってスケベで……物覚えいいよなっ……!」
「突いて~~ルシウスそこ突いて~~~~」
「いいよ、お姫様……たーくさん、気持ち良くなろうなっ……!」
ルシウス、大好き。繋がれて嬉しい。
気付いたら僕はだくだくに泣いて、大声で喘ぎながら感じまくっていた。ルシウスは僕から抜け出て何回か射精して……それでも足りないと言わんばかりに、いろんな体位で僕を抱いてくれた。嬉しくて、幸せで……満ち足りた時間だった。
「アッ……」
「ヘヘッ、サイコーだっ……」
ルシウスが僕のナカから抜けていく。倒れ込もうとするけど、すぐに後ろから抱き留められてぐにぐにと胸を弄られた。
「あん……も、ダメ……」
「ベルまだイってないだろ? 手マンしてやるからな」
「てまん……?」
何それ。もう疲れちゃって頭が追いつかない。
抵抗する間もなく、ルシウスの手がそっと股間にあてがわれる。ビショビショに濡れたそこを指が滑って、身体が勝手に跳ね上がった。
「いやアンっ……!」
「潮噴いて見せてくれよ、ベルッ」
「ああ、ルシウス、だめえっ……」
グチュン、グチュン、グチュン。
こうやって指で激しくサレるのは、馬車生活で用を足す時に何度もあった。だからなのか一切の容赦がない。知り尽くしてる僕のイイところ目がけて、耳吸いながら、いっぱいグチュグチュしてくれてるッ……!
「アアッ、イっくう、ルシウス、ふくうッ」
「いいよ、見せて……思いっきりイくんだぞ……!?」
コクコクと頷いて内股に力を入れる。シーツ濡れちゃうけどもう知らない。ルシウスにイくとこ見て欲しい。それでもっと……僕に興奮して欲しい……!
「アアッ、アアッ、アッーーーー」
プシャアアアッ……!
勢い良く噴いた。ルシウスの手を濡らして、シーツも濡らして、気持ち良く喉を仰け反らせる。達してから数分経っても、呼吸が整わない。僕はルシウスにしがみつきながら、疼く下半身を抑える。
「シたいぃ、おまんこ、シたいぃ……」
「ベル……」
「ルシウス、おまんこぉ~」
言葉が止まらない。それをルシウスが唇で塞いで吸ってくれた。
おまんこ、ドキドキしてる。目の前の男に抱かれたい。犯して欲しいって叫んで、止まらない。あんなにダメだってルシウスにも自分にも言い聞かせたのに。あんな惨めな思いしてまでお尻の準備したのに。すべてが台無しになるってわかっていても、僕……僕……!
「……ベル。お尻もっとしたげるから」
「アアッ、ルシウス~~~~」
「ほら、腰上げて……」
抱っこの体勢でふたたび繋がる。欲しかったおまんこはルシウスが指でかき回してくれてる。そしてお尻には、未だ衰えない肉棒が緩やかに出入りする……。
「あぁあん、あぁあん」
「俺におまんこ許さないベルも、許しそうになっちゃうベルも、可愛いよ……」
「ルシウス~~もっと~~おまんこもお尻も~~~~」
「うん……エッチしてない時に誘ってくれたら……ベルの女の子の部分も、ちゃんともらうからね」
「好きなのぉ~~おかしくなっちゃうよぉ~~」
ルシウスに縋り付いて、騎乗位でこれ以上ないくらいに乱れた。タイミングよく同時に突き上げてくれるから、達した時はお尻でイけたような感じが、した。
「……ハア」
行為が終わって、胸の中に抱き込んでくれたルシウスが眠ってしまっても……僕は胸がドキドキして、いつまでも眠ることができなかった。
もうルシウスと関係がないなんて言えない。裸でたっぷりと絡み合った。ルシウスのを、僕の中に挿入してしまった。
僕、ルシウスの恋人に、なっちゃったんだ…………。
終わった……何もかも。
お腹の中を洗浄するって言っても、やることは排便に等しい。
ルシウスの指先から出る水を、お尻からお腹の中に入れられて、それをルシウスの前でお尻から吐き出す行為……尊厳も何もかも失ったような気分だ。気分が悪いし、こうまでして不倫しようとしている自分が情けなくなってきた。
布団をかぶってメソメソと泣いていると、慰めるように抱き込まれる。
「ベール」
「もう……むり、できないぃ……」
「俺のために恥ずかしいの我慢してるベル、可愛かったよ」
「ううぅ……」
ほんとに? 僕のあんな姿見て、幻滅してないの?
