王子の僕が女体化して英雄の嫁にならないと国が滅ぶ!?

蒼宮ここの

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第140話 寝取られ完了

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コンコン

ノックの音のすぐ後に扉が開いて、マナトさんが入ってきた。
ようやく来てくれたか。僕は安堵と緊張の狭間で、静かに呼吸を整える。

昨晩は彼が珍しく甘やかしてくれて、幸せの絶頂だったのに――――ケンさんにレイプされて、すべてぶち壊された。
いや、乱暴されたこと自体に僕はさほどショックを受けていないのだ。自分でも驚くほどに。
今、僕の心を一番動揺させているのは‪……‬あの時、ケンさんをボコボコにしたマナトさんが言い放った言葉‪‬。

『ベル様、ありがとうございます。これでケンを王座から引きずり下ろせます』
『これで弟の私が、この国の王になれる』

――――これ以外の説明はなく、日がとっぷり暮れたこの時間まで放っておかれた。どれだけ自分で考えても、答えなど出るはずもなかった。

ケンさんはこの国の王子と聞いている。一方のマナトさんは執事長だ。身分は違えど、ケンさんとは幼馴染で対等な関係だと。だからやけにマナトさんからケンさんへの物言いがラフなのも、納得していたのに。
ケンさんを、失脚させたかった? マナトさんが、弟?

「ベル様。今日はケンが大変なご無礼を」
「説明‪……‬してください‪……‬弟、って‪……‬‪……‬」

謝罪を遮られると、マナトさんは途端に満足げな笑みを浮かべる。その変わり身の速さにゾクリと背筋を冷たいものが伝う。

「申し上げた通りですよ。ケンが第一王子、私が腹違いの第二王子。これは城の者にも国民達にも周知の事実です」

そんな。僕は今まで騙されていたというのか。
この国の重役としてはじめて接したのがマナトさんだ。その彼を信じなくて誰を信じろというのだ。ずっと僕に親切にしてくれて、そのうちに恋仲になって‪……‬少しは心が通じ合えたと思っていたのに。
執事長? 第二王子? まったく違うじゃないか。

「なぜ‪……‬?」
「なぜ嘘をついていたかって? その方が、あなた方が心を許してくださると思って」
「ヒッ、いや‪……‬!」

手首を取られて衝動的に振り払った。
目の前のこの人は本当は誰だ。大体今までこの人の口からしかこの人のことを聞いていない。この国のことも、城のことも、全部この人からしか‪……‬どこまでが、本当だった‪……‬?

「‪……‬なるほど、疑心暗鬼になるのも無理はないですね」

マナトさんは口元に手を添えて考えるような仕草をした後、小さく「リリイ」と囁く。すると突然奥の扉が開いて、リリイさん――――この城きっての美しい侍女が姿を現した。
彼女は僕と視線が通い合うなり深々と頭を下げる。絹のような長い金髪がむき出しの肩に流れる様が美しくて、目を奪われた。

「マナト様は正真正銘、我がヤマト国の第二王子であらせられます」
「……‬」
「ちなみに私リリイは、第二王子専属の秘書を務めております」

侍女だと聞かされていた彼女こそが、執事長のマナトさんのような立場だったのか。
第三者の証言なら信じざるを得ない。いや、もう‪……‬マナトさんを見た時の国民の反応、行く先々で年老いた貴族に遜られていたのも、彼が王族だからに他ならない。
すべて辻褄が合った。マナトさんはこの国の王子、だったのだ。

「‪……‬‪……‬怒って、いらっしゃいますか?」

マナトさんがふたたび僕の手を取る。今度は両手で僕の左手を覆っている。‬
リリイさんが速やかに部屋から出て行ったのが視界の隅に映って、指先が強張った。

「すみませんでした。跡目でないとはいえ、まさか一国の王子がおいそれとよその国の方に姿を見せるわけにはいかず、とはいえあの時は窓口として、信頼できる者がいなかったのです。私が身分を偽って出るしかなかった」
「何を考えて、いるんですか‪……‬ずっと僕を、騙し続けて‪……‬最終的に、どうするつもりだったんですか」

立場を騙った理由はわかった。王族として威厳を保つために行動を制限しなければならないというのは僕も理解できる。
だけど、そこまでして事実が露呈した後、信頼が崩れるとは思わなかったのか。もとより信頼関係を築き上げる気などなかった? 国同士の友好は、僕らの関係値は‪……‬僕の、独りよがりだったのか‪……‬?

