王子の僕が女体化して英雄の嫁にならないと国が滅ぶ!?

蒼宮ここの

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第116話 朝になっても終われない

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ちゅ、ちゅと唇を弾かれる感触に目が覚めた。無意識に腕で絡めて引き寄せると荒い呼吸が口元にぶつかる。口内を舌で探られて、しばしその感触と慣れた恋人の匂いに浸った。

「ベル、かわいい‪……‬かわいい‪」
「ンッ‪……‬あ、ルシウス‪……‬?」
「おはよ、ベル」

僕が目を開けたのを認めて、ルシウスがギュッと抱き締めてくれる。二人とも裸なのに気付いて、昨日の自分の痴態まで思い出してしまった。ぷいと顔を背けるけど、奴は気にせず頬擦りしてくる。

「昨日、すごかったな」
「あ、えっと……覚えてない‪……‬」
「酒に酔ってたわけでもないのに?」
「う~ん‪……‬」
「思い出させてやろっか?」
「あっ‪……‬」

チュク、チュクと割れ目を撫でられて肩を押しやる。けど、ルシウスはやめてくれない。それどころか胸元に唇を寄せて、同時におっぱいまで吸い出したではないか。

「いやあ、ルシウス~‪……‬」
「ベルが強引なの好きってわかったから、そんなんじゃやめないよ」
「ンッ‪……‬」

僕の唇と乳首を何度も行き来するルシウスの唇は貪欲で狡猾だ。指で奥深くを探られて、たちまち意識を取り込まれてしまう。

「挿れるよ‪……‬」

ルシウスがゴムの外袋を歯で破きながらニンマリと僕を見下ろす。僕は恥じらいながらも股を広げて‪……‬無抵抗で、従ってしまう‪……‬。

「ベルのおまんこ、朝からグチュグチュだね‪……‬いやらし~」
「あぁん‪……ルシウスのもかたい‪……‬」
「お前が可愛いからだよ」

深く唇を重ね合わせて、挿入の瞬間を噛み締めた。昨日は性急だったけど、今日はルシウスもゆっくりと腰を進めてくれて、ああ‪……‬ようやく実感できる‪。僕とルシウス、完全に、男女の関係になっちゃったんだって‪……‬。

「俺のこと、好き?」
「うん‪……‬好き」
「たまんねえ~~ッ‪……‬ずっとベルとこうやってスるのが夢だったんだよ……!‪‪」
「‪……‬‪……‬僕も‪‬」
「ハアッ‪……‬ベル‪……‬愛してるよ」

僕に見せつけるようにルシウスがペンダントを掲げて、ピンクダイヤに口づけをする。ルシウスから僕への贈り物。二人の誓いの証だ。
どうせこうなるってわかってた。ほんとうは僕、ルシウスと結ばれたくて‪……この旅への‬同行をお願いしたのかもしれない。誰にも邪魔されずに、こうやって二人きり、遠い地で‪……‬ゆっくりと愛を育みたかったのかもしれない。

「動くよ‪……‬」
「うん‪……‬」

朝からエッチするなんて背徳的で、嬉しくて、甘い笑みがダダ漏れになる。ルシウスもほんとに嬉しそう。この空間は幸せでいっぱいだ。もう他のことなんて何も考えられない。僕とルシウスは相思相愛なんだから‪……‬他のことすべて忘れて、いっぱい、いっぱい、我慢した時間を埋めるように、愛し合いたい‪……‬。

「あん、ルシウスぅ‪……‬」
「昨日みたいにご主人様~ってしないの?」
「たまにしかああならないぃ‪……‬いじめないでよぉ‪~……‬」
「ごめんね、ハアッ、どんなベルでも、俺好きだよっ」
「ん、嬉しい‪ぃ~‪……‬アッアッ、早い、ッ」