好きな人の前ではいつだって穢れのない自分でいたいから……だからこそ、ジャオにだってあんな姿見せたことないのに……。
上目遣いで見返すと、唇を塞がれてそのまま押し倒された。裸で迫られているって視覚で認めてしまうと、すぐに身体が火照ってしまう……僕って単純だ。
「シよ。もう待てないよ……」
「あ、でも……」
「さっきのベルマジで可愛くて、俺もうこんなん」
「あ……」
握らされたルシウスの逸物、バッキバキに硬くなって反り返ってる……僕の痴態見てこんなに興奮してくれたの……? もう……喜んでいいのかわからないよぉ……。
「フェラしてほしい」
「え……うん……」
「ベルは俺の顔の上に跨って」
なんだかそれってすごく恥ずかしい体勢じゃないか? 思うけど、ルシウスに導かれて大人しく上に乗るしかなかった。
逞しくそそり立つルシウスのそれは……馬車の御者席でしゃぶって以来だ。清潔だが強く主張してくる雄特有の匂いに、早くも涎が止まらないでいる。さりげなく嗅いで、それだけで下半身がキュンと疼く。
味を知っているけれど、まだセックスはしていない肉棒……これまでにないくらい緊張しながらそっと舌を這わせる。ルシウスの腰が少しだけ跳ねて、かわいいなって、思った。
「はあ、ベル……嬉しいよ~……」
「うん……ン……ンッ……」
僕の口の中でさらに育っていく。もっと愛してあげたくて、心を込めて口の中でペロペロと舌を絡めた。
ルシウスの味、美味しい……僕は誰のブツにでもこういうことを思うのだろうか……それとも、やっぱりルシウスのこと、好きだからなのかな……?
「ベルのまんこぱっくり、わ~、スゲ~……」
「ンッ、う」
「ああ、ごめんごめん、今日は後ろだったよな」
指でなぞられて思わず腰を浮かしてしまった。触られたら前でシたくなっちゃうから……それだけは、ダメだから。
ルシウスは僕の腰を引き寄せて、後ろの穴にペロリと舌を這わせる。思わず逃げたくなるけどもう遅い、ガッチリと手で腰を固定されてしまっている。ペロペロとじゃれるように舐められて、恥ずかしさを紛らわすように僕も深くまで咥え込む。
「べろ、挿れるからね……」
ツプッ。ルシウスの柔らかな舌が、挿入ってくる。僕は下半身を脱力して、興奮で喉までルシウスを飲み込んでしまうけど、奴は微動だにもせず、僕の身体を受け止めてくれた。
「んま……ンッンッ……」
「ンン、ンン……!」
「そんな根元まで濡らして……期待、してんだね……じゃあこっちも奥まで慣らさないと」
そんなエッチなこと言わないで。興奮しちゃうよぉ。もっとがっついてルシウスをしゃぶってしまう。美味しい。早く抱かれたい。早く、この肉棒に。
「ン~~」
「きゃうっ……!」
ルシウスがあんまり深くを抉ってくるものだから、思わず竿を離して仰け反ってしまった。
それでも腰は抑えつけられたまま、ズボズボって舌が出入りして、これは……気持ちいい、のか……? よくわからないけど、ルシウスにそうされるのは嬉しい……期待が、高まっていく……。
「ベル、多分後ろも才能あるね……締め付けスゲーよ」
「アッアッ、ルシウスぅ、もう~~~~」
「もうシちゃう? いいね、積極的で」
そう言いながら、べろとは別のものを挿入してくる。これ、指かな……しかも二本……三本? 苦しいけど……我慢できないほどじゃない……それより、ルシウスの指がそんなところに挿入ってるという事実が恥ずかしくて、腰が震える……!
「ベル、そんなに早く俺とシたいんだ……もっとナカにおいでってお尻まんこが言ってるよ」
「いやぁ、あ~~……こあい、よお」
「こわくないよ……やさしくするからね……やさしく……やさしく……ッ」
その呟きは僕に向けてというより、自分自身に言い聞かせているかのようだ。指で突いてくるその動きが、精一杯に僕を気遣って、それでも急いているのがわかる。
甘やかされたい。優しくされたい。でも、早く……ルシウスと繋がってしまいたい……!