「非常に、申し上げにくいのですが‪……‬」

眼鏡を僕の部屋に忘れたらしい、マナトさんの瞳が鋭く輝く。刺すような煌めきに僕は目を逸らすようにして俯いた。真実を聞くのが……怖い。
ここで自分が王子だと暴露したのは、それは‪……‬すでに僕をさんざん弄んで、変なビデオを撮った後だからで‪……‬ルアサンテなんて小国は僕を強請って簡単に支配できるから、その条件が揃った上ですべてぶち壊しにしようとしているのではないだろうか。
だとすれば僕は逆らえない。ジャオや子どもたちにあんな痴態を見られたら、生きていけない。

膝の上で握った拳が震える。それに気付いたのか、マナトさんはそっと僕の隣に跪き、温めるように僕の手を取った。
大きな手‪……‬‬彼に触れられるのも、これで最後なのかも‪……‬。

「ベル様を、私の正室としてこの国に迎え入れたかったのです」
「‪……‬‪……‬え?」

あらゆる邪悪な妄想をして怯えていたので、すぐには彼の言葉が理解できなかった。ややあって、正室、迎え入れるという単語を組み合わせて、その言葉の意味するところが明確になる。
水を打ったような静かな衝撃と――――仄暗い喜びに、口角が緩む。

「あなたと結婚したいのです、ベル」

そのまま手を持ち上げられて薬指にキスされた。続けて、僕のサイズにピッタリの、大きな宝石をあしらった指輪が嵌められる。拒むのも忘れて見入ってしまった。
だってこんなにも大きい‪……‬ダイヤモンド、だろうか‪……‬はじめて見た、こんなの‪……‬。

「え? ‪……‬だ、ダメ、ですよ‪……‬?」
「わかっています。でもそれはあなたを想って作らせたものです、受け取ってください」
「結婚は、できないですよ‪……‬」
「構いません。ぜひお納めください」

僕の指でよりいっそう輝きをましたように見えるその指輪を、僕は、手放したくはなかった。なんて卑しい人間なのだろう。
自己嫌悪で頭が狂いそうなのに、控えめな笑顔を浮かべ「ありがとうございます」とちゃっかりお礼を言う自分がさらに気持ち悪くて、今すぐ吐きたくなる。

「よくお似合いです。遠く離れてしまった後でも、私の想いがあなたをお守りできますように」
「えへ‪……‬」

マナトさん、やっぱり‪……‬僕のこと、本気で好きでいてくれたんだ‪……‬。ちょっとプレイが過激だったりしたのもただの趣味で、全部、彼なりの愛情表現だったんだ‪……‬。
浮ついた気持ちで指輪を見つめる。目が離せない。なんて美しい白。太陽と月の光を一緒に閉じ込めたような神々しさを放っている。

「本当に素敵です」

マナトさんが立ち上がってグッと距離を詰めてきた。指輪を嵌めた手を絡め取られて、すべての指が柔く結ばれる。
眼鏡をしていないマナトさんの顔面、本当に破壊力がすごいな‪……‬なんて綺麗な瞳、肌も白くて‪……‬対照的な黒髪も格好いい‪……‬こんな素敵な人に、プロポーズされちゃったなんて‪……‬。

「‪……‬抱きたいです」
「え‪……‬で、でも」
「同盟の手続きは王子として真面目に進めます。ですから、後少しだけ、ここにいる間は私と‪……‬恋人でいてください」

恋人。甘酸っぱい響きにキュンとしてしまう。こんな綺麗な人に一心に見つめられて、靡かない方法があったら教えてほしい。

僕はまんまと誘いを受けてしまった。深く唇が重なる。マナトさんの舌が蛇のように僕を巻き取って締め付ける。じゅうじゅうと吸い尽くす。
こんな穢れた誓いのキスも、僕ららしいと思った。最初から許されない関係なのだ。だったらあと少しだけ‪……‬このまま、愛し合っていたい。

二人分の体重を受け止めてベッドが軋む。僕は自ら服を脱いで、マナトさんの服も丁寧に脱がした。縋り付いて熱い胸板に酔いしれる。
素肌で触れ合うの気持ちいい‪……‬マナトさん、めったに脱いでくれないから‪……‬こうしていると彼も血の通った人間なんだって、安心する‪……‬きっと、少し不器用なだけなんだ。僕が、僕だけが、彼をわかってあげられる。

「すき‪……‬」
「ベル‪……‬」

もう挿れたい。耳元で息だけで囁かれて、どきりと心臓が跳ね上がる。
真面目な彼がこうやって手順も踏まずに求めてくれるのも、僕だけなんだ。

「挿れて‪……‬」

耳元に囁き返す。彼はゴムをつけると、寝そべった状態で後ろから挿入した。クリクリと乳首を捏ねて、腰を撫でて、わざと荒い息を耳にかけてくる。
ああもう好き。たまらない。
彼のこんないやらしい姿を見られるのも、僕だけ。