覆いかぶさってくる体温が愛おしい。肩に吐きかけられる熱い吐息にすら‪……‬幸福感で満たされる。抱き返して脚を絡める。
好きだよ、ルシウス。もっと僕のこと愛して。
ずっとは続かないこの時間を、今は噛み締めたい‪……‬。

「ベル、出るよ、出るっ」
「うん、出して‪……‬僕のナカに出して」
「ああっベル~っ‪……‬!」

ゴムしているからこそできる発言だ。けどルシウスは嬉しそうに腰を震わせて達してくれた。抜き出してゴムを外し、その口を結ぶ。一晩でだいぶ慣れた仕草だ。昨日何度もシた名残で床に散らばったカラフルなゴムたちの仲間に、今の一発分も加わる。
乱暴に床に投げ捨てたということは‪……‬思いつくと同時に、お腹を上から押さえつけられた。

「もっかいサセて? 全然足りないよ」
「え。でも‪……‬夜もいっぱいシたでしょ‪……‬?」
「だってベルまだイってないじゃん。そうだ、これからは俺にイかされてからじゃないと寝室出たらダメってルールにしよう」
「なにそのルール。エッチ」
「朝っぱらから俺にイかされちゃったベルと、毎日、過ごしたいんだよ」

耳元でボソッと変態なこと言われて、僕は‪……‬不覚にもお腹の奥をときめかせてしまった。
朝から、なんて‪……‬ほんとにルシウスに身体を支配されてるみたいだ。
その日は真面目に国交を進めたって、マナトさんと気取って話したって、城の人たちに爽やかに挨拶をしたって‪……‬朝からルシウスにイかされた、僕なんだ‪……‬それをルシウスが優越感たっぷりで隣で見ているの、恥ずかしい‪………………‬けど‪……‬イイ、かも‪……‬?

「むり、だょ‪……‬」
「イかせるの無理って? カッチーン、頭きた。絶対イかせてやる」
「ち、ちがう、そうじゃなくて」
「ほらベル、また俺のチンポ挿入るよ~」
「ああんっ‪……‬や、あんっ」
「見て‪……‬何回も挿入してる‪……‬ベルのおまんこに何回も、俺のが挿入って‪……‬ベル、それを嫌がらないで見てるんだよ‪……‬俺のことが好きだからね‪……‬?」
「アァッ‪……‬そんなこと、言わないでェ‪……‬」

ルシウスの言う通り、上半身起こした僕からは丸見えの状態でぬぽぬぽと何度も挿入が繰り返されているというのに、僕は抵抗しない‪……‬ただ熱っぽく、その光景に見惚れているだけ‪……‬。
ルシウスのことが大好きで、受け入れちゃってるから‪……‬‪……‬‪……‬‪……‬。

「俺のこと好きならもっと股開いて?」
「は‪……‬い‪……‬」
「ン、いい子。ナカがうねってきた、イけそうだね?」
「うん‪……‬ガチュガチュのやつ、してェ‪……‬」
「わかった。ベルが好きなガチュガチュのやつね」

僕の浮いていた腰が降りて正常位になった。ルシウス、胸をグニュグニュ揉みしだきながら思いきり舌を絡めてくる。ああ、もう、朝からこんな……でも、嬉しいよぉ……。

「ふふ、もうイけるよね‪……‬ベルの女の子の部分、準備できたよって、早くガチュガチュしてって、言ってるよ」
「してェ‪……‬」
「いいよ、俺のチンポでいっぱい感じてね‪……‬!?」

バチュン、バチュン、バチュン。ルシウスが僕を激しく穿つ。指で乳首を弾きながら打ち付けてくる。こうやってガツガツ(昨日は舌がもつれてたから「ガチュガチュ」になっちゃった)されるの好きって言っちゃったから、ルシウスいっぱいシてくれるんだ。ほんと幸せ。ナカが悦んでキュンキュンしているの自分でもわかる。
ああ。もうルシウスが恋人だって認めちゃってるんだ、僕のおまんこ。ふしだらで、だけど正直で、本能に忠実だ。
ルシウスが好き。今はコイツのこと以外、なにも考えたくない。