「ああん、ルシウス、ぼく、ぼく、」
「ん……いいぜ、寝っ転がって」
「あ……」
ころん、と転がってベッドに仰向けになる。下半身は浮かせてほとんど背中だけで身体を支えながら、大きく開脚させられた。前じゃなくて後ろだから、ルシウスに見えるように腰を持ち上げなきゃいけないんだな。うう、やっぱりかなり恥ずかしい……。
「この体勢で……するの?」
「うん、ベルの顔見ながらシたい。いい?」
「……うん……」
ついに僕、ルシウスと、シちゃうんだ。お尻でだけど……それでもセックスには変わりない。最初は「夢の中だから」って許しただけだったのに……僕もルシウスももう止まれないまま、ここまできちゃった。
だって愛し合ってるんだ。これからそれを、身体を重ねて、確認する。
「力抜いてな……?」
「うん……」
上から覗き込んだルシウスに両手を握られた。僕も握り返して指がきつく絡め合う。ルシウスがおでこにキスしてきて、これからすることとのギャップに思わず笑ってしまった。
後ろにあてがわれたルシウスの先端が僕の中に差し込まれる。「ふ、」と熱い吐息が唇と一緒に押しつけられて、麻酔みたいに肌を突き抜けて脳まで侵す。
「クッ……」
「っは……は…………」
「ベル、上手だなっ……もっと力抜いて、もっと奥、イキたい……!」
「はい……ああ……ああん~……」
ルシウスに服従する。きっともう、何を命令されたって逆らえない。身体を許した雄に従うのは、僕の本能だから……媚びるように甘い声をあげて、気持ちいいよ、嬉しいよって伝えるのだけが、行為中の僕の自我だ…………。
ルシウスのおっきい、苦しい……けど、もっと挿れてほしくて、必死で力を抜くよう努める。五度の出産で会得した呼吸法で、なんとか圧迫感を逃して下半身を脱力させた。
つらそうに目を閉じていたルシウスが、突然ギン! と眼を開いて、僕の頬を両手で抱えながら覗き込んでくるから、その迫力に……一瞬、息をするのも忘れてしまう。
「ベル……」
「ん……?」
「やっと、できたな……やっと……」
格好いい顔が不意に歪む。大粒の涙が僕の頬を打った瞬間、胸がキュウウウンと絞られて、ときめきに殺されるかと思った。
ルシウス、どれだけ長く待ち望んでくれていたのだろう。夢だけじゃ足りないって思っててくれたのかな。……嬉しい。
「痛くないか……?」
「へーき……」
「ゆっくりするから……ベル、エッチなキスしよ……?」
「ン……」
エッチなキスって、馬車の中でいっぱいしたような……? 繋がった状態でそんなことするなんて、僕……どうなっちゃうんだろ。
期待に胸が鳴る中で、僕は口内でルシウスの舌を受け止めた。クチュクチュとくすぐるように吸われて、ルシウスの優しさが全身に沁み渡る。緊張で締まっていたナカが解けて……もっと、ルシウスが、強引に押し込んでくる……。
「ぷぁ、あぁん」
「離れないで……ベル、ずっと俺にくっついてて……?」
言うことを聞いてすぐに抱きついた。僕の中でルシウスが脈打ってる。女の子の部分よりも脈動を感じるかもしれない。舌をかき混ぜながら、ポーッと接合部の切ない感触に酔いしれる。
そのうちに胸をだだくさに揉まれて……僕のハッハッと小刻みな呼吸すら、ルシウスが美味しそうに頬張ってしまう。
「俺、幸せだ~……ベル、好き……」
「ンッ、ハァハァ……ン~~」
言わなくても全部伝わってくるよ。
触れ合っているすべての部分で愛を伝えてくれるルシウスのことが、僕も心底好きになってしまう。腰に脚を絡めて誘うと、少しずつ、抽送が始まった。
「あ、ん、あ、んっ……」
「ベルの処女……お尻の処女、俺のモンだっ……」
声に喜びが滲み出ていて、聞いているこちらが恥ずかしい。それをわざわざ耳に唇つけて言うのも意地悪だけど、今の僕にはルシウスに文句言う気力なんてない。ただ、従順な雌でいたい。
ナカでルシウスが擦れる感触、身体的な快楽はうすぼんやりとしていたけれど、ルシウスと繋がれた悦びで、そこからジワジワと何かが萌えるような心地よさがあった。
「後ろで抱かれる良さ、俺が教えてやるからなっ……?」
「うん、教えて……ルシウスに、教えて欲しい……」
「アアッ……!」
僕の言葉に感じ入ったのか、ルシウスが突然奥まで勢いをつけて穿ってくる。その衝動的な動きに、僕も、感じて……全身でルシウスに擦り寄って、大好きを伝えようと夢中になる。
「ベル、だめ……可愛すぎるの、だめ」
「あんっ、あ……」
「出そうになるだろ……!」
腹いせのように途端に激しく出し入れされる。
セックスだ。僕、今、ルシウスと、セックスしてるんだ…………。
感激して声が我慢できなくなる。そうするとルシウスがよりいっそう燃えてガツガツと腰を打ち付けてくる。
ルシウス、やっぱり上手だ。全然痛くないし、少しずつ、気持ち良くなってきた……僕、お尻でもエッチできるようになっちゃった~……。
「あん、あん、あん、あぁんっ」
「ベル、ベル、ベル、好きっ? 俺のこと、好きっ?」