「あん‪……‬あっ、あっ‪……‬」
「気持ちいい‪……‬?」
「はい‪ぃ、もっと、もっとお」

マナトさんの手の上から自分の胸をメチャクチャに揉みしだく。もっと乱暴にして。僕に狂って。余裕綽々のマナトさんを行為に引き込もうと必死になってしまう。
応えるようにマナトさんが僕の胸を鷲掴みにしてグニャグニャと縦横無尽に揉み潰す。首筋に痛いほど吸い付いて、たくさん跡を付けている。そうしながらも、グッグッと勢いをつけて腰を入れてくれるから、もうどこもかしこも気持ちが良くて‪……‬。

「あん、しゅごいのしゅごいの、しゅごいのおぉ~~」

先っぽを引っ掛けながら抜かれて、プシャアッと盛大に潮を噴く。僕は脱力した身体に鞭打って、振り返りマナトさんにしっかりと抱きついた。
好き。大好きです。想いを込めて抱き締める。

「ベル、上に乗って‪……‬」
「はい‪……‬」

耳元に囁かれた命令が嬉しくてすぐに言うことを聞いた。向かい合って、マナトさんの膝の上に腰を落とす。そそり立つ肉棒がずぷずぷと入ってきて、僕は悦びのあまり、腰をだだくさに揺らしてマナトさんにじゃれついた。
両手で頬を包んで何度もキスする。眩いダイヤモンドの光が視界に入ってきて幸福度が倍増した。

「ハア‪……‬しあわせ‪……‬マナトさん、すき‪……‬」
「じゃあ結婚しましょう?」
「ダメぇ‪……‬」

また、無理やり誓いのキスをされる。だけど彼の舌が大好きな僕は自分から飲み込んで、じゅぽじゅぽと吸い付いてしまう。
結婚したいくらい愛しているのに。もどかしい。マナトさんと、このまま身も心も結ばれてしまいたい‪……‬。

ガチャ

何の前触れもなく、突然に、扉が開いた。
ルシウス。僕と目が合って、僕が今何をしているかを認めると、扉をバタン! と閉めて、震える手で指差してくる。

「なに‪……‬やってんの? ベル‪……‬」

見られた。見られてしまった。マナトさんと愛し合っているところ‪……‬。
今なら、まだ間に合うかもしれない。無理やり犯されたんだと言ってルシウスのもとに駆け寄れば、魔法でなんとでもなって、僕はルシウスの腕の中に帰ることができる。
だけど‪……‬現実の僕はルシウスを一瞥しただけで、すぐに目の前のマナトさんに笑顔を向けて腰振りを再開していた。
どうせ見られちゃったのなら、もうどうだっていい。艶っぽく喘いで、これは無理やりではないと言外に伝える。

「あぁん、マナトさん、気持ちいいですかぁ」
「ええ、とても‪……‬でも、ルシウス様の前でこんな‪……‬いけない人ですね」
「だってやめたくないんだもん‪……‬」

見つめ合い、愛し合っている二人を見せつける。マナトさんも僕の頭を撫でて、こころなしかいつもより甘やかしてくれている。
ルシウスの死にそうな息遣いが心地いい。反省しろ、馬鹿者が。お前だって浮気していたんだ、おあいこだ。

「そんな、なんで、ベルっ、」

頬をすり寄せ合って腰を早くする。たまらない。
ルシウスが僕のせいで傷ついている。
僕を愛しているから、傷ついてくれてるんだ‪……‬。

「やめろって!! なあ、俺のほうが好きだろ!?!?」

城中に響き渡るかのような絶叫。さすがに無視できなくて、ピストンを止めルシウスに視線を向ける。怒りと悲しみに満ちた顔が歪んで、僕を引き留めようとしている。
僕はふたたびマナトさんに向き直り、ちろりと舌を出した。

「マナトさんだいすき、キスして」
「ベル、私も、愛していますよ」

舌が絡まる。マナトさんが僕のお尻を抱えてぐりぐりと揺らしてくる。耐え切れず、ピストンを再開した。
ルシウスがその場に膝をつく。ちゃんと最後まで見て。これがお前の裏切りの代償なんだよ。
二人の男に求められている優越感に溺れる。僕はマナトさんとぬるぬる舌を絡めながら、中の擦り合いに夢中になった。

「イっちゃう、マナトさん……」
「ベル‪……‬!」

ぼすん。シーツに押し倒されて、正常位で差し込まれる。マナトさんは上から僕にしがみついて、僕も下から彼の腰に脚を絡めて、密着しながら強く、揺さぶり合った。

「はあ、気持ちいい、もう私のものだ、ベルッ」
「マナトさあん、アッアッ、すてきれすぅう」

ルシウスは絡み合う僕らをしばらく呆然と見ていたが、やがて唐突に立ち上がり、部屋から飛び出していった。僕らはそれでも止まることなく、激しく互いを求め合った。
最高に気持ちが良かった。人を裏切るって、こんなにも。
皮肉にも、ルシウスの気持ちが少し、理解できてしまった‪……‬。
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