「あう、ガチュガチュ、イイんッ」
「はあ、はあ、ベル、俺も、イイよっ‪……‬」

指を絡めると、心まで通じ合ったような気持ちになる。だいすき。ルシウスも僕を愛してくれている。セックス我慢するなんてできない。肉がぶつかり合うたびに、水飛沫が股間に飛び散って行為の激しさを物語る。
ルシウスは片時も僕の顔から目を離さない。見られてるって思うと可愛い顔で感じなきゃって意識しちゃう、こんなふうに女の子みたいな気分になるの、久しぶりかもしれない‪……‬目を細めると、ルシウスも顔を真っ赤にして微笑んだ。

「かわいいな、クソッ‪……‬また俺のほうが、イっちゃう、っ」
「ぼくもイくよぉ、ルシウス、乳首引っ張ってっ、ほっぺに、唾かけてぇ~~」
「うっわ‪……‬マジでドエムなんだねベル‪……‬変態すぎる、最高ッ」
「アッアッアッ、イイッ、唾も~~」
「ペッ。オラっ、もっとか!?」
「もっと~~もっとシて~~‪……‬!」

顔がルシウスの泡だった唾だらけになる。ルシウス、エッチなお願い全部聞いてくれるんだもん。つい僕も素直になっちゃう。ジャオには言えなかったことも、曝け出しちゃう‪……‬あぅ、引っ張られた乳首がすごく伸びてるよぉ‪……‬いたくてきもちいい~……‬!

「イっく‪……‬!」
「オオッ、ベル‪……‬!」

ルシウスが腰をグッと押しつけてくる。種付けする時の雄の仕草そのものだ。僕の達したおまんこが悦んで、イくの止まんない‪……‬‪……‬。
ルシウスのが先に余韻から脱して、僕の顔面の唾を舌で塗り広げてくる。ルシウスの口の匂いでいっぱい‪……‬ハア、変態行為、気持ちいいよぉ‪……乱暴にされるのが好きなのも、きっともうバレてる‪……‬でも、ルシウスになら‪……‬。

「なあ」
「ん‪……‬?」
「もっかいサセろよ、スケベ女」
「あふっ‪……‬!」

鼻筋を強く噛まれて、その言葉と行為に軽くイった。
ルシウスがもうゴムをハメてる。僕の扱いわかってきちゃってる。これじゃあ僕、ルシウスとのエッチのループから、抜け出せないよぉ‪……‬。

腰を掴まれて四つん這いにさせられる。後ろからハメられると、粗末に扱われているようでより興奮した。
またガチュガチュされてる。ルシウスもう何度も出してるのに、硬い‪‪……‬。

「ハアッ‪……‬ハアッ」
「朝からこんなことばっかして、俺ら変態だね、ベル?」
「んっウ」
「涎いっぱい垂らせな」

口に手を突っ込まれて後ろからガクガクと突かれる。言われるまでもなく、僕は唾飲み込めなくなって、だらだらと垂れ流しにしながら、それこそケモノみたいな声をあげてる。ルシウスの指が僕の舌を挟んで捻る。心地よいいたぶりに、つい、腰が振れてしまう。

「すげ、ビチョビチョ」
「おごっ、オッ、オオッ‪……‬」
「ツバ、ここに返すね」
「オオ、オオ~‪……‬」

もう手は取り外されたのに、口の形が戻らない。だってルシウスの粘着質に濡れた手が、僕の胸元に唾を塗りたくって、手の平で乳首を弾くんだもん‪……‬!