「大好きだよおっ、ルシウスっ」
「ヘヘッ……やっと俺のとこに堕ちてきてくれたね、ベルっ」
「ああっ、そこお、へんっ」
「ン~ここ? イイだろ? っとにベルってスケベで……物覚えいいよなっ……!」
「突いて~~ルシウスそこ突いて~~~~」
「いいよ、お姫様……たーくさん、気持ち良くなろうなっ……!」
ルシウス、大好き。繋がれて嬉しい。
気付いたら僕はだくだくに泣いて、大声で喘ぎながら感じまくっていた。ルシウスは僕から抜け出て何回か射精して……それでも足りないと言わんばかりに、いろんな体位で僕を抱いてくれた。嬉しくて、幸せで……満ち足りた時間だった。
「アッ……」
「ヘヘッ、サイコーだっ……」
ルシウスが僕のナカから抜けていく。倒れ込もうとするけど、すぐに後ろから抱き留められてぐにぐにと胸を弄られた。
「あん……も、ダメ……」
「ベルまだイってないだろ? 手マンしてやるからな」
「てまん……?」
何それ。もう疲れちゃって頭が追いつかない。
抵抗する間もなく、ルシウスの手がそっと股間にあてがわれる。ビショビショに濡れたそこを指が滑って、身体が勝手に跳ね上がった。
「いやアンっ……!」
「潮噴いて見せてくれよ、ベルッ」
「ああ、ルシウス、だめえっ……」
グチュン、グチュン、グチュン。
こうやって指で激しくサレるのは、馬車生活で用を足す時に何度もあった。だからなのか一切の容赦がない。知り尽くしてる僕のイイところ目がけて、耳吸いながら、いっぱいグチュグチュしてくれてるッ……!
「アアッ、イっくう、ルシウス、ふくうッ」
「いいよ、見せて……思いっきりイくんだぞ……!?」
コクコクと頷いて内股に力を入れる。シーツ濡れちゃうけどもう知らない。ルシウスにイくとこ見て欲しい。それでもっと……僕に興奮して欲しい……!
「アアッ、アアッ、アッーーーー」
プシャアアアッ……!
勢い良く噴いた。ルシウスの手を濡らして、シーツも濡らして、気持ち良く喉を仰け反らせる。達してから数分経っても、呼吸が整わない。僕はルシウスにしがみつきながら、疼く下半身を抑える。
「シたいぃ、おまんこ、シたいぃ……」
「ベル……」
「ルシウス、おまんこぉ~」
言葉が止まらない。それをルシウスが唇で塞いで吸ってくれた。
おまんこ、ドキドキしてる。目の前の男に抱かれたい。犯して欲しいって叫んで、止まらない。あんなにダメだってルシウスにも自分にも言い聞かせたのに。あんな惨めな思いしてまでお尻の準備したのに。すべてが台無しになるってわかっていても、僕……僕……!
「……ベル。お尻もっとしたげるから」
「アアッ、ルシウス~~~~」
「ほら、腰上げて……」
抱っこの体勢でふたたび繋がる。欲しかったおまんこはルシウスが指でかき回してくれてる。そしてお尻には、未だ衰えない肉棒が緩やかに出入りする……。
「あぁあん、あぁあん」
「俺におまんこ許さないベルも、許しそうになっちゃうベルも、可愛いよ……」
「ルシウス~~もっと~~おまんこもお尻も~~~~」
「うん……エッチしてない時に誘ってくれたら……ベルの女の子の部分も、ちゃんともらうからね」
「好きなのぉ~~おかしくなっちゃうよぉ~~」
ルシウスに縋り付いて、騎乗位でこれ以上ないくらいに乱れた。タイミングよく同時に突き上げてくれるから、達した時はお尻でイけたような感じが、した。
「……ハア」
行為が終わって、胸の中に抱き込んでくれたルシウスが眠ってしまっても……僕は胸がドキドキして、いつまでも眠ることができなかった。
もうルシウスと関係がないなんて言えない。裸でたっぷりと絡み合った。ルシウスのを、僕の中に挿入してしまった。
僕、ルシウスの恋人に、なっちゃったんだ…………。
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病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!
夜刀神さつき
BL
医者である内藤 賢吾は、過労死した。しかし、死んだことに気がつかないまま異世界転生する。転生先で、急性虫垂炎のセドリック皇子を見つけた彼は、手術をしたくてたまらなくなる。「彼を解剖させてください」と告げ、周囲をドン引きさせる。その後、賢吾はセドリックを手術して助ける。命を助けられたセドリックは、賢吾に惹かれていく。賢吾は、セドリックの告白を断るが、セドリックは、諦めの悪いヤンデレ腹黒男だった。セドリックは、賢吾に助ける代わりに何でも言うことを聞くという約束をする。しかし、賢吾は約束を破り逃げ出し……。ほとんどコメディです。 ヤンデレ腹黒ドS皇子×頭のおかしい主人公
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
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