「下品な声、かわいいねっ‪……‬」
「オ‪……‬オォンッ‪……‬」
「俺しか聞いてないから、安心して乱れてね‪……‬!」

ルシウスが聴いてる。僕のこんなあられもない声‪……‬感じまくっているナカの吸い付きも、絶対バレてる‪……。
‬ルシウスのセックス、気持ち良い‪……‬僕を心置きなく変態にしてくれる性行為、大好きッ‪……‬。

「ルー、ルー‪……‬!」
「その呼び方‪……‬いいね‪……‬二人の時はそう呼んで」
「ルー、すき‪……‬イっちゃうぅ~~」
「俺も‪……‬! ベルが好きだよ! ベルのナカでイく‪……‬!」
「あぁう」

突然下半身を持ち上げられてべち、と上半身が崩れた。頬をシーツに擦られるような状態で、ひたすら下半身だけを好きにされる体位に性感が高まっていく。
大切にしながら、乱暴してくれるルシウス、好きだ。ルシウスとずっとエッチしてたい。ずっとこうやって愛し合って、今しかない時間に溺れていたい。

「ンッンッン、ンッンッ」
「ベル、なんでこんなにマンコいいの? 終わんないよ‪……‬俺の精子全部搾り尽くす気‪……‬!?」
「ああっ、ルー‪……‬!」

そうだよ。ルシウスの精子、全部僕にちょうだい。わざとおまんこ締めてそうなるようにしてるの。
終わんないで。この幸せな時間。
背徳の、快楽。

「ふあ、出る」
「ああん、あん」

ルシウスのが膨らむ感触を受けて僕も達する。シーツに勢い良く潮を発射して、完璧に達してしまった。
ルシウスは僕から抜き取ったのに、後ろから僕の痴態を見て、まだ息荒く擦り上げているみたい。マジかよ。まだタつんだ‪……‬?

「‪……‬どうする? 今日は一日中セックスしちゃう?」
「そんな‪……‬ダメ、だよ‪……‬」
「期待してるだろ」

振り向くと、ルシウスが膝立ちで近づいてくる。ルシウスはまだシたいんだ。内心喜びながら待っていると、顎をくいと持ち上げられてキスされた。ぬるぬると誘うように口内をかき混ぜられて‪……‬また、身体に火がついたように、熱くなる。

「挿れなくても、こうやってくっついているだけで幸せだけどねん」
「うん‪……‬アアンっ」

挿入はしてない。寝そべった状態で後ろから抱き締められて、胸‪……‬すごく揉まれて‪……‬ドキドキと、安心がすごい‪……‬ジャオ以外の男の腕の中でこんなふうになっちゃうなんて、僕、ほんとにダメだな‪……。
‬でも、ルシウスは特別だから‪……‬ずっと僕の側にいた、幼馴染で‪……‬僕たちは互いに想い合っている‪……‬だから今だけは、許されたい‪……‬。

「少し休憩したら、また挿れてやるからなっ」
「も~‪……‬こんなの、ダメだよぉ‪……‬」
「とかいいつつ、抵抗しないんだよな~」

痛いところを突くなあ‪……‬。でもいいや。ルシウスには全部バレてる。もしかしたらトルテやジャオよりも僕のことを知っているかもしれない。
だから、お願い、できるだけ長く‪……‬ルシウスと恋人でいさせて‪ほしい。ルシウスのこと、独り占めにしたい。

ルシウスは僕の胸に夢中みたいで、乳首をクニクニ指先で捏ねて、僕が腕の中で跳ねる感触を愉しんでいる。僕が本格的に発情しない程度に膣の表面を撫でて、持続的に薄い快感を与えてくる。この男の側にいればこんなにもずっと気持ちいいって、身体が覚えちゃいそうだ。
ほんとうにエッチ上手だよな……いくらユーリとしまくっていたとはいえ、女体ではまた勝手が違うだろう。天性の才能なのか、それとも……。

「‪……‬ルシウスさあ」
「ん~?」
「ほんとに僕がはじめての女体なの?」
「え」

あ。僕の背中にぴったりと接していたルシウスの心臓が大きく跳ねた。ドクドク、ドクドクと激しく脈打っている。
これは‪……‬何か、バレたくないことを隠しているな‪……‬?

「ねえ、心臓うるさい」
「エッ、き、気のせい‪……‬だろ」

と言いつつ、そっと身体を離してくる。ますます怪しい。というかほぼ、黒確定だ。

「もしかして、僕とユーリ以外にも関係を持った人がいるの‪……‬?」
「いや、それは、だなっ」
「この国の人? 僕の目を盗んで綺麗な女の人とシたの?」
「ち、違うよ! ここに来てからは、ない! ベルだけだ!」

その答えに安心すると同時にゾクッと悪寒を覚える。
ここに来てからじゃないということは、ここに来る前‪……‬つまりルアサンテ王国で、悪さしていたっていうのか‪……‬!?

「誰と‪……‬? 国には既婚者であるジャオのお姉さん達と、未婚のジャオの妹しか、いないよな‪……‬!?」

ジャオの家系が国の女子排出をすべて担っている。古くからの呪いのせいで、戦前はジャオのきょうだいは全員女子であり、同時に他の家庭からは男子しか産まれてはいない。かなり、数が絞られてくる。

「んーまあ‪……‬既婚者も、未婚の子も‪……‬?」
「はあ~!?」

ガバッ。聞き捨てならないセリフに、ついに腕を振り払って向き合った。
ルシウス、コイツ嘘つけないんだ。今も曖昧な笑顔で誤魔化そうとしているけど、そんなの何の解決にもならないぞ。
そうだよな。ユーリとしかしてないはずなのに、あんなに女体の扱いに慣れているわけがなかった。

「お前、そんなに女遊びしてたの!?!?!?」
「遊びじゃないよ! 仕事だよ!」
「はあ~!?!?!?」

僕の声は怒気を孕んで部屋中に響き渡る。
だってなんだよ、女人と性行為をすることが仕事って。聞いたことないんですけど。

「ン~~仕方ない。全部話すよ」

覚悟を決めたように、ルシウスがあぐらをかいて僕を向いた。僕も聞く体勢を取る。いくら旦那じゃないとはいえ、友人が大罪を犯しているかもしれないのだ。ちゃんと、事情を聞いておかなければ。

「俺らの国の女人って、むりやり結婚をさせられた人が多いだろ? 子どもだけ作ったらあとはそういうのナシっていう夫婦が多いみたいでさ」
「それは‪……‬そうかもしれないな」
「前から欲求不満の奥さんによく誘われることがあったんだ。お金あげるから旦那にナイショでどうかって。ユーリ食わせなきゃだし、結婚後はそれを細々と受けてたんだよな」
「えぇ~‪……‬」

まさかそんな需要があるなんて。
いや、考えてみればそうか‪……‬女人にだって性欲はある。それは僕が一番よく知っていることだ。聞いてみれば双方合意の上のようだし、金銭も発生しているのなら確かに仕事の契約と同じだし‪……‬うーん……。それ以上何も言えなくて、僕はグッと押し黙ってしまった。
僕がもっと若ければ、決してこれを許しはしなかっただろう。性行為は決まった相手とだけするべきだ。性欲のみでまして金を受け渡してそんなことをするなんて人道に反している! とんでもない! って。
だけど‪……‬僕も、大人になったってことなのかな‪……‬綺麗事だけじゃ片付けられない感情、理解できてしまうから……強く責められない。

「‪……‬既婚者のほうはわかった。でもお前、未婚の子とも‪……‬」
「あ~‪……‬それは、まあ‪……‬俺、モテるからさあ‪……‬カラダの関係だけでいい! って言ってくれる子が多くて?」
「お前、えらく若い子にも手出してるんだな‪……‬?」
「それは‪……‬ゴメン。いろんな女体と手合わせしてみたくて」

言い方がもうクズなんだよな‪……‬。
こんな男に傾倒している自分がわからなくなってきた。

「まあそのおかげでセックス上達して、こうしてベルに還元できているわけですから!」
「ユーリは知ってんの?」

グサッ。丸く収めようとしているところに鋭く刺した。ルシウスは目を逸らすが、僕がじっと視線を外さず、追求の手を緩める気がないと知ると……諦めたようにポツリポツリと、話し出した。

「知って‪……‬るよ」
「知ってるんだ!?」
「てゆーか、バレた‪。まあお金入るし、自分のこと一番好きならいいって、快く認めてくれたよ」
「へぇ~‪……‬!」

聞けば聞くほど、ユーリには敵わないと思わされる。
だって僕なんてルシウスの奥さんでもないのに浮気されて怒り狂うし、女人とのセックスを仕事にしていたと聞いて取り乱すし‪……‬他の人と関係を持つのを許して婚姻関係を結んだままでいるなんて、なかなかできることじゃないと思う。少なくとも、僕には無理だ。

「ふーん‪……‬」

まあユーリが許しているなら、僕がとやかく言う権利はないか。納得‪……‬したフリをしたけれど、なんだか心がモヤモヤする。
あんなに純粋で穢れのないジャオの妹達が、こんな男に誑かされてるのは本当にいいのかという親心もあるし、既婚者の女人がそんなにもたくさんルシウスに言い寄ったのかという驚きもある。それに何より‪……‬。

「僕が、ルシウスのはじめての女の子に、なりたかったな…………」
「え!?」

ハッ。口に出てた?
一生懸命思考をしていただけのつもりだったのに‪……‬なんだ、今の恥ずかしい発言は‪……‬!?!?

「ちょっと、今のナシ」
「ベル! 妬いてくれたんだ!? 心配しなくても俺の女の子とのハジメテは五年前、はじめて夢でベルとシた時だよ!!」
「夢じゃん‪……‬‪……‬」
「も~~拗ねんなって! 今は好きなだけデキるだろ?」

ここぞとばかりに抱き締められる。後ろから頬擦りされて、そっか、この甘え上手なとこも経験豊富だからか、と改めて腑に落ちた。
ちょっと気に入らないけど、まあルシウスがモテるのもわかるし‪……‬そんなルシウスが今は僕を一番好きでいてくれることにますます優越感を覚えてしまったのも事実。僕って、単純だ。

「なあ‪……‬そろそろシよっか‪……‬?」

れろ、と耳を舐られて縮こまる。
この男、改めて恐ろしい。あの国で経験人数伸ばせるなんてタダモノじゃないぞ。しかもそれをひた隠しにして、今まで僕とユーリだけですって顔をしていた。
……やっぱり許せないかも。不満がうまく解消できずに、ついそっぽを向いてしまう。

「ベール」
「今日は、もう‪いい」
「ええ~、俺まだシたいよ‪ぉ」
「だって、ルシウス‪……‬」
「俺だってベルのハジメテを他の男に取られて‪、悔しかったんだからなっ‪?」

ちゅ、ちゅ。しつこく耳にキスを落としてくるのは、よく聞いて欲しいと訴えてるみたいだ。
僕のはじめては、ジャオだ。キスもエッチもジャオがはじめてで、僕にはジャオだけだった。それをルシウスは邪魔せずに、僕らの恋が成就するまでは見守ってくれていた。
だけどほんとうは、つらかったのかも‪……‬なんて、泣くのを我慢しているような息遣いで感じ取る。

「ベルのハジメテ、俺が欲しかった‪……‬」
「ごめん‪……‬ごめんね‪……‬?」
「取り返すくらい、今いっぱいシたい」
「‪……‬もー、わかった‪よ。好きにしていいよ」
「ベル‪……‬!」

ガバッ。待ってましたと言わんばかりに覆い被さってくる。茶番だ。
分かってはいたけど、それでもルシウスにヤキモチ妬いてもらって嬉しかったから、僕‪……‬やっぱり今日はルシウスが満足するまで、付き合ってあげることにした。
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